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ロゴ-商標登録.com(TM)

ロゴか文字か・識別力調査

最近気になることとして、やたらと自分で商標登録できる!みたいな内容のものが見受けられます。一般の方が実際に手続してみたというものや、弁理士が解説しているものもあります。
しかしこのような解説では、(1)まずは類似商標の検索をする、(2)商標登録願の書式を用意して書類を作る、(3)特許庁に提出する、という内容になっているのが通例で、類似商標検索以外の調査・検索・検討や、指定商品・役務の検討など、結構肝心のところが抜けていたりします。
そこで、もう少し実際の仕事に則した事例を説明してみたいと思います。

ロゴか文字か・識別力調査 | 類似商標検索調査 | 出願書類作成 | 特許庁への出願・審査

上記のような解説で、「類似商標がないのなら標準文字で出願しましょう」とか、「普段からロゴを使っているのならそれで出願します」といった、識別力の調査や、ロゴと文字商標とのメリット・デメリット及び、それぞれの登録可能性の検討といった、重要事項の説明が抜けているものが多く見られます。簡単にまとめられる事柄でもないからとも思いますが、かといって、ご依頼者の事例を紹介するわけにもいきません。
そこで、恥ずかしながら自分の過去の出願と、現在のロゴの制作を題材にして、説明をしてみたいと思います。

商標を使用する業務

筆者は、1998年に弁理士試験に合格し、当時は事務所に勤務していましたが、1999年1月に最初のウェブサイトを作りました。当時はまだNIFTYホームページを使っていましたし、サイトもフレームを使用していました。「特許」「実用新案」「意匠」「商標」「著作権」「不正競争」「ライセンス契約」「侵害訴訟」に分けて、試験勉強で学んだコンテンツを掲載していました。実は今の事務所サイトにも、当時のコンテンツの多くは引き継がれています。

2000年5月に開業し、体裁を変更して「金原商標特許事務所」のウェブサイトにしました。当時はネットベンチャーの特許などをやっており、事務所名にも「特許」の文字が入っていました。ドメイン名も当時は「e-patents.net」でした。「e-なんとか」のネーミングが流行っていた頃です。
ウェブサイトにロゴマークはなく、書体と色をちょっと工夫しただけでした。

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2004年になって、ウェブログ(今でいうブログ)が普及しはじめ、今度は独自ドメインで、当時のブログではシェアの大きかったMovableTypeを設置して、サイト運営を始めました。

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使用している商標・ロゴのリストアップ
この時、事務所ウェブサイト(kanehara.com)とは別に、業務領域ごとに、「商標登録ドットコム」(shohyo-toroku.com)、「意匠登録ドットコム」(isho-toroku.com)などのサイトを、同じブログソフトを設置して始めました。当時は似たようなサイトは少なく、CMSを導入したのも早い方でした。
この頃までは、「○○ドットコム」の名称が流行っていたので、カタカナ表記に統一していましたが、次第にダサいと感じられるようになったため、「商標登録.com」の表記に今は統一しています。

この時、一応はロゴマークといえるようなものを自分で制作しました。もっとも今でも、文章も画像も、ウェブサイト全体も、全部自分でやっていることには変わりありません。
また、「らくらく商標登録」、「おまかせ商標調査」、「かんたん国際登録」、「まるごと商標管理」というサービスメニューを設けて、それぞれにロゴを制作しました。

ともあれ、「商標登録・調査についての相談、調査、出願代理等」を役務として、これらの商標・ロゴを使用していたということになります。

どの商標・ロゴを登録するかの検討

さて、過去の当サイトだけでも、「金原商標特許事務所」、「商標登録ドットコム」、「らくらく商標登録」、「おまかせ商標調査」、「かんたん国際登録」、「まるごと商標管理」という商標を使用していたわけです。それぞれのロゴも制作して使用していました。
しかし全部を登録することまでは考えませんでした。実をいうと、「かんたん国際登録」、「まるごと商標管理」の2つは、とうとう1回も注文は来ませんでした。そのような仕事のご依頼はいろいろありますが、このメニューのページを介してはありませんでした。

また、弁理士法によって、
「(名称の使用制限)
第七十六条 弁理士又は特許業務法人でない者は、弁理士若しくは特許事務所又はこれらに類似する名称を用いてはならない。」
と定められ、なおかつ同姓の弁理士はいなかったため、「金原商標特許事務所」を登録することはしませんでした。なお「金原商標登録事務所」に改称したのは2006年のことになります。

業務で圧倒的に比重の大きかったのが「商標登録ドットコム」、そして「らくらく商標登録」でした。
そこで、どの商標を登録するかの選択にあたっては、これらが検討の対象となりました。

識別力調査の対象の検討

さて、ここで話が冒頭に戻りますが、よくある自分で商標調査・登録をすると言ったような解説では、この時点で、(1)まずは類似商標の検索をする、(2)商標登録願の書式を用意して書類を作る、(3)特許庁に提出する、ということになってしまいます。
しかし、やはり違います。

当時の調査資料と、電子化したデータもありますが、ちょっと画像が粗いので、あらためて調査をしてみます。類似商標検索等については、別の項で述べます。

自分で出願手続をした方からの、拒絶理由通知が来たという相談をしばしば受けます。弁理士は意見書での反論、手続補正書での拒絶理由の解消等、専門的知見をもったプロですが、実はこの段階での初めてのご相談では、対応方法に限りがある場合も多いです。
出願前の調査・検討、そして出願内容の検討の段階で、本当は弁理士に相談をした方がいいと思います。
調査・検討は、類似商標検索だけではありません。
出願内容の検討は、使っているうちのどの商標の保護が必要か、商標をどのような態様のものにするか、区分の選択、指定商品・指定役務の記載などの多岐にわたります。

識別力とは
商標の拒絶理由では、主として商標法第3条第1項各号と、第4条第1項各号とがあります。
まずは、商標の自他識別力があるかどうか、の検討が必要です。

自己の業務に使用しないことが明らかな商標等(商標法第3条第1項柱書き)
「自己の業務に係る商品又は役務について使用」をしないことが明らかであるときは、登録されません。下記のものは登録が認められませんが、詳しくは拒絶理由の方に記載していますので、ここでは深くは述べません。

指定商品・役務の普通名称(商標法第3条第1項第1号)
指定商品・役務の慣用商標(商標法第3条第1項第2号)
品質表示等の記述的商標(商標法第3条第1項第3号)
ありふれた氏又は名称のみからなる商標(商標法第3条第1項第4号)
極めて簡単で、かつ、ありふれた標章(商標法第3条第1項第5号)
識別力のない商標(商標法第3条第1項第6号)

当時の調査では、「商標登録ドットコム」と、「らくらく商標登録」を調査対象としました。
また、当時の資料からは、特許電子図書館(現在のJ-PlatPat)の、「商標出願・登録情報」で、「商標登録」「ドットコム」「.com」「コム」「らくらく」「ラクラク」「楽々」「楽楽」を含む商標を調べています。

しかしまあ、「商標登録」の語は、「商標登録出願の相談・手続の代理」などについて、役務の内容を示す言葉であることは明らかです。
そこで、「ドットコム」の識別力、「らくらく」の識別力の有無が問題となることになります。

識別力がないとされた場合に想定される拒絶理由

ウェブサイトの名称を決めてドメイン名をとった時から、類似商標調査はしていて、類似のものがないことを確認していたのですが、出願の検討にあたっては、あらためて調査をします。

想定される拒絶理由の検討
今回、出願する商標によっては、想定される拒絶理由は、類似商標を別として、下記のものです。

(商標登録の要件)
第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

三 その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

そして、これまでに検討したように、識別力の有無が問題となる可能性があるのは、「ドットコム」と「らくらく」になります。
「ドットコム」の語は、「インターネットを利用して役務を提供する」という、役務の内容、質を想起させる言葉である可能性があります。
「らくらく」の語は、「楽に、簡単に役務の提供を受けられる」といったような、役務の内容、質を想起させる言葉である可能性があります。
そして「商標登録」の語は、そのまま「商標を登録する」役務という、役務の内容、質を想起させる言葉です。

そうすると、「ドットコム」の語が役務の内容、質を示す言葉であると、特許庁の審査官に判断された場合には、「商標登録」も「ドットコム」もいずれもそうであるため、「役務の質、内容を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」(商標法第3条第1項第3号)ということになります。
「らくらく」の語が役務の内容、質を示す言葉であると、特許庁の審査官に判断された場合には、「らくらく」も「商標登録」もいずれもそうであるため、「役務の質、内容を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」(商標法第3条第1項第3号)ということになります。
実にこうした拒絶理由通知は、よくありがちなものとなっています。

想定される拒絶理由に対する反論の検討
ただし、商標法第3条第1項第3号では、その審査基準において、
「(2) 商標が、商品又は役務の特徴等を間接的に表示する場合は、商品又は役務の特徴等を表示するものではないと判断する。」ともあります。
想定される拒絶理由通知に対する反論としては、「ドットコム」は、インターネットを利用した役務であることを連想させるかもしれないが、役務の内容や質を直接示す言葉ではない、そして商標全体としてウェブサイト名称を示す固有名称であり、識別力があるという内容が想定されます。
「らくらく」についても、楽にできる意味合いを連想させるかもしれないが、間接的に想起させるものではあっても、ひらがなで「らくらく」とし、商標全体で独創的なネーミングをしたものであり、識別力があるという反論が想定されます。

しかし、仮に特許庁が、商標法第3条第1項第3号の拒絶理由には該当しないと判断したとしても、まだわかりません。第3条第1項第6号の問題があるからです。
たとえば、このような拒絶理由通知が来ます。

「この商標登録出願に係る商標(以下『本願商標』といいます。)は、『○○***』の文字を横書きしてなるところ、その構成中の『○○』の文字は「・・・・・・・・・・・・・・・」、『***』の文字は『・・・・。・・・・』(三省堂『大辞林』第*版)をそれぞれ意味します。
また、下記のウェブサイト情報によると、『○○***』の文字が、・・・・・・を指称する語として使用されている実情が確認できます(下記1~7参照)。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、○○に関する***であると理解するにとどまり、自他役務を識別するための商標とは認識し得ないというのが相当ですから、本願商標は、指定役務の宣伝広告を表したものにすぎず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と認めます。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当します。
1 URL
2 URL
・・・」

どの商標を、ロゴか文字か、どのような商標の態様で出願するか、最初の検討段階から、様々な検討・調査を重ね、想定される拒絶理由と、それに配する反論内容までを、弁理士が検討するのだとおわかりいただけるかと思います。

識別力調査の方法

インターネット検索
類似商標調査については別の項に譲りますが、商標全体の類似についても、インターネット検索はしていました。「商標登録ドットコム」、「らくらく商標登録」、その他の言葉で、類似の使用例がないかどうか、あるとしてどのくらいあるか、調査をしています。
「ドットコム」「.com」など、検索語をいろいろ変えて、調べてみます。
特に2000年代以降、特許庁の審査官も、同じようにインターネット検索を多用しているのか、商標の全体またはその一部分の使用例と、そのURLを列挙して、拒絶理由通知に書いてくることが多くなりました。

特に、使用例が多い場合、このケースでは「○○ドットコム」の使用例が多い場合や、インターネット上の辞書(特にwikipediaやその業界に関する辞書)に掲載されているような用語、複数のインターネット辞書に掲載されているような用語は、識別力がないと判断されることが大半だと思います。

2004年当時にはなかったと思うのですが、現在インターネットを検索してみると、「ドットコム」もしっかり辞書に掲載される用語となっています。
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結論として、実際に特許庁の審査では、以前(2000年代前半くらい?)までは、普通のありふれた書体の文字で「○○○ドットコム」あるいは「○○○.com」が登録される例も多々ありましたが、だんだん減っていき、現在では相当難しいと思います。
一方、「らくらく」についても使用例が多数ありますが、辞書に掲載されるような言葉ではないため、識別力は低いものの、微妙なものがあります。

このように、識別力の有無は、時代によっても変わっていきます。インターネットのように進歩が速い業界では、あっという間に新語として登場しては、識別力を失う言葉が多いことも、ご理解いただけるでしょう。

商標出願・登録情報
次に、特許庁での登録例で、識別力が認められているかどうかの調査を行います。

ところで、特許情報プラットフォーム、J-PlatPatでは、入力項目に区分、あるいは類似群コードを入力する場合があります。
これらは、類似商品・役務審査基準で調べます。「類似商品・役務審査基準」は、弁理士にとって手放せないものですが、最近はインターネットで見てしまうことの方が多くなりました。
こちらも、年々少しずつ改正がありますので、注意しなければなりません。

「類似商品・役務審査基準〔国際分類第11-2017版対応〕」で確認できる通り、商標に関する業務は、第45類という区分に属します。
第45類の中の、「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務」については、類似群コードは「42R01」となっています。類似群コードは、類似する商品・役務を示すもので、異なる区分なのに類似商品・役務であるということも多くあります。区分が異なるからいいというものでもありません。
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ちなみに、2004年当時は、区分は第42類までしかなく、商標に関する業務も第42類でした。このように、区分自体が改正されてしまうこともあります。

さて、J-PlatPatのメニューの内、「商標出願・登録情報」での検索調査をしてみます。
今回は類似商標ではなく、あくまでも特許庁が識別力を認めているかどうか、それらの傾向などを見るためです。
検索語としては「?ドットコム? ?コム? ?.com? ?.COM?」を入力しました。
「?」は、その前後に他の言葉が付いている商標も検索できるようにするためです。「ドットコム」等を含む商標を調べるためです。

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検索結果は、念のため「コム」まで検索語に入れていたため、第45類だけでも373件もありました。

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単なる普通の文字のもの、アルファベットと日本語を2段(2行)に併記した文字のもの、ロゴにしたものなど、いろいろあります。
登録になっている例もけっこうあるので、「ドットコム」に識別力が全然ない、とまでは言いきれないような感じですが、傾向としては登録がだんだん難しくなってきているのも実情です。

なお、上の例では第45類だけで検索しています。前述したような解説でも、「登録したい区分を指定して検索しましょう。」などとよくありますが、調査範囲は念のため広めの範囲で行うことの方が多いです。
現に、当サイトの場合でも、第41類の画像等の提供や、電子出版物の提供、第42類の電子計算機用プログラムの提供を行っています。
だから登録したい区分の調査だけでは足りない可能性があることを、注意しておきたいと思います。

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また、「?らくらく? ?ラクラク? ?楽々? ?楽楽?」での、第45類での検索結果は89件でした。

検索結果の読み方の注意
ところで、これらの検索結果の読み方ですが、第1の注意点としては、識別力の有無を調査している「ドットコム」、「らくらく」と組み合わされている別の言葉の識別力です。
「商標登録」とは違って識別力のある言葉と組み合わされている場合には、商標全体として当然に識別力があります。
上の検索結果の例でいえば、「楽楽苑」、「楽々PAT」は識別力があって当然です。
ここで調べる対象となるのは、上の検索結果の例でいえば、たとえば「らくらくホームページ」です。
この出願は1998年にされ、2003年2月に登録になっています。

商標法第3条第1項各号の場合には、査定時(登録査定、拒絶査定)が判断基準となり(第4条第1項の中には出願時基準の条文もある)、2003年時点で「ホームページ」の語には識別力がなかったと考えられます。
するとこの時点では、「らくらく」には識別力が認められたということに、原則としてなります。

検索結果の読み方ですが、第2の注意点としては、いま「原則として」と書いたように、例外もあります。商標法第3条第2項の規定が適用されて、登録されたものかもしれないからです。
商標法第3条第2項
「商標法第3条第1項3号から第5号までに該当する商標であっても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。」(商標法第3条第2項)とされています。
簡単にいえば、使用された結果、周知・著名になった者は登録してもよいということです。たとえば「価格.com」などは著名でしょうし、「弁護士ドットコム」などもそうかもしれません。

検索結果の読み方の第3の注意点としては、識別力のない言葉のみからなる商標であっても、ロゴマークなど、普通に表示したもののみではない商標は、識別力がある場合が多いです。あまりに簡単なデザインのロゴであれば、やはり識別力がないことも多くあります。

主要な辞書・用語辞典等の調査
先ほどの拒絶理由通知の例でも、「(三省堂『大辞林』第*版)」とありました。
「広辞苑」(岩波書店)、「大辞林」(三省堂)などの主要な辞書の調査、また特に新語などでは「現代用語の基礎知識」(自由国民社)などを活用しての調査を行います。
これらに掲載されているかどうか、どのような内容で掲載されているかは、拒絶理由通知や拒絶査定だけではなく、時に審決、判決などでも用いられるものです。
昨年までは識別力があるとして登録されたのに、今では識別力がないとして登録されないということもありえます。

審決例・判決例の調査
さらに、特許庁での登録例、各種の審決、判決などの調査により判断する等の作業が必要なケースも多々あります。
類似ケースでの過去の拒絶査定不服審判や無効審判等の審決例、さらに審決取消訴訟等の判決例なども、必要な場合には調査します。

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J-PlatPatでは、「審決速報」、「審判公報」の検索メニューがあります。
また、知的財産高等裁判所・裁判例検索があります。
民間事業者による検索サイトもあります。商標審決データベース 商標判例データベース
これらは、拒絶理由通知に対する意見書や、拒絶査定に対する不服申立審判でもしばしば使います。

識別力の判断
以上によって、ようやく、識別力の有無についておおよその判断材料ができ、ロゴ商標にするか、文字商標にするかの決定の段階に至ります。
わざわざ難しく面倒そうに書いていると思われるかもしれませんが、弁理士の検討はこのような広範囲にわたります。もちろん、実践の経験を積んでいるので、ここに書いた手順通りでなく、無意識のうちにいろんなことを同時に検討していると言った方が近いです。
また、明らかに識別力がある、あるいは識別力がないといった場合には、ここまでの調査はするまでもありません。せいぜいインターネット検索をしてすぐに終わり、で済む場合も多くあります。

ロゴ商標にするか、文字商標にするか

以上に述べてきました通り、よくある簡単な解説にあるように、「類似商標がないのなら標準文字で出願しましょう」とか、「普段からロゴを使っているのならそれで出願します」といったものではないことが、おわかりいただけるかと思います。
また、文字商標の場合でも、標準文字ではなく、少しは書体に凝ってみたり、アルファベットと日本語を2段に併記したり、併記というよりはフリガナを小さく振ってみたりというように、画像(図形)商標を作成して出願することも多くあります。

ロゴ商標、文字商標、標準文字商標、さあどれがいいのでしょう。
ちなみに、ウェブサイト等で使用するため、最近サイトをリニューアルしたのに伴い、ロゴマークも新しく制作しています。
私は、ロゴからサイト全体のデザインから、全部自分でやってしまうので、すべては自分の頭の中ですが、通常はデザイナーに依頼するでしょう。いまはインターネット上で簡単にロゴマークの作成ができるサイトもあります。

ただ、印刷物等にも使用する正式なロゴマークは、ウェブだけでなく印刷等にも耐えられる、きちんとしたものを制作した方がいいでしょう。
なお、当事務所でもロゴ作成は一部いたしますが、それは依頼者からお預かりした素材を、あくまでも商標登録用にアレンジしたりする程度です。
ロゴマーク-商標の制作にも記載しましたように、ブランドのコンセプト、イメージなどをデザイナーに伝え、打ち合わせしながら制作しましょう。途中の段階での商標調査も必要です。
当事務所では、デザイン候補を数案に絞り込んだ段階での調査をお勧めしています。

さて、一新した当サイトのロゴには、下記のものもあります。
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しかしこれは、ウェブサイトのタイトル用で、特にスマートフォンでは画像が縮小されて表示されるため、アルファベットを大きくしたあくまでもウェブ用です。

今、当サイトの関連で新規に商標登録をするとすれば、下記のいずれかが検討対象となります。
それぞれの長所短所も記します。

標準文字商標

【商標登録を受けようとする商標】
商標登録.com
【標準文字】

標準文字、または画像の文字商標でもありふれた書体の文字だけのものであれば、登録した時に、デザインされているから登録できただけだと権利範囲を狭く解釈されるもありません。
一方で、識別力がないとして登録を認められない可能性が高くなります。

画像の文字商標

【商標登録を受けようとする商標】
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ありふれた書体のため、これだけで識別力があるともいえません。
よく、二段併記、あるいはフリガナを振った商標で出願されている例があるのは、独自に作った造語、あるいはなじみの薄い外国語の読み方を指定するため、などです。
類似商標と判断される可能性の高い別の商標と、読み方が違うのだと強調するために、フリガナを振ることもあります。これで「商標登録コム」と読まれることはなくなります。

図形商標

【商標登録を受けようとする商標】

ロゴにした場合には、図形、色彩などを組み合わせ、全体として1つのまとまりのある商標であり、「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」ではないから、商標法第3条第1項第3号には該当しないという主張が成り立ちます。

ちなみに、当サイトのロゴ等の色使いが、開業当初から七色をモチーフにしているのは、デザインセンスに限界があるからということもありますが、多種多様、百人百様の人の個性と、そこから生まれる知的財産の多様さを表現したものです。
また、円の図形を多用しているのは、弁理士のお堅いイメージを払しょくするためです。
波のようにうねっているのは、今回、躍動感を付け加えたかったことによります。
また、類似のサイトが近年急激に増えたため、早い時期から継続していることを示す意味で、「Since 2004」の文字を加えました。余談ですが、通常の文字では識別力が弱い場合に、「Since ****」の文字を小さく付け加える等の手段をとったこともあります。

以上の検討の結果、いま商標登録をするとするならば、一番下のロゴにすると思います。
ロゴにするか、文字にするかの判断は、ケースバイケースですので、100の商標があれば、100通りの検討があると思います。

2004年に実際に出願したロゴ商標
ちなみに、2004年に実際に出願した時の商標は、下記のものです。
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ロゴ商標を採用した理由は、以下の通りです。
・確実に登録されそうな安全策をとること。
・「商標登録ドットコム」は識別力が弱いかもしれない。
・それでURLも併記してみたが、URLも説明にすぎないので、それでもなんともいえない。
・当サイトはアクセス数も多く、取材もいくつか受けたが、商標法第3条第2項の周知性まではあるとはいえないかもしれない。
・「商標登録ドットコム」は他人に登録されなければいい。
・「らくらく商標登録」は実際に使用していたロゴ。これを登録できればいい。
・よって、併記してしまう。
今だったらここまでグチャグチャと併記しないと思います。

ともあれ、ロゴを制作し、識別力の調査をし、ロゴか文字かの検討をし、出願する商標を決めました。

ロゴ商標の制作・識別力 | 類似商標検索調査 | 出願書類作成 | 特許庁への出願・審査