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業務雑感-商標登録事務所通信

登録できそうですか?(2) -2017年12月16日

商標「グーグル」について45区分で登録できそうだというウェブサイトがあると、インターネット上の書き込みで読んだので、実際に無料検索を試してみたところ、なるほど「45の区分で登録できそうです」と検索結果に表示されました。

まさかそんなはずはないだろうと思い、特許庁のJ-PlatPatで商標検索をすると、google社は下記の標準文字商標を登録済であることがわかります。

商標登録第5105365号「グーグル」(第9類・第38類・第42類)

登録日は2008年1月18日なので、無料検索してみたウェブサイトについては、データベースで最新のデータが更新されていない等の理由でなく、では何をどう検索した結果「45の区分で登録できそうです」となるのかがわかりません。

そこで半信半疑のKさんが、無料検索でオンライン商標登録できるというサイトに会員登録してみた結果・・・。

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会員登録のためにメールアドレスを入力すると、折り返し自動返信メールが届き、そのメール本文中にあるユーザー登録承認のためのURLをクリックすると、「ユーザー情報登録」画面が表示されます。氏名や住所等の入力を行い、登録します。
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ユーザー登録後に「マイページ」に行くと、「サービスの流れ」が表示され、「新規商標登録開始」をクリックすると、「登録する商標とタイプ」の入力画面に移ります。
この画面で、文字商標が図形商標か、登録したい商標、商標の読み方を入力する。AIなどは関係なく、ユーザーが入力を行うようになっています。
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ここでは実際に、「登録したい商標」に「グーグル」、商標の読み方に「ぐーぐる」を入力し、「次へ」をKさんはクリックしてみました。

次に、「登録する区分」の入力画面になったので、「商品とサービス両方」をクリックします。
すると、「商品やサービスの内容やキーワードを入力」の入力欄が表示されたので、試しに「検索」と入力して「検索ボタン」を押すと、「第1類.化学品、第6類.非金属、非金属製品、第9類.電気制御用の機械器具、第35類.広告、事業、卸売、第42類.調査、分析、設計、開発」が表示されました。

それにしても、第6類は「卑金属及びその製品」であって、「非金属、非金属製品」ではないのですが・・・。

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なお、ここで「プレミアムプランに問い合わせる」のボタンが表示されるが、こちらをクリックすれば普通に弁理士が調査・助言・書類作成を行う料金コースになっています。

プレミアムプランを選択せずに、第9・35・42類を指定すると、「出願費用を確認」の欄に「45400円」と表示されました。また同画面で、「第三者による同一の商標は存在していません」の表示とそれを示す○マークが区分、指定役務ごとに表示されたが、同一商標が存在することは前記の通り確認済です。
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「次へ」をクリックすると、「出願人情報」の入力画面が表示されました。
さらに「次へ」をクリックすると、「確認とお支払い」の画面が表示されました。同画面には「注文する」ボタンがあり、これをクリックすると注文してしまうことになります。
同画面で初めて、
「私は、弁理士に出願を依頼する依頼規約を読んで、その内容に同意しました。」と表示されることがわかります。

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上記規約をクリックすると、「商標登録出願の依頼に関する契約条件」が表示され、
「この契約条件は、A事務所弁理士****(以下「受任弁理士」といいます。)が作成するものであり、お客様と受任弁理士との間の商標登録出願に関する委任契約の内容を構成するものです。(中略)なお、お客様と受任弁理士との委任契約の内容について、B株式会社は一切関与するものではなく、この依頼書も、B株式会社が作成するものではありませんので、ご注意ください。」等と記載されていることがわかります。

A事務所の表記もなく、B株式会社のウェブ上のシステムを利用して、無料検索、会員登録、商標の入力、市区分の入力、費用の確認をした後で、注文するボタンをクリックする画面において、A事務所弁理士****との契約であって、B株式会社は一切関与するものではないと知らされることになります。

数あるウェブサービスや、ショッピングサイトなどで、検索やショッピングカートでの購入を行い、注文ボタンを押す前の最終確認画面と、注文ボタンを押した後の画面とで、運営主体が突然変わる、そのことが初めて表示された規約へのリンクをクリックした場合に限り初めてわかるというのは、ちょっと見たことがありません。
それにそうだとすれば、そもそも、検索結果で「登録できそうです」と判断したのは、誰なのか?

実際にKさんが行った上記手順からすれば、「商品やサービスの内容やキーワードを入力」の入力欄が表示された画面において、試しに「検索」と入力して「検索ボタン」を押すと、「第1類.化学品、第6類.非金属、非金属製品、第9類.電気制御用の機械器具、第35類.広告、事業、卸売、第42類.調査、分析、設計、開発」が表示された点に、一種のAIを利用した検索システムを採用している可能性があるでしょう。
しかし、たとえばgoogle社が無償でウェブサイト管理者に対し提供している、サイト内検索ツールなど、検索においても一種のAIは採用されており、一種のあいまい検索にすぎません。

しかも、第1類の化学品や第6類の非金属等が検索されることからしても、高度な性能を有していないことがわかります。
さらに、実際にgoogle社が商標登録している第38類が検索されないことからも、実用性に疑問符が・・・。

ところで、前記のとおり登録されるはずのない商標でも「登録できそうです」と表示される検索結果や、実際に登録できるとしても、指定商品・指定役務の記載が多いと通知される商標法第3条第1項柱書の拒絶理由通知を考えれば、実に相当大きい割合で、意見書や手続補正書の提出を依頼しなければならないことになるでしょう。

「登録できそうです」との表示を信じ、5000円(区分が多ければさらに加算、印紙代別途)で出願できると思っていたところ、意見書・補正書費用の30000円を後で請求されるのでは、結局はプレミアムプランの35000円(区分が多ければさらに加算)と同じになる可能性が高いとKさんは思い、注文ボタンを押さずに終えたとのことでした。

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