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補足説明-拒絶理由

使用による特別顕著性

商標法第3条第2項

商標法第3条第1項3号から第5号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができます。

「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕では、
「本条二項は、いわゆる使用による特別顕著性の発生の規定である。前述のように一項各号に掲げる商標は自他商品又は自他役務の識別力がないものとされて商標登録を受けられないのであるが、三号から五号までのものは特定の者が長年その業務に係る商品又は役務について使用した結果、その商標がその商品又は役務と密接に結びついて出所表示機能をもつに至ることが経験的に認められるので、このような場合には特別顕著性が発生したと考えて商標登録をしうることにしたのである。
この認定の基準は、当該商標の使用がされている具体的な取引の実情等を参酌して定められるべきであろう。」
と解説されています。

商標審査基準抜粋

1.商標の「使用」について
(1) 商標について
出願商標と使用商標とが外観において異なる場合は、出願商標を使用しているとは認めない。
ただし、出願商標と使用商標とが外観上厳密には一致しない場合であっても、外観上の差異の程度や指定商品又は指定役務における取引の実情を考慮して、商標としての同一性を損なわないものと認められるときは出願商標を使用しているものと認める。
(例1) 同一性が認められる場合
① 出願商標と使用商標が文字の表記方法として縦書きと横書きの違いがあるに過ぎない場合
② 出願商標と使用商標が共に一般的に用いられる字体であり、取引者又は需要者の注意をひく特徴を有せず、両者の字体が近似している場合
③ 出願商標と使用商標の立体的形状の特徴的部分が同一であり、その他の部分にわずかな違いが見られるに過ぎない場合
(例2) 同一性が認められない場合
① 出願商標が草書体の漢字であるのに対し、使用商標が楷書体又は行書体の漢字である場合
② 出願商標が平仮名であるのに対し、使用商標が片仮名、漢字又はローマ字である場合
③ 出願商標がアラビア数字であるのに対し、使用商標が漢数字である場合
④ 出願商標が P のような態様であるのに対し、使用商標が P 、 P 、 P である場合
⑤ 出願商標が立体商標であるのに対し使用商標が平面商標である場合、又は出願商標が平面商標であるのに対し使用商標が立体商標である場合
(2) 商品又は役務について
出願商標の指定商品又は指定役務と使用商標の使用する商品又は役務とが異なる場合には、指定商品又は指定役務について出願商標を使用しているとは認めない。
ただし、指定商品又は指定役務と使用する商品又は役務とが厳密には一致しない場合であっても、取引の実情を考慮して、指定商品又は指定役務と使用する商品又は役務の同一性が損なわれないと認められるときは、指定商品又は指定役務について出願商標を使用しているものと認める。

2.「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」について

(1) 需要者の認識について
「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」とは、何人かの出所表示として、その商品又は役務の需要者の間で全国的に認識されているものをいう。
(2) 考慮事由について
本項に該当するか否かは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断する。
なお、商標の使用状況に関する事実については、その性質等を実質的に把握し、それによってその商標の需要者の認識の程度を推定する。
① 出願商標の構成及び態様
② 商標の使用態様、使用数量(生産数、販売数等)、使用期間及び使用地域
③ 広告宣伝の方法、期間、地域及び規模
④ 出願人以外(団体商標の商標登録出願の場合は「出願人又はその構成員以外」とする。)の者による出願商標と同一又は類似する標章の使用の有無及び使用状況
⑤ 商品又は役務の性質その他の取引の実情
⑥ 需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果
(3) 証拠方法について
本項に該当するか否かの事実は、例えば、次のような証拠により立証する。
① 商標の実際の使用状況を写した写真又は動画等
② 取引書類(注文伝票(発注書)、出荷伝票、納入伝票(納品書及び受領書)、請求書、領収書又は商業帳簿等)
③ 出願人による広告物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし、テレビCM等)及びその実績が分かる証拠物
④ 出願商標に関する出願人以外の者による紹介記事(一般紙、業界紙、雑誌又はインターネットの記事等)
⑤ 需要者を対象とした出願商標の認識度調査(アンケート)の結果報告書(ただし、実施者、実施方法、対象者等作成における公平性及び中立性について十分に考慮する。)
(4) 商標を他の商標と組み合わせている場合について
出願商標を他の商標と組み合わせて使用している場合は、出願商標部分のみで独立して識別力を有するに至っているかを判断する。
(5) 団体商標について
団体商標については、特に、その構成員の使用に関する2.(2)の事実を勘案する。なお、構成員の使用事実に関する立証については、その者が構成員であることを立証されているか否かを含めて判断する。
(6) 小売等役務の商標について
小売等役務の商標については、商標が商品や商品の包装、商品の価格表、取引書類、広告自体に表示されている場合には、その表示態様に応じて、商標が個別具体的な商品の出所を表示しているのか、又は、取扱商品に係る小売等役務の出所を表示しているのかを考察し、小売等役務についての使用であるか否かを判断する。

判決例

「アマンド」の文字は、洋菓子の材料となるナッツ類の一種を示すフランス語の「amande」を片仮名文字で表したものであるところ、おそくとも本件審決がなされた昭和57年4月頃までには原告の販売する洋菓子を示すものとして、東京都を中心に全国にわたって取引者及び一般需要者の間に広く認識されるに至ったものとされた事例東京高昭和 57 年(行ケ)第 147 号

「ミルクドーナツ」の文字は、「ドーナツ」は指定商品の名称、「ミルク」は原材料の一部であることを認めることができ、したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものであるが、本願商標は特定の業者が製造する「ドーナツ」を示すものとして、東京都を中心に全国にわたって取引者一般需要者間に広く認識されるに至ったものであることを認めることができるとされた事例東京高昭和 47 年(行ケ)第 68 号

「セロテープ」の文字は、その指定商品である「セロファン製テープ」を暗示するものではあっても、「セロファン製粘着テープ」の商標として自他商品識別機能を失わない程度に広く認識されていたものであって、いわゆる特別顕著性を有していたものとみるのが相当であるとされた事例東京高昭和39年(行ケ)第27号

「TOKYOROPE」及び「東京ロープ」の文字は、東京の地で生産又は販売されるロープなる観念を生ずるのみで、出所表示の機能を営むに足るものではないと認められるところ、原告会社は東京ロープと略称され、業界で東京ロープといえば、原告会社、原告会社製のワイヤーロープ等を意味するまでになっており、周知著名なものとなっていたとされた事例東京高昭和 37 年(行ナ)第 4 号