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移転された商標権の混同による取消審判

移転された商標権の混同による取消審判

商標権が移転された結果、類似の登録商標が異なった商標権者に属することとなった場合において、一方の登録商標の商標権者が、不正競争の目的で、指定商品・指定役務について登録商標を使用し、他方の登録商標の商標権者・専用使用権者・通常使用権者の業務についての商品・役務と混同を生ずることとなったときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができます(商標法第52条の2)。
商標権を分割して移転する場合を想定して規定された取消審判です。

なお、類似の登録商標とは、
(1)同一の商品・役務について使用をする類似の登録商標
(2)類似の商品・役務について使用をする同一・類似の登録商標
があります。

上記審判は、商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は、請求することができません。

商標権者であった者であって、上記の不正使用をした者は、取り消すべき旨の審決が確定した日から5年を経過した後でなければ、再度その商標または類似商標を、その指定商品・指定役務やこれらに類似する商品・役務について、登録することはできません。

「本条は、平成八年の一部改正において連合商標制度廃止に伴って分離移転を認めたこと、及び類似関係にある商品・役務についても商標権の分割移転を認めたこと(二四条の二〔趣旨〕参照)に対応する誤認混同防止のための担保措置の一つとして設けられた取消審判についての規定である。
一項は、商標権者が有する二以上の商標権のうちの一つが分離して移転され、又は商標権者が有する商標権(二以上の指定商品若しくは指定役務を指定しているもの)が二四条の二第一項の規定により分割して移転された結果、同一の商品若しくは役務について使用をする類似の登録商標又は類似の商品若しくは役務について使用をする同一若しくは類似の登録商標が異なった商標権者に登録されることとなった場合において、不正競争の目的で他の商標権者等の業務に係る商品又は役務と混同を生ずる使用をしたときには、何人も、混同を生じさせるような使用をした登録商標に係る商標登録の取消審判を請求することができることを定めたものである。自己の登録商標の使用であっても、不正競争の目的で他の類似関係にある登録商標の商標権者等の業務に係る商品又は役務と混同を生ずる使用をしたときは、その制裁として、そのような使用をした登録商標に係る商標登録全体を審判により取り消す(指定商品・指定役務ごとに取消しを請求することは認められず、また、多区分に係る登録にあってはその全区分について取り消す)こととなる。ここで『不正競争の目的』を取消しの要件としたのは、需要者間に混同が生じるような事態に至っている場合には、類似商標を有する両当事者の少なくとも一方が、混同状態を放置することにより何らかの利益(例えば、片方が周知で他方がその名声にフリーライドしようとしている等)を得ようとしていることが想定され、『不正競争の目的』が認定されるものと考えられること、及びこれを要件としない場合には、利益を害されている側(例えば、名声をフリーライドされている側)の商標まで『混同』を理由に取り消されかねず、妥当性を欠く結論となるおそれがあるからである。なお、不正競争の目的があるかどうかは、使用の動機、使用の目的、使用の実態、周知性の程度、混同の有無等の要因を総合勘案して個々具体的に判断することとなる。また、『何人も』請求し得ることとしたのは、不正競争の目的を持って混同を生じさせるような登録商標の使用は、需要者の利益も損ねることとなるからである。したがって、当事者以外の者、例えば、消費者団体、同業者組合等をも含め誰でも請求することができるのである。両当事者が互いに取消審判を請求し合う事態もあり得るが、その場合でも、両商標の周知度等を勘案の上、いずれの商標権者がその信用を害されるのかを判断することにより、『不正競争の目的』を有する商標権者を認定し、その者の登録を取り消すこととなる。譲渡人であるか譲受人であるかということも問わないし(二以上の商標が別々の者に譲渡された場合には譲受人同士の争いとなる)、どちらが早く請求したのかということも問わない。なお、移転の結果、類似の商標を互いに有することとなった両当事者の一方が自己の登録商標と類似するさらに別の商標を使用することにより出所の混同を生ぜしめた場合、及び使用権者の使用によって他の登録商標の商標権者等との混同を生ずることとなった場合については、本条では何ら規定していない。これは、前者については五一条一項で、後者については五三条一項で、それぞれ規定する取消審判の対象となるからである。二項は、前項で取消しの審決を受けた商標権者は、審決の確定の日から五年を経過しなければその商標又はこれに類似する商標について商標登録を受けられないこと、及び当該取消審判の請求については五年の除斥期間があることを規定したものである。」(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第20版〕)


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