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判例(商標権侵害訴訟):「巨峰」「KYOHO」は普通名称であるとして、商標権侵害が認められなかった事例-商標登録ドットコム™

「巨峰」「KYOHO」は普通名称であるとして、商標権侵害が認められなかった事例

【種別】商標権侵害差止請求事件
【訴訟番号】平成13(ワ)9153 平成14年12月12日 大阪地方裁判所
【控訴審】平成15(ネ)76 平成15年6月26日 大阪高等裁判所
【事案】
本件は、後記の商標権を有する株式会社日本巨峰会から専用使用権の設定を受け、その登録を受けた原告が、被告による別紙標章目録1ないし3記載の標章を表示したぶどう出荷用包装資材の製造販売が専用使用権を侵害するとして、商標法36条1項、2項、37条6号又は7号に基づいて、
「被告は、別紙標章目録1ないし3記載の標章を表示したぶどう出荷用包装資材を製造し、販売してはならない。」「被告は、その所有するぶどう出荷用包装資材から前項記載の標章を抹消せよ。」として、
これらの標章を表示したぶどう出荷用包装資材の製造販売の差止め、被告の所有するぶどう出荷用包装資材からのこれらの標章の抹消を求め、これに対し、被告が、登録商標の「巨峰」の語は、ぶどうの一品種を表す普通名称であるなどと主張して争った事案である。

事案の概要

(1)当事者

原告は、貿易業、内地商事、包装資材の販売等を業とする資本金1億円の株式会社であり、被告は、紙の加工、紙及び紙加工品の販売等を業とする資本金4000万円の株式会社である。(当事者間に争いがない。)

(2)商標権等

株式会社日本巨峰会は、次の商標権(以下「本件商標権」といい、その登録商標を「本件登録商標」という。)を有し、原告は、次の専用使用権(以下「本件専用使用権」という。)を有している。(当事者間に争いがない。内容の詳細につき甲第1号証)

商標権

 登録番号 第472182号
 出願年月日 昭和29年11月6日
 出願番号     昭29-26924
 出願公告年月日  昭和30年6月27日
 出願公告番号   昭30-9387
 登録年月日    昭和30年10月27日
 商品の区分    旧商標法施行規則(大正10年農商務省令第36号)第15条に定める商品類別による第47類
 指定商品     葡萄、その種子、乾葡萄
 登録商標     別紙登録商標目録1記載のとおり
 専用使用権
  範囲 期間 商標権の存続期間満了まで(平成17年10月27日まで)
  内容 全部
  登録年月日   平成9年10月6日

商標「巨峰」

(3)被告標章の使用

被告は、別紙標章目録1ないし3記載の標章(以下、別紙標章目録1記載の標章を「被告標章1」、別紙標章目録2記載の標章を「被告標章2」、別紙標章目録3記載の標章を「被告標章3」といい、これらをまとめて「被告標章」という。)を表示したぶどう出荷用包装資材を製造販売している。(当事者間に争いがない。)

商標「巨峰」

商標「巨峰」

商標「KYOHO」

(4)事実経過

ア 開発経緯
民間のぶどう研究家であったAは、静岡に理農学研究所を設立し、独自の「栄養周期理論」に基づきぶどうの品種改良の研究を行っていたが、昭和17年、四倍体のぶどうの品種である石原早生とセンテニアルを交配し、果粒が大きく糖度が高い新品種(以下「本件品種」という。)を得た(当事者間に争いがない。)。しかし、当時は戦争中であり、ぶどうの栽培技術の開発は困難であった(甲第10、第11号証)。
Aの「栄養周期理論」の支持者は、昭和21年ごろから、本件品種の研究を開始し、その生理障害(花振い、単為結果、成熟不良、裂果、脱粒、ネムリ病、枝枯れ、凍霜害など)の改良に努力した。Aは、昭和27年3月、栄養価が高く、高品位、低コストな食品の生産などを目指す日本理農協会を設立したが、同年9月23日、死去した。(甲第10、第11号証)
その後、Bは、昭和28年6月1日付けで、本件品種につき、「巨峰」の名称で農産種苗法に基づく種苗名称登録の出願をしたが、昭和32年3月6日付けで、農林省振興局長から、登録をしない旨の通知を受けた(当事者間に争いがない。)。同通知には、登録されなかった理由として、大粒種で果実の品質はよいが花振いのひどいことが多く、かつ、果粒の着色不揃、脱粒し易く輸送力や店持ちが悪い等の欠点があることが記載されていた(乙第9号証)。

イ 本件登録商標の登録等の経緯

本件登録商標は、昭和29年11月6日、出願人をB及びCとして商標登録出願され、昭和30年10月27日、商標登録された。昭和31年2月、日本理農協会の関係団体として、「栄養周期理論」に基づき本件品種の栽培の指導、普及などを行う日本巨峰会が設立された(日本巨峰会は、その後有限会社となった。)。B及びCは、昭和42年9月20日、本件商標権を有限会社日本巨峰会に譲渡し、昭和43年2月7日、有限会社日本巨峰会(昭和55年5月7日、株式会社日本巨峰会に組織変更した。以下、組織変更の前後を通じ、「日本巨峰会」という。)を商標権者とする登録がされた。日本巨峰会は、日本理農協会を事実上主宰していった。(甲第1号証、第10、第11号証、第47号証、第50号証の2、弁論の全趣旨)
本件品種は、日本理農協会の会員などによって改良が重ねられ、その生理障害を防ぐ栽培技術も進歩し、昭和40年ごろから、高級ぶどうとして生産量が増え、いくつかの「巨峰」群品種(ピオーネ、オリンピア、紅富士、紅十和田など)も作られた。(甲第10、第11号証、弁論の全趣旨)
原告は、前記(2)のとおり、平成9年8月6日、日本巨峰会から本件専用使用権の設定を受け、同年10月6日、本件専用使用権の設定登録がされた。

ウ 連合商標の登録の経緯

日本巨峰会は、昭和50年10月17日、本件登録商標及び商標登録第782084号の連合商標として、商品の区分を、平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令第1条別表に定める商品区分第32類とし、指定商品を、「加工食料品その他本類に属する商品(但し葡萄、その種子、乾葡萄を除く)」として、「巨峰」の文字を横書きにした商標の登録を出願した。特許庁審査官は、昭和53年7月25日付けで、拒絶理由通知を行った。その理由は、「本願商標は葡萄の一品種名の『巨峰』の文字を書してなるため、これを指定商品中の果実、加工果実について使用するときは、恰かも該商品が巨峰葡萄もしくは巨峰葡萄の加工食料品であるかの如く、商品の品質について誤認を生ずるおそれのあるものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項16号の規定に該当する。」というものであった。日本巨峰会は、指定商品を、「加工食料品、その他本類に属する商品(但し、果実、加工果実を除く)」と補正した。そうすることにより、昭和55年8月28日、商標登録第782084号の連合商標として、登録番号を第1431104号とする商標登録がされた。(乙第10号証の1ないし3、弁論の全趣旨)

巨峰の連合商標

エ 日本巨峰会と被告の関係

(ア)被告は、昭和38年11月14日設立され、設立当初から、本件品種のぶどうの出荷用の包装資材を製造し、これを日本理農協会の会員であるぶどうの生産者に販売していた。被告と日本巨峰会は、昭和42年10月ごろ、被告が、本件登録商標の使用料を日本理農協会の会員から徴収する業務を受託する旨の契約を締結した。(被告設立の日付、契約時期は、弁論の全趣旨により認められ、その余の事実は、当事者間に争いがない。)
実は、当事者間に争いがない。)
(イ)日本巨峰会は、昭和46年2月1日、株式会社服部紙店及び被告との間で、本件商標権の行使について、次のような約定の契約(以下「昭和46年契約」という。)を締結した(「甲」は、日本巨峰会を指し、「乙」は、株式会社服部紙店及び被告を指す。)。(甲第42号証)
「第1条 甲は甲が所有する登録商標第472182号(指定商品第32類、葡萄、その種子、乾葡萄)の使用を第三者に許諾した場合、商標法第37条第2号に基くところの巨峰容器の製造販売の権限については、乙のみに許諾する。」
(中略)

裁判所の判断

以上によれば、Z被告標章は、本件登録商標の指定商品である「葡萄」に当たる本件品種のぶどうを表す普通名称を、普通に用いられる方法で表示したもの商標法26条1項2号により、というべきである。
よって、原告の本訴請求は、いずれも理由がないから棄却する。

巨峰

理由

1 争点1(標章の類似性)について

本件登録商標は、別紙登録商標目録1記載のとおりであり、漢字の「巨峰」の文字を縦書きにしてなるものである。そして、本件登録商標からは、「キョホウ」の称呼を生じ、かつ、「目だって大きく高いみね(峰)」との観念も生じるといえる(甲第29号証の2参照。なお、「巨峰」の標章から著名なぶどうの名称(品種名か商品名かは別として)を想起することも明らかであるが、この点は争点2に関係することでもあり、原告の主張しないところであるから、被告標章との類似性の判断に当たり考慮しないこととする。)。これに対し、被告標章1及び2は、それぞれ字体は異なる(被告標章1は筆太の毛筆体、同2はゴシック体)ものの、漢字の「巨峰」の文字を横書きしてなるものであり、「キョホウ」の称呼及び「目だって大きく高いみね」との観念を生じる。また、被告標章3は、ゴチック体のローマ字の「KYOHO」の文字を横書きしてなるものであり、「キョホウ」の称呼を生じる。そうすると、少なくとも、本件登録商標は、被告標章1及び2とは外観、称呼及び観念において同一ないし類似であり、被告標章3とは称呼において一致することが明らかであるから、被告標章1ないし3は、いずれも本件登録商標と類似するものというべきである。

2 争点2(「巨峰」という語の普通名称化の有無)について

被告は、本件登録商標に係る「巨峰」の語が、ぶどう一品種を表す普通名称であると主張するので、以下検討する。

(中略)

(7)普通名称化の有無
前記の基礎となる事実(前記第2、2(1)ないし(4))と上記(1)ないし(6)の認定事実に基づき、「巨峰」という語が、ぶどうの一品種である本件品種のぶどうを表す普通名称(商標法26条1項2号)に当たるかについて検討する。
ア(ア)前記(1)ア(ア)ないし(ト)、イ(ア)ないし(キ)のとおり、多くの書籍、統計、新聞の市場欄等において、「巨峰」という語が、ぶどうの一品種を表す名称として用いられている。これらの書籍類の中には、ぶどうや果樹、くだものに関する解説書、食品関係の書籍のほか、一般に広く使われている国語辞典、事典、図鑑類等も多く含まれている。これに対し、「巨峰」が登録商標であることを記載した書籍等としては、日本巨峰会発行の「巨峰ブドウの開発,研究の歴史的事実」(甲第10号証。なお、同書の発行年月日は明らかでないが、同書10ないし12頁の「巨峰ブドウ(石原センテ)の歴史-年表」の欄の記載は昭和44年までの記述にとどまっている。)と日本巨峰会の代表者であるCの著作に係る「巨峰ブドウ栽培の新技術」(発行所・株式会社博友社、昭和48年1月25日第3刷発行。甲第11号証)の存在が認められ、前記(1)イ(ウ)の平成10年東京都中央卸売市場青果物流通年報(果実編)の統計表の「品目 巨峰」に「®」の表示が付記されているのが認められるのみである。また、前記(1)ウのとおり、青果卸売市場の取引業者が用いる売買仕切書においても、「巨峰」、「キョホウ」の表示が、ぶどうの一品種を表す名称として用いられている
これらの事実からすると、「巨峰」の語は、長年の間、ぶどうの一品種を表す名称として、一般消費者のほか、ぶどうの取引関係者も含む国民の間で広く認識され、使用されてきたものということができる。

(イ)原告は、本件品種を表す普通名称は「石原センテ」である旨主張する(前記第3、2(2)ア(エ))。
(中略)
しかし、本件品種を表す語として「石原センテ」という名称が見られるのは、日本巨峰会の作成した「巨峰ブドウの開発,研究の歴史的事実」(甲第10号証)、日本巨峰会及び原告が平成11年ごろ作成したちらし(甲第20号証、前記(5)ウ)、日本巨峰会及び原告が出版社等に対して行った申入れ(前記(2))中の記載と、「新編日本食品事典」(甲第33号証の2)の「果実類」の執筆担当者が、日本巨峰会及び原告の申入れ(前記(2)ケ)を受け、「新編日本食品事典」の第2版に品種名として「石原センテ」と記載する旨述べている(甲第33号証の4)ところがあるだけである。日本巨峰会の代表者であるCの著作に係る「巨峰ブドウ栽培の新技術」(甲第11号証)においてさえ、「巨峰ブドウの果実は、商標登録第472182号を受けている。」(30頁)という記載がある一方、「石原センテ」という名称は記載されておらず、本件品種を表すために「巨峰ブドウ」という名称を用いている
以上の事実によれば、「石原センテ」という名称は、日本巨峰会又はその関係者によって使用されることがあるにすぎず、一般には知られておらず、本件品種を表す名称としては、一般には、「巨峰」という名称が専ら用いられてきたものと認められる。

(ウ)前記(1)エの昭和63年3月21日付けの日本農業新聞に記載されているように、当時の系統農協は、「巨峰」という名称を普通に用いられる方法、例えば出荷容器に品種名として普通に表示することについては、本件商標権の効力は及ばないという考え方に立っていたものと解される。

イ(ア)日本巨峰会、原告は、「巨峰」という語をぶどうの一品種を表す普通名称として用いている書籍等について、前記(2)アないしチのとおり訂正等を申し入れた。このうち、1件(アの株式会社養賢堂に対するもの)は昭和60年にされているが、他はいずれも平成10年、11年に行われている。これらの申入れは、普通名称化を防ぐための行為であると認められ、これに対しては、前記(2)のとおり、訂正する旨の回答もあったが、回答がないものもあるし、訂正の意思のない旨の回答もあった
(中略)

(カ)本件登録商標は昭和30年10月27日に登録され、昭和40年ごろから、高級ぶどうとして本件品種の生産量が増え、いくつかの「巨峰」群品種も作られてきた(前記第2、2(4)イ)ことから、本件品種のぶどうは、昭和40年代から、一般消費者、ぶどう生産者、青果卸売業者など需要者の間で流通していたものと認められる。そして、前記ア(イ)のとおり、本件品種を表す名称としては「巨峰」という語しか知られていなかったことからすると、z,b>「巨峰」という語は、昭和40年代以降、長期間にわたって、本件品種のぶどうを表す名称として、需要者の間で広く使用されてきたものと認められる
他方、日本巨峰会又は原告が「巨峰」という語が普通名称として使用されるのを防ぐために採った措置としては、昭和44年に長野地裁事件(前記第2、2(4)オ(イ))、昭和47年に東京地裁昭和47年事件(前記第2、2(4)オ(ウ))の訴えを提起したこと、前記(2)ア(イ)の申入れを昭和60年に、同イ(イ)の申入れを平成10年3月に、同ウないしタの各(イ)の申入れを平成10年6月に、同チの申入れを平成11年に行ったこと、前記(4)イの文書送付を平成9年12月ごろ、同ウの文書送付を平成11年8月に行ったこと、前記(5)アの広告を平成10年5月、同イの広告を平成11年9月、同ウの広告を平成11年ごろ行ったこと、前記(6)の契約の締結を平成10年ないし平成14年に行ったことが認められる。しかるに、これらの措置には、前記(ア)、(ウ)、(エ)、(オ)のような問題がある上、このような普通名称化を防ぐための措置は、平成10年ごろからは比較的頻繁に採られるようになったが、昭和40年から平成10年ごろまでの約30年の間においては、ほとんど採られていなかったといわざるを得ない
そうすると、平成10年ごろから普通名称化を防ぐための措置が頻繁に採られるようになり、前記(2)のとおり、日本巨峰会又は原告の申入れに応じて、一部の書籍等について「巨峰」が商標である旨が記載されるに至ったとしても、それによって、約30年に及ぶ長期間にわたってぶどうの一品種を表す名称として広く用いられてきた「巨峰」という語について、現時点で、需要者に、商標としての認識をもたらすことができたとは認められない

ウ (ア)被告は、日本巨峰会と、昭和46年契約(前記第2、2(4)エ(イ))、昭和52年基本契約(前記第2、2(4)エ(ウ))、昭和52年付随契約(前記第2、2(4)エ(エ))、平成4年契約(前記第2、2(4)エ(カ))を締結し、前記第2、2(4)エ(キ)のように、徴収した使用料を日本巨峰会に支払っていた。このような契約関係は、本件登録商標が有効であり、その使用について使用料を支払うべきことを前提としているものといえる。しかし、昭和46年契約(前記第2、2(4)エ(イ))の第2条、昭和52年基本契約(前記第2、2(4)エ(ウ))の第3条に記載されているように、これらの契約は、被告が、日本巨峰会に代わって、包装資材の購買者であるぶどう生産者から本件登録商標の使用料を徴収し、それを日本巨峰会に支払うことを前提とするものであり、被告自身が日本巨峰会に使用料を支払うことを内容とするものではなかった。また、前記第2、2(4)エ(ク)のとおり、平成9年11月4日より後は、被告と日本巨峰会の間に契約関係はない。このようなことからすると、過去において、上記のような契約関係にあったとしても、その故に被告が商標法26条1項2号により本件登録商標の効力が及ばない旨主張することが信義則に反するとはいえない
(中略)

(イ)飯塚支部事件(第2、2(4)オ(ア))の判決には、「『巨峰』は、元来大粒ぶどうの一品種の商品名で、戦後日本で栽培されるようになり、おそくとも昭和三〇年代の後半頃にはその名称は一般に認識され、現在では全国的に生産販売されているものであることが認められる。」という判示部分が見られるが(甲第48号証)、この部分からは、同判決が、「巨峰」の名称をもって、ぶどうの一品種の名称と認定したのか、特定の業者の商品名と認定したのか必ずしも明らかではない。また、同判決は、第2、2(4)オ(ア)のとおり、段ボール箱に表示された「巨峰」、「KYOHO」の標章は、内容物たる巨峰ぶどうの表示であり、包装用容器たる段ボール箱についての標章の使用ではないというべきであるという理由により、仮処分の申立てを却下したものであり、「巨峰」の表示が普通名称であるかどうかについて判断したものではない
(中略)


エ 以上によれば、一般消費者、ぶどう生産者、青果卸売業者などの需要者において、「巨峰」という語は、特定の業者の商品にのみ用いられるべき商標であるとは認識されておらず、ぶどうの一品種である本件品種のぶどうを表す一般的な名称として認識されているものと認められる。したがって、「巨峰」という語は、ぶどうの一品種である本件品種のぶどうを表す普通名称(商標法26条1項2号)に当たると認めるのが相当である

3 争点3(「普通に用いられる方法」に当たるか)について

被告標章1は、漢字の「巨峰」の文字を毛筆体によって横書きに記載したもの、被告標章2は、漢字の「巨峰」の文字をゴシック体で横書きに記載したものであり、いずれも、その文字の形態や表記の態様に顕著な特徴があるとはいえず、本件品種のぶどうを表す「巨峰」という普通名称を、「普通に用いられる方法」で表示したものと認めるのが相当である。
被告標章3は、アルファベットの大文字で「KYOHO」という文字を横書きに記載したものであり、その文字の形態や表記の態様に顕著な特徴があるとはいえない。「KYOHO」という文字は、本件品種を表す「巨峰」という普通名称の称呼である「キョホウ」を、ローマ字により表記したものである。したがって、被告標章3も、本件品種のぶどうを表す「巨峰」という普通名称を、「普通に用いられる方法」で表示したものと認めるのが相当である。


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