ページトップへ

商標登録ドットコム > 契約・権利侵害 > 判例(商標権侵害訴訟) > 「Coca-Cola」の文字とともに円の周辺に「ALWAYS」等の記載がある商標は、識別標識としての使用ではなくキャッチフレーズの一部と認識され、商標「オールウエイ」を侵害しないとされた事例

判例(商標権侵害訴訟):「Coca-Cola」の文字とともに円の周辺に「ALWAYS」等の記載がある商標は、識別標識としての使用ではなくキャッチフレーズの一部と認識され、商標「オールウエイ」を侵害しないとされた事例-商標登録ドットコム™

「Coca-Cola」の文字とともに円の周辺に「ALWAYS」等の記載がある商標は、識別標識としての使用ではなくキャッチフレーズの一部と認識され、商標「オールウエイ」を侵害しないとされた事例

【種別】商標権侵害差止請求事件
【訴訟番号】平成9(ワ)10409 平成10年7月22日東京地方裁判所 裁判所

【事案】
本件は、原告が、被告に対し、後記商標権に基づき、「オールウェイズ」等の標章を付した缶入りコーラの販売等の差止め、及び被告による右商標権の侵害により弁護士・弁理士費用相当額の損害を被ったとして、損害賠償を、それぞれ求めた事案である。

1 原告の商標権
 原告は、次のとおりの商標権(以下「本件商標権」といい、その 登録商標を「本件登録商標」という。)を有する。
 登録番号 第一六四三九三○号
 登録日 昭和五八年一二月二六日
 存続期間の更新登録 平成六年五月三○日
 指定商品 コーヒー、その他旧第二九類に属する商品
 登録商標 別紙登録商標目録記載のとおり

商標「オールウエイ」

2 被告の行為
(一) 被告は、業として、清涼飲料コカ・コーラを製造販売している。
(二) 被告は、平成五年から、右コカ・コーラの缶に、「ALWAYS」ないし「always」なる欧文字(以下「本件欧文字表記」という。)を付している
その態様は、別紙被告標章目録一記載のとおり、缶上に一か所、小さく白抜きの円弧が描かれ、その中に、コカ・コーラのボトルの図柄を背景とした「Coca-Cola」という文字が記載され、その上部に、円弧に沿って、小さな字で「ALWAYS」という白抜き文字が記載されている図柄(以下「被告図柄一」という。)のものである(甲三の1)。

被告図柄

(三) 被告は、平成九年四月から、右コカ・コーラの缶に、本件欧文字表記及び「オールウェイズ」なるカタカナ文字(以下「本件カタカナ表記」という。)を付している。その態様は、別紙被告標章目録二記載のとおり、缶上に大きな円弧の上下一部が缶の大きさに収まらない形で描かれ、円弧の中心に、コカ・コーラのボトルの図柄が描かれ、それを背景として円弧の中央を横切るように「Coca-Cola」という文字が記載され、円内のその周辺に、日本語「オールウェイズ」、英語「always」、スペイン語「Siempre」、ポーランド語「zawsze」及びフランス語「Toujours」が記載されている図柄(以下「被告図柄二」という。)のものである(甲三の2、乙一、一三)。

裁判所の判断

一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。

理由

一 争点1(商標的使用の有無)について

1 証拠(甲三の1、2、乙一、二の1ないし6、三ないし六、一三)に争いのない事実及び当裁判所に顕著な事実を総合すれば、次の事実が認められる。

(一) 清涼飲料コカ・コーラの商品名は、日本国内において著名である(当裁判所に顕著な事実)
 日本コカ・コーラ株式会社は、清涼飲料コカ・コーラについて、米国法人であるザ・コカ・コーラ・カンパニーから商標権等の使用許諾を得てその製造、販売等を行っている。日本コカ・コーラ株式会社は、日本国内の一七の担当地域ごとのボトラーに対して、商標権等の使用の再許諾をし、各ボトラーがその担当地域においてコカ・コーラ等の製品を製造、販売している。被告は、長野地区を担当するボトラーである。

(二) コカ・コーラについては、従前様々なキャンペーンが実施され、各キャンペーン毎に「Come on in.Coke」、「Yes Coke Yes」、「Coke is it!」、「I feel Coke.」、「さわやかになる、ひととき」といったキャッチフレーズが使用され、それを使用した広告宣伝活動が大規模に行われてきた。
ザ・コカ・コーラ・カンパニーは、平成五年三月から、「Always Coca-Cola(オールウェイズ コカ・コーラ)」キャンペーンを全世界的に一斉に開始した。このキャンペーンについても大規模な広告宣伝活動が行われ、日本でも、毎年五○億円を超える広告宣伝費を費やして広告宣伝活動が行われた。例えば、雑誌等の広告では、「止まって動いてまた止まっての……あいまにもオールウェイズ、コカ・コーラ」、「心があちこち遊び回っている……あいまにもオールウェイズ、コカ・コーラ」等のコピーが、コカ・コーラの缶やボトルの図柄とともに掲載された。そして、このキャンペーンの一環として、コカ・コーラの缶に、被告図柄一のとおり、「Always Coca-Cola」のキャッチフレーズが表示された。平成九年四月からコカ・コーラの缶のデザインが一新されたが、そこにおいても、被告図柄二のとおり、「Always Coca-Cola」のキャッチフレーズが表示された。

(三) 被告がコカ・コーラの缶に付している被告図柄一の態様は、別紙被告標章目録一記載のとおり、缶上に一か所、小さく白抜きの円弧が描かれ(その直径は、缶の高さの約六分の一程度である。)、その中に、コカ・コーラのボトルの図柄を背景とした「Coca-Cola」という文字が記載され、その上部に、円弧に沿って、小さな字で「ALWAYS」という白抜き文字が記載されている(その縦幅は小さな円弧の直径の約七分の一程度である。)図柄である。被告図柄二の態様は、別紙被告標章目録二記載のとおり、缶上に大きな円弧の上下一部が、缶の大きさに収まらない形で描かれ、円弧の中心に、コカ・コーラのボトルの図柄が描かれ、それを背景として円弧の中央を横切るように「Coca-Cola」という文字が大きく記載され、円内のその周辺に、カタカナ「オールウェイズ」、英語「always」、スペイン語「Siempre」、ポーランド語「zawsze」及びフランス語「Toujours」が小さく記載されており、そのうち、「Coca-Cola」の文字の上部には近接して「always」及び「オールウェイズ」の文字が記載され、「always」及び「Coca-Cola」は共に白抜き文字により構成されている。
右事実によれば、被告図柄一は、缶の一か所に、ごく小さく、「Coca-Cola」という文字の上部に「ALWAYS」という文字が記載されており、また、被告図柄二も、円弧の中心にコカ・コーラボトルの図柄及び「Coca-Cola」の文字が大きく強調され、その周囲に小さく「always」、「オールウェイズ」の文字が「Coca-Cola」の文字の上部に近接して記載されており、また「always」及び「Coca-Cola」の文字は共に白抜き文字により構成されたものであるから、被告図柄一及び二に接した一般の取引者、需要者は、本件欧文字表記及び本件カタカナ表記とコカ・コーラ商標とが一体の表記であるとの印象を受けることが認められる。

2 以上のとおり、①コカ・コーラについては、従来から、「Come on in.Coke」、「Yes Coke Yes」、「Coke is it!」、「I feel Coke.」、「さわやかになる、ひととき」等の様々なキャッチフレーズによるキャンペーンが実施されていたこと、「Always Coca-Cola(オールウェイズ コカ・コーラ)」のキャッチフレーズは、これらのキャンペーンの一環として、平成五年から長期間にわたり、大規模に広告宣伝活動が行われてきたこと、②被告図柄一及び二において、前記のとおり、本件欧文字表記及び本件カタカナ表記は、いずれも、著名商標である「Coca-Cola」に隣接した位置に、一体的に記載されていること、③「Always」ないし「オールウェイズ」が、「常に、いつでも」を意味することは、一般に知られているものと解されること、特に、被告図柄二においては、同一の意味を指すスペイン語「Siempre」、ポーランド語「zawsze」及びフランス語「Toujours」の語とともに記載されていること、④右キャッチフレーズは、ごく短い語句であるが、需要者が、いつも、コカ・コーラを、飲みたいとの気持ちを抱くというような、商品の購買意欲を高める効果を有する内容と理解できる表現であること等の事情に照らすならば、コカ・コーラの缶上に記載された本件欧文字表記及び本件カタカナ表記を見た一般顧客は、専ら、ザ・コカ・コーラ・カンパニーがグループとして実施している、販売促進のためのキャンペーンの一環であるキャッチフレーズの一部であると認識するものと解される。したがって、本件欧文字表記及び本件カタカナ表記は、いずれも商品を特定する機能ないし出所を表示する機能を果たす態様で用いられているものとはいえないから、商標として使用されているものとはいえない
なお、原告主張のとおり、ザ・コカ・コーラ・カンパニーが、自ら開設したインターネットのホームページにおいて「ALWAYS」アイコンが同社の商標であるとしていること、及び平成五年二月一日に、「ALWAYS」なる通常の字体による欧文字の標章につき、清涼飲料等の第三二類の商品を指定商品として商標登録出願していることが認められる(甲四、六)が、これらの事実があっても、なお、コカ・コーラの缶上における本件欧文字表記及びカタカナ表記が自他商品の識別のためのもの、すなわち商標としてのものであると認めることはできず、前記結論を左右するものとはいえない。
 したがって、被告が、本件各表記を商標として使用していることを前提とする原告の主張は、その余の点を判断するまでもなく理由がない。

二 争点2(商標の類否)について

以上のとおり、原告の主張は、その余の点を判断するまでもなく失当であるが、本件欧文字表記及び本件カタカナ表記と本件登録商標との類否についても、付加して、検討する。

1 被告図柄一について

被告図柄一には本件欧文字表記が含まれているが、前記のとおり、被告図柄一は、缶に付されたごく小さい円形のマークであり、全体として一体のマークとしての印象を一般の取引者、需要者に強く与えるデザインであるというべきであるから、類否を判断するに当たっては、被告図柄一全体と本件登録商標とを対比すべきである。
そして、前記のとおり、①本件欧文字表記は、被告図柄一の外縁を描く小さな円弧の上部に、円弧に沿って、小さな文字で記載されているが、その縦幅は小さな円弧の直径の約七分の一程度であり、被告図柄一の中の「Coca-Cola」なる文字に比べて本件欧文字表記は小さく記載されていること、②円弧の中央には特徴的なコカ・コーラのボトルの図柄が描かれ、「Coca-Cola」の文字が円弧の中央を横切るように大きな文字で記載されていること、③更に、前記のとおりコカ・コーラ商標は著名であること等の事実に照らすならば、被告図柄一のうち、我が国の一般的な取引者及び需要者の注意を惹いて中心的な識別力を有する要部は、「Coca-Cola」の部分と解するのが相当である。
そうすると、被告図柄一の要部は、外観、称呼、観念のいずれにおいても本件登録商標と類似しないものであるから、被告図柄一は、本件登録商標と類似しない

2 被告図柄二について

被告図柄二には本件欧文字表記及び本件カタカナ表記が含まれているが、前記のとおり、被告図柄二は、円弧の中心にコカ・コーラボトルの図柄及び「Coca-Cola」の文字が大きく強調され、その周囲に小さく「always」、「オールウェイズ」等の文字が記載され、特に右二つの文字は「Coca-Cola」の文字の上部に近接して記載されており、また「always」及び「Coca-Cola」の文字は共に白抜き文字によって構成されていること、また、「Always Coca-Cola(オールウェイズ コカ・コーラ)」キャンペーンが長期にわたり大規模に行われていること等を考慮すれば、「always」及び「オールウェイズ」の部分と「Coca-Cola」の部分とは全体として一体の標章であるとの印象を我が国の一般的な取引者及び需要者に与えるものというべきであるから、類否を判断するに当たっては、被告図柄二全体と本件登録商標とを対比すべきである。
そして、①被告図柄二において「always」及び「オールウェイズ」なる語が「Coca-Cola」の文字よりも小さく記載されていること、②「Coca-Cola」の文字は、円弧の中央を横切るように、「always」及び「オールウェイズ」の文字より、極めて大きな文字で記載されていること、③コカ・コーラ商標は著名であること等の事実に照らすならば、被告図柄二のうち、我が国の一般的な取引者及び需要者の注意を惹いて中心的な識別力を有する要部は、「Coca-Cola」の部分と解するのが相当である。
そうすると、被告図柄二の要部は、外観、称呼、観念のいずれにおいても本件登録商標と類似しないものであるから、被告図柄二は全体として、本件登録商標と類似しない

三 したがって、原告の本件請求は、いずれも理由がないからこれを棄却する。

この判決は、外形的には商標の使用といえる使用態様であっても、商品を特定する機能ないし出所を表示する機能を果たす態様で用いられているものとはいえない場合に、商標として使用されているものとはいえないから、商標権侵害にはならないとしたものです。

「ALWAYS CoCaーCoLa」等の態様での使用が、ザ・コカ・コーラ・カンパニーがグループとして実施しているキャンペーンの一環であるキャッチフレーズの一部であると認識するものと解されるとしたためです。

しかしながら、キャッチフレーズとしての使用であれば、ただちに商標としての使用ではないから、商標権侵害にはならないと一般化して考えてしまうことは危険です。

裁判所が上記のように判断した背景には、次の事実があるからです。

1 商標の使用態様が、小さな円弧に沿って小さな文字で記載されており、「Coca-Cola」なる文字に比べて小さく記載されていること
2 円弧の中央には特徴的なコカ・コーラのボトルの図柄が描かれ、「Coca-Cola」の文字が円弧の中央を横切るように大きな文字で記載されていること
3 コカ・コーラ商標は著名であること
4 「ALWAYS CoCaーCoLa」の大規模キャンペーンを行っていたこと

これらを総合判断し、一般消費者が「CoCaーCoLa」を識別標識の要部と認識できるという判断に至った判決となっています。


2026030903.png



関連ページ:

判例(商標権侵害訴訟)

© 商標登録ドットコム All Rights Reserved