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3条1項5号判決例) :「くちびる」を意味する英単語「Lip」が基本語であることを考…

「くちびる」を意味する英単語「Lip」が基本語であることを考慮してもなお、本願商標の構成 ないし文字配列から「リップ」の称呼が生じたり、「Lip」の観念を想起するものと認めることはできず、第3条1項5号の「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」に該当するとされた事例

【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高平成17年(行ケ)第10631号
【事案】
(1) 特許庁における手続の経緯
原告は,2001年(平成13年)9月10日付けでドイツ国に登録出願した出願を基にパリ条約による優先権を主張して,平成13年12月7日,商標登録出願(甲1,13の1)をし,その後,平成14年11月8日付けの補正(甲11)を経た商標登録出願(以下「本願」という。)の内容は,下記のとおりである(以下,本願に係る商標を「本願商標」という。)。

(商標)    
2026070206.png
(指定商品)  第6類
「車体部品に用いられる高張力鋼板・その他の鋼板,その他の鉄及び鋼」

これに対し特許庁拒絶査定をし,原告はこれを不服として審判請求をしたので,特許庁はこれを不服2003-2249号事件として審理したが,平成17年3月24日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その審決謄本は平成17年4月18日原告に送達された。

【拒絶理由】
審決の内容は,別紙審決写し記載のとおりである。
その理由の要旨は,本願商標は,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標であって,商標法3条1項5号の拒絶理由に該当する等としたものである。

判決における判断

1 請求原因(1)(特許庁における手続の経緯), (2)(審決の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。

2 本願商標の商標法3条1項5号該当性の有無(請求原因(3))

(1)ア 前記のとおり,本願商標は,「L」のローマ文字(欧文字)と「IP」のローマ文字を「-」(ハイフン)で結合してなる商標である。
イ 原告は,本願商標から「エルアイピー」との称呼が生ずるのと同時に,本願商標の文字列が「くちびる」を意味するよく知られた英単語の「Lip」と同一であることなどから,「リップ」との称呼及び同英単語の観念が生じ,本願商標の理解・認識の過程においては同英単語が想起されるから,審決が,本願商標は「自他商品の識別標識としての機能を果たさないものと断」(2頁8行~9行)したのは誤りである旨主張する。
しかしながら,本願商標を構成する「L」と「IP」との間には「-」が存在するため,視覚上,本願商標が「-」の前後で「L」と「IP」に分離して看取され,本願商標を一連に称呼する場合には,「エル,アイピー」又は「エルアイピー」と称呼するものと認められる。また,本願商標の公開商標公報等に「リップ」の称呼が参考情報として記載されていることを認めるに足りる証拠もない。
そうすると,「くちびる」を意味する英単語「Lip」が中学程度で取得すべき基本語であること(甲2)を考慮してもなお,本願商標の構成ないし文字配列から「リップ」の称呼が生じたり,又は英単語「Lip」の観念を想起するものと認めることはできず本願商標の構成全体をもって特定の語義を観念し又は想起することは困難であるというべきである。
したがって,原告の上記主張は採用することはできない。

(2)ア そして,証拠(乙14の1ないし5,15の1ないし7,16ないし19,20の1,20の2,21)及び弁論の全趣旨によれば,本願の指定商品である「車体部品に用いられる高張力鋼板・その他の鋼板,その他の鉄及び鋼」の取引の分野においては,本願商標のようにローマ文字の1字とローマ文字の2字をハイフンで結合した標章を,商品の規格,種類等を表すものとして普通に使用されている実情にあることが認められる。
上記認定事実と,本願商標の構成全体から特定の語義を観念し又は想起することは困難であること(前記(1)イ)を総合すると,本願商標をその指定商品に使用した場合,取引者・需要者は商品の規格等を表すための記号・符号の一類型と理解するに止まるというべきであるから,本願商標は,商標法3条1項5号の「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標」に該当するものと認めるのが相当である。

イ これに対し原告は,特許庁の商標審査基準(改訂第7版。甲3)の「七」の「2」によれば,ローマ文字が3字以上であれば,一般的には,商標法3条1項5号に該当しないと解釈されているものと考えられ,また,本願商標と同様にローマ文字の3字にハイフンを挿入してなる形式の商標が多数登録され,商標登録出願も多数存在していること(甲6の1ないし3,7の1ないし3,8,10等),審決例(甲9),本願商標がドイツ国等で登録されていること等に照らせば,本願商標は,自他商品の識別標識としての機能を有し,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標」に該当しない旨主張する。
しかしながら,上記商標審査基準を原告が主張するような趣旨のものと解することはできないし,また,特定の商標が商標法3条1項5号に該当するかどうかは個別具体的に判断すべきであるところ,原告主張の登録先例,審決例に係る商標は,本願商標と構成,称呼,指定商品を異にし,その取引の実情も証拠上定かではなく,原告主張の上記登録先例等から直ちに本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有するものと認めることはできない
したがって,原告の上記主張は採用することができない。

(3) なお,本件全証拠によるも,本願商標が使用された結果,本願指定商品につき格別の意味合いを有するものとして取引者・需要者に理解・認識されているとみる特別の事情も認めることができない

(4) そうすると,本願商標商標法3条1項5号に該当するとした審決の判断に誤りはないというべきである。

3 結論

以上によれば,原告の本訴請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。

 判決

2026070205.png
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-9171.pdf 裁判所


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