「月の友の会」なる商標は、他人の商号である「株式会社月の友の会」から株式会社なる文字を除いた部分と同一のものであるが、その登録を受けることができないのは、「月の友の会」がその他人を表示するものとして著名であるときに限られるとされ、商標の無効が認められなかった事例
【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】最高裁昭和57年(行ツ)第15号
【事案】
「月の友の会」なる商標は、他人の商号である「株式会社月の友の会」から株式会社なる文字を除いた部分と同一のものであるが、その登録を受けることができないのは、「月の友の会」がその他人を表示するものとして著名であるときに限られるとされ、商標の無効が認められなかった事例。
【拒絶理由】
商標法第4条第1項第8号
【判決における判断】
株式会社の商号は商標法4条1項8号にいう「他人の名称」に該当し、株式会社の商号から株式会社なる文字を除いた部分は同号にいう「他人の名称の略称」に該当するものと解すべきであって、登録を受けようとする商標が他人たる株式会社の商号から株式会社の文字を除いた略称を含むものである場合には、右略称が他人たる株式会社を表示するものとして「著名」であるときに限り登録を受けることができないものと解するのが相当である。
ところで、「月の友の会」なる商標は、上告人の商号である「株式会社月の友の会」から株式会社なる文字を除いた部分と同一のものであり、他人の名称からなる商標にほかならないのであって、被上告人がその登録を受けることができないのは、「月の友の会」が上告人を表示するものとして著名であるときに限られるものというべきである。以上と同趣旨の原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。
所論引用の大審院判例は、「他人ノ商号ヲ有スル商標」は登録を受けることができない旨規定するにとどまり、他人の商号の略称を含む商標についてはなんら規定していなかつた旧商標法(大正一〇年法律第九九号)のもとにおける判例であって、本件に適切でない。論旨は、採用することができない。