商標審査基準が法令としての効力を有するものでないとされた事例
【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高平成11年(行ケ)第372号
【事案】
商標審査基準についての法的性格
【判決における判断】
原告主張の特許庁の商標審査基準について付言するに、平成11年6月に周知・著名商標の保護等を目的として改正された審査基準によれば、商標法4条1項15号に関し、他人の著名商標を一部に有する商標が、当該他人の著名な商標と類似しないと認められる場合において、商品又は役務の混同を生ずるおそれがあるときは、原則として、同号の規定に該当するものとする旨、また、他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上のつながりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して取り扱う旨を定めていることは、当裁判所に顕著である。
しかしながら、およそ商標審査基準が法令としての効力を有するものでないことはもとより、上記改正に係る商標審査基準が、その改正前の平成9年7月11日に設定登録がされている本件商標に適用されるものではないことも明らかであるばかりでなく、前示のとおり、登録出願当時既に独自の著名性を獲得していると認められる本件商標のようなものについては、その構成態様が引用各商標と他の文字とが結合したものに当たるとしても、前示商標審査基準の例外として、出所の混同を生ずるおそれがあるとの推認は働かないものと解するのが相当である。
したがって、いずれにしても、前示商標審査基準の定めがあるからといって、本件商標が商標法4条1項15号に該当するということはできない。