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「ヤマト運輸株式会社」とは何等関係のない他人が「宅急便」を使用することが、他人の業務と混同を生じるおそれがある(商標法第4条第1項第15号)とされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和60-1182
【事案】
「ヤマト運輸株式会社」とは何等関係のない他人が「宅急便」を使用することが、商品の出所について誤認を生じるおそれがある商標(商標法第4条第1項第15号)に該当するか。
【拒絶理由】
本願商標は、「宅急便」の文字を横書きしてなり、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果物、加工食料品」を指定商品として、同時出願に係わる商標登録願「3」(昭和57年商標登録願第102967号商標)と連合する商標として、昭和57年11月24日に登録出願されたものである。
これに対し、当審において「本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の拒絶の理由を通知したものである。
【審決における判断】
よって按ずるに、本願商標は「宅急便」の文字を書してなるものであるところ、該文字は、昭和51年(1976年)に大和運輸株式会社(現在は「ヤマト運輸株式会社」に商号変更が昭和57年10月になされた)が、「宅配便」の役務の標章(サ-ビスマーク)として「宅急便」の文字と黒猫のキャラクターを使用し”クロネコヤマト”の「宅急便」と称して、宅配貨物の取扱店(取次店)を全国各地に設け、合わせて全国的に多大な宣伝広告に努めてきた結果、「宅急便」の文字からなる標章は、「ヤマト運輸株式会社」の業務(宅配便)を表示するものとして、少なくとも本願商標の登録出願前より取引者、需要者のみならず一般世人にも広く認識され周知著名に至っていたものと認め得るところである。
そして、運輸業界においては、近時、冷凍・冷蔵庫や包装容器の改良に加え、冷凍車の普及により、生産地の商品やふるさとの特産品等を鮮度を保持したまま消費者に運送することは、普通に行われているところであり、これが本願商標の指定商品との関係においても、農作物や魚介類等の生鮮食料品を鮮度を保持しつつ生産地より直接消費者に届ける運送システム(運輸システム)が取り入れられているところである。しかして、「ヤマト運輸株式会社」は、前記運送システムに使用される包装容器や運送車輌等に「宅急便」の文字によりなる標章を付して使用し、宅配業務等を行っているところである。
しかるところ、請求人(出願人)は、「ヤマト運輸株式会社」とは、何等関係のない他人と認め得るものであるから、請求人が本願商標をその指定商品について使用した場合、取引者、需要者は、「ヤマト運輸株式会社」若しくは同会社と何等かの関係を有するものの業務に係わる商品であるかの如く、又は、同会社の業務に係わる商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、登録することはできない。
なお、請求人(出願人)は、サービスマークとしての使用事実は、商品標識として商品に使用されている商標とは、明確に区別されている旨種々述べているが、本願商標は、前示のとおり判断するのが相当であるから、同人のこれ等の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。


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