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特定できない新しいタイプの商標等(5条5項):商標の拒絶理由

商標を特定できない新しいタイプの商標等(第5条第5項)(商標法第5条第5項)

第5条第5項

商標法第5条第5項は、経済産業省令で定める新しいタイプの商標等について商標登録出願するときは、商標の詳細な説明を記載し、または物件を添付しなければならず、記載や物件により「商標登録を受けようとする商標」を特定するものでないときは、登録できないという拒絶理由を規定しています。

拒絶理由の概要

商標法第5条第4項では、
「経済産業省令で定める商標について商標登録を受けようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、その商標の詳細な説明を願書に記載し、又は経済産業省令で定める物件を願書に添付しなければならない。」とされています。
そして第5条第5項では、
「前項の記載及び物件は、商標登録を受けようとする商標を特定するものでなければならない。」としており、これに違反するときは拒絶理由となります。

経済産業省令

経済産業省令は、具体的には商標法施行規則の第4条の8に、次の規定があります。

第四条の八 商標法第五条第四項(同法第六十八条第一項において準用する場合を含む。以下同じ。)の経済産業省令で定める商標は、次のとおりとする。 一 動き商標 二 ホログラム商標 三 立体商標 四 色彩のみからなる商標 五 音商標 六 位置商標
2 商標法第五条第四項の記載又は添付は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより行うものとする。 一 動き商標 商標の詳細な説明の記載 二 ホログラム商標 商標の詳細な説明の記載 三 立体商標 商標の詳細な説明の記載(商標登録を受けようとする商標を特定するために必要がある場合に限る。第五号において同じ。) 四 色彩のみからなる商標 商標の詳細な説明の記載 五 音商標 商標の詳細な説明の記載及び商標法第五条第四項の経済産業省令で定める物件の添付 六 位置商標 商標の詳細な説明の記載

物件は、商標登録を受けようとする商標を特許庁長官が定める方式に従って記録した一の光ディスクを添付します。

新しいタイプの商標の願書への記載は、商標法施行規則に記載しなければなりません。

動き商標の願書への記載方法

商標に係る文字、図形、記号、立体的形状又は色彩が変化するものであって、その変化の前後にわたるその文字、図形、記号、立体的形状、色彩またはこれらの結合からなる商標(変化商標)のうち、時間の経過に伴って変化するもの(動き商標)の商標法第5条第1項第2号の規定による願書への記載は、その商標の時間の経過に伴う変化の状態が特定されるように表示した一または異なる二以上の図または写真によりしなければなりません(商標法施行規則第4条)。

ホログラム商標の願書への記載

変化商標のうち、ホログラフィーその他の方法により変化するもの(ホログラム商標)の商標法第5条第1項第2号の規定による願書への記載は、その商標のホログラフィーその他の方法による変化の前後の状態が特定されるように表示した一または異なる二以上の図または写真によりしなければなりません(商標法施行規則第4条の2)。

立体商標の願書への記載

立体的形状(文字、図形、記号、色彩またはこれらの結合との結合を含む)からなる商標(立体商標)の商標法第5条第1項第2号の規定による願書への記載は、次のいずれかのものによりしなければなりません(商標法施行規則第4条の3)。
一 商標登録を受けようとする立体的形状を一または異なる二以上の方向から表示した図または写真
二 商標登録を受けようとする立体的形状を実線で描き、その他の部分を破線で描く等により当該立体的形状が特定されるように一または異なる二以上の方向から表示した図または写真

色彩のみからなる商標の願書への記載

色彩のみからなる商標の商標法第5条第1項第2号の規定による願書への記載は、次のいずれかのものによりしなければなりません(商標法施行規則第4条の4)。
一 商標登録を受けようとする色彩を表示した図または写真
二 商標登録を受けようとする色彩を当該色彩のみで描き、その他の部分を破線で描く等により当該色彩及びそれを付する位置が特定されるように表示した一または異なる二以上の図または写真

音商標の願書への記載

音からなる商標(音商標)の商標法第5条第1項第2号の規定による願書への記載は、文字もしくは五線譜またはこれらの組み合わせを用いて商標登録を受けようとする音を特定するために必要な事項を記載することによりしなければなりません(商標法施行規則第4条の5)。
ただし、必要がある場合には、五線譜に加えて一線譜を用いて記載することができます。

位置商標の願書への記載

商標に係る標章(文字、図形、記号、立体的形状、これらの結合またはこれらと色彩との結合)を付する位置が特定される商標(位置商標)の商標法第5条第1項第2号の規定による願書への記載は、その標章を実線で描き、その他の部分を破線で描く等により標章及びそれを付する位置が特定されるように表示した一または異なる二以上の図または写真によりしなければなりません(商標法施行規則第4条の6)。

趣旨

工業所有権法(産業財産権法)逐条解説 」〔第20版〕では、

四項は、平成二六年の一部改正において色彩のみからなる商標などの保護を導入したことに伴い新設された規定であり、色彩のみからなる商標など、商標登録を受けようとする商標の記載のみによってはその内容を明確に特定することができない商標については、その内容を明確にするため、願書に商標の詳細な説明を記載すべきこととし、また、音商標におけるその音を記録した記録媒体のように、商標登録を受けようとする商標を明確にするための物の提出が必要な商標については、経済産業省令で定める物件を願書に添付すべきこととしたものである。これらの記載等が必要な商標については、今後、二条一項の政令で定める可能性のある商標についても対応する必要があることから、具体的には経済産業省令に委任している。現在は、立体商標、色彩のみからなる商標、音商標、動き商標、ホログラム商標及び位置商標が規定されている。
五項は、前項と同様に平成二六年の一部改正において新設された規定であり、前項の規定に基づき記載された商標の詳細な説明又は提出された物件について、商標登録を受けようとする商標の内容を特定するものでなければならない旨を規定している。これは、前項の記載又は物件は、登録商標の権利範囲の特定を安定的に実施するためのものであるため、その要請を満たすべく記載又は物件の明確性を要件とすることとしたものである。これに反する場合、その商標登録出願は拒絶されることとなり)一五条三号、(商標登録については異議申立理由)四三条の二第三号(及び無効理由)四六条一項三号(となる。

と解説されています。

商標審査基準抜粋

第5条 (PDF)

4.「商標の詳細な説明」及び「物件」について

商標の詳細な説明及び経済産業省令で定める物件(以下「物件」という。)が商標登録を受けようとする商標を特定するものであるか否かについては、立体商標、動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標又は位置商標のうち、いずれかの商標として願書中の商標記載欄へ記載した商標(以下「願書に記載した商標」という。)と、商標の詳細な説明又は物件の商標の構成及び態様が一致するか否かを判断するものとする。
これらが一致する場合には、特定されたものとする。
一致しない場合においても、願書に記載した商標の構成及び態様の範囲に、商標の詳細な説明又は物件が含まれているか否かを判断し、その範囲に、商標の詳細な説明又は物件が含まれているときには、特定されたものとする。

(1) 立体商標について

(ア) 立体商標を特定するものと認められる例
立体商標を構成する標章についての具体的かつ明確な説明が記載されている場合。
(例1)
2026031301.png

(例2)
2026031302.png

(イ) 立体商標を特定するものと認められない例
① 願書に記載した商標と商標の詳細な説明に記載されている標章が一致しない場合(願書に記載した商標に記載されていない標章が、商標の詳細な説明に記載されている場合を含む。)。
② 願書に記載した商標が、標章を実線で描き、その他の部分を破線で描く等の記載方法を用いた立体商標である場合に、商標の詳細な説明に当該その他の部分の記載がされていない場合。

(2) 動き商標について

(ア) 動き商標を特定するものと認められる例
動き商標を構成する標章の説明及び時間の経過に伴う標章の変化の状態(変化の順番、全体の所要時間等)についての具体的かつ明確な記載がある場合。

(例1) 一枚の図によって記載されている例(標章が変化せず移動する例)
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(例2) 異なる複数の図によって記載されている例
2026031304.png

(イ) 動き商標を特定するものと認められない例
① 願書に記載した商標と商標の詳細な説明に記載されている標章が一致しない場合(願書に記載した商標に記載されていない標章が、商標の詳細な説明に記載されている場合及び願書に記載した商標に記載されている標章が、商標の詳細な説明に記載されていない場合を含む。)。
② 願書に記載した商標と商標の詳細な説明に記載されている標章の変化の状態(例:変化の順番)が一致しない場合。

(3) ホログラム商標について

(ア) ホログラム商標を特定するものと認められる例
ホログラム商標を構成する標章の説明及びホログラフィーその他の方法による視覚効果(立体的に描写される効果、光の反射により輝いて見える効果、見る角度により別の表示面が見える効果等。以下「視覚効果」という。)により変化する状態についての具体的かつ明確な説明がある場合。

(例)
2026031305.png

(イ) ホログラム商標を特定するものと認められない例
① 願書に記載した商標と商標の詳細な説明に記載されている標章が一致しない場合(願書に記載した商標に記載されていない標章が、商標の詳細な説明に記載されている場合及び願書に記載した商標に記載されている標章が、商標の詳細な説明に記載されていない場合を含む。)。
② 願書に記載した商標と商標の詳細な説明に記載されている視覚効果が一致しない場合。

(4) 色彩のみからなる商標について

(ア) 色彩のみからなる商標を特定するものと認められる例
色彩のみからなる商標を構成する色彩を特定するための色彩名、三原色(RGB)の配合率、色見本帳の番号、色彩の組み合わせ方(色彩を組合せた場合の各色の配置や割合等)等についての具体的かつ明確な説明が記載されている場合。

(例1) 単色
2026031306.png

(例2) 色彩の組合せ
2026031307.png

(例3) 商品等における位置を特定
2026031308.png

(例4) 商品等における位置を特定
2026031309.png

(イ) 色彩のみからなる商標を特定するものと認められない例
① 願書に記載した商標と商標の詳細な説明に記載されている標章(色彩)が一致しない場合(願書に記載した商標に記載されていない標章が、商標の詳細な説明に記載されている場合及び願書に記載した商標に記載されている標章が、商標の詳細な説明に記載されていない場合を含む。)。
② 色彩を組合せたものである場合に、願書に記載した商標と商標の詳細な説明に記載された各色の配置や割合等が一致しないとき。
③ 色彩を付する位置を特定したものである場合に、願書に記載した商標と商標の詳細な説明に記載された色彩を付する位置が一致しないとき。

(5) 音商標について

音商標について、願書に記載した商標に記載がない事項(演奏楽器や声域等の音色等。ただし、歌詞等の言語的要素を除く。)は、物件及び商標の詳細な説明(商標登録を受けようとする商標を特定するために必要な場合に限る。)により特定するものとする。

(ア) 五線譜で表されている音商標について
① 音商標を特定するものと認められる例
a.願書に記載した商標に演奏楽器としてピアノが記載され、物件がピアノにより演奏されたと認識される音声ファイルである場合。
b.願書に記載した商標に演奏楽器について記載されておらず、物件がピアノにより演奏されたと認識される音声ファイルである場合。
② 音商標を特定するものと認められない例
a.願書に記載した商標に演奏楽器としてピアノが記載され、物件がギターにより演奏されたと認識される音声ファイルである場合。
b.願書に記載した商標に演奏楽器について記載されておらず、物件がギターにより演奏されたと認識される音声ファイルであり、かつ、商標の詳細な説明にはバイオリンで演奏されたものである旨の記載がある場合。

(イ) 文字で表されている音商標について(自然音等)
① 音商標を特定するものと認められる例
願書に記載した商標が、「本商標は、『パンパン』と2回手をたたく音が聞こえた後に、『ニャオ』という猫の鳴き声が聞こえる構成となっており、全体で3秒間の長さである。」という文章であり、物件が「パンパン、ニャオ」と聞こえ、全体で3秒間の音声ファイルである場合。
② 音商標を特定するものと認められない例
願書に記載した商標が、上記①と同一の文章であり、物件が「パンパン」と聞こえ、全体で2秒間の音声ファイルである場合。

(6) 位置商標について

(ア) 位置商標を特定するものと認められる例
位置商標を構成する標章及びこの標章を付する商品等における位置(部位の名称等)についての具体的かつ明確な説明が記載されている場合。

(例1)
2026031310.png

(例2)
2026031311.png

(イ) 位置商標を特定するものと認められない例
① 願書に記載した商標と商標の詳細な説明に記載されている標章が一致しない場合(願書に記載した商標に記載されていない標章が、商標の詳細な説明に記載されている場合及び願書に記載した商標に記載されている標章が、商標の詳細な説明に記載されていない場合を含む。)。
② 願書に記載した商標と商標の詳細な説明に記載された商標を付する位置が一致しない場合。

拒絶理由通知への対応方法

(1)補正により商標が特定できる記載に訂正する。

(2)物件を提出し商標が特定できるようにする。

(3)意見書や審査官への説明により商標が特定できることを主張し、説明する。

審決例

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