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ありふれた氏・名称-拒絶理由

ありふれた氏又は名称のみからなる商標

商標法第3条第1項第4号
ありふれた氏又は名称のみからなる商標は、登録されません。

「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕では、
「四号は、ありふれた氏又は名称を普通の態様で表示する標章のみからなる商標である。どの程度のものがありふれた氏又は名称かは個別に判断される。『名称』は商号を含む概念である(商法一一条、会社法六条参照)。本号も一号と同様に特殊な態様で表示した場合や商標の一部として含む場合はその適用を免れる。伊藤、斎藤、田中、山田、鈴木等の氏はおそらく本号に該当するものとされるであろう。」
と解説されています。

商標審査基準抜粋

第3条第1項第4号(ありふれた氏又は名称)(PDF)

1.「ありふれた氏又は名称」について
(1) 「ありふれた氏又は名称」とは、原則として、同種の氏又は名称が多数存在するものをいう。
(2) 著名な地理的名称、ありふれた氏、業種名等やこれらを結合したものに、商号や屋号に慣用的に付される文字や会社等の種類名を表す文字等を結合したものは、原則として、「ありふれた名称」に該当すると判断する。
ただし、国家名又は行政区画名に業種名が結合したものに、更に会社の種類名を表す文字を結合してなるものについては、他に同一のものが現存しないと認められるときは、この限りでない。
(ア) 著名な地理的名称について
例えば、次のようなものが著名な地理的名称に該当する。
(例) 「日本」、「東京」、「薩摩」、「フランス」等
(イ) 業種名について
例えば、次のようなものが業種名に該当する。
(例) 「工業」、「製薬」、「製菓」、「放送」、「運輸」、「生命保険」等
(ウ) 商号や屋号に慣用的に付される文字や会社等の種類名について
例えば、下記①及び②が商号や屋号に慣用的に付される文字や会社等の種類名に該当する。
① 商号や屋号に慣用的に付される文字
「商店」、「商会」、「屋」、「家」、「社」、「堂」、「舎」、「洋行」、「協会」、「研究所」、「製作所」、「会」、「研究会」等
② 会社等の種類名を表す文字
「株式会社」、「有限会社」、「相互会社」、「一般社団法人」、「K.K.」、「Co.」、
「Co., Ltd.」、「Ltd.」等

2.「普通に用いられる方法で表示する」について
(1) 商品又は役務の取引の実情を考慮し、その標章の表示の書体や全体の構成等が、取引者において一般的に使用する範囲にとどまらない特殊なものである場合には、「普通に用いられる方法で表示する」には該当しないと判断する。
(例1) 「普通に用いられる方法で表示する」に該当する場合
取引者において一般的に使用されている書体及び構成で表示するもの
(例2) 「普通に用いられる方法で表示する」に該当しない場合
取引者において一般的に使用する範囲にとどまらない特殊なレタリングを施して表示するもの又は特殊な構成で表示するもの
(2) 文字の表示方法について
(ア) ありふれた氏又は名称をローマ字又は仮名文字で表示するものは、「普通に用いられる方法で表示する」ものに該当すると判断する。
(イ) 取引者において一般的に使用されていない漢字(当て字)で表示するものは「普通に用いられる方法で表示する」に該当しないと判断する。

●対応方法

(1)ありふれていないことを証明する。

(2)ありふれた氏又は名称が含まれていても、それ以外の要素が商標に含まれていることを説明する。

(3)使用実績により自己の商標として認知されているため、使用による識別性(商標法第3条第2項)があるとの主張をする。

商標法第3条第2項
使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるがあるときは、例外として登録が認められます。

なお、商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断されます。
また、出願人以外(団体商標の商標登録出願の場合は「出願人又はその構成員以外」)の者による使用の有無及びその使用の状況も考慮されます。

具体的には、商標の使用状況に関する事実を量的に把握し、それによってその商標の需要者の認識の程度を推定し、その大小ないし高低等により識別力の有無が判断されます。

A 実際に使用している商標並びに商品又は役務
B 使用開始時期、使用期間、使用地域
C 生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、 売上高等)
D 広告宣伝の方法、回数及び内容
E 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容
F 需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果

審決例

「エバラ」の文字は、我が国においてありふれて存在する氏姓の一である「江原」(えばら)の氏を表したものとされた事例H11-4115

「藤野屋画廊」のからなる商標は、名称全体のものとしては、世間一般にありふれて採択、使用されている名称とは認め難いとされた事例H10-11283

やや特殊な書体の「朝くら」の文字がありふれた氏を普通に用いられる方法をもって表示したものとはいい得ないとされた事例S55-6278

「松むら」と「饅頭」の各文字を組み合わせても、特定人の出所に係る商品であることを認識できないとされた事例S53-17014

「ARIGAGOLF/アリガゴルフ/有賀ゴルフ」は、単にその商品がありふれた「有賀」なる氏を有する者によって製造販売されたものであることを表示するにすぎないとされた事例S38-2146

判決例

「森田ゴルフ」の文字からなる商標が、商標法3条1項4号に該当しないとされた事例東京高平成6年(行ケ)第180号

「チバ」の文字が漢字の「千葉」に通じ、漢字の「千葉」の文字はまた、片仮名の「チバ」に通ずるので、ありふれた氏姓としての「千葉」又は「チバ」を指称するものとされた事例東京高昭和42年(行ケ)第144号

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