商号の商標登録
商標には、商品名、サービス名などのブランド名や、ネーミング以外でもロゴデザインなどの商標があり、会社名などの商号を商標として使用することも多くあります。
商号とは?
商業登記される「商号」は、同一住所で同一商号は登記できません。
しかし、同一住所ではない場合、あるいは同一商号ではない場合には、商標法、不正競争防止法によって不正や混同を防ぐこととされており、同一の会社名、類似の会社名であっても商号登記することができます。
登記した商号は「会社名、法人名称として」は使用することができます。
ただし、登記した商号であっても、それが他人により商標登録されてしまった場合には、「商標として」は使用することが難しくなる場合があります。
特に、同一の商号や、類似の商号は合法的に存在しうるものであるため、営業標識である商標としても使用したい場合には、注意が必要です。
商標とは? 商号を商標登録する意味
商標は、商品やサービスを識別するための識別標識、営業標識です。
商標登録は、こうした識別標識として使用される商標を、独占的に使用するために登録するものです。商標登録がされれば、第三者は「商標として使用」することが許諾を得られない限り原則としてできなくなります。したがって、先に登録することが重要です。
登録第4933565号
商標登録は、文字のみ、図形のみ、文字+図形など、様々なものを登録することができます。
株式会社○○○が、商標として使用する「○○○」が商号商標で、もちろん商標登録をすることができます。
ただし「株式会社○○○」などは、同一商号が存在する場合にはその承諾なしには登録できません。
登録第3007352号
商号登記をした会社名、法人名称が、先に第三者によって商標登録されていたら?
商号と同一または類似の商標が、第三者によって先に商標登録されていたら、会社名、法人名称を「商標として」使用することができません。
たとえ商号登記されていてもです。
しかも商標権は全国的な権利です。
商標権を侵害すると、商標使用の差止請求や、損害賠償請求がされることが認められています。
こうした場合でも、単なる会社名、法人名称の表示としては可能です。
しかし、識別標識、営業標識として表示することができなくなってしまうのです。
たとえば、「○○○株式会社」の商号は、商品に「○○○株式会社」「製造元:○○○株式会社」などと記載することは可能です。
しかし、商品やその広告などに、「○○○」のような商標としての表示をすることができなくなります。
あるいは、ウェブサイトに「○○○株式会社」「サイト運営者:○○○株式会社」などと記載することはできますが、サービス名やウェブサイト名などとして「○○○」の表示をすることができなくなります。
会社名とは別のブランド名や、サービス名称を考えなければなりません。
ブランド戦略上も大きな損失となりますので、商標調査をすることが大切です。
屋号の商標登録
個人事業の場合には、会社名に当たる名称として「屋号」を用いることが多くあります。
屋号も同様に、商標登録をすることができます。
個人事業では、事業の主体としての法人格がないために、屋号を登録する場合には、出願人・権利者を屋号とすることはできません。
あくまでも個人本人の氏名での手続きとなります。
他人の氏名・名称等を含む商標の注意点
他人の氏名・名称等を含む商標(商標法第4条第1項第8号)は、登録されません。
具体的には、他人の氏名・名称や、他人の著名な雅号、芸名、筆名、これらの著名な略称を含む商標がこれにあたります。
こうした他人の承諾を得た場合には登録できる場合がありますが、同一名称や同姓同名がたくさん存在した場合には容易ではありません。
法人名称の場合には、「株式会社」、「一般社団法人」などの文字を除いた名称で登録できることもありますが、他の拒絶理由にも該当しないことが必要です。