指定商品の区分
商標登録出願は、商標の使用をする一または二以上の商品または役務を指定して、政令で定める商品及び役務の区分に従ってしなければなりません(商標法第6条)。
商品及び役務の区分は、商品または役務の類似の範囲を定めるものではありませんので、注意が必要です。
区分が同じでも類似ではない商品・役務がある一方で、区分が違っても類似する商品・役務がある場合もあります。
商標法施行規則の改正について
類似商品・役務審査基準〔国際分類第11版対応〕が現行の最新のものです。
2020年1月1日以降の出願には第11版の類似商品・役務審査基準が適用されています。
第9版対応や第10版対応の基準は、2019年以前の出願のものですので、ご注意ください。
区分一覧
下記の指定役務リストは、商標法施行規則に基づくものです。
(2022年1月1日最新情報)
類似商品・役務審査基準 特許庁
類似商品・役務審査基準 一括ダウンロード(PDF:3,898KB) 特許庁
第1類
工業用、化学用又は農業用の化学品
第2類
塗料、着色料及び腐食の防止用の調整品
第3類
洗浄剤及び化粧品
第4類
工業用油、工業用油脂、燃料及び光剤
第5類
薬剤
第6類
卑金属及びその製品
第7類
加工機械、原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械
第8類
手動工具
第9類
科学用、航海用、測量用、写真用、音響用、映像用、計量用、信号用、検査用、救命用、教育用、計算用又は情報処理用の機械器具、光学式の機械器具及び電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用又は電気制御用の機械器具
第10類
医療用機械器具及び医療用品
第11類
照明用、加熱用、蒸気発生用、調理用、冷却用、乾燥用、換気用、給水用又は衛生用の装置
第12類
乗物その他の移動用の装置
第13類
火器及び火工品
第14類
貴金属、貴金属製品であって他の類に属しないもの、宝飾品及び時計
第15類
楽器
第16類
紙、紙製品及び事務用品
第17類
電気絶縁用、断熱用又は防音用の材料及び材料用のプラスチック
第18類
革及びその模造品、旅行用品並びに馬具
第19類
金属製でない建築材料
第20類
家具及びプラスチック製品であって他の類に属しないもの
第21類
家庭用又は台所用の手動式の器具、化粧用具、ガラス製品及び磁器製品
第22類
ロープ製品、帆布製品、詰物用の材料及び織物用の原料繊維
第23類
織物用の糸
第24類
織物及び家庭用の織物製カバー
第25類
被服及び履物
第26類
裁縫用品
第27類
床敷物及び織物製でない壁掛け
第28類
がん具、遊戯用具及び運動用具
第29類
動物性の食品及び加工した野菜その他の食用園芸作物
第30類
加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料
第31類
加工していない陸産物、生きている動植物及び飼料
第32類
アルコールを含有しない飲料及びビール
第33類
ビールを除くアルコール飲料
第34類
たばこ、喫煙用具及びマッチ
第35類
広告、事業の管理又は運営及び事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
第36類
金融、保険及び不動産の取引
第37類
建設、設置工事及び修理
第38類
電気通信
第39類
輸送、こん包及び保管並びに旅行の手配
第40類
物品の加工その他の処理
第41類
教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動
第42類
科学技術又は産業に関する調査研究及び設計並びに電子計算機又はソフトウェアの設計及び開発
第43類
飲食物の提供及び宿泊施設の提供
第44類
医療、動物の治療、人又は動物に関する衛生及び美容並びに農業、園芸又は林業に係る役務
第45類
冠婚葬祭に係る役務その他の個人の需要に応じて提供する役務(他の類に属するものを除く。)、警備及び法律事務
区分(指定商品・指定役務)についての備考
一 別表に掲げられていない商品又は役務の分類に際しては、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴで改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定第一条に規定する国際分類の一般的注釈に即するものとし、次のいずれかに従うこととする。
(一) 完成品である商品は、その機能又は用途に従って、別表に掲げられている比較の可能な他の完成品から類推して分類する。
(二) 原材料となる商品は、別表に掲げられている比較の可能な他の原材料から類推して分類する。
(三) 他の特定の商品の一部となることのみを用途とする商品は、当該他の特定の商品と同一の類に分類する。
(四) 商品は、その主たる原材料に従って分類する。
(五) 容器は、その収容する商品と同一の類に分類する。
(六) 役務は、別表に掲げられている比較の可能な他の役務から類推して分類する。
(七) 役務の提供の用に供される物品の貸与は、当該役務と同一の類に分類する。
(八) 助言、指導及び情報の提供は、その内容に対応する役務と同一の類に分類する。
区分の選択&指定商品・指定役務の記載の注意点
ご注意1:
商標登録を他者に先に取得されていた場合(同一、または類似する商標)には、ご出願をされても登録にはなりません。したがって必ず事前に調査をすることが必要です。
ご注意2:
商標登録を他者に先に取得されていた場合(同一、または類似する商標)には、反対に、その他者の商標権を侵害することのないように細心の注意が必要になります。
商標権は、同一の商標の使用を占有できるだけではなく、類似の商標の使用を禁止する効力を有します。類似商標の使用は侵害とみなされますが、類似かどうかの判断は専門的知識が必要になることが多いものです。
ご注意3:
サービス(例えば旅行代理業、経営コンサルタント、インターネットサービスプロバイダー)について使用する商標も登録を得ることが可能です。ただし「○○販売業」のようなサービスは指定できません。このような場合には、第35類の小売等役務(商品の卸売・小売に付随する役務)を除き、原則として取り扱うそれぞれの商品についての商標登録を得ることになります。
ご注意4:
指定商品・指定役務(サービス)の分類は、指定商品・役務の分類表にしたがい指定します。
しかし、分類表にない新しいサービス等については、どの区分に属するかを判断しなければなりません。
特に、最近顕著に増加しているインターネット関連の分野については、ソフトウェア・パッケージについての権利を取得したいのであれば「第9類 電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器」になりますが、その他にも下記のような分類があります。
「第42類 電子計算機のプログラムの設計・作成・保守」はソフトウェア開発に関する分類です。
また「第42類 電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器の貸与」などは、パッケージ・ソフトウェアのレンタルのほか、いわゆるASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)のようなオンライン上でのプログラムのレンタルを含むものと考えられます。
参考:
「〈商品とサービスの相違について〉商品の要件としての有体物性を放棄して商品の範囲が無秩序に拡大することは適当ではなく、商品のもう一つの要件である流通性を厳格に解釈する必要がある。電子情報財が流通するのは、ダウンロード等により顧客に電子情報財そのものが送信され、顧客がハードディスクに記録し、継続して管理・支配できる場合である。一方、電子情報財の提供形式はダウンロードに限られず、ASP (ApplicationServiceProvider) 型で電子情報財の機能を提供する場合や、一般的なストリーミングのような場合もあるが、これらは電子情報財の機能の提供であり、電子情報財自体が流通しているとはいえない。ニース協定で定める商品・サービスの国際分類においても、電子情報財に関して商品とサービスの区別はダウンロード可能か否かであるとの基準が用いられている。電子出版物を例にすると、ダウンロード可能な電子出版物(Electricpublications〔downloadable〕) は商品だが、ダウンロードできないオンラインでの電子出版(Providingon??lineelectricpublications〔notdownloadable〕) はサービスとして扱われている(国際分類第九版参照)。以上の理由から、電子情報財についての商品とサービスの区別は、ダウンロード可能であれば商品とし、保存できないような形で電子情報財を提供する場合はサービスと捉えることが適当である。」(「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕)。
ご注意5:
さらに、インターネット上において商品の紹介などをするサービスであれば「第35類 商品の販売に関する情報の提供」などは関連する役務かと従来考えられうるものであり、ニース協定に基づく国際分類でも消費者向けの情報提供に関する役務が含まれているものの、わが国では「第35類 商品の販売に関する情報の提供」と指定した商標は、消費者向けの商品情報の提供ではなく、販売等をする事業者に対する事業に関する情報の提供であることを意味します。
消費者向けの情報提供は「消費者のための商品及びサービスの選択における助言と情報の提供」とする必要があります。
ご注意6:
商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用については、下記の運用がなされます。
願書に記載された指定商品又は指定役務について、商標の使用及び商標の使用の意思があることに「合理的な疑義がある場合」には、商標法第3条第1項柱書の要件を満たさないと判断されます。
(商標審査便覧 41.100 03 商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用について) * 出典 商標審査便覧 41.100 03 商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用について)(PDF)
(1)小売等役務を除く商品・役務の全般について (2)第2条第2項に規定する役務(以下「小売等役務」という。)について 類似群の数え方 2 小売等役務の類似群35K01~35K99を有する指定役務が複数あり、重複する類似群がある場合 3 「その他小売等役務」類似群35K99を有する指定役務が複数あり、相互に類似する場合 4 「その他小売等役務」類似群35K99を有する役務が複数あり、相互に類似しない場合 5 小売等役務の類似群35K01~35K99を複数有する役務の場合 6 第35類において、小売等役務の類似群35K01~35K99を有する役務と、第35類のその他の役務が指定されている場合 (例1) (例2) (例 3) 商品・役務の全般について 8 一区分内に 、同じ「その他類似群コード」(40H99等)を有するものが複数あり、相互に類似する場合 9 一区分内に、同じ「その他類似群コード」(40H99等)を有するものが複数あり、相互に類似しない場合 |
正直申しまして注意点はここに書いたものはごく一部です。
とても説明しきれるものではなく、こうした注意点も区分の改正や審決・判例等によって逐次変わっていくものですので、弁理士であっても実務上の専門知識の習得と経験が必要になり、モノをいうものです。
必要な指定商品・指定役務をどのように指定するかは、単に区分の表に掲載されている商品・役務をそのまま羅列するのではなく、記載方法を具体的かつ適切に特定したり、様々な工夫を要する場合があります。
他者の模倣などを排除するためには、適切な商品・サービス分野については権利を取得したいものです。
これらの点につきましては、商標登録ご依頼の際には、ご要望の商品・サービスの内容をお知らせいただければ、適切なご判断のお役に立てるものと思います。
詳細はお問い合わせください。