区分(指定商品・指定役務の区分)とは何ですか?
区分とは、指定商品または指定役務の区分ともいい、商標登録出願をするときに指定する、業務分野ごとに分かれた商品や役務(サービス)の分類のことです
商標登録出願をするときに、指定商品または指定役務の記載をしますが、その際には、決められた区分にしたがって記載するように決められています。
たとえば、化粧品と、美容・理容サービスを指定するときには、
【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】
【第3類】
【指定商品(指定役務)】 化粧品
【第44類】
【指定商品(指定役務)】 美容,理容
のように指定します。
上記の例でいえば、区分の数は2となります。
区分をいくつ指定するかによって、特許庁に支払う特許印紙代が異なります。
区分は、出願をする際に指定する
商標登録をするにあたっては、誰が出願人となるかのほかに、大きく分けて2つのことを決めておく必要があります。
一つは、商標を決めること。これには商品名などのネーミングを決めることのほかに、文字商標か、ロゴかといった検討が必要です。
そしてもう一つは、区分と、それに含まれる指定商品・指定役務(サービス)を決めること。
商標登録出願は、商標の使用をする一または二以上の商品または役務を指定して、政令で定める商品及び役務
の区分に従ってしなければなりません(商標法第6条)
区分は、条約で規定された国際分類に基づいて、商品・役務を一定の基準によってカテゴリー分けしたものです。それぞれの区分の内容は、国際的に共通しています。
第1類から第34類までの商品区分と、第35類から第45類までの役務区分とに分類されています。
たとえば、第1類は化学品、第5類は薬剤、第25類は服や靴などといったようになっています。
第35類から第45類までが広告業、金融業、建設業などのサービス業である役務の区分です。
詳しくは、下記の商標の区分のページに記載しています。
商標調査にあたっての区分の注意点
商標登録をする前には、類似商標がないかどうかの検索など、調査をすることが普通です。
商標調査をするにあたっても、また特許庁への出願手続をするにあたっても、商品・役務の決定をしなければなりません。
類似商標などの検索では、区分を指定して検索をすることができます。
しかし、ここで注意すべき点があります。
商品及び役務の区分は、商品または役務の類似の範囲を定めるものではありません。
区分が同じでも類似ではない商品・役務がある一方で、区分が違っても類似する商品・役務がある場合もあります。
類似商品・役務審査基準 特許庁
商品・役務名検索 特許庁
区分に関連する拒絶理由
(1)商標との関係で拒絶理由となる場合(商標法第4条第1項第16号)
商標が、特定の商品や役務を表示するものであるときなど、一部の指定商品・指定役務に限定しなければならないこともあります。
たとえば商標の中に「カメラ」という文字が入っていたら、指定商品はカメラに関するものに限定しなければ、商品の品質等を誤認させるおそれがある商標として、商標法第4条第1項第16号の拒絶理由が通知されることが想定されます。
地名入りの商標、たとえば「青森りんごあめ」のような商標では、指定商品を、たとえば「青森産のりんごを使用したあめ」のように限定することで、品質等の誤認を生じさせるおそれが解消できます。他の拒絶理由がない場合には、登録が認められると考えられます。
商標「青森りんご飴」の例では、指定商品が「青森さんのリンゴを使用した菓子では駄目で、菓子ではなく飴にしなければなりません。
(2)政令で定める商品及び役務の区分に従っていない場合(商標法第6条第2項)
出願書類には、政令で定める商品・役務の区分に従って商品・役務を指定している必要があります(商標法第6条第2項)。
たとえば、下記の例では区分に従っていないため、拒絶理由となります。
「第3類 つや出し布」
「つや出し布」は第3類ではなく、「第21類 つや出し布」と記載する必要があります。
「第41類 コンピュータソフトウェアの提供」
「コンピュータソフトウェアの提供」は第41類ではなく、「第42類 コンピュータソフトウェアの提供」と記載する必要があります。
(3)指定された商品・役務の内容及び範囲が明確ではない場合(商標法第6条第1項)
指定商品・指定役務は、商標とともに権利範囲を定めるものですから、その内容及び範囲は明確であることが必要です(商標法第6条第1項)
たとえば、下記の例では指定された商品・役務の表示が不明確なため、拒絶理由となります。
「第2類 全ての商品」
それぞれの区分に属する商品は多数あり、これでは不明確なため、具体的な商品を記載する必要があります。
「第10類 医療用特殊調度品」
「医療用特殊調度品」では内容が不明確なため、たとえば「医療用ベッド」、「医療用診察台」のように、具体的に記載する必要があります。
(4)商標の使用意思の確認(商標法第3条第1項柱書)
まったく使用する意思のない商品・役務について出願をしても、実際に使用する予定のあるものか、審査で指摘されることもあります。
商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」についての拒絶理由です。
商標の使用、又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用については、商標の使用の意思があることに「合理的な疑義がある場合」には、商標法第3条第1項柱書の要件を満たさないと判断されます。
広範囲の指定商品・指定役務を記載した場合には、拒絶理由の通知を行い、出願人の業務において実際に商標を使用しているか、又は使用を使用する意思と事業計画の確認がされることも多くあります。
ただ、実際に使用するものであれば、その旨を明らかにして、登録することは可能です。
特に、第35類の区分では、小売業、卸売業など、おもにスーパーやショッピングサイトなどが登録する指定役務について、商標の使用意思の確認が行われることが多くあります。
なお、登録後に長期間使用をしていないと、その商品や役務については、商標法第50条の、不使用取消審判によって登録を取り消される場合があります。
したがって、指定商品・指定役務をなるべく広くして登録したいということも重要ですが、範囲を広くしすぎることにも注意が必要です。
区分の選択や、指定商品・指定役務の相談は弁理士に!
必要な指定商品・指定役務をどのように指定するかは、専門的な話になりますので、商標に詳しい弁理士に相談することが必要です。
弁理士は出願人からヒアリングしたうえで、単に区分の表に掲載されている商品・役務をそのまま羅列するのではなく、記載方法を具体的かつ適切に特定したり、様々な工夫をして出願書類を作成します。
第三者の模倣を適切に排除できるよう、適切な区分を選択し、商品・サービスの内容について権利を取得したいものです。
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