指定商品・指定役務とは何ですか?
指定商品・指定役務は、商標を使用する具体的な商品・サービスを、商標登録出願の際に、区分とともに指定して、権利請求をする範囲を明らかにするものです
指定商品・指定役務は、商標登録を受けようとする範囲を指定するもので、商標とともに、権利請求をする対象を確定するものです。
指定商品とは、商標登録出願をする際に指定するもので、商標を使用する商品、または使用を予定している商品を指定するものです。
指定役務とは、商標登録出願をする際に指定するもので、商標を使用する役務(サービス)、または使用を予定している役務を指定するものです。
なぜ商品・役務を指定するのか
商標は、業として商品または役務について使用する、ネーミングやロゴなどのことです。
商品やサービスを事業として行う際に使うネーミングやロゴが商標です。
商標登録とは、漠然と文字やロゴを登録するのではなく、実際に使用する商品やサービスなどの業務内容に関連づけて、その範囲について登録をするものです。
なお、実際にはまだ使用していない業務についても登録は認められます。
そこで、実際に使用をしているか、近い将来に使用する予定のある業務について登録するために、商品または役務をして出願をし、商標登録を行います。
ここで出願書類で指定するものが、指定商品、指定役務です。
商標の出願にあたっての注意点
商標登録出願をする際には、出願書類に、権利を取得したい商標と、商標を使用する指定商品、または指定役務を記載します。
指定商品・指定役務は、45に分かれた区分のいずれかに含まれるため、区分とともに記載をして指定します。
指定商品または指定役務は、1つまたは複数を指定し、その商品・役務の指定にあたっては所定の区分に従って記載しなければなりません。
区分は、第1類から第34類までの商品の区分と、第35類から第45類までの役務の区分とに分類されており、国際的に共通した分類が採用されています。
出願書類への記載方法
出願書類では、【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】の欄に、「第○類」という最低一つの区分を記載します。
複数の区分を同時に記載することもできます。
さらに、その区分に含まれる指定商品・指定役務を記載します。
たとえば、下記のように記載します。
【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】
【第9類】 電子計算機用プログラム,スマートフォン
【第42類】 電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの貸与
これらは、商標登録の効力の範囲を決める重要な部分です。
区分に含まれるすべての指定商品・指定役務を記載することもできますし、一部のものに限定することもできます。
調査にあたっての注意点
商標登録をする前には、類似商標がないかどうかの検索など、調査をすることが普通です。
商標調査をするにあたっても、商品・役務の決めて検索をすることになります。
しかし、ここで注意すべき点があります。
類似商標などの検索では、区分を指定して検索をすることができます。
区分が違っても類似する商品・役務がある場合もあるため、自分が出願しようとする区分だけを調べるのでは、類似商標調査などで検索漏れが生じてしまいます。
これを防ぐため、商品・役務に割り振られたコードである、類似群コードを指定して検索する方法があります。
アルファベットと数字の組み合わせである5文字の類似群コードは、同じコードであれば類似する商品または役務であると推定されるものです。
類似群コードは、下記で確認をすることができます。
類似商品・役務審査基準 特許庁
商標登録出願または登録商標を検索すると、その指定商品・指定役務にはそれぞれ、類似群コードが振られています。
指定商品・指定役務に関連する拒絶理由
(1)商標との関係で拒絶理由となる場合
商標が、特定の商品や役務を表示するものであるときなどは、指定商品・指定役務を限定する必要が生じます。
たとえば商標の中に「運輸」という文字が入っていたら、指定役務は運輸に関するものに限定したり、地名入りの商標では、たとえば「青森産のりんごを使用した菓子」のように限定することで登録が認められるようになったりします。
(2)政令で定める商品及び役務の区分に従っていない場合
出願書類には、政令で定める商品・役務の区分に従って商品・役務を指定している必要があります(商標法第6条第2項)。
たとえば、「第3類 つや出し布」ではなく、「第21類 つや出し布」と記載する必要があります。
(3)指定された商品・役務の内容及び範囲が明確ではない場合
指定商品・指定役務は、商標とともに権利範囲を定めるものですから、その内容及び範囲は明確であることが必要です(商標法第6条第1項)
たとえば、「第2類 全ての商品」では不明確なため、具体的な商品を記載する必要があります。
「第10類 医療用特殊調度品」では内容が不明確なため、たとえば「医療用ベッド」、「医療用診察台」のように、具体的に記載する必要があります。
(4)商標の使用意思の確認
指定商品・指定役務は、その区分に含まれる代表的なすべての商品・役務を記載することもできます。
しかし、広範囲に記載しすぎると、それが拒絶理由になることも多くあります。
使用する意思のない商品・役務について出願をしても、実際に使用する予定のあるものか、審査で指摘されることもあります。
特に、小売等役務を含む第35類では、商標法第3条第1項柱書にある、使用意思の確認を審査で求められることが多くあります。
商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用については、商標の使用の意思があることに「合理的な疑義がある場合」には、商標法第3条第1項柱書の要件を満たさないと判断されます。
ただ、実際に使用するものであれば、その旨を明らかにして、登録することは可能です。
なお、登録後に長期間使用をしていないと、その商品や役務については、登録を取り消される場合があります。
関連ページ:
区分/指定商品・指定役務(商標登録する)
区分(指定商品・指定役務の区分)とは何ですか?(Q&A・サポート)