政府・地方公共団体の監督用・証明用の印章・記号と同一又は類似の標章を有する商標(商標法第4条第1項第5号)
商標法第4条第1項第5号
商標法第4条第1項第5号は、日本国又はパリ条約の同盟国・世界貿易機関の加盟国・商標法条約の締約国の、政府・地方公共団体の監督用・証明用の印章・記号のうち、経済産業大臣が指定するものと同一または類似の商標は、登録できないという拒絶理由を規定しています。
拒絶理由の概要
日本国又はパリ条約の同盟国
世界貿易機関の加盟国
商標法条約の締約国
の、政府または地方公共団体の監督用・証明用の印章・記号のうち、経済産業大臣が指定するものと同一または類似の標章を有する商標であって、その印章または記号が用いられている商品または役務と同一・類似の商品・役務について使用をするものは、登録されません。
これらに該当する標章等は官報に掲載されます。
「ブラジル連邦共和国政府が用いる印章」などが該当します。
趣旨
「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕では、
パリ条約六条の三に対応するものである。
解釈をはっきりさせるために日本国のものについても本号の適用があるものとしたことである。また、地方公共団体もその機能において国家に準じた監督又は証明機能を営むことがあるから本号に含めた。なお、平成六年の一部改正においては、TRIPS協定二条1の規定に従い、世界貿易機関の加盟国のものについても本号を適用するよう改正した。さらに、平成八年の一部改正においては、商標法条約一五条の規定(パリ条約を遵守する義務)に従い、商標法条約の締約国のものについても本号を適用するよう改正した。『地方公共団体』の中には日本国のそれも同盟国、加盟国又は締約国のそれも両方を含む。また、同盟国、加盟国及び締約国以外の外国については本号の適用はない。ちなみに、本号と九号は特にその標章のみならずその一部としてその標章を使っている商標も不登録になるのである。その理由は、これらは特に品質保証的機能が強いので商品の品質あるいは役務の質の誤認防止の見地からこのように規定したものである。また、公社、公団等政府機関に準ずるものは、法令に別段の規定がない限り本号には含まれず、次の公益団体に含まれる。
と解説されています。
商標審査基準抜粋
第4条第1項第2号、第3号及び第5号(国の紋章、記章等)(PDF)
1.「経済産業大臣が指定するもの」について
「経済産業大臣が指定するもの」は、いずれも、官報に経済産業省告示として、告示番号や告示日と共に掲載されているものである。
例えば、以下のものがある。
(3) 第5号
(例1)マレーシアの監督用又は証明用の印章又は記号
(経済産業省告示平成26年第196号 平成26年9月26日告示
商品又は役務:輸送,食肉,魚 等)

(例2)大韓民国の監督用又は証明用の印章
(経済産業省告示平成26年第241号 平成26年12月12日告示
商品又は役務:木材製品)

4.第5号について
(1) 「同一又は類似の標章を有する商標」について
本号における類否は、商品の品質又は役務の質の誤認防止及び監督・証明官庁の権威の保持の観点から、出願商標が、その構成全体又はその一部に国の監督用の印章等と紛らわしい標章を有するか否かにより判断する。
拒絶理由通知(4条1項5号)への対応方法
(1)日本国又はパリ条約の同盟国・世界貿易機関の加盟国・商標法条約の締約国の、政府・地方公共団体の監督用・証明用の印章・記号と同一または類似の標章を有する商標ではないことを主張する。
類似ではない等の主張を意見書で行い、反論することができます。
(2)その印章または記号が用いられている商品・役務と同一または類似の商品・役務について使用をするものではないことを主張する。
非類似の商品・役務について使用するものである等の主張を意見書で行い、反論することができます。
(3)同一または類似の指定商品・指定役務を削除する。
手続補正書により類似の指定商品・指定役務を削除し、非類似の商品・役務について使用する商標とすることで、拒絶理由を解消できる場合がありえます。

