国の紋章・記章等と同一・類似の商標(商標法第4条第1項第2号)
商標法第4条第1項第2号
パリ条約の同盟国・世界貿易機関の加盟国・商標法条約の締約国の、国の紋章その他の記章であって、経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標は、登録されません。
これらに該当する標章等は官報に掲載されます。
「アメリカ合衆国の記章」などが該当します。
「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕では、
「パリ条約六条の三に対応するものである。本号中『記章』とあるのは旧法の『徽章』の『徽』が当用漢字にないためにこれに代えたのであり、旧法の二条一項二号にある記章とは意味が異なる。なお、『同盟国』といった場合にはその中に日本国自体は含まない。」
「また、平成六年の一部改正において、TRIPS協定二条1の規定に従い、世界貿易機関の加盟国の国の紋章その他の記章についても、パリ条約の同盟国のものと同等に取り扱うための改正を行った。さらに、平成八年の一部改正において、商標法条約一五条『締約国は、パリ条約の規定で標章に関するものを遵守する。』の規定に従い、商標法条約の締約国の国の紋章その他の記章についても、パリ条約の同盟国のものと同等に取り扱うための改正を行った。」
「以上各号の立法趣旨は、これらのものの商標としての使用はそれが表示するものの尊厳を傷つけ、また、一私人に独占を許すことは妥当ではないという点にある。」
と解説されています。
商標審査基準抜粋
第4条第1項第2号、第3号及び第5号(国の紋章、記章等)(PDF 286KB)
1.「経済産業大臣が指定するもの」について
「経済産業大臣が指定するもの」は、いずれも、官報に経済産業省告示として、告示番
号や告示日と共に掲載されているものである。
例えば、以下のものがある。
(1) 第2号
(例1) アメリカ合衆国の記章
(通商産業省告示昭和51年第356号 昭和51年8月6日告示)
(例2) オーストラリア連邦の紋章
(通商産業省告示平成6年第74号 平成6年2月16日告示)
2.第2号について
(1) 「同一又は類似の商標」について
本号における類否は、国家の尊厳を保持するという公益保護の観点から、商標全体が国の紋章等と紛らわしいか否かにより判断する。
例えば、出願商標が、その一部に国の紋章等を顕著に有する場合は、商標全体として本号に該当するものと判断する。
拒絶理由通知(4条1項2号)への対応方法
(1)国の紋章・記章等とは同一でも類似ではないことを主張する。