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指定商品等の不明確(商標法第6条) -商標登録ドットコム™

一商標一出願・指定商品等の不明確(商標法第6条)

一商標一出願(商標法第6条第1項)

商標登録出願は、商標の使用をする一または二以上の商品または役務を指定して、商標ごとにしなければなりません(商標法第6条)。
これを一商標一出願といい、商標登録を受ける1つの出願の単位として、権利請求をする範囲を特定し、手続及び審査の便宜としたものです。
複数の商標を1つの出願で記載することはできません。
ただし、1つの商標として、図形と文字が組み合わされた商標や、文字が複数行にわたって記載された商標、複数の言葉が結合された商標などを、商標登録を受けたい商標として記載することは可能です。

商品・役務の区分(商標法第6条第2項)

商標登録出願は、政令で定める商品及び役務の区分に従ってしなければなりません。
1つの商標登録出願では、複数の商品・役務を指定することができます。
この指定は、政令で定める商品及び役務の区分に従ってすることとされ、1つの出願で複数の区分を指定することもできます(一出願多区分制)。

なお、商品及び役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではありません(商標法第6条第3項)。
区分が異なっても類似商品・類似役務である場合があります。

指定商品又は指定役務の記載は、省令別表(商標法施行規則第6条)に掲載されている商品又は役務の表示など、その商品又は役務の内容及び範囲が明確に把握できるものでなければなりません。

指定商品又は指定役務の表示が不明確で、かつ、政令で定める商品及び役務の区分に従ったものと判断できないときは、第6条第1項及び第2項の要件を具備しないものとして、拒絶理由が通知されます。

「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕では、
「本条は、商標登録出願にあたっての原則を規定したものである。
一項は、一つの商標登録出願では複数の商品又は役務を指定することができること、及び一つの商標登録出願では一つの商標しか出願できないこと(すなわち、一商標一出願の原則)を定めたものである。
二項は、商品又は役務の指定の方法を定めたものである。従来は一項において、政令で定める商品及び役務の区分内において指定しなければならないとする一出願一区分の原則を規定し、その区分内であれば複数の商品又は役務を指定しても差し支えないとしていたが、平成八年の一部改正において、商標法条約三条の規定に対応して本項を新設し、一項で指定した商品又は役務は政令で定める商品及び役務の区分に従って区分毎に区分けされなければならないこととした。すなわち、区分毎に区分けすれば一出願で多区分にわたる商品又は役務を指定できる一出願多区分制を定めたものである。一出願多区分制は、出願人にとっては、区分ごとに願書を作成する必要がなくなり手続の簡素化が図られ、商標権の管理及び調査がこれまで以上に容易になるという利点があり、欧米の先進諸国をはじめ、国際分類を採用するほとんどの国で採用されているものである。
なお、一項又は二項違反は拒絶理由にはなるが(一五条)、登録異議申立理由及び無効理由にはならない(四三条の二、四六条)。
三項は、旧法でとかく誤解を招きやすい「政令で定める商品及び役務の区分」と商品及び役務の類似の範囲とは別のものであることを宣明した解釈規定である。したがって、類似商品又は類似役務であってそれが商品及び役務の区分を異にしているような場合も考えられる。このことは、特に平成三年の一部改正において商品と役務の類似があることを宣言していること(現行二条六項)からも明らかである。」
と解説されています。

商標審査基準抜粋

第6条(一商標一出願)(PDF)

1.一商標一出願について

一つの商標登録出願では、「商標ごとにしなければならない」ことから、複数の商標を出願したと認められる場合は、第6条第1項の要件を具備しないものとする。

2.第6条第1項の要件を具備しない場合

(1) 指定商品又は指定役務の記載は、省令別表(商標法施行規則第6条)及び類似商品・役務審査基準に掲載されている商品又は役務の表示など、その商品又は役務の内容及び範囲が明確に把握できるものでなければならず、指定商品又は指定役務の表示が不明確なときは、第6条第1項の要件を具備しないものとして、拒絶の理由を通知する。
(例) 第29類「食肉,その他本類に属する商品」
第39類「貨物車による輸送, その他本類に属する役務」

(2) 指定商品又は指定役務の表示中に、特定の商品又は役務を表すものとして登録商標が用いられている場合は、第6条第1項の要件を具備しないものとして、拒絶の理由を通知する。

3.第6条第2項の要件を具備しない場合

指定商品又は指定役務の表示は明確であるが、政令(商標法施行令第2条)で定める商品及び役務の区分に従っていないときは、第6条第2項の要件を具備しないものとして、拒絶の理由を通知する。

(例) 第9類「時計」
この場合は、「第14類 時計」と補正することができる。
第36類「職業のあっせん」
この場合は、「第35類 職業のあっせん」と補正することができる。
(例) 第16類「雑誌, 雑誌による広告」
この場合は、第16類「雑誌」、第35類「雑誌による広告」と補正することができる。

4.第6条第1項及び第2項の要件を具備しない場合

指定商品又は指定役務の表示が不明確で、かつ、政令で定める商品及び役務の区分に従ったものと判断できないときは、第6条第1項及び第2項の要件を具備しないものとして、拒絶の理由を通知する。

(例1) 複数の区分に属する可能性のある商品又は役務を以下のような表示をもって指定商品又は指定役務とするもの。
第5類「衛生マスク及びその類似商品」
第40類「廃棄物の処理及びその関連役務」
(解説) 「その類似商品」、「その関連役務」の表示は、複数の区分に属する可能性があり、不明確である。
第7類「機械器具」
(解説) 「機械器具」の表示は、例えば、第10類「医療用機械器具」や第11類「冷凍機械器具」等も考えられるため、不明確である。
第37類「機械器具の貸与」
(解説) 「機械器具の貸与」の表示は、例えば、第39類「包装用機械器具の貸与」や第40類「化学機械器具の貸与」等も考えられるため、不明確である。
(例2) 「○○○店」(施設を指称)という表示をもって指定商品又は指定役務とするもの。
第25類「百貨店」
第42類「総合レンタル店」
(例3) 政令別表に掲載されている表示をもって指定商品又は指定役務とするもの。
第12類「乗物その他移動用の装置」
第32類「アルコールを含有しない飲料及びビール」
ただし、政令別表に掲載されている表示と、省令別表に掲載されている商品又は役務の表示とが一致している場合など、商品若しくは役務の内容及び範囲又は帰属する商品及び役務の区分が明確なものはこの限りでない。

5.手続補正指示について

上記2.(1)及び4.に係る拒絶理由の通知に対し、出願人が指定商品又は指定役務の説明等を内容とする意見書又は物件提出書を提出した場合は、直ちに拒絶をすることなく、当該意見書又は物件提出書を斟酌し、例えば補正案を示すなど指定商品又は指定役務その他を適切な表示に補正すべきことを指示する(審査官名による手続補正指示)ものとする。
この場合において、出願人が当該手続補正指示に対し何らの対応もしないとき又は的確な補正等を行わないときは、その商標登録出願は、先の拒絶理由に基づき拒絶するものとする。

6.小売等役務について

小売等役務(小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)については、次のとおり解するものとする。

(1) 小売等役務とは、小売又は卸売の業務において行われる総合的なサービス活動(商品の品揃え、陳列、接客サービス等といった最終的に商品の販売により収益をあげるもの)をいうものとする。

(2) 小売等役務には、小売業の消費者に対する商品の販売行為、卸売業の小売商人に対する商品の販売行為は含まれないものとする。

拒絶理由通知(6条)への対応方法

(1)手続補正書の提出により、指定商品・指定役務を明確にする。
・たとえば、「第9類 時計」は、「第14類 時計」と補正する。
・たとえば、「第36類 雑誌による広告の代理」は、「第35類 雑誌による広告の代理」と補正する。
・たとえば、「第16類 雑誌, 雑誌による広告の代理」は、「第16類 雑誌 第35類 雑誌による広告の代理」と補正する。

(2)審査官の補正案が記載されている場合で、特に支障がないときは、補正案の通りに補正する。

(3)手続補正指示書への対応をする。
拒絶理由通知に対し、出願人が実質的に商品等の説明のみを内容とする意見書又は物件提出書を提出した場合は、直ちに拒絶をすることなく、当該意見書又は物件提出書を斟酌し、例えば補正案を示すなど指定商品又は指定役務その他を適切な表示に補正するよう、手続補正指示書が送付されてくることがあり、特に支障がないときは、補正案の通りに補正する。

審決例

サプリメントについて「「加工野菜及び加工果実・加工水産物を主成分として成る粒状・粉状・丸剤状・カプセル状の加工食品」と補正し、拒絶理由を解消した事例2002-24930

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