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品質誤認させる商標(商標法第4条第1項第16号) -商標登録ドットコム™

品質等の誤認のおそれがある商標(商標法第4条第1項第16号)

商標法第4条第1項第16号

商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標は、登録されません。

「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕では、
「商品の品質又は役務の質の劣悪には、関係がない。」
と解説されています。

商標審査基準抜粋

第4条第1項第16号(商品の品質又は役務の質の誤認)(PDF)

1.「商品の品質又は役務の質(以下本号において、「商品の品質等」という。)」について

(1) 「商品の品質等」とは、商品若しくは役務の普通名称、商品若しくは役務について慣用されている商標又はこの基準第1の五(第3条第1項第3号)の1.にいう「商品又は役務の特徴等」が表す品質若しくは質をいう。

(2) 商標構成中に、商品の品質等を表す文字等を有する場合であっても、全体として商品の品質等として認識できない場合には、商品の品質等を表さないと判断する。
特に、商標構成中に外国の国家名を有する場合には、既成語の一部となっている 場合等国家名を認識しないことが明らかな場合に限り、商品の品質等を表さないと判断する。

(例) 外国の国家名を有する場合
① 商品の品質等を表すと判断する場合
商品「時計」について、商標「SWISSTEX」
(解説) 既成語の一部ではないため、国家名としての「スイス連邦」を認識させる。

② 商品の品質等を表さないと判断する場合
商品「薬剤」について、商標「コロシアム」
(解説) 既成語の一部のため、国家名としての「ロシア連邦」を認識しない。

2.「誤認を生ずるおそれ」について

(1) 「誤認を生ずるおそれ」とは、商標が表す商品の品質等を有する商品の製造、販売又は役務の提供が現実に行われていることは要せず、需要者がその商品の品質等を誤認する可能性がある場合をいう。
(2) 「誤認を生ずるおそれ」の有無は、商標が表す商品の品質等と指定商品又は指定役務が関連しているか否か、及び商標が表す商品の品質等と指定商品又は指定役務が有する品質又は質が異なるか否かにより判断する。

(例1) 本号に該当する場合
商品「野菜」について、商標「JPOポテト」
(解説) この場合、商標が表す商品の品質は、「普通名称としてのじゃがいも」であることから、指定商品「野菜」とは関連する商品であり、また、指定商品中「じゃがいも以外の野菜」が有する品質とは異なることから、本号に該当すると判断する。
なお、指定商品「じゃがいも」と、商品の品質等の誤認を生じさせることなく適正に表示されている場合はこの限りでない。

(例2) 本号に該当しない場合
① 商品「自転車」について、商標「JPOポテト」
(解説) この場合、商標が表す商品の品質である「普通名称としてのじゃがいも」
とは関連しない指定商品「自転車」であることから、本号に該当しないと判断する。
② 商品「イギリス製の洋服」について、商標「JPOイギリス」
(解説) この場合、商標が表す商品の品質である「生産地としてのイギリス」と指定商品が有する品質が一致していることから、本号に該当しないと判断する。
③ 役務「フランス料理の提供」について、商標「JPOフランス」
(解説) この場合、商標が表す役務の質である「料理の内容としてのフランス」と指定役務が有する質が一致していることから、本号に該当しないと判断する。
(3) 商標中に、商品の品質等を表す文字等を有する場合であっても、出願に係る商標が、出願人の店舗名、商号、屋号等を表すものとして需要者に広く認識されており、需要者が商品の品質等を誤認するおそれがないと認められるときには、本号に該当しないと判断する。

3.商標中に商品の品質等を保証するような文字、図形等がある場合

商標中に「○○博覧会金牌受領」、「○○グランプリ受賞」等の博覧会の賞等を受賞した文字・図形等がある場合に、当該博覧会等が第4条第1項第9号の定める基準に該当しないときは、商品の品質等を表すものとして、博覧会の賞等を受賞した事実の立証を求め、立証されないときは、本号に該当すると判断する。

4.地域団体商標について

地域団体商標は、これが商標中の地域の名称と密接な関連性を有する商品又は役務以外の商品又は役務について使用されるときは、商品の品質等の誤認を生じさせるおそれがあるものとして、本号に該当すると判断する。

ただし、指定商品又は指定役務が、例えば、次のように商品の品質等の誤認を生じさせることなく適正に表示されている場合は、この限りでない。
① 地域の名称が当該商品の産地であれば、「○○(地域の名称)産の△△(商品名)」とする。
② 地域の名称が当該役務の提供の場所であれば、「○○(地域の名称)における△△(役務名)」とする。
③ 地域の名称が当該商品の主要な原材料の産地であれば、「○○(地域の名称)産の□□(原材料名)を主要な原材料とする△△(商品名)」とする。
④ 地域の名称が当該商品の製法の由来地であれば、「○○(地域の名称)に由来する製法により生産された△△(商品名)」とする。ただし、例えば、「インドカレー」、「江戸前すし」のように地域との密接な関連性が希薄となり、一般的な製法と認識されるに至っている場合は、除かれる。
なお、上記は、地域団体商標における指定商品が「○○(地域の名称)に由来する製法により生産された△△(商品名)」と記載されている場合において、需要者がその商品について○○産の商品、又は、主に○○産の□□(原材料名)を用いた商品であるかのように品質を誤認するおそれがあるときに、本号の適用を妨げるものではない。

拒絶理由通知(4条1項16号)への対応方法

(1)品質等の誤認を生じるおそれがない旨の反論をする。
・品質等を表すために一般的に使われている言葉ではないと主張する
・品質等を表す表示でないことが明らかであると主張する
・需要者が誤認しないことを主張する

(2)品質等の誤認を生じるおそれがない適切な表示となるように、指定商品・指定役務を手続補正書により補正する。
・たとえば商標中に「観光ホテル」の文字を含むときに、指定役務を「宿泊施設の提供」のみに限定し、その他を削除する
・ たとえば被服について、商標中に「イギリス」の文字を含むときに、指定商品を「イギリス製の洋服」とする
・たとえば飲食物の提供について、商標中に「フランス」の文字を含むときに、指定役務を「フランス料理の提供」とする

審決例

「マキトール」の文字は「巻き取る」の意味を直観させ、商品の品質、機構(構造)を表示するものとされた事例">「マキトール」の文字は「巻き取る」の意味を直観させ、商品の品質、機構(構造)を表示するものとされた事例2001-2238

指定商品「せんべい」について「焼おにぎり」「やきおにぎり」の文字は、商品の品質表示にあたらず、品質誤認のおそれもないとして、登録された事例H11-11433

「さんぴん茶」と横書きし、第30類「茶」を指定商品とする商標は普通名称であり、指定商品・第30類「茶」以外に使用するときは商品の品質誤認を生じさせるおそれがあるとされた事例異議1999-91037

「サニーレタス」は商品の普通名称である、サニーレタス以外のレタスに使用するときは商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある商標であるとされた事例S57-2936

判決例

「Afternoon Tea/アフタヌーンティー」の文字は、本願商標を付して紅茶以外のコーヒー・ココアなどの飲み物を販売してきたものと認められるところ、注文者・需要者が品質を誤認するような混乱は生じていないものと推認され、品質の誤認を生じる恐れがないとされた事例東京高平成14年(行ケ)596号

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