「マキトール」の文字は「巻き取る」の意味を直観させ、商品の品質、機構(構造)を表示するものとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2001-2238
【事案】
「マキトール」の文字は「巻き取る」の意味を直観させ、ロールブラインド・ロールスクリーン等の巻き取る機構(構造)を有する商品について使用しても、商品の品質、機構(構造)を表示するものである(商標法第3条第1項第3号)。
これを前記商品以外の屋内装置品、屋外装置品について使用した場合には、該商品が「巻き取る機構(構造)を有する商品」であるかの如く、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものである(商標法第4条第1項第16号)。
【拒絶理由】
本願商標は、「マキトール」の文字を横書きしてなり、第20類「家具、畳類、建具、屋内装置品(書画および彫刻を除く)屋外装置品(他の類に属するものを除く)記念カップ類、葬祭用具」を指定商品として、昭和61年2月17日に登録出願されたものである。
これに対し、原査定は、「本願商標は、『巻き取る』の意味合いを直観する『マキトール』の文字を普通に用いられる方法で表してなるにすぎないから、これをその指定商品中巻き取り機構を有するロールブラインド・ロールスクリーン等に使用するときは、単に該商品が上記機構を有するものであることの品質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
【審決における判断】
よって接ずるに、ある商標が自他商品の識別力を有するか否かについては、その指定する商品との関係を考慮して相対的に判断されなければならないところである。
しかして、本願商標は「マキトール」の文字よりなるものであるところ、これは「巻いて他の物へ移しとる」の意味を有する「巻き取る」の語の字音を容易に想起させる「マキトル」の語にあって、その後半部の「トル」を語呂よく「トール」と表音化したものとみるを相当とし、その指定する商品中の「ロールブラインド・ロールスクリーン」等の商品との関係では、該文字は「巻き取る」の意味を直観させるものといわなければならない。
即ち、屋内装置品等の業界においては、巻き取る機構(構造)を有する商品として、「ロールブラインド・ロールスクリーン」等の存するところ、これら商品については、「巻き上げるタイプ」とか「巻き込んで収納できる」等の解説が記載されていたり、また、該商品の部品として「巻き取りチューブ」「巻取ドラム」「巻取パイプ」等の用語が使用されていることからみて、「巻き取る」の語は商品の機能、構造を表すものとして一般に使用されているものといえる(株式会社経済出版発行「家具木材加工インテリア用語辞典」、株式会社東洋経済新報社発行「現代商品大辞典 新商品版」、株式会社三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典」、株式会社ニチベイ発行「Nichibei Product Guide総合カタログ」、株式会社ヨコタ発行「ヨコタカタログ’83」等の「ロールブラインド・ロールスクリーン、ローラーシエード」の項参照)。
そうとすれば、本願商標は、その指定商品中のロールブラインド・ロールスクリーン等の巻き取る機構(構造)を有する商品について使用しても、取引者・需要者は、該商品が前記機構(構造)を有する商品であること、即ち、商品の品質、機構(構造)を表示するものであることを容易に理解し、認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるといわなければならず、また、これを前記商品以外の屋内装置品、屋外装置品について使用した場合には、該商品が「巻き取る機構(構造)を有する商品」であるかの如く、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。