「タカラヅカ」の文字を標準文字からなる商標は、役務の提供の場所「兵庫県南東部の市」を普通に用いられる方法で表示したものと認識され、「宝塚歌劇(団)」の略称「タカラヅカ」の文字が使用されていたとしても宣伝広告の頒布数、頒布範囲などが具体的に確認できないため、需要者の間で広く知られていたとはいえない、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるとはいえないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2021-17467
【審決日】令和5年11月30日(2023.11.30)
【事案】
本願商標は、「タカラヅカ」の文字を標準文字で表してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務(以下「原審役務」という。)を指定役務として、令和2年5月27日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年4月26日付けで拒絶理由が通知され、同年6月8日に意見書が提出されたが、同年9月14日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年12月17日に拒絶査定不服審判が請求され、原審役務については、同日付けの手続補正書により、別掲1のとおりの指定役務(以下「当審補正役務」という。)に補正されたものである。
【拒絶理由】
原査定は、本願商標は「兵庫県南東部の市」の意味を有する語である「宝塚」の語を片仮名表記したものと容易に看取できる「タカラヅカ」の文字を標準文字で表してなるから、これを、原審役務に使用しても、本願商標に接する需要者は、宝塚市において提供される役務であること、すなわち、単に役務の提供の場所を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するから商標法第3条第1項第3号に該当し、提出された証拠によっては、同法第3条第2項に該当するものではなく、また、原審役務中の宝塚市において提供される役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
審決における判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 商標法第3条第1項第3号の意義
商標法第3条第1項第3号所定の商標が登録要件を欠くとされているのは、商品の「産地、販売地、品質」等又は役務の「提供の場所、質、提供の用に供する物」等を「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる」商標は、商品又は役務の特性を表示記述する標章であることから、取引者、需要者によって、専ら当該商品又は役務の性質を説明するものとして認識されるのが通常であり、自他商品又は役務の識別標識として認識されるとは考え難いこと、そのような標章は、多くの場合、当該商品又は役務に係る取引一般において、取引の内容を説明するために必要かつ適切な表示として機能するものであるから、誰もが自由に使用できるようにしておく必要があり、特定人の独占的使用を認めると、円滑な取引を阻害するなど公益上の問題が生じるおそれがあることによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・集民126号507頁参照)。
イ 本願商標が商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「タカラヅカ」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「兵庫県南東部の市。」(広辞苑第7版)の意味を有する「宝塚」の語を片仮名表記したものである。

兵庫県宝塚市 https://www.city.takarazuka.hyogo.jp/
そして、別掲2の1のとおり、「宝塚」の文字は、前掲書以外の一般的な国語辞典及び地名辞典においても地名を表示する語として載録され、また、別掲2の2のとおり、「宝塚」の文字が、地名を表示する語として使用されている実情がある。
そうすると、本願商標を、当審補正役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該役務が、「兵庫県南東部の市である宝塚市において提供される役務」であること、すなわち、役務の提供の場所を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにすぎない。
そして、役務の提供の場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、役務の特性を表示記述する標章であることから、取引者、需要者によって、専ら当審補正役務の性質を説明するものとして認識されるのが通常であり、自他役務の識別標識として認識されるとは考え難く、また、そのような標章は、多くの場合、当審補正役務に係る取引一般において、取引の内容を説明するために必要かつ適切な表示として機能するものであるから、誰もが自由に使用できるようにしておく必要があり、特定人に独占使用させることは、円滑な取引を阻害するなどの問題が生じるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、上記(1)イのとおり、当審補正役務中の「宝塚市において提供される役務以外の役務」に使用しても、役務の提供の場所を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにすぎないものである。
また、本願商標を当審補正役務中の「宝塚市において提供される役務以外の役務」に使用したとしても、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるとはいえない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(3)本願商標の使用による自他役務の識別性について
請求人は、意見書、審判請求書(以下「請求書」という。)及び回答書にて、本願商標は長年にわたり、当審補正役務に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものと認識されるに至っているので、商標法第3条第2項の要件を充足しており、本願商標の登録は認められるべきである旨主張しているが、その前提として、本願商標が同条第1項第3号に該当するものであることは、上記(1)のとおりである。
そこで、請求人の主張及び同人が提出した証拠を参照し、以下、本願商標の使用による自他役務の識別性(本願商標の商標法第3条第2項該当性)について検討する。
なお、本審決において、請求人が本件審判請求にて提出した第1号証ないし第22号証は、第1号証を甲第1号証、第2号証を甲第2号証のように読み替える。
また、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」のように省略して記載する場合があり、かつ、枝番号の全てを表示する場合は、枝番号を省略して記載する。
ア 商標法第3条第2項について
ある標章が商標法第3条第2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するか否かは、出願に係る商標と外観において同一とみられる標章が指定商品とされる商品に使用されたことを前提として、その使用開始時期、使用期間、使用地域、使用態様、当該商品の販売数量又は売上高等、当該商品又はこれに類似した商品に関する当該標章に類似した他の標章の存否などの事情を総合考慮して判断されるべきであり(知財高裁平成24年(行ケ)第10285号、平成25年1月24日判決参照)、役務についても同様に解されるものである。
イ 請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。

宝塚歌劇団 https://kageki.hankyu.co.jp/
(ア)請求人と宝塚歌劇団の関係について
請求人の創設者が、大正3年に兵庫県宝塚市に歌劇団と遊園地を誕生させて以来、請求人は、約100年の長きにわたり、請求人のエンターテインメント・コミュニケーション事業として、レビューや音楽劇等を演ずる「宝塚歌劇団」を運営している(請求人の主張、甲2、甲4の2)。
(イ)本願商標の使用状況について
a 使用開始時期、使用地域について
「タカラヅカ」の文字は、少なくとも、昭和34年(1959年)頃から、「演芸の上演,演劇の上演,音楽の演奏」(以下「エンターテイメント役務」という。)について、請求人が運営する「宝塚歌劇(団)」の略称として使用されていた(甲21ほか)。
また、「宝塚歌劇(団)」の公演は、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)及び東京宝塚劇場(東京都千代田区有楽町)の2か所を中心として、大阪、福岡、千葉、横浜、名古屋などでも開催されている(甲2、甲5、甲14、甲15ほか)。
b 観客動員数等について
請求人発行の「会社ハンドブック」(2020年10月及び2022年8月発行)によれば、2019年度及び2021年度における宝塚大劇場の観客動員数はそれぞれ約111万人及び約90万人、東京宝塚劇場の観客動員数はそれぞれ約92万人及び約78万人である(甲14)。
また、阪急阪神ホールディングス株式会社発行の「統合報告書2022」によれば、2012年度ないし2021年度までの宝塚歌劇の観劇人員数は、宝塚大劇場、東京宝塚劇場、その他の劇場及びライブ中継等を含め、約157万人ないし313万人の間で推移している(甲15)。
c 「宝塚歌劇(団)」のファンクラブ会員構成について
「宝塚歌劇」のファンクラブ会員構成(2009年調査)は、成人女性が多く、女性が会員の96%を占めている(甲5)。
d 広告宣伝の方法、地域及び規模等について
平成9年(1997年)及び同26年(2014年)の新聞記事(産経新聞、読売新聞、日本経済新聞)(甲3の1、3、4)、平成27年(2015年)及び令和4年(2022年)発行の雑誌(甲5、甲13の4)、昭和53年(1987年)ないし令和3年(2021年)に発行された書籍(甲6の3、4、甲13の1~3、請求人の主張)、昭和34年(1959年)ないし令和4年(2022年)のポスター及びウェブサイト(甲9~甲12の2、6~8、甲16の1、3、甲17、甲20~甲22)、宝塚歌劇専門チャンネル(甲16の2)、宝塚歌劇(団)の舞台の映像、楽曲のインターネットによる配信(甲18~甲19)などにおいて、エンターテイメント役務について、請求人の運営に係る「宝塚歌劇(団)」の略称として「タカラヅカ」の文字が使用されていたことは分かる。
ウ 判断
上記イによれば、請求人は、約100年の長きにわたり、エンターテインメント・コミュニケーション事業として、レビューや音楽劇等を演ずる「宝塚歌劇団」を運営していること、「宝塚歌劇(団)」の公演は、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)及び東京宝塚劇場(東京都千代田区有楽町)の2か所を中心として、大阪、福岡、千葉、横浜、名古屋などでも開催されていること、「タカラヅカ」の文字は、少なくとも、昭和34年(1959年)頃から、エンターテイメント役務について、請求人が運営する「宝塚歌劇(団)」の略称として使用されていたこと、2019年度及び2021年度における宝塚大劇場の観客動員数はそれぞれ約111万人及び約90万人、東京宝塚劇場の観客動員数はそれぞれ約92万人及び約78万人であり、2012年度ないし2021年度までの宝塚歌劇の観劇人員数は、宝塚大劇場、東京宝塚劇場、その他の劇場及びライブ中継等を含め、約157万人ないし313万人の間で推移していること、平成9年(1997年)及び同26年(2014年)に発行された各種新聞記事、平成27年(2015年)及び令和4年(2022年)発行の雑誌、昭和53年(1987年)ないし令和3年(2021年)に発行された書籍、昭和34年(1959年)ないし令和4年(2022年)のポスター及びウェブサイト、宝塚歌劇専門チャンネル、宝塚歌劇(団)の舞台の映像、楽曲のインターネットによる配信等で、請求人の運営に係る「宝塚歌劇(団)」の略称として「タカラヅカ」の文字が使用されていたことは分かる。
しかしながら、エンターテイメント役務の業界全体の観客動員数が確認できないため、「宝塚歌劇(団)」の観客動員数の多寡を判断することができず、また、「宝塚歌劇(団)」の公演について売上高等が確認できる証拠は提出されていないため、エンターテイメント役務の業界全体における請求人の市場シェア等を客観的に判断し得ない。
また、エンターテイメント役務の需要者は、老若男女を問わない一般の需要者が該当するところ、「宝塚歌劇(団)」のファンクラブ会員構成は、女性が会員の96%が女性であることからすると、「宝塚歌劇(団)」のレビューや音楽劇等の観覧をする者、宝塚歌劇専門チャンネルや宝塚歌劇(団)の舞台の映像及び楽曲のインターネットによる配信に接する需要者は、限定されていると推認できる。
さらに、広告宣伝については、各種新聞記事の掲載時期が限定的である上、掲載回数も決して多いとはいえないことからすると、各種新聞に継続的に広告宣伝を掲載していたとはいえず、また、「宝塚歌劇(団)」に関する宣伝広告がなされた雑誌、書籍等の発行部数、ポスターの印刷数量、頒布数及び頒布範囲なども具体的に確認できない。
その他、請求人の提出した証拠からは、広告宣伝の規模や広告宣伝費等は明らかではない。
以上からすると、本願商標は、当審補正役務の需要者の間で広く知られていたとはいえないから、本願商標が当審補正役務に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
「さんぴん茶」と横書きし、第30類「茶」を指定商品とする商標は普通名称であり、指定商品・第30類「茶」以外に使用するときは商品の品質誤認を生じさせるおそれがあるとされた事例
【種別】登録異議申立の決定
【訴訟番号】異議1999-91037
【事案】
本件登録第4260633号商標(以下「本件商標」という。)は、「さんぴん茶」(標準文字による商標)の文字よりなり、平成9年10月21日に登録出願、第30類「茶」を指定商品として、同11年4月9日に設定登録がなされたものである。
登録異議の申立ての理由
本件商標は、標準文字により「さんぴん茶」と横書きしてなり、第30類「茶」を指定商品とするものであるところ、登録異議申立人の提出に係る証拠によれば、沖縄地方においては、「さんぴん茶」の語は、「主としてジャスミンの葉または花と緑茶をブレンドした茶」を表す語として普通に使用されていることを認めることができる。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品中の前記「さんぴん茶」について使用をするときは、単にその商品についての普通名称を表示するにすぎないものであり、また、上記商品以外の「茶」について使用をするときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第1号、第4条第1項第16号
判決における判断
本件商標についての登録は、取り消されるべきであるとの登録異議の申立てがあった結果、平成11年11月30日付けで、取り消す旨の取消理由を期間を指定して通知し、意見書を提出する機会を与えたところ、商標権者からは何らの応答もない。
そして、前記の取消理由は妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
指定商品「せんべい」について「焼おにぎり」「やきおにぎり」の文字は、商品の品質表示にあたらず、品質誤認のおそれもないとして、登録された事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成11-11433
【審決日】
【事案】
本願商標は、「焼おにぎり」の文字と「やきおにぎり」の文字を二段に書してなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成9年3月13日に登録出願、その後、指定商品については平成11年4月15日付手続補正書により「せんべい」と補正されたものである。

【拒絶理由】
原査定は、「本願商標は、商品が『焼きおにぎりの形状及び風味を有する商品』であることを容易に認識させる『焼おにぎり』『やきおにぎり』の文字を普通の態様で二段に書してなるものであるから、これを本願指定商品中前記に照応する商品に使用しても、単に該商品の形状、品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
審決における判断
本願商標は、上記の構成よりなるところ、これをその指定商品に使用しても、原審において説示するような、商品の品質を表示するものとは看取し得ないばかりでなく、当審において調査するも、前記意味合いでこの種業界において取引上普通に使用されている事実も見出せない。
そうとすると、本願商標は、商品の品質を表示するものとはいい難く、自他商品の識別標識としての機能を十分果たし得るものであり、またこれを指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものといわざるを得ない。
してみれば、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定の拒絶の理由は妥当でなく、その理由をもって拒絶をすべきものとすることはできない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。よって、結論のとおり審決する。
登録第4534707号
登録日:平成14(2002)年 1月 11日
株式会社マスヤ
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第30類 せんべい
「マキトール」の文字は「巻き取る」の意味を直観させ、商品の品質、機構(構造)を表示するものとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成1-2238
【事案】
「マキトール」の文字は「巻き取る」の意味を直観させ、ロールブラインド・ロールスクリーン等の巻き取る機構(構造)を有する商品について使用しても、商品の品質、機構(構造)を表示するものである(商標法第3条第1項第3号)。
これを前記商品以外の屋内装置品、屋外装置品について使用した場合には、該商品が「巻き取る機構(構造)を有する商品」であるかの如く、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものである(商標法第4条第1項第16号)。
【拒絶理由】
本願商標は、「マキトール」の文字を横書きしてなり、第20類「家具、畳類、建具、屋内装置品(書画および彫刻を除く)屋外装置品(他の類に属するものを除く)記念カップ類、葬祭用具」を指定商品として、昭和61年2月17日に登録出願されたものである。
これに対し、原査定は、「本願商標は、『巻き取る』の意味合いを直観する『マキトール』の文字を普通に用いられる方法で表してなるにすぎないから、これをその指定商品中巻き取り機構を有するロールブラインド・ロールスクリーン等に使用するときは、単に該商品が上記機構を有するものであることの品質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
審決における判断
よって接ずるに、ある商標が自他商品の識別力を有するか否かについては、その指定する商品との関係を考慮して相対的に判断されなければならないところである。
しかして、本願商標は「マキトール」の文字よりなるものであるところ、これは「巻いて他の物へ移しとる」の意味を有する「巻き取る」の語の字音を容易に想起させる「マキトル」の語にあって、その後半部の「トル」を語呂よく「トール」と表音化したものとみるを相当とし、その指定する商品中の「ロールブラインド・ロールスクリーン」等の商品との関係では、該文字は「巻き取る」の意味を直観させるものといわなければならない。
即ち、屋内装置品等の業界においては、巻き取る機構(構造)を有する商品として、「ロールブラインド・ロールスクリーン」等の存するところ、これら商品については、「巻き上げるタイプ」とか「巻き込んで収納できる」等の解説が記載されていたり、また、該商品の部品として「巻き取りチューブ」「巻取ドラム」「巻取パイプ」等の用語が使用されていることからみて、「巻き取る」の語は商品の機能、構造を表すものとして一般に使用されているものといえる(株式会社経済出版発行「家具木材加工インテリア用語辞典」、株式会社東洋経済新報社発行「現代商品大辞典 新商品版」、株式会社三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典」、株式会社ニチベイ発行「Nichibei Product Guide総合カタログ」、株式会社ヨコタ発行「ヨコタカタログ’83」等の「ロールブラインド・ロールスクリーン、ローラーシエード」の項参照)。
そうとすれば、本願商標は、その指定商品中のロールブラインド・ロールスクリーン等の巻き取る機構(構造)を有する商品について使用しても、取引者・需要者は、該商品が前記機構(構造)を有する商品であること、即ち、商品の品質、機構(構造)を表示するものであることを容易に理解し、認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるといわなければならず、また、これを前記商品以外の屋内装置品、屋外装置品について使用した場合には、該商品が「巻き取る機構(構造)を有する商品」であるかの如く、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
「サニーレタス」は商品の普通名称である、サニーレタス以外のレタスに使用するときは商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある商標であるとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和57-2936
【事案】
「サニーレタス」は商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する商標か、サニーレタス以外のレタスに使用するときは商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある商標か
【拒絶理由】
本願商標は「サニーレタス」の片仮名文字を左横書きしてなり、昭和53年11月19日に登録出願がなされたものである。
これに対し、当審において新たに示した拒絶理由通知は、『本願商標は、「レタス」の一種である「サニーレタス」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるものであるから、これをその指定商品中「サニーレタス」について使用するときは単に商品の普通名称を表わすにすぎないものと認める。
したがって、商標法第3条第1項第1号の規定に該当し、前記商品以外の「レタス」について使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号の規定に該当する。』旨認定したものである。
審決における判断
よって審究するに、「昭和55年4月25日発行おかずサラダ250選(主婦の友社発行)」、「昭和48年9月10日発行野菜クッキング百科(女子栄養大学出版部発行)」及び「昭和54年11月1日発行やさい読本(青果流通消費研究会編)」によれば、サニーレタスはレタスの一種で、昭和40年代に商品名として命名されたものであり、原産地は中近東地域で、不結球型のリーフ型レタスの一種であるが、我が国においても栽培されており、年中出回っていることが認められるばかりではなく、八百屋、スーパーマーケット及び百貨店等において、通常の野菜類と共に葉先が茶紅色をした不結球のリーフ型レタスを「サニーレタス」として称して販売されている事実がある。
しかして、本願商標は「サニーレタス」の文字を普通に用いられる書体で横書きしてなるものであるから、これをこの指定商品中「サニーレタス」(葉先が茶紅色をした不結球のリーフ型レタス)に使用するときは、この種商品の取引者、需要者は前記の事実よりして、その商品が「サニーレタス」であることを表現するための文字として理解し、認識するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわなければならない。
してみれば、本願商標はその指定商品中の「サニーレタス」については、商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎず、また「サニーレタス」以外のレタスに使用するときは商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第1号及び同法第4条第1項16号の規定に該当し登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

