拒絶査定不服審判によって「グラム」は商標法3条1項6号に該当するとされた審決に対する取消を求め、「特別顕著性なしとはいえない」として取消が認められた事例
【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高昭和39年(行ケ)第74号
【事案】
拒絶査定不服審判によって「グラム」は商標法3条1項6号に該当するとされた審決に対する取消を求めた事例
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
【判決における判断】
本願商標が、その構成から、広く商品に関する重量(質量)単位としてのグラムを直感させるものであることは、当事者間に争いのないところであるが、仮に「Gram/Denier」(グラム・パー・デニール)の文字表示が繊維の繊度測定の単位として取引者間に置いて用いられ、また、グラムのローマ文字が繊糸の強度を表示するものとして慣用され、さらに、繊糸の繊度、強度などがそれによって作られる織物等の品質評価の決定的要因となるとしても〈略〉それらのことから直ちに、本願商標をその指定商品に使用した場合、それが何人かの業務にかかる商品であることを認識させる能力、すなわち、いわゆる特別顕著性を欠くものと断ずることは相当ではない。けだし、グラムという語そのものは、本件審決にもいうとおり、単なる質量の単位にすぎず、単にグラムというだけでは重量、品質の具体性を示しえないこと、あたかも「メートル」といっただけでは、長いのか短いのか判明しないのと全く同断だからである。換言すれば、グラムが繊糸の繊度等を示す単位であり、繊糸の繊度等がそれを原材料とする織物などの品質評価の決定的要因であると仮定しても、単に、「グラム」というだけでは、何らの品質評価もできない筈であり、五グラムあるいは七グラムというように、具体的数値がこれと結びついて、初めて評価基準となりうる筋合だからである。したがって本件審決が、その挙げたような理由から本願商標に、いわゆる特別顕著性なしとしたことは誤りというほかはない。