「TOURMALINE SOAP」、「トルマリンソープ」の文字を「トルマリンを配合してなるせっけん」に使用するときは、定商品に係る原材料名が、仮に登録査定時には、現実に使用されておらず、あるいは、一般には知られていない場合であっても、商標法3条1項3号に該当するとされた事例
【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高平成11年(行ケ)410号
【事案】
「TOURMALINE SOAP」、「トルマリンソープ」の文字を「トルマリンを配合してなるせっけん」に使用するときは、商標法3条1項3号に該当するとされた審決の取り消しを求めた事例。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第3号
【判決における判断】
本件証拠によると、せっけんの商品として、マイナスイオン及び遠赤外線の発生という効果を備えるトルマリンの特性を利用して、水にトルマリンを加えてミネラルイオン水としてこれを練り上げて製造したせっけんが「トルマリンソープ」と表示され、かつ、上記のようなトルマリンの特質を利用して製造した特別な効能のあるものとして原告により宣伝され販売されており、また、トルマリンを配合して製造したせっけんが「トルマリンソープ」と表示されて、原告以外の業者により、宣伝され販売されていることが認められる。さらに、せっけんの商品と需要者を共通にすると認められる化粧品の商品としてもトルマリンを基礎として製造された化粧品として、「トルマリン基礎化粧品」、「トルマリン化粧品」と表示されて原告以外の業者により開発され、マイナスイオンを発生させるトルマリンを基材とし優れた効能があるものとして宣伝されていることが認められる。
本願商標を指定商品である「トルマリンを配合してなるせっけん」に使用するときは、これに接する取引者、需要者に、その商品の原材料につきトルマリンが使用されているものであること(品質)を表示したものと認識させるにとどまるものであるとみるのが相当であり、出所の表示機能や自他商品の識別機能を果たすものではないというべきであるから、これと同旨の審決の認定判断に誤りはない。
なお、商標法3条1項3号の趣旨は、同号に列挙されている商標は、商品や役務の内容に関わるものであるために、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を有しないことが多く、また、これを特定人に独占させることは適切でないために登録することができないものとされていると解される。したがって、指定商品に係る原材料名が、仮に登録査定時には、現実に使用されておらず、あるいは、一般には知られていない場合であっても、将来原材料名として使用されて、取引者、需要者の間において商品の原材料名であると認識される可能性があり、また、これを特定人に独占させることは適切ではないと判断されるときには、右の原材料名は同号に該当すると解される。