商標「アスパ」と、引用商標は、「ASUPE」とは類似するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和41-7572
【事案】
本願商標は、「アスパ」の片仮名文字を楷書体で左横書きしてなり、第1類「薬剤およびそ
の他本類に属する一切の商品」を指定商品とするものである。これに対し、引用商標は、「A
SUPE」の欧文字をゴシック体で横書きし、その下部に「アスペ」の片仮名文字をやや小さ
く楷書体で左横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品とするもの
である。
【拒絶理由】
商標法第4条第1項第11号
【審決における判断】
よって判断するに、本願商標は「アスパ」の称呼が生じ、引用商標は「アスペ」の称呼が生
ずるものであることは明白である。そして、両商標はいずれも3音からなり、第1音「ア」と
第2音「ス」の2音を共通にし、第3音において「パ」と「ペ」の相違にすぎず、この相違は
全体がわずか3音からなり、一気に称呼することのできる短い称呼の両商標において、第1音、
第2音の「アス」の部分が比較的明瞭に聴取されるため、通常とかく聞きもらし易い語尾の第
3音が「パ」と「ペ」のパ行音の近似音であるから、電話又は口頭の取引において称呼上紛ら
わしく、互いに取違える可能性が充分あるということができる。また、両商標「アスパ」も「ア
スペ」も、共に一定の意味を理解し難い造語と認められるものであるから、その文字の有する
意味を理解することによって、その称呼上の区別を記憶するという方法も取れないので、取引
きに際し「アスパ」であったか「アスペ」であったか混乱し、記載の上においても称呼上混同
のおそれのある類似の商標といわなければならない。そうすると、両商標は、語尾音(第3音)
で上記のような相違があるとしても、全体の称呼において互いに紛らわしく、取引上混同誤認
を生じさせるおそれがある類似の商標というべきである。また、両商標の指定商品も互いに抵
触するものである。
したがって、本願商標は、商標法4条1項11号に該当する。