「魚や」「博多」「くいだおれ」の文字の組み合わせからなる本願商標と、引用商標1(「大阪」「名物」「くいだおれ」)、引用商標2(「大阪名物」「道頓堀」「くいだおれ」の文字を有する立体商標)とを比較すれば、「大阪」「名物」「道頓堀」には識別力がなく、「くいだおれ」の文字は飲食店名として使用例があっても第3条第1項第2号の慣用商標には該当せず、本願商標・引用商標からは「クイダオレ」の称呼と観念が生じ、第4条第1項第11号に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2007-3345
【審決日】
平成19年12月27日(2007.12.27)
【事案】
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成18年4月20日に登録出願し、その後、同19年3月27日付けの手続補正書により、第43類「博多産の魚を主とする飲食物の提供」に補正されたものである。

【拒絶理由】
商標法第4条第1項第11号
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第3180104号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「大阪」の文字と「名物」の文字を2段に書し、その右横に前記2段の文字の幅で大きく「くいだおれ」の文字を書してなり、平成4年8月24日に登録出願、第42類「うどん及びそば・すし・てんぷら料理・とんかつ料理・その他の日本料理の提供,西洋料理の提供,中華料理の提供,アルコ―ル飲料の提供,茶・コ―ヒ―・ココア・清涼飲料及び果実飲料の提供,パフェの提供,アイスクリ―ム及びシャ―ベットの提供,ヨ―グルトの提供」を指定役務として同8年7月31日に設定登録され、その後、同18年4月25日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。
同じく同第4365296号商標(以下、「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成10年6月3日に立体商標として登録出願、第9類「携帯電話機専用ストラップ,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置」、第14類「貴金属,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製宝石箱,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー」、第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,運動用具,スキーワックス,釣り具」、第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,一般廃棄物の収集及び分別,産業廃棄物の収集及び分別,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続の代理,通訳,翻訳,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,身の上相談,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,医業,医業情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,家畜の診療,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,家事の代行,編み機の貸与,ミシンの貸与,衣服の貸与,植木の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,会議室の貸与,展示施設の貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,鉱山機械器具の貸与,計測器の貸与,コンバインの貸与,祭壇の貸与,自動販売機の貸与,芝刈機の貸与,火災報知機の貸与,消火器の貸与,タオルの貸与,おしぼりの貸与,暖冷房装置の貸与,超音波診断装置の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,凸版印刷機その他の印刷用機械器具の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,布団の貸与,理化学機械器具の貸与,ルームクーラーの貸与,動力機械器具の貸与,風水力機械器具の貸与,冷凍機械器具の貸与,業務用調理機械器具の貸与,ガソリンステーション用装置の貸与(自動車の修理又は整備業のものを除く。),装身具の貸与,製図用具の貸与」を指定商品及び指定役務として、同12年3月3日に設定登録がなされたものである。(以下、これらhttps://shohyo-toroku.com/cgi-bin/mt336/mt-static/images/formatting-icons/underline.gifをまとめていうときは、「引用商標」という。)




審決における判断
本願商標は、別掲1のとおり「魚や」(「魚」の文字は、俗字で表されている。以下、同じ。)の文字を青色で縦書きにし、その文字の下部に、「博多」(「博多」の文字は、赤い枠線で囲まれている)の文字を赤色で横書きにし、「博多」の文字の左横に「くいだおれ」の文字を青色(「お」の文字だけは赤色)で縦書きにし、「く」及び「れ」の文字は他の文字に較べやや大きく表された構成よりなるところ、構成中の「魚や」の文字は、「魚類その他の海産物を売る店」(広辞苑第5版、株式会社岩波書店発行)の意味を有する「魚屋」を理解させるものであり、「博多」の文字は、九州の福岡市の中心部を形成する地域として全国的に知られている地名であることから役務の提供の場所を表したものと認識、理解されるものであって、それぞれの文字は、自他役務の識別標識としての機能は見出せないものといわざるを得ない。
そして、本願商標の構成中の「くいだおれ」の文字は、「飲み食いにぜいたくをして貧乏になること。」(広辞苑第5版、株式会社岩波書店発行)の意味合いを有し、本願指定役務の「飲食物の提供」との関係において、直ちに役務の質等を直接的、かつ具体的に表示しているものとはいい得ないから、自他役務の識別標識としての機能は十分に果たし得るというのが相当である。
そうすると、本願商標からは、「くいだおれ」の文字部分に相応して「クイダオレ」の称呼及び「飲み食いにぜいたくをして貧乏になること。」の観念が生ずるものと認められる。
他方、引用商標1は、上記のとおりの構成よりなり、構成中の「大阪」の文字は、「京都と共に二府の一」を意味し、「名物」の文字は、「すぐれた物。由緒あるもの。」(いずれも広辞苑第5版、株式会社岩波書店発行)の意味を有し、「大阪名物」の文字全体からは、「大阪のすぐれた物」の意味を有し、その土地のすぐれた物を表す語として「○○名物」の語が、普通に使用されていることから、自他役務の識別標識としての機能は見出し得ないものといわざるを得ない。
そうすると、引用商標1は、自他役務の識別標識としての機能を有する部分は、「くいだおれ」の文字にあるというのが相当であり、その文字に相応して「クイダオレ」の称呼及び「飲み食いにぜいたくをして貧乏になること。」の観念が生ずるものと認められる。
同じく引用商標2は、別掲2のとおり立体的形状中の太鼓の両面に「大阪名物」、「くいだおれ」及び「道頓堀」の文字を3列に縦書きした構成よりなるところ、立体的形状と文字部分とがそれぞれ独立して取引きに資されることも決して少なくないと見るのが相当である。
そして、引用商標2の構成中の「道頓堀」の文字は、大阪中央区の地名であり、特に食の街として全国的に知られている地名であることから、役務の提供場所であると理解、把握され、また、「大阪名物」の文字は、上記で述べたとおり、自他役務の識別標識としての機能は見出し得ないものと認められるから、引用商標2の文字部分において、自他役務としての識別標識を果たし得る部分は、中央に大きく表された「くいだおれ」の文字部分にあるというのが相当であり、該文字に相応して「クイダオレ」の称呼及び「飲み食いにぜいたくをして貧乏になること。」の観念が生ずるものと認められる。
そうすると、本願商標と引用商標とは、構成全体の外観において相違するとしても、「クイダオレ」の称呼及び「飲み食いにぜいたくをして貧乏になること。」の観念を同一にする類似の商標と認められ、かつ、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務中に包含されている類似の役務と認められるものである。
なお、請求人(出願人)は、本願商標の構成中の「くいだおれ」の語は、大阪の道頓堀界隈、ひいては大阪の街全体を示す名称として広く使用されているから、これを商標として使用しても、商標法第3条第1項第6号規定の「需要者が何人かの業務係る役務であるか認識することができない商標」に該当する。また、「くいだおれ」の語は、大阪の飲食店を営む同業者間に普通に使用された結果、役務出所機能、自他役務識別機能を失っており、商標法第3条第1項第2号の慣用商標に該当するものであり、商標としての機能を有しない旨主張し、資料1ないし4を提出している。
そこで検討するに、本願商標の構成中の「くいだおれ」の文字は、上記で述べたとおり、本願指定役務との関係において、直ちに役務の質等を直接的、かつ具体的に表示しているものとはいい難いものである。
また、「くいだおれ」の文字が、飲食店名として一部インターネット等で発見(提出資料2ないし3)されたとしても、それをもって直ちに、該文字が、本願指定役務を取り扱う業界において、普通に使用された結果、自他役務の識別標識としての機能を有しないものとはいい得ないことから、商標法第3条第1項第2号の慣用商標には該当しないというのが相当である。
なお、提出資料4は、福岡地方裁判所第一民事部の和解調書であり、その内容の一部に「ビジネス割烹博多くいだおれ」の商標出願(出願番号平成4年125559号)に関する和解条項が記載されているとしても、それをもって、本願商標と引用商標との類否判断に影響を及ぼすものとは認められないものである。
そうとすれば、本願商標の構成中の「くいだおれ」の文字についての前記請求人の主張は採用できない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
弁護士・司法書士のみが法律上できる業務を指定した商標「FORECAST」の図形商標が、出願人を名義変更届により司法書士のみにしたことから商標法第3条第1項柱書の拒絶理由は解消したが、引用商標「FORECAST」と類似するとして第4条第1項第11号に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2021-12337
【審決日】令和4年2月22日(2022.2.22)
【事案】
第1 手続の経緯
本願は、令和元年12月3日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年12月14日付け:拒絶理由通知書
令和3年1月19日受付:意見書
令和3年6月15日付け:拒絶査定
令和3年8月24日受付:出願人名義変更届
令和3年9月14日受付:審判請求書
第2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第45類「訴訟事件その他に関する法律事務,登記又は供託に関する手続の代理,行政手続の助言及び代理,遺言の執行,遺言書の保管,成年後見手続きの代理,官公署に提出する書類・権利義務に関する書類・事実証明に関する書類の作成及びそれらの手続の代理,戸籍・住民票などの公的証明書の取得に関する情報の提供,行政手続の代理又は助言,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介」を指定役務として、登録出願されたものである。

【拒絶理由】
原査定は、要旨以下のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
1 商標法第3条第1項柱書について
本願に係る指定役務は、弁護士ではなく、かつ、弁護士法人とは認められない法人である出願人が、業として行うことが禁止されている役務「訴訟事件その他に関する法律事務」、及び司法書士ではなく、かつ、司法書士法人とは認められない法人である出願人が、業として行うことが禁止されている役務「登記又は供託に関する手続の代理」を含むものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。
2 商標法第4条第1項第11号について
本願商標は、登録第6081210号商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似の商標であって、その商標に係る指定役務と同一又は類似の役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
なお、引用商標は、「FORECAST」の文字を標準文字で表してなり、平成30年1月9日に登録出願、第45類「法律・判例・特許・実用新案・意匠・商標その他の知的財産権に関する情報の提供,知的財産権・工業所有権に関する情報の調査・収集・管理・提供,外国における工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務,工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務に関する取次・仲介・助言及び情報の提供,外国における訴訟事件その他に関する法律事務,訴訟事件その他に関する法律事務に関する取次・仲介・助言及び情報の提供,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,知的財産権の利用に関する契約の代理又は媒介」並びに第9類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
審決における判断
1 商標法第3条第1項柱書について
当審において、出願人名義変更届が提出された結果、本願の請求人(出願人)は、原審における令和3年1月19日受付の意見書において、司法書士であることを証明した者のみとなった。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとした原査定の拒絶の理由1は解消した。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本願商標について
ア 本願商標は、別掲のとおり、ペン先及び見開きの本のような形状の一部が欠けた図形(それぞれ紫色又は橙色が施されている。以下「図形部分」という。)を配し、その右側に、図形部分と比して、2倍以上の幅で「FORECAST」の欧文字を橙色で顕著に横書きしてなる(以下「文字部分」という。)、図形と文字との結合商標である。
イ 本願商標の構成中、図形部分と文字部分は、重なること無く間隔を空けて配置され、文字部分の高さは図形部分の高さの半分程度であるところ、文字部分は図形部分の縦半分よりも下の位置に表されていることから、各部分の下端は同一線上にあるものではなく、各部分の幅も異なり、各部分は、等間隔で同一線上の横一列に配置されてはいないものである。
そうすると、本願商標の構成中、図形部分と文字部分は、視覚的に分離して観察され、外観上密接不可分な関係にあるとはいい難いものである。
ウ 本願商標の構成中、図形部分は、ペン先及び見開きの本のような形状の一部が欠けた図形からなるものの、デザイン化の度合いが高いものであって、それらの態様からは、直ちに特定の事物や文字を表すものとして把握されるといった事情は見いだせず、特定の称呼や観念が想起されるとは認め難いものである。
他方、本願商標の文字部分を構成する「FORECAST」の文字は、「予報。予想。」(ベーシックジーニアス英和辞典 株式会社大修館書店)の意味を有する英単語を大文字表記したものであって、当該文字に相応して、「フォーキャスト」の称呼を生じ、また、「予報。予想。」の観念が生じるものである。
また、当該文字部分は、本願商標の指定役務の質等を表す語であるなど、本願指定役務との関係において自他役務の識別標識としての機能を果たさないとみるべき事情はない。
エ 上記イ及びウを踏まえると、本願商標の構成中、図形部分と文字部分とは、外観上密接不可分な関係にあるとはいい難い上に、直ちに観念的な関連性を見いだすことができないものというのが相当であって、本願商標の構成中、図形部分と文字部分は、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難いものである。
オ してみると、本願商標の構成中から文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して、商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
カ したがって、本願商標は、その文字部分に相応して、「フォーキャスト」の称呼を生じ、また、「予報。予想。」の観念が生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「FORECAST」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「フォーキャスト」の称呼を生じ、また、「予報。予想。」の観念が生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
外観については、本願商標と引用商標とは、全体としては相違するものの、「FORECAST」の構成文字を共通にすることに加え、いずれも特徴のない一般的な書体で横書きに表されているから、両者は外観上、一定程度似かよった印象を与えるものといえる。
次に、称呼については、両者は「フォーキャスト」の称呼を共通にするものである。
さらに、観念については、両者は「予報。予想。」の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において一定程度似かよった印象を与えるものであり、称呼及び観念を共通にすることからすれば、これらの外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否
本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務中、第45類の指定役務と同一又は類似の役務である。
(5)まとめ
以上によれば、本願商標と引用商標とは、互いに類似する商標であり、かつ、本願商標の指定役務は引用商標の指定役務と同一又は類似の役務である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
(中略)
3 むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
本願商標「千鳥屋」の類似商標として、引用商標「千鳥屋」の指定役務が第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であることから第4条第1項第11号の拒絶理由が通知され、手続補正により本願指定商品を第30類「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」としたことが、第6条第1項の要件を具備せず第4条第1項第11号に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2021-4702
【審決日】平成30年6月26日(2018.6.26)
【事案】
本願商標は、「千鳥屋」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成28年4月7日に登録出願された商願2019-88759に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和2年2月26日に登録出願されたものである。
原審では、令和2年3月18日付けで拒絶理由の通知、同年5月7日受付で意見書及び手続補正書の提出、同3年1月7日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同年4月12日付けで本件拒絶査定不服審判が請求、同日受付及び同年10月25日受付で手続補正書が提出された。
本願の指定商品は、原審及び当審における上記の手続補正書により、別掲1のとおりの商品に補正された。
別掲1(本願の指定商品)
第30類「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」
【拒絶理由】
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5820605号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなるものであり、平成26年10月27日登録出願、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同28年1月22日に設定登録されたものである。

審決における判断
3 当審における審尋
(1)拒絶理由通知(商標法第6条第1項)
本願について拒絶の理由を発見したため、商標法第55条の2第1項で準用する同法第15条の2に基づきその理由を通知した。
すなわち、指定商品は、商標とともに権利範囲を定めるものだから、その内容及び範囲は明確でなければならないところ、本願の指定商品「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に含まれることもなく一般的な流通に供することもなく不特定の一般需要者に提供されることもなく特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。
したがって、本願は、商標法第6条第1項の要件を具備しない。
(2)証拠調べ通知(商標法第4条第1項第11号関連)
本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲3の事例を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき通知した。
4 請求人の回答
(1)拒絶理由通知について
本願の指定商品を、別掲1のとおりの商品に補正した。
別掲1(本願の指定商品)
第30類「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」
(2)証拠調べ通知について
本願の補正後の指定商品は、飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除いているため、別掲3の事例は、本願の指定商品とは非類似の取扱商品に関するものにすぎない。
したがって、本願商標は、引用商標とは類似の商標であるとしても、その指定商品及び指定役務は類似しないから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
5 当審の判断
(1)商標法第6条第1項
本願の指定商品は、別掲1のとおり、「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」である。
しかしながら、上記商品は、前段の「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子」から、後段の「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。」の表示により一定範囲の商品を除外しているところ、前段の表記から商品の種別(生菓子の一種)が把握できるとしても、後段の表記により除外する範囲は、飲食料品の小売等役務の取扱商品に係る「類似」の範囲の解釈に依存する(解釈次第では対象商品が消失する。)から、具体的にどのような生菓子を特定しているのか明確ではなく、客観的に商品の内容及び範囲が把握できない。
したがって、本願の指定商品は、商標の使用をする一又は二以上の商品を客観的な表示によって特定し、指定しているものとは認められず、商標法第6条第1項の要件を具備しない。
(2)商標法第4条第1項第11号
ア 本願商標と引用商標の類似
(ア)本願商標は、「千鳥屋」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は「千鳥」(チドリ目チドリ科の鳥の総称。たくさんの鳥。)の文字と「屋」(商業などを営んでいる家の屋号として用いる)の文字(参照:「大辞泉 第2版」小学館)を、間隔なく、横一列に、まとまりのよい構成で表してなるもので、全体として「千鳥屋」なる屋号を表してなるとの印象を与えるが、特定の意味を有する成語となるものではない。
そうすると、本願商標は、「チドリヤ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(イ)引用商標は、「千鳥屋」の文字を縦書きしてなるところ、その構成文字を共通にする本願商標と同様に、全体として「千鳥屋」なる屋号を表してなるとの印象を与えるが、特定の意味を有する成語となるものではない。
そうすると、引用商標は、「チドリヤ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(ウ)本願商標と引用商標を比較すると、外観については、構成文字の表示態様(横書きと縦書き)の差異はあるものの、構成文字(千鳥屋)を全て共通にするから、極めて近似した印象を与えるもので、また、称呼については、称呼(チドリヤ)を全て共通にするから、非常に相紛らわしく、さらに、観念については、いずれも特定の観念が生じないものの、特定の屋号(千鳥屋)を表してなるとの印象において共通する。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念が与える印象、記憶等を総合して全体的に考察すると、これを同一又は類似の商品又は役務について使用するときは、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるから、類似する商標というべきである。
イ 本願の指定商品と引用商標の指定役務の類似
(ア)本願の指定商品は、別掲1のとおり、「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」であるところ、その内容及び範囲が客観的に把握できないが、仮に対象商品が存在するとすれば、「生菓子」の一種であるといえる。
そして、「生菓子」は、「水分の多い、主として餡類を用いた菓子。餅菓子・饅頭・羊羹など。」(参照:「広辞苑 第7版」岩波書店)であって、和生菓子製造業者によって生産され、和菓子小売業者を含む飲食料品小売業者によって店舗や通信販売等を通じて販売されるもので、一般消費者を需要者とするものである。
(イ)引用商標の指定役務である「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、飲食料品(生菓子を含む。)を取扱商品とする小売等サービスであって、和菓子小売業者を含む飲食料品小売業者によって店舗や通信販売等を通じて提供されるもので、一般消費者を需要者とするものである。
(ウ)本願の指定商品と引用商標の指定役務を比較すると、取扱商品(飲食料品である生菓子)、販売・提供事業者(和菓子小売業者)、商品の販売場所や役務の提供場所(店舗や通信販売)、需要者(一般消費者)を共通にするものである。
また、別掲3のとおり、同一の事業者が、「上生菓子」を製造・販売すると同時に、菓子を含む飲食料品の小売販売をすることも一般的であって、いわゆる製造小売の業態で、同一の事業者(和生菓子製造業者、かつ、和菓子小売業者)による商品の製造及び販売並びに小売等役務の提供がされている実情がある。
そうすると、本願の指定商品は、引用商標の指定役務とは、取扱商品、販売・提供事業者、流通経路、需要者の共通性、さらには製造小売に係る取引の実情を踏まえると、同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあるから、互いに類似するというべきである。
ウ 請求人の主張
(ア)請求人は、茶席菓子の注文は、見積りの日から2~3週間から1~2か月の余裕をもって、菓子製造業者が直接注文を受け、商品を納品しているのであって、このような注文方法や納品方法は、引用商標の指定役務を提供する業者は行っていないのが実情であること、また、本願の指定商品と引用商標の指定役務は、商品の製造・販売と役務の提供がそれぞれ異なる事業者により行われ、商品と役務の用途、商品の販売場所と役務の提供場所、需要者の範囲がそれぞれ一致しておらず、全体として非類似である旨を主張する。
しかしながら、上記イ(ウ)のとおり、同一の事業者が、「上生菓子」を製造・販売すると同時に、菓子を含む飲食料品の小売販売をすることも一般的であって、製造小売の業態で、同一の事業者による商品の製造及び販売並びに小売等役務が提供されている実情がある。
また、本願の指定商品と引用商標の指定役務は、上記イ(ウ)のとおり、取扱商品(飲食料品である生菓子)、販売・提供事業者(和菓子小売業者)、商品の販売場所や役務の提供場所(店舗や通信販売)及び需要者(一般消費者)を共通にする。
そうすると、本願の指定商品は、引用商標の指定役務とは、同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあるから、互いに類似するというべきである。
(イ)請求人は、本願の指定商品は、食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除いているため、別掲3の事例は、本願の指定商品とは非類似の取扱商品に関する事例を例示するにすぎない旨を主張する。
しかしながら、本願の指定商品は、客観的に商品の内容及び範囲が把握できないが、「生菓子」の一種であるとはいえるところ、別掲3の事例は、「生菓子」の一種の商品に係る取引の実情を示すものであるから、本願の指定商品(生菓子の一種)に係る取引の実情として考慮することに特段の問題はない。
エ 以上のとおり、本願商標は、引用商標とは、同一又は類似する商標であって、かつ、その指定商品は引用商標の指定役務と類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)結論
以上を踏まえると、本願の指定商品は、商標法第6条第1項の要件を具備せず、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
「アトミン」と「Atomin」の文字を二段書きした商標と、「ATAMIN」と「アタミン」の文字を二段書きした商標とは類似するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和45-9989
【事案】
本願商標は、「アトミン」と「Atomin」の文字を二段に横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品とするものであるのに対し、引用商標は、「ATAMIN」と「アタミン」の文字を二段に横書きし、第1類「化学品、薬剤および医療補助品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第4条第1項第11号
審決における判断
本願商標と引用商標の比較をすると、本願商標からは「アトミン」、引用商標よりは「アタミン」の称呼を生じ、ともに4音の構成よりなるところ、「ア、ミ、ン」の3音を共通にし、第2音において「ト」と「タ」の差異を認めることができる。しかしながら、異なる「ト」と「タ」は50音中の「タ」行に属する近似音であるために、これらをそれぞれ一連に称呼するときは、その語韻、語調が著しく近似するので両者を明確に聴別し難く、商取引の上で彼此相紛れるおそれがあるというべきであるから、この点において、両商標は称呼上類似するものと認めるを相当とするし、また、その指定商品をみても相抵触することが明らかである。
してみれば、本願商標は、商標法4条1項11号に該当する。
商標「アスパ」と、引用商標は、「ASUPE」とは類似するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和41-7572
【事案】
本願商標は、「アスパ」の片仮名文字を楷書体で左横書きしてなり、第1類「薬剤およびその他本類に属する一切の商品」を指定商品とするものである。これに対し、引用商標は、「ASUPE」の欧文字をゴシック体で横書きし、その下部に「アスペ」の片仮名文字をやや小さく楷書体で左横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第4条第1項第11号
審決における判断
よって判断するに、本願商標は「アスパ」の称呼が生じ、引用商標は「アスペ」の称呼が生ずるものであることは明白である。そして、両商標はいずれも3音からなり、第1音「ア」と第2音「ス」の2音を共通にし、第3音において「パ」と「ペ」の相違にすぎず、この相違は全体がわずか3音からなり、一気に称呼することのできる短い称呼の両商標において、第1音、第2音の「アス」の部分が比較的明瞭に聴取されるため、通常とかく聞きもらし易い語尾の第3音が「パ」と「ペ」のパ行音の近似音であるから、電話又は口頭の取引において称呼上紛らわしく、互いに取違える可能性が充分あるということができる。また、両商標「アスパ」も「アスペ」も、共に一定の意味を理解し難い造語と認められるものであるから、その文字の有する意味を理解することによって、その称呼上の区別を記憶するという方法も取れないので、取引きに際し「アスパ」であったか「アスペ」であったか混乱し、記載の上においても称呼上混同のおそれのある類似の商標といわなければならない。そうすると、両商標は、語尾音(第3音)で上記のような相違があるとしても、全体の称呼において互いに紛らわしく、取引上混同誤認を生じさせるおそれがある類似の商標というべきである。また、両商標の指定商品も互いに抵触するものである。
したがって、本願商標は、商標法4条1項11号に該当する。
「VANCOCIN」と「バンコシン」の文字を併記した商標と、と「BUNCOMIN」「バンコミン」の文字を併記した引用商標とは類似するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和44-7247
【事案】
本願商標は、「VANCOCIN」と「バンコシン」の文字を併記してなり、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品とするものである。
これに対し、引用商標は、「BUNCOMIN」「バンコミン」の文字を併記してなり、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第4条第1項第11号
審決における判断
よって、本願商標と引用商標とを比較検討するに、前者からは「バンコシン」の称呼を生ずるのに対し、後者からは「バンコミン」の称呼を生ずること明らかである。
そうすると、両商標の称呼は共に5音中4音を共通にし、第4音において「シ」と「ミ」の音を異にするけれども、これらの音は「イ」の母音を共通にした近似音であり、両商標をそれぞれ一連に称呼するときには語韻語調彼此相紛らわしく簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、誤認混淆を生ぜしめるおそれのある類似の商標といわなければならない。また、両商標の指定商品も互に牴触するものであること明らかである。
したがって、本願商標は、商標法4条1項11号に該当する。
商標「スチッパー」と引用商標「SKiPPER」とは類似するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和40-1651
【事案】
本願商標は、「スチッパー」の文字を横書きしてなり、第12類「輸送機械器具その部品及び附属品(他の類に属するものを除く。)」を指定商品とするものである。
これに対して、引用商標は、「SKiPPER」の文字を横書きしてなり、第12類「水中翼船並びにその他本類に属する商品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第4条第1項第11号
審決における判断
よって判断するに、本願商標は「スチッパー」、引用商標は「スキッパー」の称呼を生ずること明らかであり、異なる音は第2音の「チ」と「キ」である。
そして、異なる第2音は母音を共通にし、かつ口蓋化の現象があって、前者は破擦無声子音、後者は破裂無声子音となる微差にすぎない。
してみれば、両商標は、第2音が上記の通り近似し、他の音節を共通にするから、それぞれ一連に発音する場合、全体としての語音、語調が近似し、称呼上彼此相紛らわしい類似の商標である。また、両商標は、その指定商品についても抵触すること明らかである。
したがって、本願商標は、商標法4条1項11号に該当する。
「valentino universale」は「VALENTINO」と類似するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成6-17388
【事案】
本願商標は、「valentino universale」のローマ字を横書きしてなり、第18類「かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ」を指定商品として、平成4年8月25日に登録出願されたものである。
【拒絶理由】
原審において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、拒絶の理由に引用した登録商標は、「VALENTINO」のローマ字を横書きしてなり、旧第21類「宝玉、その他本類に属する商品、但し、かばん類、袋物を除く」を指定して、昭和45年4月16日登録出願、同47年7月20日登録に係る登録第972813号商標(以下「引用商標1」という。)及び「Universal Beauty」のローマ字及び「ユニバーサルビューテイ」片仮名文字とを二段に横書きしてなり、旧第21類「かばん類、袋物」を指定して、昭和57年4月23日登録出願、平成3年1月31日登録に係る登録第2296544号商標(以下「引用商標2」という。)であり、いずれも有効に存続するものである。
審決における判断
(1)本願商標は前示のとおりの構成からなるところ、「valentino universale」は、外観的に観たときは「valentino」と「universale」の各文字部分よりなるものであり、称呼的にも本願商標全体より生ずる「ヴァレンチノユニバーサル」は冗長であるのに対して、観念的には、両文字の結合により特定の観念はもとより熟語的意味合いをも生ずるものとは認められないものである。
そうとすれば、本願商標は、これを指定商品について使用するときは、常に一体のものとして観なければならないものではなく、取引者、需要者は、前半部の「valentino」又は後半部の「universale」の各文字部分をもって、当該商品の識別に当たるときも少なくないというべきである。
加えて、前半部の「valentino」の文字は、イタリアのデザイナーヴァレンチノ・ガラヴァーニのデザインに係るファッシヨン関係商品について使用している周知、著名な商標又は同人の著名な略称と同一の綴りのものと認められるものである(田中千代「服飾事典」同文書院 1981年4月発行550頁、文化出版局「服飾辞典」昭和63年9月発行64頁及び付録29頁)から、なおさら前半部の「valentino」の文字部分のみが注目されるというべきである。
してみれば、本願商標は、「ヴァレンチノユニバーサル」の称呼の外に、「valentino」の文字部分より「ヴァレンチノ」の称呼及び「イタリアのデザイナーヴァレンチノ・ガラヴァーニ」の観念をも生ずるものと認められる。
また、後半部の「universale」の文字は、わが国において、「宇宙の、全世界の」等を意味する外来語としても親しまれているものであるから、本願商標は、後半部の「universale」の文字部分より、英語読み風に「ユニバーサル」の称呼及び「宇宙の、全世界の」等の観念をも生ずるものと認められる。
他方、引用商標1の構成は前示のとおりで、これよりは「ヴァレンチノ」の称呼及び「イタリアのデザイナーヴァレンチノ・ガラヴァーニ」の観念を生ずるものと認められる。
また、引用商標2の構成は前示のとおりであるところ、その後半部の「Beauty」「ビューテイ」の文字は「美や美しいこと」を意味する外来語として広く親しまれているものであり、引用商標2に係る指定商品との関係では識別性に乏しい文字であり、これを指定商品について使用するときは、前半部の「Universal」、「ユニバーサル」の文字部分により当該商品の識別に当たる場合も少なくなく、引用商標2は、「ユニバーサル」の称呼及び「宇宙の、全世界の」の観念をも生ずるものと認められる。
してみれば、本願商標と引用商標1及び同2とは、称呼及び観念を同じくする類似の商標というべきである。
そして、本願商標と引用商標1及び同2とは、それらの指定商品についても、同一又は類似のものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるといわなければならない。
なお、請求人は、「ヴァレンチノ」がイタリア人の姓としてありふれていることなど及び他の登録例を挙げて、本願商標は全体が一体不可分ものである旨主張するが、指定商品との関係において観察するときは前示の認定、判断のとおりであり、また、既登録例は判断時期等が同じでない上に、当合議体は登録例に拘束されるものではないから、その主張は採用することができない。
4 結論
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
「瀬里奈のうどんすき」は「うどんすき/ウドンスキ/UDONSUKI」と類似する、ただし「うどんすき」は商品の普通名称であるとまではいえないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和42-9097
【事案】
「瀬里奈のうどんすき」は、「うどんすき/ウドンスキ/UDONSUKI」と類似するか否か。
「うどんすき」は商品の普通名称であるか否か。

引用商標 登録第553621号
株式会社美々卯
【拒絶理由】
本願商標は、ゴシック体で「瀬里奈のうどんすき」の文字を一連に左横書きしてなり(この文字中「の」の文字は他の文字に比して小さく表している)、第32類食肉、卵、食用水産物、野菜果実、加工食料品(他の類に属するものを除く。)を指定商品とし、昭和38年商標登録願第37871号(登録第660143号)商標に連合するものとして昭和38年9月6日登録出願がなされたものである。その後請求人(出願人)は原審において昭和39年10月24日附手続補正書を提出して、その指定商品を第32類うどんすきと補正した。
これに対し原査定が、その拒絶の理由において引用した(登録意義の申立についての決定理由に引用した)登録第553621号商標は、商標を表示する書面の中央に草書体で「うどんすき」の文字を縦書きし、この文字の左側に「ウドンスキ」の片仮名文字、右側に「うどんすき」の平仮名を同じく縦書きし、また、これら文字下にローマン体で「UDONSUKI」のローマ字を書してなるもので、旧第45類他類に属しない食料品及加味品を指定商品として昭和33年9月5日出願、同35年7月29日登録がなされたものである。
審決における判断
そこで、両商品の類否について検討するに、両者の構成は前記したとおりであるから、外観の点においては互いに区別することのできる差異を有するものと認められる。
しかしながら、これを称呼上からみるときは、本願商標を構成する文字中の「瀬里奈」の文字は請求人(出願人)の商号の略称としてこの種業界において相当に認識されていることが(テレビの放映、その他の宣伝等によって)認められる。そうとすれば該文字は、この文字に続けてなる「うどんすき」の文字との間に「の」の接続詞が介在することも勘案すれば「瀬里奈」の文字は「うどんすき」の文字との関係において「うどんすき」のハウスマーク的な意味において解かせられることは社会通念に照し相当とするから、本願商標からは、請求人もいうように、その商標の構成に照し「セリナノウドンスキ」としての一連の称呼が生じえないではないとしても、上記したように「瀬里奈の」の文字がハウスマーク的なものとして取引者需要者ををして認識せしめる場合があることも否定しえない場合もあるし、また本願商標は比較的に冗長にわたる文字構成にかかること等から、これを分離して観察せられる場合があることも経験則に照らし相当する。よって、本願商標からは単に「ウドンスキ」の称呼をも生ずるものであるというべきである。他方、引用商標は、その構成に徴して商標を表示する書面の中央部分に書かれた「うどんすき」の文字が「ウドンスキ」と読み取り難い特殊な態様からなるものでもないし、加えて、この文字の左右両側および下部に書かれた文字が「ウドンスキ」と判然と読める文字を配してあること等を考え合せれば、これが商標からは「ウドンスキ」以外の称呼が生じえないことは明白である。
したがって、両商標は、その観念の異動について論及するまでもなく、称呼の点において取引上誤認混同を生ずるおそれ十分な類似の商標たるを免れない。かつ、両者の指定商品において牴食するところがあるから本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、これを登録することができない。
なお、請求人は本願商標中の「うどんすき」なる語は、商品の普通名称であると主張して種々証拠を提出しているが、一方商標中の「うどんすき」」なる文字については、本願の登録異議の決定の理由において「・・・・・・たまたま“うどんすき”が“うずらそば”と同列に記述されていたとしても、それは登録異議申立人が記述したものであって、そのこと自体商標の普通名称化防止についての商標管理において適切でなかったとしても、この事実のみでは「うどんすき」が普通名称あるいは商品名として普通に使用されていたものとは必ずしも認めるに足る資料ということができない。また婦人雑誌(例えば料理百科)等において“うどんすき”がどのようなものであるかその品質を説明しているが、これを直ちに普通名称として断定することはできない。なんとなれば、これを「料理百科」類について仮令「名」を表示されていても、それが著名であれば、普通名称であるか商標であるかを見極めることが極めて至難のことであって、等しく「名」のもとに一括採択されることは、これ等“料理百科”類の編集において往々にして認められるところである。したがって「名」のもとに集録されているとしても、それをもって直ちに普通名称と断定することはできない。」と説示しているが、上記認定のとおりであって、その他これを覆えすに足る資料はないといわざるをえない。
よって結論のとおり審決する。
サプリメントについて「加工野菜及び加工果実・加工水産物を主成分として成る粒状・粉状・丸剤状・カプセル状の加工食品」と補正し、拒絶理由を解消した事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2002-24930
【事案】
本願商標は、「アミノサプリ」の片仮名文字を横書きしてなり、第29類「加工野菜及び加工果実、加工水産物、動物エキス、植物エキスを主成分として成る粒状、粉状、丸剤状、カプセル状 、液状の健康補助作用を有する加工食品」を指定商品として、平成14年1月25日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、同16年1月9日付け手続補正書により補正され、さらに、同16年1月20日付け手続き補正書により「加工野菜及び加工果実・加工水産物を主成分として成る粒状・粉状・丸剤状・カプセル状の加工食品」と補正されたものである。
【拒絶査定の理由】
原査定は、「(1)本願商標は、登録第4613564号商標及び登録第4601878号商標(これらの登録商標をまとめて、以下「引用商標」という。)と同一又は類似の商標であって同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。(2)指定商品は、商標とともに権利範囲を定めるものであるから、その内容及び範囲は明確でなければならないところ、この商標登録出願に係る指定商品『加工野菜及び加工果実、加工水産物、動物エキス、植物エキスを主成分として成る粒状、粉状、丸剤状、カプセル状 、液状の健康補助作用を有する加工食品』は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。また、前記指定商品が不明確でその内容及び範囲が把握できないことから、政令で定める商品及び役務の区分に従って商品を指定したものと認めることもできない。したがって、この商標登録出願は、商標法第6条第1項及び同第2項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
審決における判断
本願商標は、その指定商品について前記1のとおり補正された結果、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品は、すべて削除されたと認められるものであるから、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似しない商品となったものであり、また、指定商品の表示についても、その内容及び範囲が明確になったものである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、かつ、同法第6条第1項及び同第2項の要件を具備しないとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

