「ハイチーム」の文字は、「高級な酵素」または「高級な酵素製剤」の観念をもつにいたるほど、強い観念表示力を備えた語であるとは考えられず、いささか商品の品質、性能を暗示する要素をもちながら、なお商品の出所表示力を具備するため、商標法3条1項3号に該当しないとされた事例
【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高昭和45年(行ケ)第61号
【事案】
本願商標は、下記に表示したとおり「ハイチーム」の文字よりなり、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第3号
【判決における判断】
「チーム」という語が、接尾語でなく単独に「酵素」または「酵素製剤」を意味する語として用いられることはなく、「~チーム」の形で、しかも商品名として用いられることがあるにとどまること、また一般に当業界において、「高級な酵素」または高級な酵素製剤を表現することばとして、「ハイ」と「チーム」の語を組み合わせて用いる用語例が存在することを認めるに足る証拠もない。また、本願商標の構成を外観および称呼の面からみるならば、商標としての各文字の不可分一体性がきわめて強いものであること等の事情を考慮すれば、「ハイチーム」の語は、これに接する取引者、需要者の一般が、直ちに「ハイ」の部分と「チーム」の部分にわけて印象づけられ、そこから「高級な酵素」または「高級な酵素製剤」の観念をもつにいたるほど、強い観念表示力を備えた語であるとは考えられず、いささか商品の品質、性能を暗示する要素をもちながら、なお、他の多くの「~チーム」の商標に伍して、商品の出所表示力を具備する商標であると認められるのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当しない。