マレーシア政府が商品「茶」や役務「工業上の分析及び調査」等について使用する監督用の印章または記号であって経済産業大臣が指定するものと同一または類似の商標であり、同一または類似の商品・役務について使用する商標であり、商標法第4条第1項第5号に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2021-8337
【審決日】令和4年5月18日(2022.5.18)
【事案】
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第5類,第10類,第29類,第30類,第32類,第42類及び第43類に属する願書記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,上記1のとおり商標登録出願されたものであり,その指定商品及び指定役務については,上記1の手続補正書により,第29類「食肉,魚,家きん肉,食用鳥獣肉,肉エキス,肉製品,砂糖漬けしたしょうが,加工野菜及び加工果実,食用ゼリー,肉ゼリー,ゼリー状フルーツ,ジャム,コンポート,卵,乳製品,食用油脂,魚のすり身を薄く揚げたクラッカー,食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物,乾燥ココナッツ,ココナッツバター,ココナッツミルク,ココナッツミルクを主原料とする飲料,ココナッツの加工品,乾燥唐辛子,魚のペースト,肉のペースト,食用鳥獣肉のペースト,野菜のペースト,ナッツのペースト,大豆,保存加工をした大豆」と補正されたものである。

【拒絶理由】
原査定は,「本願商標は,マレーシア政府が商品『茶』や役務『工業上の分析及び調査』等について使用する監督用の印章又は記号であって経済産業大臣が指定するもの(平成26年9月26日経済産業省告示196号)と同一又は類似の商標であり,かつ,前記商品・役務等と同一又は類似の商品・役務について使用するものと認める。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第5号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

審決における判断
(1)商標法第4条第1項第5号該当性について
ア 商標法第4条第1項第5号は,「日本国又はパリ条約の同盟国,世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であつて,その印章又は記号が用いられている商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をするもの」は,商標登録を受けることができない旨規定するものであり,同項第2号(国の紋章その他の記章)及び同項第3号(国際連合その他の国際機関の標章)と共に,工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約[昭和50年3月条約第2号](以下「パリ条約」という。)第6条の3の義務を履行するための公益保護を旨とする不登録事由である(甲3)。
そして,パリ条約第6条の3(1)(a)は,「同盟国は,同盟国の国の紋章,旗章その他の記章,同盟国が採用する監督用及び証明用の公の記号及び印章並びに紋章学上それらの模倣と認められるものの商標又はその構成部分としての登録を拒絶し又は無効とし,また,権限のある官庁の許可を受けずにこれらを商標又はその構成部分として使用することを適当な方法によつて禁止する。」と規定され,その理由は「そのような商標の登録又は使用が,主権の象徴の使用を管理する国家の権利を侵すものであり,さらにそのような商標の付された商品の出所に関して公衆を誤認させるかもしれないから」であり(「注解パリ条約/GUIDE TO THE PARIS COVENTION FOR THE PROTECTION OF INDUSTRIAL PROPERTY」AIPPI・JAPAN),また,「その目的は,工業所有権の対象としての保護というよりは,特定の状況の下ではそのような対象となることから排除しようというものである。」(前掲書)。
さらに,パリ条約第6条の3(3)(a)は,「 (1)及び(2)の規定を適用するため,同盟国は,国の記章並びに監督用及び証明用の公の記号及び印章であつて各国が絶対的に又は一定の限度までこの条の規定に基づく保護の下に置くことを現に求めており又は将来求めることがあるものの一覧表・・・を,国際事務局を通じて,相互に通知することに同意する。各同盟国は,通知された一覧表を適宜公衆の利用に供する。」とし,これにより,「同盟国・・・が,記章などに関して,商標として登録及び使用を排除するためにある種の通知をすることを要求しあるいは許容している。」ものである(前掲書)。
イ そこで検討するに,本願商標は,別掲1のとおりの構成からなるところ,当該商標は,上記パリ条約第6条の3(3)により,世界知的所有権機関(以下「WIPO」という。)の国際事務局から通知され,商標法(昭和34年法律第127号)第4条第1項第5号の規定に基づき,経済産業大臣が指定,告示した「マレーシアの監督用又は証明用の印章又は記号指定」(平成26年9月26日経済産業省告示第196号:別掲2)に係る標章とその構成を同一にするものである。
また,本願商標の上記1の補正後の指定商品「食肉,魚,家きん肉,食用鳥獣肉,肉エキス,肉製品,砂糖漬けしたしょうが,加工野菜及び加工果実,食用ゼリー,肉ゼリー,ゼリー状フルーツ,ジャム,コンポート,卵,乳製品,食用油脂,魚のすり身を薄く揚げたクラッカー,食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物,乾燥ココナッツ,ココナッツバター,ココナッツミルク,ココナッツミルクを主原料とする飲料,ココナッツの加工品,乾燥唐辛子,魚のペースト,肉のペースト,食用鳥獣肉のペースト,野菜のペースト,ナッツのペースト,大豆,保存加工をした大豆」は,上記経済産業大臣が指定する印章又は記号が用いられている商品及び役務(別掲2)中,少なくとも「食肉。魚。家禽肉及び食用鳥獣肉。肉エキス。保存処理、乾燥処理及び調理をした果実及び野菜。ゼリー。ジャム。コンポート。卵。ミルク及び乳製品。食用油脂。加工水産物。米。大豆。ミネラルウォーター。炭酸水及びアルコールを含有しないその他の飲料。果実飲料及び果汁」と同一又は類似の商品である。
ウ そうすると,本願商標は,マレーシアの政府又は地方公共団体の監督用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一の商標であって,その印章又は記号が用いられている商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから,商標法第4条第1項第5号に該当する。

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