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3条1項3号審決例) | 3条2項審決例):商標「オリーブ牛」は、本願の指定商品との関係において「オリー…

商標「オリーブ牛」は、本願の指定商品との関係において「オリーブを使用した飼料で肥育した牛肉」という商品の品質を表示したものと認識され、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、発売から12年間にわたりテレビ、新聞、雑誌、インターネット等において多数紹介され、出願人の業務に係る商品を表示するものとしての需要者の間に広く認識され、第3条第2項の要件を具備するとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2022-6133
【審決日】令和5年2月28日(2023.2.28)
【事案】
本願商標は、「オリーブ牛」の文字を標準文字で表してなり、第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、前記第1の手続補正により、第29類「オリーブを使用した飼料で肥育した牛肉」に補正されたものである。

【拒絶理由】
本願商標は、「オリーブ牛」の文字を標準文字で表してなるところ、本願の指定商品を取り扱う業界において、「飼料の原料」と「牛」の文字を組み合わせた「○○牛」の文字が使用されている実情及びオリーブが飼料に利用されている実情を踏まえれば、本願商標は、「オリーブを混ぜた飼料で育てた牛」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そうすると、本願商標を、その指定商品に使用したときは、これに接する需要者は、「オリーブを使用した飼料で肥育した牛肉,オリーブを使用した飼料で肥育した牛肉を使用した肉製品」ほどの意味合いを認識するにとどまるから、本願商標は、商品の品質、原材料を表示するものであり、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、出願人は、本願商標は、長年の使用の結果、全国的に広く知られるに至っている商標である旨主張するが、パンフレットやチラシに表示されているものは、筆書き風の文字が多く、商品に付されるラベルは、オリーブの図形と共に表されているから、本願商標と同一の商標とはいえない。そして、本願商標を付した商品の販売数量及び販売額並びにこれらの市場占有率は明らかではなく、全国的に流通しているものとはいえない。
したがって、本願商標は使用をされた結果需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができるものとはいえないから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものではない

審決における判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、前記第2のとおり、「オリーブ牛」の文字を標準文字で表してなるものである。
ところで、本願の指定商品を含む牛肉を取り扱う業界においては、肉質の改善を図るために工夫した飼料を家畜に与え、与える飼料の原料名を「牛」の文字に冠して「ハーブ牛」、「もち米牛」、「ワイン牛」、「パイン牛」などと称している実情がある(別掲1(1)及び(2)、別掲2参照)。また、畜産業界及び養殖業界においては、オリーブを使った飼料を与えて豚や魚を飼育、養殖することが行われている実情もある(別掲1(3)、別掲3参照)。
そうすると、「オリーブ牛」の文字は、本願の指定商品「オリーブを使用した飼料で肥育した牛肉」との関係において、その取引者、需要者が「オリーブを使用した飼料で肥育した牛肉」であることを表示したもの、すなわち商品の品質を表示したものと認識するにすぎないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

請求人は、仮に、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、長年にわたり本願商標を使用した結果、現実の取引の場で十分に自他商品識別機能を発揮するに至っている商標である旨主張し、その証拠方法として、原審ないし当審を通じて第1号証ないし第18号証(枝番号を含む。)を提出している(本審決においては、以下、当該第1号証ないし第18号証(枝番号を含む。)を、順次、甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。)と読み替えるものとする。なお、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)。
そこで、請求人の提出に係る甲各号証について、以下検討する。

(1)本願商標と使用商標との同一性
本願商標は、前記第2のとおり、「オリーブ牛」の文字を標準文字で表してなるものである。
他方、請求人が自己の生産販売に係る牛肉のリーフレット、パンフレット、請求人に係るウェブサイト上において使用する商標は、「オリーブ牛」の文字を、(a)専ら明朝体やゴシック体等、一般的に用いられる書体で表してなるもの(以下「使用商標」という。また、使用商標を用いた請求人の生産販売に係る牛肉を、以下「請求人商品」という。)と、(b)筆書き風の態様で表したもの又はそれにオリーブの実の図形を付加したもの(商標登録第5427961号(甲2)を含む。)がある(甲2、甲3の1ないし甲3の7、甲3の10、甲6~甲14)。
そうすると、(b)の態様については、外観において相当程度に相違しており、実質的に本願商標の使用に当たるということはできないものの、本願商標と(a)の使用商標とは、外観において同視できるものであり、同一性を有するものと認められる。

(2)使用商標の使用状況

ア 使用開始時期及び使用期間について
2010年に小豆島の畜産業者が発明した「乾燥オリーブ粕粉末を含む飼料の製造方法」(特許第6298706号、甲2)により製造された飼料を、「讃岐牛」(商標登録第5581767号、甲2)に与えたところ、オレイン酸の数値が高い上質な牛肉が完成し、同年5月に生産者ブランド「小豆島オリーブ牛」が誕生した。その後、当該「小豆島オリーブ牛」を香川県のブランド牛とすることとなったため、2011年3月に名称を「オリーブ牛」に変更し、それ以降、約12年にわたり、請求人は、使用商標を継続的に使用していることが認められる(甲2、甲3の1ないし甲3の7、甲3の10、甲6~甲14)。

イ 出荷頭数及び販売地域
2011年に「オリーブ牛」が誕生した際には、出荷頭数は550頭、生産者は30戸であったが、その後に漸増し、2018年及び2019年の出荷頭数は2335頭及び2229頭であり、現在の生産者は67戸である(甲2、甲3の1、甲3の2、甲5の22)。
また、請求人商品は、香川県を中心に、兵庫県や大阪府、東京都等に存する100店以上の指定登録店等を通じて販売されているほか、インターネットを通じて全国に販売されている(甲2、甲15、甲16の3、甲17の1~甲17の4)。

ウ 広告宣伝等の方法、期間、地域及び規模
請求人は、2011年3月に「オリーブ牛」の発売を記念したフェアを開催したのを皮切りに、試食販売イベント、百貨店における「オリーブ牛フェア」、飲食店や精肉店向けセミナー(香川県、大阪府、東京都等)等の開催、展示商談会等への出展(甲6~甲14、甲17の5~甲17の7)のほか、「オリーブ牛」公式ホームページ(甲2)、パンフレットやリーフレット(甲3)の作成、雑誌への広告掲載(甲5の8、甲5の31)等を通じて、請求人商品の広告宣伝活動を行っている。なお、請求人商品の広告宣伝のために、2012年に、請求人や香川県等からなる任意団体「讃岐牛・オリーブ牛振興会」(以下「振興会」という。)が設立され、以降は、当該振興会が香川県のバックアップのもと、同年は香川県内において、翌年は関西圏において、翌々年は首都圏において、さらにその後は海外において、請求人商品の普及活動を行う等、「オリーブ牛」のブランド管理を行っている(甲2、甲13)。

エ 受賞歴
請求人商品は、2012年10月に、第10回全国和牛能力共進会(5年に1度開催される、全国規模の黒毛和種の品評会)において、去勢肥育牛(第9区)の優等賞、一等賞を受賞したほか、2017年9月に、第11回の上記共進会において、特別賞「脂肪の質賞」を受賞した(甲2、甲7)。

オ 第三者による紹介
請求人商品は、発売開始当初から、種々のテレビ、ラジオ、新聞、書籍、雑誌、インターネット等で紹介されていることがうかがえ、例えば、書籍、雑誌において、「オリーブ牛」に関する特集記事が、以下のように継続的に掲載されている(甲4~甲14)。
(ア)「TOKYO「旨い肉料理」」(2011年9月1日発行)において、「「旨い肉料理」が推薦する“日本のブランド牛”味の競演」の見出しの下、山形牛、米沢牛、神戸ビーフ、松坂牛、宮崎牛等と共に、オリーブ牛が紹介されているほか、「ブランド-オリーブ牛- 2011年春、ブランド牛デビュー オリーブの国、香川県で生まれた“オリーブ牛”」の見出しの下、オリーブ牛の特長や、東京でオリーブ牛が食べられる店等の情報と共に、問合せ先として、請求人の名称及び電話番号が掲載されている(甲4の2)。
(イ)「料理王国」(2011年8月号)において、「漲る!地方食材(19)香川県・小豆郡 オリーブ牛」の見出しの下、オリーブ牛の特長や、オリーブ牛の簡単料理レシピ等の情報と共に、問合せ先として、請求人の名称、住所及び電話番号が掲載されている(甲5の3)。
(ウ)「一個人」(2013年1月号)において、「小豆島の風土が生んだプレミアム黒毛和牛「オリーブ牛」の秘密!」の見出しの下、オリーブ牛誕生の経緯や、小豆島でオリーブ牛が食べられる店等の情報と共に、問合せ先として、請求人の名称及び電話番号が掲載されている(甲5の9)。
(エ)「旅の手帖」(2013年6月号)において、「オリーブ飼料により脂がさらりとし、旨味も増すオリーブ牛 香川県」の見出しの下、オリーブ牛の特長や、高松市でオリーブ牛が食べられる店等の情報と共に、問合せ先として、請求人の名称及び電話番号が掲載されている(甲5の11)。
(オ)「四国旅マガジン Gaja」(58号)において、「瀬戸内の島々「オリーブ牛」のふるさと紀行。」の見出しの下、オリーブ牛誕生の経緯や、オリーブ牛の生産者等の情報が掲載されている(甲5の14)。
(カ)「料理通信」(2015年9月号)において、「フランス人シェフ オリーブ牛の産地を訪れる!」の見出しの下、オリーブ牛が欧州へ販路を拡大したことや、フランスのシェフ一行の生産者視察及び料理セミナーに関するレポートが掲載されている(甲5の2)
(キ)「畜産の情報」(2017年2月号)において、「特集:生産基盤の強化に向けて オール香川県で取り組んだ「オリーブ牛」の戦略 ~畜産クラスター協議会「讃岐牛・オリーブ牛振興会」を対象に~」の見出しの下、オリーブ牛誕生の経緯や、オリーブ牛の普及、販路拡大を図る振興会の取組等が紹介されている(甲5の22)。
(ク)「料理通信」(2020年11月・12月合併号)において、「上質の肉をアウトドアで満喫!失敗しない!“オリーブ牛”で作るプレミアムコンビーフ」の見出しの下、オリーブ牛を使ったシェフによるレシピ等の情報と共に、問合せ先として、振興会の名称及びURLが掲載されている(甲5の29)。

(3)小括

上記(1)及び(2)を踏まえると、請求人は、2011年3月から現在に至るまで約12年間にわたり、本願商標と同一性を有するものと認められる使用商標を、自己の業務に係る商品「オリーブを使用した飼料で肥育した牛肉」について継続的に使用しており、請求人商品は、指定登録店やインターネット等を通じて全国的に販売され、その広告宣伝として、各種イベントの開催、展示商談会への出展や、パンフレット類の作成、雑誌への広告掲載等を通じて、継続的に日本全国において普及活動が行われてきたことが認められる。加えて、請求人商品は、発売開始当初から、テレビ、新聞、雑誌、インターネット等において、第三者によって請求人の取扱いに係る商品として多数紹介されていることがうかがえる。
以上の実情を総合的に考察すれば、本願商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間において、広く認識されているとみるのが相当である。
また、職権による調査によれば、本願商標と同一の構成からなる商標を、本願の指定商品を取り扱う業界において、他人が使用している事実は発見できなかった。
そうすると、本願商標は、請求人による継続的な使用の結果、需要者が何人か(請求人)の業務に係る商品を表示する商標として認識するに至ったものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するものであり、商標登録を受けることができるものであるから、原査定は取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。


オリーブ牛
登録第6691049号
登録日:令和5(2023)年 4月 19日
商標:オリーブ牛
権利者:香川県農業協同組合、香川県食肉事業協同組合連合会
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第29類 オリーブを使用した飼料で肥育した牛肉


審決


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