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ご注意! ずさんな出願の横行と審査遅延と早期審査請求? -2020年02月06日
インターネットで検索すると、当サイトと同業のウェブサイトの広告や、安く見えるような価格表示などがこれでもかというくらいに散見されます。
商標登録出願人とは縁もゆかりもない、他の上場企業のロゴと名称を出願し、拒絶理由通知を受けた方からのご相談をいただきました。
当然このような商標が登録されるはずもなく、いくら意見書等を書いても無理なことが明らかな事例です。
実に出願日から一年近くが経過し、商標登録の知識がほとんどないと思われる出願人は、当事務所の説明を受けて、ようやくこのような商標は登録できないものなのだと理解していただいたようです。
出願人自身におかしな悪意はなかったようです。
このケースであれば、出願前の調査で、類似商標検索以外の調査、検討を怠らずに、しっかり行っていれば、あらかじめ出願はしないものです。
検索や広告でしょっちゅう目にする名前に、え、こんな出願代理するのかと驚きました。
拒絶理由通知が来たから、代理人を辞任すればすむという話なのでしょうか。
近年、格安事務所の横行や、自分で出願する方が増えるなどして、商標登録出願件数も増え、審査に係る期間はちょっと前までは半年程度だったものが、一年前後かかるまでになりました。
(※自分で出願すること自体が駄目だとまではいいません)
早期審査請求という制度もありますが、本来、必要な出願だけが請求をするもので、通常は当事務所でも行いません。
事前に正確に調査をしていれば、審査の結論が出るまで、焦る必要のないケースも多いものですし、当事務所で早期審査請求をするのは例外的なケースです。
ところが上記のようなずさんな内容の出願が増え、審査官の手間も増えてしまうと、全体の審査期間も遅延し、そのことが理由で早期審査請求も増えてきています。
早期審査対象とするかどうかの審査の手間も増えてしまう結果となっています。
一方で、出願時費用を安く見せておいても、早期審査請求費用やずさんな出願による拒絶理由対応費用などが加算されていったのでは、「格安な価格表示」も、「懇切・丁寧・プロの品質」のような広告のうたい文句も、有名無実と化してしまいます。
上記のケースでは、本当に知識のなかった出願人が、代理人に依頼して金銭を支払い、拒絶理由通知が来て、代理人は辞任してしまい、他の弁理士に相談した結果、このような商標はもともと登録できないものであると初めて知らされたということになります。
金銭と時間とが失われただけでした。一年も経ってから返金されて終わり、それでよかったのでしょうか。
本来、弁理士制度は、特許庁の審査の円滑化と、出願人の利益を守ることとを目的として創設されたはずなのですが、一体どうなってしまっているのかと思うことが増えています。
「広告をクリックしない」ことだけでも自衛することがかなりできます。
ご注意ください。
(※広告を掲載しているところがすべてこうだとまではいいません)