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「チバニアン」? それなら「ジュラ紀」だって「安土桃山」だって登録されている -2017年11月18日

まるで商標登録をされたら、その言葉は使えなくなるかのような誤解で、大騒ぎする報道が多すぎます。

地球の歴史で「チバニアン」は「千葉時代」を意味するラテン語で、約77万~12万6千年前の地質年代を示します。年代の国際標準となる基準地の地層とその名称を国際地質科学連合に申請し、これが承認されたものです。

一方、登録されニュースになっている商標は、下記のものです。

登録第5929242号
登録日 平成29年(2017)3月3日
商標 チバニアン(標準文字商標)
権利者 (個人)
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第14類 貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,宝石箱,身飾品,貴金属製靴飾り,時計
第16類 紙類,文房具類,印刷物,書画
第28類 おもちゃ,人形,愛玩動物用おもちゃ,囲碁用品,チェス用品,運動用具,釣り具

他に、第30類「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当」と、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定した出願もあります(商願2017-74481 )。

商標は、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」、「業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの」で、自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標は、所定の拒絶理由に該当しなければ、登録されます。
年代、時代に関することでいえば、その「役務の提供の時期」(商標法第3条第1項第3号)、「現元号」(商標法第3条第1項第6号」)あたりに該当すれば、登録されませんが、該当する拒絶理由がなければ、登録されるのはごく当たり前のことです。

そして、地質年代を示す言葉が商標登録されたからといって、地質年代を示す言葉としてその言葉が使用できなくなるなどということもありません。
現に報道各社以下、皆、普通に使用しているではありませんか。
ましてや、商標登録されたのは、地質年代を示す言葉として国際機関に承認されるより前の話です。

なお、日本の研究チームの国立極地研究所などが、上記登録の内の第16類「印刷物」について「申し立てた異議を特許庁が認め、登録の一部を取り消す決定をした」(産経新聞)との報道があります。

報道を見た時点では、
「(エ) 『書籍』、『放送番組の制作』等の商品又は役務について、商標が、需要者に題号又は放送番組名(以下『題号等』という。)として認識され、かつ、当該題号等が特定の内容を認識させるものと認められる場合には、商品等の内容を認識させるものとして、商品の『品質』又は役務の『質』を表示するものと判断する。」(商標法第3条第1項第3号 商標審査基準)
に該当するから、書籍を含む印刷物が取り消されるものだと考えていました。
しかし特許庁では、本件商標を第16類「印刷物」に使用した場合、「これに接する取引者,需要者は,公的機関である共同研究チームに係る千葉セクション(GSSP)に関する書籍,論文等であるかのごとく,誤認するおそれがあり,ひいては,商取引の秩序を乱し得るおそれがあり,また,社会公共の利益を害することになる」として、商標法第4条第1項第7号に該当するとしました。
この結論には異論あるいは違和感を感じる人もいるのではないかと思いますが、3条1項3号では無理だったのか、抜け駆け的な出願に警鐘を鳴らしているのか。
いずれにしても、書籍等を含む印刷物については、ごく当たり前の結論であると同時に、それ以外の指定商品については登録されたままであっても、ごく普通のことだと思います。

「チバニアン」を登録した人が「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をする」のであれば、商標法の目的通りです。
異議申立てをした研究チームにしても、研究対象である地質年代を示す言葉として使用するだけであり、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をする」言葉でもありません。

「新聞、雑誌等の『定期刊行物』の商品については、商標が、需要者に題号として広く認識されていても、当該題号は特定の内容を認識させないため、本号には該当しないと判断する。」とされますので(商標法第3条第1項第3号 商標審査基準)、指定商品を最初から「新聞,雑誌,定期刊行物,その他の印刷物」等とでもしておけば、一部は取り消されないで済んだのではないかとも思えます。このあたり、弁理士の腕の見せ所です。ただし、3条1項3号の適用ではなかったため、なんともいえません。

報道機関は、報道するネタがほしくて騒ぐのかも知れませんが、一緒になって騒ぐのはいかがかと思いますし、一般の方々が商標についての理解を深めるどころか、かえって誤った認識が広がるのではとの懸念も感じます。
※大量の出願をして手数料を払わないことで有名な人とも違います。出願人のプライバシーへの配慮も必要です。

地質年代であれば、とっくに他にも登録はあります。

2017111501.jpg
登録第4531026号「ジュラ紀」
登録日 平成13年(2001)12月21日
権利者 アムテック株式会社
第3類:せっけん類,香料類,化粧品,他(略)

歴史年代でも、とっくに登録はあります。

登録第5088296号「安土桃山」
登録日 平成19年(2007)11月2日
権利者 株式会社シャンソン化粧品
第30類:食品香料(精油のものを除く。),茶飲料,茶,他(略)
第32類:ビール,茶を加味した清涼飲料,その他の清涼飲料,他(略)

ほかにも、現元号でなければいろいろ登録できます。
おそらく「平成」の出願もたくさんされるでしょう。

登録第3265661号「昭和\Showa」
権利者 昭和楽器製造株式会社
第15類:楽器,演奏補助品,音さ,調律機

登録第2639022号「大正」
権利者 大正製薬株式会社 ※他に登録多数
第9類:映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ
第16類:印刷物,書画,写真,写真立て
他(略)

登録第279379号「明治」
権利者 明治ホールディングス株式会社 ※他に登録多数
第29類:食肉,塩辛,うに(塩辛魚介類),他(略)

登録第3158035号「明治」
権利者 明治安田生命保険相互会社
第36類:生命保険の引受け

ちなみに、「世界」も「日本」も登録商標です。
それで、誰か困りましたか?

登録第1798995号「世界」
権利者 セネファ株式会社
第5類:もぐさ,薬剤,他(略)

登録第2428659号「世界」
権利者 株式会社岩波書店
第16類:雑誌

2017111502.png
登録第36776号「日本」
登録日 明治42年(1909)6月16日
権利者 松田薬品工業株式会社
第5類:ばんそうこう,モルヒネ,水剤,浸剤,錠薬,生薬,石灰,硫黄(薬剤),鉱水,打粉,もぐさ,防腐剤,防臭剤(身体用のものを除く。),駆虫剤,包帯,綿紗,綿撒糸,脱脂綿,医療用海綿

「立憲民主党」の大量の商標登録出願と、登録が認められないであろう根拠について -2017年11月01日

「立憲民主党」の商標登録出願がされているとの報道がありましたので、少々気になって調べてみました。
すると、1つではなく、同じ出願人による出願は多数ありました。
しかし同時に、出願種別が「分割」となっていたのが目にとまり、それぞれの経過情報まで調べてみました。

なお、分割出願とは、1つの商標登録出願を、その内の一部の指定商品・指定役務を取り出して、重複しないように2つの出願に分けることです。
通常は、一部の指定商品等については拒絶理由がある時などに、拒絶理由通知が来るのを見越して、あるいは実際に来た時に、分割をすることが一般的です。
この他に、一部の指定商品等については他人の譲渡する場合にも使えます。

しかし本件に関しては、拒絶される可能性を見越して、時間を引き延ばしているようにも見えます。
なお私は、いろいろやったところで、これらの出願はすべて拒絶されるとみています。
その根拠は後に述べます。

●出願1
出願番号 2016-108145

●出願2
出願番号 2016-110172

●出願3(出願1の分割出願)
出願番号 商願2017-24072
出願日 平成29年(2017)2月24日
出願種別 分割
商標 立憲民主党
標準文字商標
出願人 ベストライセンス株式会社
【経過情報】
出願記事
商標 2017-024072 (平29.2.24) 出願種別(分割(10条1項))
原出願記事
関連種別(分割(10条1項)) 商標 出願番号 2016-108145
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
9 電気通信機械器具,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス,救命用具,レコード,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,電子応用機械器具,オゾン発生器,電解槽,ロケット,業務用テレビゲーム機,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信して、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,青写真複写機,耳栓,電子出版物,ソフトウェア,ソフトウェアプログラム,図書検索システム,美術品閲覧システム
16 紙類,印刷物,書画,写真,写真立て,文房具類
35 広告,電気機械器具類又は電気通信機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車、二輪自動車、航空機、自転車、列車又は船舶の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車、二輪自動車、航空機、自転車、列車又は船舶の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ガス関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,証券関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,書籍の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,美術関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,スポーツ関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,政治関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,選挙関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
41 電子出版物の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,知識の教授,図書検索システムの提供,美術品閲覧システムの提供
42 電気機械器具又は電気通信機械器具に関する試験又は研究,自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する試験又は研究,電子計算機のプログラムの設計・検査又は保守,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,気象情報の提供,計測器の貸与,電子計算機の貸与,理化学機械器具の貸与
45 自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する情報の提供,自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する調査又は研究,電気通信に関する情報の提供,電気通信に関する調査又は研究,新聞・放送・ニュースに関する情報の提供,新聞・放送・ニュースに関する調査又は研究,知的財産に関する情報の提供,知的財産に関する調査又は研究,エネルギー・燃料に関する情報の提供,エネルギー・燃料に関する調査又は研究,証券・金融に関する情報の提供,証券・金融に関する調査又は研究,書籍に関する情報の提供,書籍に関する調査又は研究,図書に関する情報の提供,図書に関する調査又は研究,美術に関する情報の提供,美術に関する調査又は研究,スポーツに関する情報の提供,スポーツに関する調査又は研究,政治・選挙に関する情報の提供,政治・選挙に関する調査又は研究

●出願4(出願2の分割出願)
出願番号 商願2017-28975
出願日 平成29年(2017)3月7日
出願種別 分割
商標 立憲民主党
標準文字商標
出願人 ベストライセンス株式会社
【経過情報】
出願記事
商標 2017-028975 (平29.3.7) 出願種別(分割(10条1項))
原出願記事
関連種別(分割(10条1項)) 商標 出願番号 2016-110172
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
9 電気通信機械器具,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス,救命用具,レコード,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,電子応用機械器具,オゾン発生器,電解槽,ロケット,業務用テレビゲーム機,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信して、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,青写真複写機,耳栓,電子出版物,ソフトウェア,ソフトウェアプログラム,図書検索システム,美術品閲覧システム
16 紙類,印刷物,書画,写真,写真立て,文房具類
35 広告,電気機械器具類又は電気通信機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車、二輪自動車、航空機、自転車、列車又は船舶の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車、二輪自動車、航空機、自転車、列車又は船舶の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ガス関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,証券関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,書籍の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,美術関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,スポーツ関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,政治関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,選挙関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
41 電子出版物の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,知識の教授,図書検索システムの提供,美術品閲覧システムの提供
42 電気機械器具又は電気通信機械器具に関する試験又は研究,自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する試験又は研究,電子計算機のプログラムの設計・検査又は保守,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,気象情報の提供,計測器の貸与,電子計算機の貸与,理化学機械器具の貸与
45 自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する情報の提供,自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する調査又は研究,電気通信に関する情報の提供,電気通信に関する調査又は研究,新聞・放送・ニュースに関する情報の提供,新聞・放送・ニュースに関する調査又は研究,知的財産に関する情報の提供,知的財産に関する調査又は研究,エネルギー・燃料に関する情報の提供,エネルギー・燃料に関する調査又は研究,証券・金融に関する情報の提供,証券・金融に関する調査又は研究,書籍に関する情報の提供,書籍に関する調査又は研究,図書に関する情報の提供,図書に関する調査又は研究,美術に関する情報の提供,美術に関する調査又は研究,スポーツに関する情報の提供,スポーツに関する調査又は研究,政治・選挙に関する情報の提供,政治・選挙に関する調査又は研究

●出願5(「出願1の分割出願である出願3」の分割出願)

出願番号 商願2017-113468
出願日 平成29年(2017)8月27日
出願種別 分割
商標 立憲民主党
標準文字商標
出願人 ベストライセンス株式会社
【経過情報】
出願記事
商標 2017-113468 (平29.8.27) 出願種別(分割(10条1項))
原出願記事
関連種別(分割(10条1項)) 商標 出願番号 2017-024072
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
9 電気通信機械器具,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス,救命用具,レコード,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,電子応用機械器具,オゾン発生器,電解槽,ロケット,業務用テレビゲーム機,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信して、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,青写真複写機,耳栓,電子出版物,ソフトウェア,ソフトウェアプログラム,図書検索システム,美術品閲覧システム
16 紙類,印刷物,書画,写真,写真立て,文房具類
35 広告,電気機械器具類又は電気通信機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車、二輪自動車、航空機、自転車、列車又は船舶の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車、二輪自動車、航空機、自転車、列車又は船舶の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ガス関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,証券関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,書籍の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,美術関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,スポーツ関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,政治関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,選挙関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
41 電子出版物の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,知識の教授,図書検索システムの提供,美術品閲覧システムの提供
42 電気機械器具又は電気通信機械器具に関する試験又は研究,自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する試験又は研究,電子計算機のプログラムの設計・検査又は保守,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,気象情報の提供,計測器の貸与,電子計算機の貸与,理化学機械器具の貸与
45 自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する情報の提供,自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する調査又は研究,電気通信に関する情報の提供,電気通信に関する調査又は研究,新聞・放送・ニュースに関する情報の提供,新聞・放送・ニュースに関する調査又は研究,知的財産に関する情報の提供,知的財産に関する調査又は研究,エネルギー・燃料に関する情報の提供,エネルギー・燃料に関する調査又は研究,証券・金融に関する情報の提供,証券・金融に関する調査又は研究,書籍に関する情報の提供,書籍に関する調査又は研究,図書に関する情報の提供,図書に関する調査又は研究,美術に関する情報の提供,美術に関する調査又は研究,スポーツに関する情報の提供,スポーツに関する調査又は研究,政治・選挙に関する情報の提供,政治・選挙に関する調査又は研究

●出願6(「出願2の分割出願である出願4」の分割出願)
出願番号 商願2017-121420
出願日 平成29年(2017)9月12日
出願種別 分割
商標 立憲民主党
標準文字商標
出願人 ベストライセンス株式会社
【経過情報】
出願記事
商標 2017-121420 (平29.9.12) 出願種別(分割(10条1項))
原出願記事
関連種別(分割(10条1項)) 商標 出願番号 2017-028975
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
9 電気通信機械器具,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス,救命用具,レコード,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,電子応用機械器具,オゾン発生器,電解槽,ロケット,業務用テレビゲーム機,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信して、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,青写真複写機,耳栓,電子出版物,ソフトウェア,ソフトウェアプログラム,図書検索システム,美術品閲覧システム
16 紙類,印刷物,書画,写真,写真立て,文房具類
35 広告,電気機械器具類又は電気通信機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車、二輪自動車、航空機、自転車、列車又は船舶の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車、二輪自動車、航空機、自転車、列車又は船舶の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ガス関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,証券関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,書籍の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,美術関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,スポーツ関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,政治関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,選挙関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
41 電子出版物の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,知識の教授,図書検索システムの提供,美術品閲覧システムの提供
42 電気機械器具又は電気通信機械器具に関する試験又は研究,自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する試験又は研究,電子計算機のプログラムの設計・検査又は保守,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,気象情報の提供,計測器の貸与,電子計算機の貸与,理化学機械器具の貸与
45 自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する情報の提供,自動車、二輪自動車、自転車、列車又は船舶に関する調査又は研究,電気通信に関する情報の提供,電気通信に関する調査又は研究,新聞・放送・ニュースに関する情報の提供,新聞・放送・ニュースに関する調査又は研究,知的財産に関する情報の提供,知的財産に関する調査又は研究,エネルギー・燃料に関する情報の提供,エネルギー・燃料に関する調査又は研究,証券・金融に関する情報の提供,証券・金融に関する調査又は研究,書籍に関する情報の提供,書籍に関する調査又は研究,図書に関する情報の提供,図書に関する調査又は研究,美術に関する情報の提供,美術に関する調査又は研究,スポーツに関する情報の提供,スポーツに関する調査又は研究,政治・選挙に関する情報の提供,政治・選挙に関する調査又は研究


拒絶理由の根拠となる可能性のある条文
あまり詳細は述べませんが、本件出願人はいわくつきの有名な会社で、特許庁も名指しはしないものの注意喚起をしています。

自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)
「平成28年5月17日
 特許庁
最近、一部の出願人の方から他人の商標の先取りとなるような出願などの商標登録出願が大量に行われています。しかも、これらのほとんどが出願手数料の支払いのない手続上の瑕疵のある出願となっています。
特許庁では、このような出願については、出願の日から一定の期間は要するものの、出願の却下処分を行っています。
また、仮に出願手数料の支払いがあった場合でも、出願された商標が、出願人の業務に係る商品・役務について使用するものでない場合(商標法第3条第1項柱書2や、他人の著名な商標の先取りとなるような出願や第三者の公益的なマークの出願である等の場合(同法第4条第1項各号)には、商標登録されることはありません。」

そして、商標登録出願が拒絶されるためには、一定の法的根拠が必要となりますが、その理由については、該当する可能性のある条文としては下記のいずれか(上記特許庁文書より引用)の内、等ブログ筆者が太字にした条文が適用されることが想定されます。

「【商標法第3条第1項柱書
自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。」

政党活動、政治活動に関する指定商品・指定役務については、使用するつもりがない商標であるとして、この条文によって登録を受けられない可能性があります。

「【商標法第4条第1項】
次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
(略)
六 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標
七 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標
八 他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)
(略)
十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
(略)
十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」

筆者の見解
政党活動、政治活動に関係しない指定商品・指定役務については、公序良俗違反に関する商標法第4条第1項第7号を根拠として、拒絶される可能性が高いと思います。

政党活動、政治活動に関する指定商品・指定役務については、上記の第7号を根拠として拒絶っされる可能性があるほか、公益に関する団体であって営利を目的としないものの商標に関する商標法第4条第1項第6号が適用され拒絶されるかもしれません。

商標法第4条第1項第6号についての商標審査基準には、「公益に関する団体であつて営利を目的としないもの」について、政党が含まれるとしています。
同条文では、「公益に関する団体であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標」とありますが、全国の比例代表に候補者を立て、全有権者に選挙公報が送付される以上、著名であることは間違いのないところでしょう。

補足
なお、商標法第4条第3項では、例外として、
「第一項第八号、第十号、第十五号、第十七号又は第十九号に該当する商標であつても、商標登録出願の時に当該各号に該当しないものについては、これらの規定は、適用しない。」
とあります。
したがって、民主党と維新の党が合併し民進党となった時に、「立憲民主党」が党名候補であった事実はあるものの、まだ立憲民主党が結党されていなかった時点での上記の各出願に対しては、第8号、第10号、第15号、第19号を適用するのは難しいものと判断されます。

「国民ファースト」「日本ファースト」が大量に商標登録出願されていた -2017年10月31日

出願番号 商願2017-89008
出願日 平成29年(2017)6月30日
商標 国民ファースト
標準文字商標
出願人 S(個人)
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
16 印刷物,紙製のぼり,紙製旗,文房具類,紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋
41 技芸・スポーツ又は知識の教授,政治・経済・地方行政・地方自治・財政・税・待機児童・福祉・医療・議会・選挙制度その他国政・地方政治に係る課題に関する知識の教授及びこれらに関する情報の提供,政治家及び政治家を志す者への知識の教授(政治塾を含む。)及びこれに関する情報の提供,セミナー・研究会・研修会・講演会・シンポジウムの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)
42 政治・経済・地方行政・地方自治・財政・税・待機児童・福祉・医療・議会・選挙制度その他国政・地方政治に関する調査・研究及び提言並びにこれらに関する情報の提供,政治政策課題の解決に向けた調査及び研究,建築又は都市計画に関する研究


出願番号 商願2017-94494
出願日 平成29年(2017)7月3日
商標 国民ファースト
標準文字商標
出願人 K(個人)
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
16 紙類,文房具類,印刷物
41 技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,放送番組の制作
42 電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守


出願番号 商願2017-95324
出願日 平成29年(2017)7月18日
商標 国民ファーストの会
標準文字商標
出願人 ベストライセンス株式会社
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
9 電気通信機械器具,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス,救命用具,レコード,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,電子応用機械器具,オゾン発生器,電解槽,ロケット,業務用テレビゲーム機,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,消防艇,スプリンクラー消火装置,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信して、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動ゲート,青写真複写機,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接装置,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,耳栓,電子出版物,プログラム,ソフトウェア
16 紙類,印刷物,書画,写真,写真立て,文房具類,製図用具
35 広告,電気機械器具類又は電気通信機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車又はその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車又はその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自転車又はその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,列車又はその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,金融関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,保険関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ゲーム関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,製図関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,カラオケ関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝くじ関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,保険関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建築関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,営業関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,信託関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,結婚・子育て関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,核融合関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,チケット関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,知的財産関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,会計・経理・税務関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,保険・労務関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,行政関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,中小企業関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,司法関連商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
36 預金の受け入れ(債権の発行により代える場合を含む。)及び定期預金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け、金銭債券の取得及び譲渡,有価証券、貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭、有価証券、金銭債権、動産、土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,商品代金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引,外国市場証券先物取引,有価証券の売買、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介、取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引、有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介、取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介、取次ぎ又は代理,有価証券先渡取引,有価証券店頭指数等先渡取引,有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等スワップ取引又はこれらの取引の委託の媒介、取次ぎ若しくは代理,有価証券等精算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式会社に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,割賦購入あっせん,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,企業の信用に関する調査,税務相談,税務代理,慈善のための募金,決済業務,為替取引,銀行業務,証券業務
37 建設工事,建設設備の運転,船舶の建造,船舶の修理又は整備,航空機の修理又は整備,鉄道車両の修理又は整備,自動車の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備,自転車の修理又は整備,機械器具の修理又は整備
39 �%

選挙と「希望の党」の商標登録のこと -2017年10月19日

折しも衆議院選挙選中。
そもそもなんでまた選挙になっているんだっけ、という気がしないでもないですが、今回の選挙では、商標登録ネタの数々が明らかになっています。

昨年の都議選での都民ファーストの大躍進からと、希望の塾の開講に続いて、国政に進出するのかしないのかと、今年になってから話題になりました。
その際にも、国政政党を作るのであれば、その名称は、国民ファーストなのか日本ファーストなのか等々、取りざたされていたものです。

新聞報道によれば(2017年9月20日付朝日新聞)、東京都の小池百合子知事の後押しを受ける若狭勝衆院議員は、
「28日の臨時国会召集までに結成する国政新党の党名について、『(自身が作った政治団体の)日本ファーストの会とは全く違う名前にする。頭の中で決めている政党名がある』と述べた。」
とのこと。
実はこの時点ですでに、新党名の商標登録がされていたのですね。

登録番号 第5977658号
登録日 平成29年(2017)9月1日
出願番号 商願2017-20204
出願日 平成29年(2017)2月20日
商標 希望の塾
標準文字商標
権利者 
小池 百合子
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
16 印刷物,紙製のぼり,紙製旗,文房具類,紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋

41 技芸・スポーツ又は知識の教授,政治・経済・地方行政・地方自治・財政・税・待機児童・福祉・医療・議会・選挙制度その他国政・地方政治に係る課題に関する知識の教授及びこれらに関する情報の提供,政治家及び政治家を志す者への知識の教授(政治塾を含む。)及びこれに関する情報の提供,セミナー・研究会・研修会・講演会・シンポジウムの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)

42 政治・経済・地方行政・地方自治・財政・税・待機児童・福祉・医療・議会・選挙制度その他国政・地方政治に関する調査・研究及び提言並びにこれらに関する情報の提供,政治政策課題の解決に向けた調査及び研究,建築又は都市計画に関する研究


登録番号 第5977657号
登録日 平成29年(2017)9月1日
出願番号 商願2017-20203
出願日 平成29年(2017)2月20日
商標 希望の党
標準文字商標
権利者 小池 百合子
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
16 印刷物,紙製のぼり,紙製旗,文房具類,紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋

41 技芸・スポーツ又は知識の教授,政治・経済・地方行政・地方自治・財政・税・待機児童・福祉・医療・議会・選挙制度その他国政・地方政治に係る課題に関する知識の教授及びこれらに関する情報の提供,政治家及び政治家を志す者への知識の教授(政治塾を含む。)及びこれに関する情報の提供,セミナー・研究会・研修会・講演会・シンポジウムの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)

42 政治・経済・地方行政・地方自治・財政・税・待機児童・福祉・医療・議会・選挙制度その他国政・地方政治に関する調査・研究及び提言並びにこれらに関する情報の提供,政治政策課題の解決に向けた調査及び研究,建築又は都市計画に関する研究


それにしても、選挙戦も終盤となっている現時点では、まさかの民進党の解党的合流、その後の排除発言等々を経て、一時は与党に迫る大躍進も囁かれていた希望の党が失速、排除された側を中心に結成された立憲民主党が大躍進などとも伝えられています。
こうした報道での予測の信頼性もどうなのかとは思います。

どこの政党を支持するかといったこととは関係なく、今回の一連の騒動は、ブランディングという観点から見てもきわめて興味深いものがあります。
ブランドを捨てて新参ブランドに飛びつく議員とか、それでは元々の理念は何だったのかとか、思うところはいろいろありますが、選挙中でもありますので、ここまでにしておきたいと思います。

「いいね!」の登録商標がいっぱいありますね -2012年04月13日

Facebookの「いいね!」ボタンで有名になったものですが、日本では同社によるものでは、LIKE!ボタンの図形商標が出願されています。

「いいね」という言葉自体は普通に使用するものなので、登録されている商標もいろいろ面白いものがあるのではないかと思い、検索してみました。

たくさんありました。

商標登録第4579255号(登録日:2002年6月21日)
「いいね・いいね・いいね」
第25類:被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴

商標登録第5134906号(登録日:2008年5月16日)
「いいね!がいっぱい\日立市」(図形商標)
第41類:技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画機械器具の貸与,図書の貸与,録画済み磁気テープの貸与

Facebookの「いいね!」がたくさんつきそうな商標です。

上記の商標は、出願された時期も古く、Facebookを意識したものではないと思います。

商標登録第5418390号「いいね割」、
商標登録第5441807号「いいね!募金」、
商標登録第5478744号「かわいいね!ボタン」、
などは意識しているかもしれませんが、個別事案についての言及はこのくらいに控えておきたいと思います。

iPhoneのアイコン図形が商標登録されていました -2012年04月02日

下記の図形商標が登録されています。権利者はアップルです。

もともと、アメリカの商標登録に基づき、各国を指定した国際登録を行ったものですが、指定した各国において拒絶査定がされるなどして、日本でもいったんは拒絶査定されたものです。
なお国際登録は、本国での登録に基づき、条約に加盟する各国を指定して、一つの手続きで複数の国への商標登録を行うというものです。

国際登録番号:1042026
国際登録日:2010/5/21
指定国:AU (Australia), CH (Switzerland), CN (China),
EM (European Community), JP (Japan), KR
(Republic of Korea), RU (Russian Federation),
SG (Singapore), TR (Turkey)

国際登録後に各国では登録を認めるかどうかを審査することができ、日本では拒絶査定となりました。
その理由は、
「本願商標は、多少抽象的であるとしても、携帯電話又は記録・整理・伝送・携帯電話のための携帯用デジタル電子機器を表したものと認識されるものであるところ、これを本願指定商品(例えば、携帯電話及び携帯用デジタル電子機器)に使用しても、単に、上記商品の外装を表したものと認識するにとどまり、指定商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1号第3号に該当する。」

つまり指定商品の外装の形状を普通に表示しただけのもので、登録できないということです。

これに対し、2011年5月に、拒絶査定に対する不服審判をアップル社側が請求し、拒絶査定が覆り、2011年11月に拒絶査定が取り消され、登録となったものです。

登録になった理由が次の通りです。
「本願商標は、別掲1のとおり、縦書きの角丸長方形内の中央に縦書きの長方形を配し、当該縦書き長方形の上部に黒塗りの横長楕円、下部に白抜きの円を配した図形よりなるところ、これを本願商標の指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、なんらかの器具やその部品を描いたものを想像することがあるとしても、このような抽象的な略図をもって、直ちに商品の品質、形状を具体的に表示したものということはできず、自他商品の識別標識としての機能を有する図形よりなるものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示する標章からなる商標とはいえない。」

このような抽象的な略図では、商品の形状等を具体的に表示したもの(外装の形状を普通に表示しただけのもの)ではなく、商標として機能するものだということです。

しかし、細部まで具体的に描いた図面のようなものであれば、単なる形状を表示しただけで商標ではないということになりますが、逆にいえば、抽象的な略図だからこそ、アイコンのような図形として使用するときには、第三者は注意しなければなりません。
携帯端末、スマホをアイコン図形にしようとすると、どうしてもある程度は似通った者になりがちであろうと思われるからです。
図形の中のボタンの位置が、iPhoneらしいといえるのでしょう。

この商標登録の日本語訳は、下記のものです。

【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(訳)】
第9類
テキスト・データ・音響及びビデオのファイルの記録用・構成用・送信用・操作用及び見直し用の携帯電話並びに携帯式及び手持ち式のデジタル電子装置のためのあらゆる種類の電子式及び機械式部品及び付属品,電子式ドッキングステーション,移動電話並びに持ち運び可能な及び手持ち式デジタル電子装置の保持専用のスタンド,バッテリーチャージャー,バッテリーパック,電気用のコネクター・電線・ケーブル及びアダプター,携帯式及び手持式のデジタル電子装置の有線及び無線遠隔制御器,ヘッドホーン及びイヤホーン,電気通信機器、すなわちスピーカー,移動電話用のマイクロフォン及びヘッドホン,ホームシアターシステム,ステレオ用の増幅器及びスピーカーを主体とするステーション,カーステレオ用アダプター,オーディオレコーダー,オーディオ用・ビデオ用及び無線用受信機,オーディオ用・ビデオ用及び無線用送信機,ビデオビューワー、すなわち携帯用及び手持ち式のデジタル電子装置用のビデオモニター,電子メモリーカード読取装置,保護ケース,全てテキストファイル・データファイル・オーディオファイル及びビデオファイルの記録用・構成用・送信用・操作用及び批評用の移動電話機用並びに携帯用及び手持ち式のデジタル電子装置用のもの,移動電話用並びに他の携帯式及び手持ち式のデジタル電子装置用の相互接続性を実現する様に設計された置き台

海外の商標・知的財産の模倣問題 -2012年04月01日

先日、たまたま国会中継を見ていたら、中国の商標盗用・模倣の問題、地域ブランド振興の問題がとりあげられていました。

各地域で地域ブランドを振興する取り組みが行われていること、地域ブランド産品について輸出を含めた振興支援策がよりいっそう必要であること、これらに関連する商標を不正に海外で登録されてしまうことへの対策強化の必要性、そしてこれらの取り組みにあたって弁理士の専門的知見を活用すべきことが、かなり長い時間、質問されていました。
弁理士について国会でこれだけ長時間にわたり質疑が行われるのは、珍しいことと思いました。

ただし、大変貴重な意見をいただきました、といった答弁には、今さらのような感じを受けたことも正直なところです。
小泉政権下で知的財産保護強化の取り組みがなされ、知的財産戦略本部が設けられ、近年、これまでにない知的財産保護の施策が行われてきたことは事実です。
海外の模倣品対策、商標の不正登録問題についての対応も、とうに実行の段階になっているはずですが、中国その他のアジア等の地域において特に、日本の商標が不正に登録されたり、著作権侵害が起きたりしている問題は、以前から頻繁に起きてきたことで、いつまでたっても後を絶ちません。

こうした問題に対し、弁理士個人ができることは限られたものです。
弁理士は、社会貢献活動に参加することもあるとはいえ、ボランティアではなく、顧客からの依頼により業務を行うものですが、一事業者の予算、人員だけでは、模倣対策の取り組みにも限界があります。

地域ブランド、地域の商標の問題については、必ずしも全国的には有名でなくとも、その地域では知られているブランドもあります。
したがって、地域の名称保護については、少なくとも都道府県レベルに大幅な権限と予算を与え、中国・アジアなどでの不正登録の監視と、権利を無効にする手続等の支援、正当な権利者による権利取得の取り組みの支援などが行われるべきでしょう。
弁理士は、都道府県レベルでの取り組みに参加するようにすればよいでしょう。

国家レベルでは、外交努力の問題になるかと思います。
たとえば中国に限らず、民間の一個人、一企業が、不正に商標を登録しようとすることは、必ず起きる問題だと思います。
しかし、これを登録してしまうのか否か、また裁判での問題となったときに、国益のみを優先し不当な判決が下されてしまうのか否か、こうした場合に、国際舞台での外交努力が適切に行われれば、自体の悪化を防ぐことができるはずなのです。

たとえば、最低限の保護レベルとしても、中国も知的財産保護のためのパリ条約、WTOのTRIPS協定にも加わっており、商標や地理的表示の国際的保護の条約は、現状でも守らなければいけないことになっているのです。

たとえば、パリ条約6条の2
第6条の2 周知商標の保護
「(1) 同盟国は,1の商標が,他の1の商標でこの条約の利益を受ける者の商標としてかつ同一若しくは類似の商品について使用されているものとしてその同盟国において広く認識されているとその権限のある当局が認めるものの複製である場合又は当該他の1の商標と混同を生じさせやすい模倣若しくは翻訳である場合には,その同盟国の法令が許すときは職権をもつて,又は利害関係人の請求により,当該1の商標の登録を拒絶し又は無効とし,及びその使用を禁止することを約束する。1の商標の要部が,そのような広く認識されている他の1の商標の複製である場合又は当該他の1の商標と混同を生じさせやすい模倣である場合も,同様とする。」

TRIPS協定第22条
「第22条 地理的表示の保護
(1) この協定の適用上,「地理的表示」とは,ある商品に関し,その確立した品質,社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において,当該商品が加盟国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を原産地とするものであることを特定する表示をいう。
(2) 地理的表示に関して,加盟国は,利害関係を有する者に対し次の行為を防止するための法的手段を確保する。
(a) 商品の特定又は提示において,当該商品の地理的原産地について公衆を誤認させるような方法で,当該商品が真正の原産地以外の地理的区域を原産地とするものであることを表示し又は示唆する手段の使用
(b) 1967年のパリ条約第10条の2に規定する不正競争行為を構成する使用
(3) 加盟国は,職権により(国内法令により認められる場合に限る。)又は利害関係を有する者の申立てにより,地理的表示を含むか又は地理的表示から構成される商標の登録であって,当該地理的表示に係る領域を原産地としない商品についてのものを拒絶し又は無効とする。ただし,当該加盟国において当該商品に係る商標中に当該地理的表示を使用することが,真正の原産地について公衆を誤認させるような場合に限る。」

条約に違反する事案に対しては、条約の遵守を求める外交努力が行われてしかるべきと思います。

Q&Aサイトは誤りだらけ -2009年04月11日

Q&Aサイトが誤った回答だらけです。
Q&Aサイトとは、不特定多数のユーザーから質問を受け付け、それに対する回答を他のユーザーから受け付けるというウェブサイトです。

間違いの回答に満足して、それにしたがって行動したりして問題が生じても、Q&Aサイト運営者も、回答者も、決して責任をとってはくれません。

問題は、上記のような誤りによって、ユーザーが不利益をこうむる可能性が高いにもかかわらず、回答が締め切られてしまうと、誤りを指摘できないことです。
誤った回答がされてしまい、それに質問者が満足してしまうと、回答が締め切られてしまい、間違ったQ&Aがウェブサイト上に残ってしまうということになっています。これが閲覧されれば、誤った知識がさらに広まってしまい、まずます悪循環になっています。
質問者に知識がないと、一見正しそうに見える誤回答に対し、「満足」などとしてしまい、回答者に対し特典を与えてしまい、悪循環が広まるという憂慮すべき事態になっているのです。

何らかの対応や検討をしなければならない質問に関しては、無料相談等もありますので、かならず弁理士または弁護士に相談をするべきです。

「オバマバーガー」「オバマハンバーグ」 -2008年08月26日

「あのオバマさんもはじめた」、「あのコイズミさんが・・・」といって、さる方々のことを連想すると、ごく普通の小浜さんや小泉さんが登場するCMを見て笑った人も多いでしょう。
名前を聞いて、連想し、笑ってしまい、記憶にとどまる。
ネーミングは、何も面白おかしくしたり、短期的な話題やブームにのったりすることばかりがいいとは限りませんが、一つの手法としてあります。

このようなネーミング手法を使った展開をしている商品がきっと世の中にはあるだろう、と筆者が思いつく頃には、既に色々出ています。
たとえば、「オバマバーガー」、「オバマハンバーグ」。
さすがに、きちんと商標登録出願をしています。

1. 商願2008-014085
オバマ\OBAMA∞ハンバーグ\HAMBURG
2. 商願2008-014086
マルカイ\オバマ\OBAMA∞ハンバーグ\HAMBURG
3. 商願2008-014087
オバマ\OBAMA∞ハンバーガー\HAMBURGER
4. 商願2008-014088
マルカイ\オバマ\OBAMA∞ハンバーガー\HAMBURGER
5. 商願2008-014894
マルカイ\オバマ\OBAMA∞バーガー\BURGER
6. 商願2008-014895
オバマ\OBAMA∞バーガー\BURGER

「著名人の名前に便乗した商品名で、商標登録ができるのか?」と思われた方は、このネーミング戦略の罠?魔法?に既にかかっているかもしれません。
冒頭の文章に戻ってみてください。誰も「Barack Obama Burger」とも「小浜バーガー」ともいっていないのです。
しかし、現在、「オバマ」といえばアメリカ民主党大統領最有力候補である、バラク・オバマ((Barack Hussein Obama, Jr.)氏を連想してしまいます。

商標登録は、拒絶理由が多数あります。
たとえば「バラク・オバマバーガー」であれば、他人の氏名を含む商標であるとして、商標登録は拒絶される可能性が高いでしょう。
あるいは、「小浜バーガー」であれば、「地名(産地・販売地)+普通名称(または慣用名称)」であるとして、商標登録は拒絶される可能性が高いでしょう。
ところが、「オバマバーガー」であれば、人名であるとも地名であるとも特定できません。出願人である会社の名称にも「小浜」が入っていますから、出願人を示す固有名詞であるともいえるでしょう。
仮に、「地名(産地・販売地)+普通名称(または慣用名称)」であると特許庁の審査で言われた場合には、デザインされたロゴマークであると反論することもできます。

商標登録出願は、同じ商標がなければ登録できるものではなく、類似商標がないからといってもまだ安心できず、数々の拒絶理由をクリアしたものだけが登録を認められます。このあたりの判断に、弁理士の専門知識や経験・実績を生かすことができます。

2008082501.jpg

※この記事の記載にあたっては、登録できるかどうかは特許庁の審査次第ですが、類似商標調査をいたしました。
※この記事中の商標は、特許庁データベースで誰もが閲覧できる公開情報ではありますが、念のため承諾をとることとしています。

星野ジャパンの商標登録は問題あることなのか? -2008年08月22日

少し前の話題になるが「星野ジャパン」の商標登録出願がされているという記事を見ました。
真相は、星野ジャパンの星野監督の名義で、知人が出願をしたが、本人が知らなかったことや批判的な記事等があったことで、出願を取り下げたということでした。

この記事をとりあげた週刊誌やブログでの話題といえば、星野監督個人で商標登録してしまうのはけしからん、言葉を独占して利益でも得るつもりなのか?といったものでした。
しかし個人名義で商標登録することは普通のことですし、商標登録制度というものを考えればごく当たり前の行為であり、本人の知らないところで出願されるということは問題であったものの、余計な誤解しか生まない記事やブログの論調でした。
そこで、オリンピックが開催されている現在、このことについて書いておきたいと思います。
なお、筆者は、どのような目的や経緯で商標が出願されたのか、といった個別事情には詳しくありませんので、あくまでも一般的なこととして記します。

さて、第一に、商標登録制度の目的は、商標に独占権を付与することによって、第三者が不正・不当に商標を使用することを防ぐことです。そうだとすれば、「星野ジャパン」を商標登録することはむしろ当然のことといえるでしょう。これほど著名な言葉ともなれば、不正競争防止法などにより、不正な使用を何らかの方法で防ぐことができる可能性はあるとしても、対策方法はとても困難をきわめます。

次に、第二には、商標登録をすることによって、第三者が商標登録してしまうことを防ぐことです。
著名な商標であれば第三者が不正に登録することを特許庁は審査で防いでくれますが、審査の結果次第となることですので、先に正当権利者が商標登録出願をしておくことが望ましいということになります。

さらに、第三には、商標登録の権利主体となれるのは、(1)個人、または(2)法人となります。
法人格のない団体が、出願人・権利者の名義人となることはできません。
たとえば、「なでしこじゃぱん/NADESHIKO JAPAN」という商標は、財団法人日本サッカー協会が登録しています。これは財団法人という法人格がある団体だから、団体名義での登録ができるのです。
プロ野球球団などの法人格のある団体であればよいのですが、そうでない団体の場合には、通常は代表者など、個人の名義で登録することが当たり前です。
たとえば、ボランティア団体、法人格のない業界団体などの出願を扱うことがありますが、代表者などの個人で登録をするほかありません。
しかも、「星野ジャパン」という商標は、商標中に「星野」という著名人の氏が含まれており、他の個人名義で出願した場合に、登録を拒絶される理由にもなりかねません。

したがって、第三者の不正使用・不正登録を防ぐためには、星野監督個人の名義で出願しておくという結論になるのは当たり前のことなのです。

「なでしこじゃぱん」は登録商標です -2008年08月19日

「なでしこじゃぱん」は登録商標です。
・・・なんて書くと、それではこの言葉は使えないのか、と心配する方もでききますが、「阪神優勝」のときと同様にそれは杞憂です。今回は正当な権利者が登録していると考えられますし、あくまでも「商標」とはある特定の商標登録した業務(商品名、サービス名称、ブランド名など)について使用する場合にのみ独占できるものだからです。一般人が会話で使ったり、報道で「なでしこじゃぱん」について言及したりすることになんら問題はありません。

たとえば、「スポーツの興行の企画・運営又は開催」について登録していれば、この業務については商標権者がその名称の使用を独占します。スポーツウェアについて登録すれば、その商品名などについて独占します。
一般的には、使うかどうかまだわからないものまで含めて、ある程度広めに登録することは、通常、あることですが。

さて。
商標登録第4845345号
登録日:平成17年(2005)3月11日
出願番号:商願2004-62898
出願日:平成16年(2004)7月7日
権利者:財団法人日本サッカー協会

登録した業務(【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】といいます)はやや広めです。お役所言葉なのでわかりにくいですが。

第16類:
事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フイルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て

第25類:
被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴

第32類:
ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース

第41類:
当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与

ちなみに、「なでしこリーグ」も登録されています。

音響商標におい商標 -2008年08月19日

音・においを商標に、特許庁検討 2010年の法改正目指す(日本経済新聞)

特許庁が、音やにおい、動きなど新しいタイプの商標を導入する検討に入るという報道がありました。音響商標、におい商標などといわれるもので、これらを制度として導入している国もあります。
商標とは、ネーミングやマークなどの、商品名やサービス名称など業務について使用することに関し独占をするものです。

そうすると、音響やにおいが、業務について、それを表示するものとして使用される場合とはどういうことが考えられるでしょうか。
特許庁、音やにおいを商標登録できるように法改正へという記事もありました。

ある特定の業務について、文字(ネーミング)で示される場合・・・これはわかります。ルイ・ヴィトン、シャネル、クロネコヤマト、SONYなど、いずれもそうです。
音響が何かの業務を示すものとしては・・・たとえばCMの音楽のフレーズや
セリフの言葉、「It's a SONY」とか、ラジオ局のJ-WAVEのジングルなどでしょうか?
においが何かの業務を示すものとしては・・・思いつくのが難しいのですが、たとえば香水のにおい、香料のにおい?
臭い商標については世界でもまだ前例が少なく、これを保護対象として認めているアメリカ、オーストラリア、イギリスなどでも登録例は少なく、アメリカでさえ1990年に初めて登録されてからまだ数件しか許可されていない状況だとのこと。

本当にこれらの登録を認める必要があるのかどうか、という問題もありますが、弁理士にとって気になるのは、どういう音響なら登録できるようになるのか、どういうにおいなら登録できるようになるのか?
従来は紙ベース(オンライン手続を含む)でおこなっていた手続をどうするのか。
類似商標を事前に調査することが重要であるが、これらはどうやってやるのか。
・・・といったところです。

「スナックパイン」実は登録商標 -2008年08月18日

「スナックパイン」実は登録商標
8月12日16時5分配信 琉球新報

沖縄でパイナップルの収穫が進んでいるが、その一種として、手で簡単にちぎれ、糖度が高くておいしいことから人気の「スナックパイン」は、実は登録商標だということで、確認すると登録されていました。
商標権は、商標の使用を独占できる権利であるため、行政や一部業者は数年前から使用を控えているが、商標権者側は「品種の人気が広がるなら使用を許可している」ということです。

実はこのように使用を広く許可する例は珍しくはなく、商標を広く認知させることによって、商品の普及を促し、取引の拡大に役に立つことはままあります。

ただし、その名称が普通名称ではなく、あくまでも登録商標であることを主張していかないと、いつのまにか言葉が独り歩きしてしまいに本当に普通名称になってしまうケースがあります。登録商標の普通名称化を防ぐため、その管理にあたっては注意が必要です。 <
登録商標であっても、第三者に使用されるなどして普通の言葉として使用されることを放置していると、その商品・役務の普通名称、その商品・役務について慣用されている商標などになってしまい、商標権の効力が制限されてしまうことがありえます

「ひつまぶし」の商標登録? -2008年01月14日

「ひつまぶし」の商標登録についての話題があったので、商標調査をしてみました。
というのも、「ひつまぶし」がある飲食店の登録商標だというのだが、そんなことはないだろうと思ったからなのです。
「ひつまぶし」は名古屋地方の鰻の料理あるいは料理法として、普通に使用されている言葉と思っていたのです。
しかし・・・。

2008011401.jpg
第29類:食用魚介類、他、第30類:弁当、加工食品、他、第43類:飲食店、他
を指定して、「ひつまぶし」に類似する商標(音声上の類似)を検索。

2008011402.jpg
検索結果10件。

純粋に「ひつまぶし」の登録商標といえるのは、下記の1件のみ。
【登録番号】 第1996631号
【登録日】 昭和62年(1987)11月20日
【商標】 ひつまぶし
【権利者】 合名会社蓬莱軒
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第32類:食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)

鰻料理として通常知られている「食用魚介類」やこれらの加工食料品が含まれているところから、これらの商品については本当に登録されておりました。
これは私も知りませんでした。

ただし、「ひつまぶし」の文字を一部に含む商標が、第30類の弁当や、第43類の飲食物の提供などについて、他の権利者が登録しています。

また、第43類:飲食物の提供については、商標「ひつまぶし」は拒絶され、これを不服として争っている段階です。
【出願番号】 商願2005-121903
【出願日】 平成17年(2005)12月27日
【拒絶査定発送日】 平成18年(2006)10月6日
【商標】ひつまぶし
【出願人】合名会社蓬莱軒
【審判番号】 2006-25186
【審判種別】 査定不服審判
【審判請求日】 平成18年(2006)11月6日
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第43類 飲食物の提供

(検索日:2008年1月14日)

パナソニックに社名変更-松下電器の商標登録問題 -2008年01月10日

「パナソニック」に社名変更という報道がされています。

松下電器産業が、創業以来90年にわたって使ってきた「松下」の名前を社名から外し、海外でも知られている「パナソニック(Panasonic)」に社名変更するというものです。

従来、同社では、音響・映像・コンピュータ等の家電製品について「パナソニック(Panasonic)」、冷蔵庫や洗濯機・家庭電化製品などについて「ナショナル(National)」、その他にも高級音響機器について「テクニクス(Technics)」など、ブランドが使い分けられていました。

これは、商品ジャンルごとにブランドイメージを確立するという意味合いもありますが、実は商標登録に関する長年の懸案となってきた問題もありました。

オンライン百科事典Wikipediaの項目によれば、
「1966年 - 英字表記の『NATIONAL』ロゴを国内向け製品に、『PANASONIC』ロゴを海外向け製品、及び国内向けトランジスタラジオに使用開始。『ナショナル』が米国で商標登録されており使用できなかったことがその動機だが、『パナソニック』に落ち着くまでに、1964年5月に『NATIONAL PANASONIC(ナショナル・パナソニック)』で米国への輸入が認められ、以後、『KADOMAX(カドマックス)』、『マツシタ』、『マーツ』を経て『パナソニック』となっている。 」
と記載され、海外商標権の関係で、別のブランド名を考案し使用せざるをえなかった状況がありました。

商標権は、ブランド名や商品ネーミングなどを独占的に使用できる権利です.
ところで、商標権は、はそれぞれの国ごとに存在する商標法に基づき、各国での手続をして登録をします。
したがって、海外展開を考える場合には、それぞれの国で、他人に商標登録されていないかどうか、されていなければ自分が登録可能かどうかを確認することが重要になります。
国によってブランド名を変えることとすると、製品についている商標を使いまわしできなくなりますし、ブランド名が世界的に通用しにくくなりますから、統一できることにはメリットがあります。

一方、商標登録は、世界のいずれに主要国においても、商品・サービス区分ごとに登録をすることとなっています。
たとえば音響機器・映像機器などは第9類という区分、冷暖房器具などは第11類という区分です。

したがって、「パナソニック」に統一するということは子会社や関連会社の業務内容(住宅関係会社などもあります)までにわたって、しかもそれぞれに国で、商標が使用であることを確認する必要があります。
当然、詳細かつ膨大な調査を要したと思いますし、日本を代表する企業ですから、既に各種の商標登録をしていることと思います。
むしろ、乱立するブランドを整理統合することによって、商標管理としてはすっきるすることとなるでしょう。

「小島よしおの商標登録出願」取材を受けたこと -2008年01月09日

お笑い芸人・小島よしおさんのギャグで、流行語大賞にもノミネートされた「でもそんなの関係ねぇ~」が、所属するサンミュージックプロダクションによって商標登録出願されていたことについて、スポーツ報知の電話取材を受けました。

小島よしお丸ごと商品化…所属事務所が商標出願

職業柄、こうしたマスコミ取材を受けることが時々あります。時間がないときには電話取材もありますが、記者と会って話をした方が誤解が生じにくく、細かいニュアンスまで伝わります。
基本的に、できあがった原稿を事前にチェックさせてもらうようにしていますが、取材者も法律に詳しいわけではないため、誤解や不正確な部分が生じやすいためです。
しかし、今回は時間の関係上できませんでした。

今回の出願は、グッズ商品化や、偽物商品の防止のためということで、出願された商標は下記の通りです。

出願番号:商願2007-102725
出願日:平成19年(2007)10月2日
指定商品:
第14類:貴金属,キーホルダー,身飾品,時計,その他(省略)
第24類:布製身の回り品,布団,毛布,その他(省略)
第25類:ティーシャツ,洋服,セーター類,帽子,靴類,その他(省略)

記事の内容を読んで、細かいニュアンスの違いについて、下記の通りにコメントさせていただきたく思います。

【元の記事】
「弁理士の金原正道さん(金原商標登録事務所代表)によると『関係ねぇ~』が商標登録されるかどうかについて『今後調査されたうえでのことなので何ともいえない』とした上で、似たような登録などが考えにくいことから『通る可能性は高いかもしれません』とした。」
【コメント】
私は商標調査はしていないので、似たような登録がなければ通る可能性は高いかもしれないが、今後特許庁での審査がされた上で登録されるかどうか決まります。

【元の記事】
「過去には、パイレーツの『だっちゅーの』(1998年)、レイザーラモンHGさんの『フォーー!』(2005年)などのギャグが『新語・流行語大賞』の大賞やトップテンに選ばれているが、商標登録が出願された形跡はほとんどない。金原さんは『出願自体が珍しいと言えそうだ』としている。」
【コメント】
私は商標調査をしたわけではないので、流行語が出願されたかどうかはわかりません。
ただ、商標は商品名・サービス名・ブランド名として使用されるものだから、流行語というだけで商標登録出願をいちいちすることは少ないかもしれません。

【元の記事】
「『関係ねぇ~』の登録が認められた場合、小島さん以外の人はギャグとして使用できなくなるのだろうか。『今回出願された区分(分野)を侵すものではない』(金原さん)ためまったく大丈夫だという。」
【コメント】
今回の出願は、第14類のアクセサリーや第24類の布製品、第25類の服などについての商標で、登録されればこれらの商品について、出願された商標は独占的に使用することができます。
第41類の演芸関係の出願ではないし、仮に演芸の区分で登録されても演芸サービスの名称として独占できるだけで、ギャグとしての使用の独占を認めるものではありません。
したがって、商標権で使用を独占することはできません。
ただし、ギャグのシナリオには著作権があるから、そっくり真似をすると問題になる可能性がありますし、振付に著作権が生じることもありえます。
真似のしかたによっては「まったく大丈夫」とは保証できないものの、商標権の問題ではありません。

こうした細かい内容までを電話取材で伝えることは難しく、やはり原則として記事が出るまでにチェックさせてもらう等、取材の受け方については反省点があります。

「アカデミー賞(R)」はおかしいか? -2007年04月15日

アカデミー賞(R)って…そこまでやるか、商標権!(イザ!)との記事がありました。

広告やPR記事の文章中などでの表記について、
「『アカデミー賞』という言葉が登録商標であると強調したいのでしょうが…
はっきり言って、強い違和感を覚えました。
アカデミー賞は、誰もが知っている権威ある賞であり、
商標登録だと強調する必要性は感じられません。」
といった感想を述べている内容です。

ところで、「Walkman」といえば、SONYの商標であることは周知の事実です。
ところが、オーストラリアでは、これは普通に使われる一般名称であるという判決が出されてしまったことが以前にありました。
辞書で特定の出所を示す商標ではなく、一般名称、普通名称であるかのように記載されてしまったり、一般的に使用される状態を放置しておくと、登録商標であっても誰もが使用できるようになってしまうおそれがあります。
実際にそのような例はいくつもあります。

さらに、「スナックシャネル事件」という不正競争の裁判がかつてありました。
著名商標を、まったく関係のない他人が異なる業種で使用した結果、誤認・混同が生じ、イメージを損ねるということで使用差止をしたものです。

googleで「"界のアカデミー賞"」で検索をしてみれば、19600件が検索されました(2007年4月15日検索)。
「ゲーム界のアカデミー賞」、「スポーツ界のアカデミー賞」から、「AV界のアカデミー賞」まで、ありとあらゆる使用例が発見できます。

さらにはWikipediaにおいては、
「『Academy Awards(アカデミー賞)』は商標登録されており、無許可で使用することは出来ない。」
と、登録商標であることは明記されているものの、
「例えば料理や建築、文学や美術などさまざまな映画以外の賞においても、『○○界のアカデミー賞』という具合に、その権威の高さを表す冠詞として扱われることが多い。」
とも記載され、一般的な使用が相当程度行われていることがうかがえます。

たしかにしつこすぎる表記方法には違和感を感じる場合もあると思いますが、権利者としては危機的状況でもあるのです。
「日本の『日本アカデミー賞』やイギリスの『英国アカデミー賞』などは、ロイヤリティを支払ってその名の使用許可を得ている。」(Wikipedia)との状況で、商標権者から使用許諾を得て使用させてもらっている日本の主催者が、一般的に使用されることを放置できるはずがありません。
使用権者の不注意により、普通名称化を放置してしまっては、ロイヤリティの支払いどころではなくなってしまうかもしれません。

流行りはじめている名称 -2007年04月09日

新市場に名前が付いた時点で、市場参入は既に手遅れという話を読みました(ITmediaBlog「永井孝尚のMM21」)。著者は企業でブランド・マーケティングの仕事などをされています。

この中で、「市場の名前が定まっていない段階は、市場がこれから立ち上がろうとしている段階であり、新規参入のチャンス」とされています。
逆に「逆にその市場の名前が決まっている時点では、その市場は既にある程度の大きさになっており」、「既に同じ市場でリーダーの地位を確立している経験豊富なライバル企業が存在している」とのくだりを読み、わが意を得たり、と思いました。

実は、商標登録を専門とする弁理士の仕事をしている中で、あまりにも似たような事例が多くあります。
商標登録をしたい、といった問い合わせを受けるのですが、それが流行りだしている商品やサービスの名前であるといったケースで、それに便乗しようとしているケースも多々あります。

しかし、その「流行りだしている言葉」が、既に一般的に広く使われるようになっているのであれば、特定の人が商標登録をすることはできません(商標法第3条第1項第3号等)。
逆に、その「流行りだしている言葉」が、先行する特定事業者の商品名やサービス名として使われているのであれば、他人の周知商標であるとして、やはり商標登録をすることはできません(商標法第4条第1項第10号等)。
ケースバイケースで、その他の拒絶理由に該当することもあります。

さらに、上記には該当せず、商標登録できる商標であったとして、既に他人が一般的に使用をはじめている名称と同じ名称を、わざわざ自分の商標として採択することは、競合の名称が多く、他人の商品・サービスとの区別がつきにくい商標を、あえてわざわざ選択するということになります。
その中で、自分の商標を世に広く知らしめようとすれば、ほかの独創的な商標を採用する場合にくらべ、はるかに多額の広告費をかけ、宣伝をし、営業をして、他の商品・サービスとは違うのだということを説明しなければなりません。
つまり不利なスタートラインにあえて立つということになってしまいます。

ところで、弁理士という職業柄、法律に関することや、行政に対する手続ばかりをしているのかというと、そうでもありません。
こういうケースが頻繁にあるということは、常に世の中で流行りだしているもの、それらの名称、あるいは誰がその名称を使いはじめており、誰が現在その名称を使用しているのかを、知っているか、あるいは瞬時に調べる対応力が必要です。

最近よく使われてきはじめた言葉だなと思い、安易に「便乗して商標登録することはできません」などと言ってしまってもいけないのです。
その言葉を発案し、一般名称にならないよう注意深く使用して、商標として管理している「ご本人」からの問い合わせや登録の依頼であることも、ままあります。

それでも「本生」は商標です -2007年04月02日

アサヒ「本生」の商標登録認めず 知財高裁判決(イザ!)との記事がありました。

アサヒビールが出願した発泡酒「本生」の商標登録出願が拒絶されたことに対し、不服申立をしたが特許庁がやはり登録を認めなかった審決について、裁判所もその判断を維持したという内容です。
(なお、記事中の「無効にした」という記載は誤りです)

要約すれば、判決では、商標を構成する「本生」の文字は食品分野において広く用いられているものであって、出願人の使用実績を勘案しても、「本生」の文字のみによって,原告商品が原告の業務に係るものであることを認識できるほど取引者・需要者に広く知られるに至ったとはいえない、と判断したものです。

ここでは、判決内容について解説するわけではありません。
あちこちのblogサイトを見ていたところ、「『本生』は商標じゃない」などという表現で解説しているものがあったので、誤解が広まらないように、あえてここでは、「それでも『本生』はアサヒビールの商標だ」と書いてみるわけです。

その理由は簡単です。
商標とは、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をする」「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」(商標法第2条第1項)であるからです。
どう見ても明白に「商標」です。商標かどうかについて裁判所も問題にはしていません。

ここで、皆さんがご覧になっている当サイトのこのページの中で、いったいどれが商標(商標法第2条第1項)にあたるでしょうか?
(なお当サイトでは、サービスの提供なので、「業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をする文字・図形等」が該当します)

「商標登録.com」の文字が商標です。
「shohyo-toroku.com」の文字が商標です。
これらの文字と、色彩の付いた複数の円からなる図形が商標です。
「商標登録news」の文字が商標です。
「商標登録ニュース」の文字が商標です。
「商標登録news」の文字と、色彩の付いた複数の円からなる図形が商標です。
「金原商標登録事務所」の文字が商標です。
「無料相談」の文字及び図形が商標です。
「商標登録news blog」の文字及び図形が商標です。

他社の商標を除いても、少なくともこれだけが商標にあたります。
このような商標のうち、単なる普通名称や品質表示等を普通に表示しただけのもの(識別力がない商標)などを除いて、類似商標がない等の一定の要件を満たせば、登録が認められるということなのです。
そして、識別力があるかどうかは、文字のデザインや、その使用実績による著名度、需要者・取引者の認識、商標の普通名称化など、時間の推移によっても変わります。

ここで、問題となったアサヒビールの商標「本生」を、使用している商品を見てみましょう。
2007040201.jpg

さて、どれがアサヒビールの商標でしょうか?
上からいきます。

「SMOOTH AND TASTY」が商標です。
「ASAHI'S ORIGINAL BREW」が商標です。
「HONMANA」が商標です。
「ASAHI」が商標です。
「DRAFT」が商標です。
「本生」が商標です。
「ドラフト」が商標です。
「ASAHI BREWERY LIMITED」が商標です。
「発泡酒」が商標です。
これらの要素全体により構成されるラベルが商標です。
缶の形状と、ラベルから構成される立体が商標(立体商標)です。

今回問題とされた商標と対比してみましょう。
2007040202.jpg

上記のような多数の商標のうち、どれに識別力があって登録できるものか、どれが登録はできないものかは、商標であるかどうかとはまた別の問題です。

また、「本生」の文字は、アサヒの商品ラインナップの中で、「スーパードライ」、「PRIMETIME」、「熟撰」、「黒生」、「極」、「スタウト」、「オリオンドラフト」、「北の職人」、「富士山」、「贅沢日和」、「STYLE FREE」などの、他の商品と識別するための標識として現実に機能しているのです。

それが商標登録に値する要件を満たすものとなっているかどうかは、文字のデザインや、その使用実績による著名度、需要者・取引者の認識、商標の普通名称化など、時間の推移によっても変わります。ある意味で流動的なものです。
商品のブランドを確立させること、白塗りの袋文字で表した『本生』の文字に影を付けたデザインを認知させることは、商品開発をする側としては当然ですし、出願人がそのように頑張れば弁理士も頑張るものなのです。

観光キャッチフレーズを使用差止? -2007年03月20日

「『うまし国』は三重のフレーズ」宮城に抗議へとの記事がありました。(イザ!)
宮城県がJRと共に展開するキャンペーンのキャッチフレーズを「美味し国 伊達な旅」と発表したことに対し、「美し国、まいろう。伊勢・鳥羽・志摩」を使用する三重県が抗議するという内容です。

まず、誰もが使用するようなキャッチフレーズ、標語については、原則として商標登録が認められないという商標審査基準もありますが、登録例も各種あり、「美し国、まいろう。」はロゴマークにもなっており、登録される可能性は高くあるといえます。

ただし、「美し国」だけでは、広く使われている言葉のため、商標登録できない可能性が高いと考えられます。
「美し国」だけでは、既に観光や地域づくりの標語、あるいはそうした活動の名称としても各所で使用されており、「美し国」という名称のお米などもあります。
したがって、三重県がこの言葉を独占使用できるとは考えにくいものがあります。

該当すると思われる商標登録出願として、下記のものがありました。

出願番号:商願2007-6528
出願日:平成19年(2007)1月29日
出願人:株式会社メディアート
商標:(ロゴマーク)
「美し国、まいろう。
 伊勢・鳥羽・志摩」
指定役務:
第39類:観光地・観光施設に関する旅行情報の提供、他
第35類:割引などの特典付カード・割引クーポン・割引券の発行、広告、他
第41類:娯楽施設の提供、他
第43類:宿泊施設の提供に関する情報の提供、他
(2007年3月20日検索)

商標登録されたとして、そもそも、「美味し国 伊達な旅」と、「美し国、まいろう。伊勢・鳥羽・志摩」とが類似でしょうか。
特許庁は、出願商標の読み方(称呼)に、「ウマシクニマイロウ」、「ウマシクニマイロー」、「ウツクシクニマイロー」をあてており、外観も異なるため、類似しないとされる可能性が高いように思います。

さらに、商標法によれば、出願中に警告ができるのは登録出願人、登録後には商標権者または専用使用権者ですが、上記商標には三重県の名前が出てきません。権利の移転もしくは登録後に専用使用権の設定登録が必要です。

また、三重県の標語が全国的に著名な程度になっていた場合には、不正競争防止法に規定する商品等表示、誤認混同のおそれに基づき、使用差止を請求することができます。
しかしこの場合には、宮城県が不正目的での使用であることを立証しなければならず、しかも、「美味し国 伊達な旅」と「美し国、まいろう。伊勢・鳥羽・志摩」が類似することを立証しなければなりません。

著名人の氏名は商標登録できるか? -2007年03月15日

著名人であるタレントの氏名が商標登録されているかも、という記事がありました。
私の名前返して!「神田うの」誰が商標登録?

このようなことは基本的にはないと思います。
簡単に検索した限りでは発見できませんでした。

これを法律的にいえば、
「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」(商標法第4条第1項第8号)となりますが、もう少し簡単にいうと下記の通りです。

(1)他人の肖像
(2)他人の氏名・名称
(3)他人の著名な雅号、芸名、筆名
(4)上記(1)~(3)の著名な略称

上記(1)~(4)を含む商標は、登録されません。
ただし、その他人の承諾を得ているものを除きます。

なお、氏だけ、名前だけ、という場合などには、登録できる場合もあります。
承諾を得た場合には、特許庁に承諾書を提出します。

また、万一、承諾なくして自分の氏名が商標登録されてしまった場合や、同姓同名の場合にも、自己の氏名を普通に用いられる方法で表示することは可能です(商標法第26条)。
商標権の行使によって自分の名前が使えなくなるなどということはありません。

商標登録された普通名称や慣用名称は使えるか -2007年03月15日

海老の天ぷらをおむすびの具にした天むすの商標登録について、ブログの記事を目にしました。
しかし、天むすは、いろいろなところで製造され販売されているのではないか、という疑問がわいたので、商標を調査してみました。

ところで、商品についての一般的な名称は、普通名称といいます。
また、商品について慣用されている呼び方は、慣用商標といいます。
こうした名称は、商標登録されていても、普通に使用する分には認められています。
(普通名称については商標法第26条で。慣用商標は既に慣用されているという事実によって)。

2007031501.jpg
おぎにりや弁当などが含まれる第30類で、商標の読み方(称呼)を「テンムス」として検索。
すると18件が検索結果に。

2007031502.jpg
検索結果一覧で、「天むす」の登録が確認できました。
おや? 他にも「天むす」を含む商標がありますね。

2007031503.jpg
商標登録第2307684号
登録日:平成3年(1991)4月30日
権利者:有限会社天むすすえひろ
第30類:天ぷらを具としてなるおむすび

2007031504.jpg
商標登録第3199878号
登録日:平成8年(1996)9月30日
権利者:(個人)
第30類:天ぷらを具としてなるおむすび

2007031505.jpg
商標登録第4351652号
登録日:平成12年(2000)1月14日
権利者:株式会社柿安本店
第30類:天ぷらを具としてなるおにぎり,天ぷらを具としてなるおにぎりを主としたべんとう

2007031506.jpg
商標登録第4946096号
登録日:平成18年(2006)4月21日
権利者:(個人)
第30類:天ぷらを具としたおにぎり,天ぷらを具としてなるおにぎりを主としたべんとう

(2007年3月15日調査)

なお、そもそも、普通名称が登録できるのか?といえば、普通名称や慣用名称でも、他の言葉と組み合わせたり、デザインしたりすれば、登録可能です。
また、商標登録した時点では独創的な商標であったものが、広く一般的に使われるのを放置していたために、後になって普通名称化してしまうケースもあります。
また、類似商標は登録できないのが原則ですが、少なくとも近年では「天むす」の部分は普通名称になっているため、上記のようにそれぞれが登録されていると考えられます。

地方競馬の危機?-商標を調べてみた -2007年03月12日

社団法人ジャパンブリーダーズカップ協会(JBC)が、今年秋に大井競馬場で予定されている「第7回JBC競走」への支援中止の通知したとの報道を見たので、競馬には門外漢で、しかも仕事をまだしていましたが、ついでに商標調査をしてみました。

特許庁の電子図書館にアクセス。
2007031201.jpg
商標の読み方「ジェイビーシー」で、競馬の開催・運営が含まれる第41類を指定。
したがってそれ以外の検索では見ていません。ほかにもあるかもしれません。

2007031202.jpg
検索結果216件。
読み方の異なる商標や、競馬に関係しない商標も検索結果には出てきます。

2007031203.jpg
ロゴマークはこれですね。

商標登録第4561070号
登録日:平成14年(2002)4月19日
権利者:社団法人ジャパンブリーダーズカップ協会

第41類:競馬の企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,動物の調教,動物の供覧,当せん金付証票の発売,興行場の座席の手配・・・等々、
第42類(旧区分):家畜の診療,飲食物の提供,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,・・・等々、が指定されていました。

なお、調査した限りでは、「JBCクラシック」「JBCスプリント」という登録はありませんでした。
(2007年3月12日調査)

商標権は、同一・類似の商標を、指定されたサービス(役務)と同一・類似の業務について、権利者の許諾なくして使用することができないという権利です。

建築物の写真が商標に? -2007年03月08日

学校法人早稲田大学が、大隈講堂周辺の写真など数点を商標登録したことについての話題がありました。
このような写真を商標登録することに、どのような意味があるのでしょうか?

商標は、自己の業務について使用する識別標識で、通常はネーミングやロゴマークなどが登録されます。
なお、立体形状の商標も、業務についての識別標識である限り、登録が認められます。ただし立体商標の審査はなかなか厳しく、文字などが入っていない立体商標の登録は認められにくいのですが、大隈重信の銅像は登録されています。

さて、大隈講堂周辺の写真ですが、これを識別標識(商標)として、登録された指定商品等に使用することはできなくなります。類似の商標についても同様です。
ただし、まったく違うアングルからの、印象も異なる写真となると、類似商標にはならない可能性が高くなります。
早稲田大学としては、代表的なアングルの写真を、大学とは関係のない事業者が、あたかも何らかの関係があるように思わせることを防ぐことが主目的だと思われます。

なお、蛇足ですが、「建物は著作権では保護できない」ということはなく、著作権法第10条(著作物の例示)では、
「この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。」として、「5.建築の著作物」をあげています。

ただし、建築物の写真を撮影しても著作権法違反にならないのは、著作権法第46条で、屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる、とされているからです。

商標登録出願「Web 2.0」の審査 -2006年08月14日

Web2.0の商標登録が認められるかどうかについては、「Web2.0」が、第35類の広告、市場調査等、第41類のセミナー関係等について、それらサービス(役務)の内容、質を示すものかどうか(商標法第3条第1項第3号)、商標登録出願人の識別標識として機能するものかどうか(商標法第3条第1項第6号)といったあたりが問題になります。
「Web2.0」が、日本ではメディアライブジャパン株式会社により出願されており、ここのところ急速に広まったこの言葉が独占されていいのか、といった議論がされていますが、法律的には上記に該当するかどうかという点が審査されるもので、特に注目すべき論点があるわけでもありません。
また、上記に該当するとして拒絶理由通知から、さらに審査が進んだ場合には、使用をした結果、商標(すなわち商標登録出願人の識別標識)として著名であるかどうかを主張して認められるのか、それとも商標登録出願人の識別標識としてではなく周知の言葉になってしまったのか、が問題になるはずです。

「Web2.0」の商標については、下記の3点が論じられるべきだと私は思います。
(1)商標の普通名称化が従来考えられないスピードと経路で進行してしまうこと。
(2)インターネットでの使用例に関する特許庁の判断手法。
(3)インターネットでの商標の使用実績の証明手法。

(1)商標の普通名称化が従来考えられないスピードと経路で進行してしまうこと
「Web2.0」という言葉は、もともと、Tim O'Reillyが提唱したコンセプトで、「次世代ソフトウェアのためのデザインパターンとビジネスモデル」(Design Patterns and Business Models for the Next Generation of Software)として定義しているものです。
「Web」という普通名称、「2.0」というソフトウェア等において慣用的に使用されるバージョンを示す数字、から構成された言葉であること、さらにブログやSNS、RSSを使いこなすユーザーの関心を得やすいジャンルの言葉であったことから、この言葉は急速に広まります。

言葉が発案された時点では、普通名称や、商品・サービス(役務)の内容、質を示すものではないと考えられるものの、ソフトウェア製品(第9類)あるいはプログラム設計・作成(第42類)等については、普通名称といえないまでも、特定の商標登録出願人の識別標識とはいえないと考えられます。
そして、実際に出願されている第35類の広告、市場調査等、第41類のセミナー関係等については、サービス(役務)の内容、質を示す言葉(商標法第3条第1項第3号)、商標登録出願人の識別標識として機能しない言葉(商標法第3条第1項第6号)である可能性が強くあります。

「Web2.0」という言葉を本当に商標として独占しようとするのであれば、元々のコンセプトにおいて「O'Reilly氏あるいはMediaLive International社が提供する~」といった商標登録出願人の識別標識として定義していなかったこと等、注意が足りなかったのではないかという疑問が残ります。
ただ、ソフトウェア製品(第9類)あるいはプログラム設計・作成(第42類)等については、コンセプトの内容と共に、広く言葉を普及させたいという思いがあったのかもしれません。

今回の件の教訓は、自分の商標として権利を保持したいのであれば、その言葉の提示方法、インターネットを通じて広まる経路を想定した表示方法について、従来では考えられなかった速度と経路が伴うことを、あらかじめ想定して対策しなければならないことです。
MediaLive International社の、あるいはメディアライブジャパン株式会社の提供するソフトウェアを用いた広告・市場調査手法、セミナー名称として定義すること。これらサービスについての、MediaLive International社の、あるいはメディアライブジャパン株式会社が所有する商標であること。表示には(TM)等の表示を必ずつけること。まずマスメディアへのプレスリリースなどを行い最初に知名度を上げること。
これで商標としての権利保持ができたかどうかは、「Web2.0」が元々識別力の弱い言葉であったこと、そして言葉の広がり方を考えると定かではありません。
しかし同時に出願されている「Web2.0Conference」については、十分に対応可能であったろうと私は考えます。

商標が、商標(すなわち特定人の識別標識)であると注意喚起されずに一般の第三者に使用されれば、普通名称化が進み、普通名称と認定されてしまえば、誰もが使用できる言葉になってしまいます。
しかし、「正露丸」が数十年かけて普通名称化したと認定されたことを思えば、ブログ、SNS、RSS、ウェブサイトや電子メール、メッセンジャー等で不特定多数を相手に瞬時に、幾何級数的に広がってしまう普通名称化に対抗することが極めて困難です。
最初に情報を提示するときまでにあらかじめ対応を想定しておかなければなりません。

さらに、情報の広がる経路でいえば、「正露丸」の時代であれば、新聞社、雑誌社、書籍発行者、辞書編纂者、放送局等に注意喚起をしておけばよく、一般消費者が商標と知らずに使用したとしても、その情報の広がりはきわめて限定されたものでした。
しかし、ブログ、SNS、RSSなどでは、情報の経路についてコントロールができず、そもそもどこに「Web2.0」あるいは「Web2.0Conference」が表示されたかを把握することができません。
仮に、どこに「Web2.0」あるいは「Web2.0Conference」が表示されたかを把握することができたとして、その相手の多数に対して、MediaLive International社の、あるいはメディアライブジャパン株式会社の商標です、とは伝えられないと思います。
さらに仮に伝わったとしても、トラックバック、RSSやウェブページのキャッシュなど、消すことや訂正することが困難です。

このことは、意識的に、商標(すなわち特定人の識別標識)として第三者に伝達する場合の表示についてもいえます。
たとえば、広告として他のウェブサイトに表示させる際に、商標(すなわち特定人の識別標識)であると注意喚起することを怠ることは危険です。検索エンジン広告などでは、検索サイト以外の不特定多数のウェブサイトにも表示されますし、アフィリエイト広告についても同様です。

(2)インターネットでの使用例に関する特許庁の判断手法
商標登録出願人が出稿しているアフィリエイト広告が、一般に使用されている例として列挙され、商品の品質等を示す言葉として一般的に使用されている(商標法第3条第1項第3号)という拒絶理由通知を受けたことがあります。これを一つ一つ、商標登録出願人が出稿しているモノで、識別標識として機能している商標であると反論する必要がありました。
たったの数例の使用例で、一般的に使用されている(商標法第3条第1項第3号)と認定されることには疑問を感じます。掲示板やブログでは、喋るのと同程度の手間で使用できてしまうこと、さらに悪意のある者が故意に広めることも可能であるためです。
しかし、商標の所有者とは関係ない第三者のページに表示されている言葉をクリックすれば、商標所有者の商品のページに移動すること、これを証明していくことが困難で、使用例が多数あればすべてを証明することは不可能に近いといえます。

(3)インターネットでの商標の使用実績の証明手法
「Web2.0」が、その6文字単独で、第35類の広告、市場調査等、第41類のセミナー関係等について、商標(すなわち特定人の識別標識)として使用されているかは、知る限りでは疑問です。
しかし、「Web2.0Conference」(商標)は、第41類のセミナー関係等については、MediaLive International社の、あるいはメディアライブジャパン株式会社の商標(すなわち特定人の識別標識)として使用されているといえると私は思います。
前述したように、「Web2.0Conference」という言葉が、ブログ、SNS、RSS、ウェブサイトや電子メール、メッセンジャー等で不特定多数に急速に広まったとしても、その多くは、MediaLive International社の、あるいはメディアライブジャパン株式会社のセミナー、イベントの名称として言及されていたはずです。

第二回の「Web2.0Conference」は、Tim O'Reillyが提唱した翌月に開催されており、特定のイベントを示す言葉として急速に著名になったはずです。
急速に周知になったことから「Web2.0」の登録を拒絶するとすれば、「Web2.0Conference」が急速に周知になったことから第41類のセミナー関係等については登録すべきであると私は思います。
使用実績による周知の努力を認められるべきであること、これが独占されても他人は別の名称を選択可能であることによります。
また、法律的には「使用による識別性」(商標法第3条第2項)によります。

ところが、「使用による識別性」(商標法第3条第2項)を受けるためには、メディアライブジャパン株式会社のセミナー、イベントの名称として使用された結果、著名になっていることを、証拠を示して特許庁に納得させなければなりません。
商標審査基準では、「商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断するものとする。」として、
 A 実際に使用している商標並びに商品又は役務
 B 使用開始時期、使用期間、使用地域
 E 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容
などが考慮されます。
そしてその証拠方法は、
 A 広告宣伝が掲載された印刷物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし等)
 G 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等の記事
などを用います。

100万部発行の雑誌であれば1つの証拠で100万人の証明ができます。テレビの視聴率、新聞(全国紙)の発行部数はさらに多くなります。
しかし、ブログ、SNS、RSSなどでは、情報の経路についてコントロールができず、そもそもどこに「Web2.0Conference」が表示されたかを把握することができません。100万のブログの証明には100万の証拠が必要です。
仮に、どこに「Web2.0Conference」が表示されたかを把握することができたとして、それらがMediaLive International社、メディアライブジャパン株式会社と関連付けられていることを証明しなければなりません。
大手のウェブサイトはともかくとして、個人のウェブサイトを1ページずつすべてプリントアウトすることは困難です。
また、検索結果をプリントアウトするにしても、きわめて膨大なものになりますし、「Web 2.0 Conference MediaLive」で検索したとして、スペース等の検索式入力方法により大きく検索結果が異なります。さらに、検索結果の中には、「Web2.0Conference」がメディアライブ社の商標ではなく一般名称だと主張するウェブページも含まれているはずです。

インターネットでの商標の使用実績を示すためには、アドワーズ広告(商標)などの検索エンジン連動広告、アフィリエイト広告などもあります。
出稿されるウェブページのすべての所在はわかりません。また、表示される広告の内容は自分で随時変更できるものもありますので、特許庁に提出する証拠と同一の表示がされていたものばかりとは限りません。
また、検索エンジン連動広告、アフィリエイト広告などの管理画面の統計も、一定期間の統計に限られていたりしますし、請求される広告費の集計で証明をすることにも限界があります。

まとめ
Web2.0時代の商標には、普通名称化の防止策について、事前の対策と、普通名称化進行中の対策とについて、新たな対応の検討が必要とされていると考えます。
一方、自分の商標であることが著名になれば、他人の登録を排除したり、通常では普通名称や品質表示とされる言葉でも登録される場合があるため、Webを使用した、商標の著名化方法というものも検討できるのかもしれません。
インターネットでの商標使用の証明方法については、審査基準、証拠方法のより明確な検討と、証明方法の検討が必要とされているのではないでしょうか。

「ボランティア」「NPO」の商標登録の取消しは正しかったのか? -2006年08月11日

商標登録をはじめとする知財ニュースでの誤報や、誤解を招く表現は、商標に関していえば、そのほとんどが次のいずれかが理解されていないことに起因しています。
(1)商標登録は、登録された業務(商品またはサービス)の範囲のみについて独占使用権があること。
(2)登録商標であっても、自らのブランド名(商品名やサービス名、ブランド名など)として使用する場合、つまり商標として使用する場合にのみ、商標権侵害の問題となること。
(3)商標登録された言葉であっても、商品・サービスの普通名称や、それらの品質表示等にすぎない言葉は、誰もが使用できること。

角川書店が「ボランティア」「NPO」という言葉を商標登録したことに対し、第三者から特許庁に異議申立が提出され、審理の結果、登録が取り消されたことがありました。
これは、正しかったのでしょうか。

(1)角川書店は、特許庁で決められている商品の区分を第16類として、「新聞、雑誌」についてのみ、商標登録を行い、独占権を得ました。あくまでも新聞、雑誌のタイトルのみを独占することとなり、それ以外でほかの人が使用をしても、この商標権を侵害することにはなりません。
にもかかわらず、当時の報道や関係者の発言でも、「NPO」という言葉を含む新聞、雑誌は発行できなくなるといった誤解や、さらに極端な誤解では「NPO」という言葉が独占されるかのような論調がありました。「NPO」という言葉を含んでいても商標全体として類似しないタイトルであれば、新聞、雑誌についても使用可能ですし、それ以外の類似しない商品やサービス、非営利活動について「NPO」を使用可能であることは明らかでした。
(2)角川書店の商標が登録されていても、商標として使用しなければ商標権侵害にはなりません。たとえば新聞や雑誌での文章中での言葉の使用や、書籍のタイトル内での言葉の使用は単なる著作物の内容であって、商標として使用しているわけではありません。また、角川書店の雑誌の名称として記載しても、角川書店以外の人のブランド名として記載しているわけではなく、問題ありません。
(3)特定非営利法人の英文略称である「NPO」は、当然に誰でも使用できるもので、このような使用が自由であることは、商標法第26条に明記されています。

しかも、商標法にしたがって登録すべきかどうかの審査を特許庁では行いますが、その際の審査基準として、「商品やサービスの質や内容を普通に表示する言葉であっても、「新聞、雑誌」については原則として登録を認めることが記載されており、「NPO」の登録はこれに沿ったものだったのです。「世界」「相撲」「よいこ」「おともだち」「現代」「モーニング」「FRIDAY」「環境教育」「ランチタイム」「学習まんが」「世界の絵本」「パーティー/PARTY」(/は改行を示す)「デザート/DESSERT」「フラワー」「保育園」「入学準備」などは、いずれもごく普通の書体で、新聞や雑誌について商標登録されています。
しかしこれらの言葉が使えなくなったなどという話はもちろんありません。

「NPO」「ボランティア」の商標登録を取り消したことによって、誰もが「NPO」という新聞・雑誌を発行できますが、同じ名称の雑誌が発行されたり、悪意でタイトルを模倣した雑誌を発行されたりするおそれがあります。
商標の信用に関わる問題です。

「阪神優勝」の商標無効 -2006年07月02日

「阪神優勝」の商標を、阪神タイガースとは関係のない千葉県の男性が、2002年2月に商標登録していたことが2003年に話題になりました。ロゴ入りTシャツなどを販売していたことも報道されました。
これに対し、プロ野球の阪神球団側は、「公認グッズと誤認される恐れがある」として、「阪神優勝」の商標登録無効を求めた審判を請求し、特許庁は球団の請求を認め、商標無効の審決を出しました。
無効審判の審決では、「阪神」を「阪神タイガース」の著名な略称と認定し、商標「阪神優勝」は「商品の出所を混同させる恐れがある商標は登録できない」と定める商標法に反して登録されたと判断したものです。

さて、無効審判とは、登録され権利が成立した登録商標について、商標法の所定の規定に該当することを理由として、登録を無効にするために特許庁に請求する手続です。今回は、無効審決により、登録が初めからなかったことになります。

ところで、「阪神優勝」報道に関しては、ひと頃は、この個人が「阪神優勝」を商標登録したことにより、あたかも、阪神球団が「阪神優勝」の言葉を使えなくなるかのような誤った報道がありました。はっきり言えば誤報です。

まず第一には、阪神の優勝という普通の言葉を普通に用いる分には、商標登録をされていても使用できること。
第二には、登録商標を独占的に使用できるのは、その商標権の指定商品・指定役務(サービス)について、商標として使用する場合であるため、それに該当しない使用をすることに問題はないこと。
そして第三には、登録された今回の商標は、文字だけではなく図形と組み合わされて登録されたものであり、図形まで使用する場合であればともかく、文字だけを普通に使用することに問題はないと見られたこと。
最後には今回の無効理由があったと思われることです。

商標や特許、特にソフトウェアやビジネスモデル特許の報道には、誤報じゃないかと思われる内容があまりにも多く目に付きます。

商号調査と商標調査 -2005年09月14日

 よく、企業やお店を運営されている方から、会社名や店舗名の商標登録をしたいとのご相談を受けます。
 「商標を真似されないように、独占したい」というのですが、商標登録・商標調査についてはまったく初めてという方が多く、そんなときは嫌な予感がします。「商標登録して独占する」よりも前に、「商標権を侵害しているのでは」との懸念を感じるからです。
 そしてその予感はよく当たります。本当によくあることで、どうするのか対処方法には困りますが、正直に状況を伝えざるをえません。

 商業登記される「商号」は、同一住所で同一商号登記されないほかは、商標法、不正競争防止法によって不正や混同を防ぐこととされており、同一の会社名であっても登記されます。登記した商号は「会社名、法人名称としては」使用することができます。登録商標の調査をしなくても会社はできてしまうのです。
 しかし、商号と同一または類似の商標が、第三者によって先に商標登録されていたら、会社名、法人名称を「商標として」使用することができません。商号登記されていてもです。ご存知でしたか?
 しかも登録されている商標権は全国的な権利です。商標権を侵害すると、商標使用の差止請求や、損害賠償請求がされることが認められています。
 つまり、こうなってしまうと、単なる会社名、法人名称の表示としては可能でも、識別標識、営業標識として表示することができなくなってしまうのです。もちろん商標登録をすることもできません。

 会社設立、商号調査の際に商標調査をしておくべきなのでは?
 弁理士は商標登録、司法書士は商業登記と、業務内容が異なるけれど、これほど密接にかかわり、しかも企業経営の根幹をなす重大なことなのに、情報が遮断されているのでは・・・?
 そこで、そうした問題を改善するために、会社設立、法人設立をされる方はもちろん、これを支援される司法書士の先生方に対して特別な商標調査サービスが提供できるようにするために、こうしたご相談にも応じております。お気軽にお問い合わせくださいますようお願い申し上げます。

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