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星野ジャパンの商標登録は問題なのか? 「なでしこじゃぱん」は登録商標なのに? -2008年08月22日

少し前の話題になりますが「星野ジャパン」の商標登録出願がされているという記事を見ました。
真相は、星野ジャパンの星野監督の名義で、知人が出願をしたが、本人が知らなかったことや批判的な記事等があったことで、出願を取り下げたということでした。

この記事をとりあげた週刊誌やブログでの話題といえば、星野監督個人で商標登録してしまうのはけしからん、言葉を独占して利益でも得るつもりなのか?といったものでした。

しかし個人名義で商標登録することは普通のことですし、商標登録制度というものを考えればごく当たり前の行為であり、本人の知らないところで出願されるということは問題であったものの、余計な誤解しか生まない記事やブログの論調でした。

そこで、オリンピックが開催されている現在、このことについて書いておきたいと思います。
なお、筆者は、どのような目的や経緯で商標が出願されたのか、といった個別事情には詳しくありませんので、あくまでも一般的なこととして記します。

商標登録制度の目的は?

さて、第一に、商標登録制度の目的は、商標に独占権を付与することによって、第三者が不正・不当に商標を使用することを防ぐことです。
そうだとすれば、「星野ジャパン」を商標登録することはむしろ当然のことといえるでしょう。これほど著名な言葉ともなれば、不正競争防止法などにより、不正な使用を何らかの方法で防ぐことができる可能性はあるとしても、対策方法はとても困難をきわめます。

次に、第二には、商標登録をすることによって、第三者が商標登録してしまうことを防ぐことです。
著名な商標であれば第三者が不正に登録することを特許庁は審査で防いでくれますが、審査の結果次第となることですので、先に正当権利者が商標登録出願をしておくことが望ましいということになります。

さらに、第三には、商標登録の権利主体となれるのは、(1)個人、または(2)法人となります。
法人格のない団体が、出願人・権利者の名義人となることはできません

「なでしこジャパン」は登録商標

たとえば、「なでしこじゃぱん/NADESHIKO JAPAN」という商標は、財団法人日本サッカー協会が登録しています。

商標登録第4845345号
登録日:平成17年(2005)3月11日
出願番号:商願2004-62898
出願日:平成16年(2004)7月7日
権利者:財団法人日本サッカー協会
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第16類:
事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フイルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て
第25類:
被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴
第32類:
ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース
第41類:
当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与

ちなみに、「なでしこリーグ」も登録されています。

「なでしこじゃぱん」は登録商標です・・・なんて書くと、それではこの言葉は使えないのか、と心配する方もでききますが、「阪神優勝」のときと同様にそれは杞憂です。
今回は正当な権利者が登録していると考えられますし、あくまでも「商標」とはある特定の商標登録した業務(商品名、サービス名称、ブランド名など)について使用する場合にのみ独占できるものだからです。
一般人が会話で使ったり、報道で「なでしこじゃぱん」について言及したりすることになんら問題はありません

「星野ジャパン」の商標登録出願が個人名義でされた理由は?

「なでしこじゃぱん/NADESHIKO JAPAN」という商標は、財団法人日本サッカー協会が登録していますが、これは財団法人という法人格がある団体だから、団体名義での登録ができるのです。

プロ野球球団などの法人格のある団体であればよいのですが、オリンピックのために一時的に結成されたような、法人格のない団体の場合には、通常は代表者など、個人の名義で登録することが当たり前です。

たとえば、ボランティア団体、法人格のない業界団体などの出願を扱うことがありますが、代表者などの個人で登録をするほかありません。
しかも「星野ジャパン」という商標は、商標中に「星野」という著名人の氏が含まれており、他の個人名義で出願した場合に、登録を拒絶される理由にもなりかねません。

したがって、第三者の不正使用・不正登録を防ぐためには、星野監督個人の名義で出願しておくという結論になるのは当たり前のことなのです。


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