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商標登録出願は増加傾向にあるが、2割弱は登録できていないのは? -2022年07月31日
少し前の古い資料になりますが、特許行政年次報告書2017年版(特許庁)によれば、商標登録出願は近年、増加傾向にあります。
これに比例して、登録件数も増加傾向にあります。
一方で、出願件数と登録件数とを比較すれば、おおむね16万件超の出願の内の4万件超、率にして毎年15~20%前後の登録にならない出願があることもわかります。
別の観点からみると、出願人のうちの15%前後、2万人超は、個人での出願であって、特に近年増加傾向にあり、その他スタートアップ企業、中小企業等を含めれば、決して商標法の制度に詳しくなく、手続にも慣れない出願人も多いことが推測されます。

「特許行政年次報告書2017年版」(特許庁)
こうした状況で、商標登録の専門資格である弁理士によらず、個人または法人自身が本人自ら手続をするケースは、約4割前後と、これも近年増加傾向にあり、年間6万人を超えるまでになりました。弁理士に依頼しない中には、知的財産部が充実していたり、さらに社内弁理士がいたりする大企業も含みます。しかしそれ以外では、個人やスタートアップ企業、中小企業等の方が多いと推測されます。

「特許行政年次報告書2017年版」(特許庁)

「特許行政年次報告書2017年版」(特許庁)
登録の前年に出願されている等の事例もあり、表中の数字には時期のずれがありますが、毎年15~20%前後の登録にならない出願の内、商標登録の専門資格である弁理士によらず、社内弁理士や専門部署にもよらずに出願した、個人または法人自らが手続をしたケースが多いのではないでしょうか?
2 自分で手続をすることが得なのかを考えてみる
もちろん、費用を節約したいという思いがあることもわかります。
本書の著者の事務所では、商標登録出願(1区分)の弁理士費用として、出願時に50000円(消費税別、以下同様)、登録時に45000円の費用が正規の料金表として明記してあります(割引事例は除く)。
これは弁理士費用としては一般的なものですが、上記の半額かそれ以下でサービスを提供する事務所も昨今は見受けられます。
ところで、当事務所のウェブサイト、商標登録.comでは、自分で手続をされる方のための情報も提供していますが、結局は拒絶理由通知を受けて、その段階になって相談をされる方が多くあります。
拒絶理由通知に対しては、費用節約のために自分で手続をされた方向けの特別価格として30000円以内で意見書等の作成をしており、通常この程度かそれ以上はかかる費用です。
しかし、拒絶理由通知を拝見すると、そもそも出願前の調査がきちんとできていなかったり、不十分だったり、あるいは出願書類の記載に問題があり、訂正等では対応が不可能だったり、意見書で反論しても無理なケースであることが、かなりの割合であります。
中には、結局最初から出願し直すケースもあります。
そうすると、費用節約のために自分で手続をしたが、結局は最初から弁理士にお願いした方がよかった、あるいは金額的にほとんど変わらなかったということになりかねません。
自分で出願してすんなり登録になれば、もちろん安く済むのですが、弁理士のようにオンライン出願で提出をしない限り、電子化手数料が数千円かかったりして、手間暇かけて調べてやることが、あまりお得であるようには思えません。
このあたりは、「自分で商標登録するか、弁理士に依頼するか、どちらがよいですか?」のQ&Aで、もう少し詳しくご説明しています。

