ニューヨークの地名「5th Avenue」に「INTERNATIONAL」を付しても商標法3条1項6号(原査定では3号)に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成9-19423
【事案】
本願商標は、下記に表示したとおりの構成よりなり、第25類「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物」を指定商品として、平成7年8月25日に登録出願されたものである。
【拒絶理由】
これに対し、原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク市の高級品店がある通りとして有名な『5th Avenue』の文字を2段に分けて表示したものに『国際的な』の意味の『INTERNATIONAL』の文字を小さな文字で付記した構成よりなるものであるから、これをニューヨーク製を初め外国製のものが多く取り扱われている本願指定商品に使用しても,該通りを産地にするものと理解されるにとどまるから、単に商品の産地・販売地を表示するにすぎない商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。
【審決における判断】
よって判断するに、本願商標は下記に表示したとおり大きな「5th Avenue」の文字の下に小さく「INTERNATIONAL」の文字を表してなるものであるが、構成中の上段の「5th Avenue」は、パリの「シャンゼリゼ通り」、日本の「銀座」と同様、国を代表するアメリカ合衆国ニューヨーク市の著名な繁華街であり、そこには「グッチ」、「バリー」、「フェラガモ」、「テファニー」等の一流品店舗が軒を並べていることでよく知られているものである。また、下段の「INTERNATIONAL」の文字は、「国際的な」を意味する英語であるが、「スーツ」「コート」等、被服を取り扱う業界において「世界のどの国でも共通に着られる」如き意味合いを表す語として適宜採択し使用されているところである。
そうとすれば、これら「5th Avenue」と「INTERNATIONAL」各文字よりなる本願商標を、その指定商品中「スーツ」「コート」等の被服に使用しても、これに接する取引者・需要者は、該商品が単に「世界中のどこでも着られる被服であり、ニューヨークの5番街(5th Avenue)で製造若しくは販売された商品である」ことを理解し認識するに止まるものといえる。
したがって、本願商標は、何人の業務に係る商品であるかを認識させることができないものと認められるものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
なお、原査定は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当すると認定しているが、当審では、本願商標が自他商品の識別標識の機能を果たし得ない点においては3号も6号も同様であると判断し、改めて拒絶理由を通知することなく上記のとおりの認定をした。
よって、結論のとおり審決する。