「SAKE100」の標準文字からなる商標は、「SAKE」の文字が「酒」の文字を欧文字表記したものとして理解され、数字が商品の品番等として一般的に使用されるものであるとしても、指定商品との関係において直ちに避けの品番等が100であるという意味合いを理解させるとはいい難く、むしろ一種の造語として認識されるから、商標法第3条第1項第6号には該当しないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2021-91
【審決日】令和3年10月7日(2021.10.7)
【事案】
本願商標は、「SAKE100」の文字を標準文字で表してなり、第33類「日本酒,清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」及び第35類「広告業,トレーディングスタンプの発行,商品の販売に関する情報の提供,市場調査又は分析,輸出入に関する事務の代理又は代行,コンピュータデータベースへの情報編集,広告用具の貸与,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(オンラインによるものを含む)」を指定商品及び指定役務として、平成31年3月20日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年3月19日付けで拒絶理由の通知がされ、同年6月3日に意見書が提出されたが、同年9月28日付けで拒絶査定がされ、これに対して令和3年1月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
【拒絶理由】
原査定は、「本願商標は、『SAKE100』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『SAKE』の文字は、『アルコール分を含み、飲むと酔う飲料の総称。』(出典:株式会社岩波書店 広辞苑第六版)等の意味を有する『酒』のローマ字表記であり、その指定商品との関係において、『日本酒,清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒』であることを容易に理解させるものである。そして、一般に数字は商品の品番、型式又は規格等を表示するための記号又は符号として商取引上普通に採択使用されているものであり、本願の指定商品に係る分野においても、数字と欧文字とを組み合わせたものが商品の品番、種別等を表す記号、符号として広く使用されている実情がある。以上の事実を考慮すると、本願商標は全体として『日本酒,清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒』であること及び商品の品番、種別等が『100』であることを併記したものと容易に認識させるにすぎない。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当であり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
審決における判断
本願商標は、「SAKE100」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「SAKE」の文字が「アルコール分を含み、飲むと酔う飲料の総称。」(出典:広辞苑第七版)を意味する「酒」の文字を欧文字表記したものとして理解され、数字が商品の品番、型番、種別、型式、規格等を表した記号又は符号として一般的に使用されるものであるとしても、欧文字で表記された「SAKE」の文字と、「100」という数字を結合してなる「SAKE100」の文字が、本願の指定商品との関係において、直ちに原審説示のような意味合いを理解させるとはいい難く、むしろ、構成全体をもって、特定の意味合いを認識させることのない、一種の造語として認識し、把握されるとみるのが相当である。
また、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品の分野において、本願商標が、本願の指定商品及びその品番、種別等を表すものとして理解されるというべき事実、又は取引上一般に使用されている事実も発見することができなかった。
そうすると、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
商標「モッタイナイ!を、おいしい!に。」は、指定商品との関係において、これに接する取引者、需要者は「まだ食べられるのに捨てられてしまう食材をおいしい食品に変えていく」ほどの意味合いを表す標語(スローガン)の一種として認識、理解するにすぎず、本願商標は自他商品の出所識別標としては認識しえないから、商標法第3条第1項第6号に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2024-16322
【審決日】令和7年6月18日(2025.6.18)
【事案】
1 手続の経緯
本願は、令和5年10月25日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 3月26日付け:拒絶理由通知書
令和6年 5月 8日 :意見書の提出
令和6年 8月14日付け:拒絶査定
令和6年10月10日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「モッタイナイ!を、おいしい!に。」の文字を標準文字で表してなり、第33類「アルコール飲料(ビールを除く。),アルコールエキス(ビール用のものを除く。),清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,カクテル,麦芽又は麦を使用したビール風味のリキュール,麦芽又は麦を使用しないビール風味のアルコール飲料,中国酒,薬味酒」を指定商品として登録出願されたものである。
【拒絶理由】
原審において、「本願商標は、「モッタイナイ!を、おいしい!に。」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「モッタイナイ」の文字は、「有用なのにそのままにしておいたり、むだにしてしまったりするのが惜しい。」の意味を有する「勿体ない」の片仮名表記と容易に認識されるものであり、「!」の文字は、「感動・興奮・強調・驚きなどの感情を表す符号」であり、「おいしい」の文字は、「物の味がよい。うまい。」の意味を有する語である。そして、昨今、食品ロス削減のための様々な取り組みが注目されているところ、この登録出願に係る指定商品を含む食品分野において、「モッタイナイ!を、おいしい!に。」に通ずる「もったいないをおいしいに」、「もったいない、を おいしいに。」及び「「もったいない」を「おいしい」に」などの文字が、「まだ十分食べられるのに捨てられてしまう食材をおいしい食品に変えていく」ほどの意味合いで、食品ロス削減のためのスローガンに使用されている実情が見受けられる。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、「まだ十分食べられるのに捨てられてしまう食材をおいしい食品に変えていく」という、食品ロス削減のためのスローガンであると認識するにとどまり、自他商品の識別標識として機能しないとみるのが相当であるから、本願商標は、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
審決における判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「モッタイナイ!を、おいしい!に。」の文字を標準文字で表してなるところ、本願の指定商品との関係において、その構成中の「モッタイナイ」の文字は「そのものの値打ちが生かされず無駄になるのが惜しい。」を意味する「もったいない(勿体無い)」の語を片仮名表記したものと理解されるものであり、「おいしい」の文字は「美味である。」を意味する語であって、各語の後に「感嘆や強調を表す感嘆符」である「!」の記号を配し、「モッタイナイ!」の後に配された「を」の文字は「(格助詞)体言またはそれに準ずるものを受ける。対象を示す」等を、「おいしい!」の後に配された「に」の文字は「(格助詞)変化の結果を示す。」等を、「、」は「一つの文の内部で、語句の断続を明らかにするために、切れ目に施す点。」を、「。」は「文の切れ目に打つ記号。」(いずれも出典は「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)をそれぞれ表す語である。
そして、別掲1の情報にあるように、昨今、食品ロスの削減に向けて、食べられる食品を捨てることを「もったいない」と表現し、その「もったいない」を見直すために、各省庁や地方公共団体をあげて、様々な取り組みが行われており、また、原審提示の情報や別掲2の情報にあるように、本願の指定商品に関連する分野において、「モッタイナイ!を、おいしい!に。」に通ずる「もったいないをおいしいに」や「もったいないをおいしく」等の語が、「まだ食べられるのに捨てられてしまう食材をおいしい食品に変えていく」ほどの意味合いで、食品ロスの削減に向けた取組み等を表す標語(スローガン)として使用されている実情が確認できる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、食品ロスの削減に向けた取組み等を表す標語(スローガン)の一種として認識、理解するにすぎず、本願商標は自他商品の出所識別標としては認識し得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきであるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標が、読点「、」、句点「。」及び符号「!」を用いつつ、視覚的に一体感と特異性を持たせている点に特徴があり、かかる構成においては、文の最後とはいえない位置に「!」を2回配し、このような表現方法は、一般的ではなく、全体として特殊な構成態様であり、また、構成全体として特定の意味合いを認識することができない造語である旨主張している。
しかしながら、本願商標の構成中、「!」は「感嘆や強調を表す感嘆符」を表す記号であって、「モッタイナイ」及び「おいしい」という語の意味を感嘆、強調する以外の意味合いを想起させないうえ、また、「。」は句点を、「、」は読点を表す記号にすぎず、これらの記号の有無によって、上記(1)のとおり、本願商標の意味合いが変わるものではなく、また、請求人が主張する構成全体として特定の意味合いを認識することができない造語であることを裏付ける証左もない。
イ 請求人は、形容詞である「もったいない(勿体無い)」の語を「モッタイナイ」と片仮名文字で表すことは必ずしも一般的であるとまではいえず、また、「おいしい」の後に「に」を使用することも通常の用法ではない旨主張している。
しかしながら、別掲3のとおり、本願の指定商品に関連する分野において、「もったいない(勿体無い)」の語を「モッタイナイ」と片仮名表記することが一般に行われており、また、上記(1)のとおり、「もったいないをおいしいに」等の語の使用の実情を踏まえれば、「おいしい」の後に「に」を使用することも特異な用法であるともいえない。
ウ 請求人は、「もったいない」の語を含む、又は「~を~に」という文型で構成された過去の商標登録例を挙げ、本願商標も自他商品の識別力が認められるべきである旨主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品との関係や、その商品の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
商標「日本でココだけ!超限定!!」は、「日本でこの場所だけにあり、しかも超限定されたもの」程度の意味合いにすぎず、これに接する取引者、需要者は、本願商標について、自他商品の識別標識として認識するというよりはむしろ、商品の宣伝文句やキャッチフレーズの一類型として認識し、自他商品の識別標識とは認識しえないから、商標法第3条第1項第6号に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2015-20911
【審決日】平成28年6月6日(2016.6.6)
【事案】
本願商標は、「日本でココだけ!超限定!!」の文字を標準文字で表してなり、第9類「硬貨投入式写真シール作成機並びにその部品及び附属品,硬貨投入式写真プリント作成機並びにその部品及び附属品,写真シール自動作成機,写真機械器具」を指定商品として、平成27年2月16日に登録出願されたものである。
【拒絶理由】
原査定は、「本願商標は、『日本でココだけ!超限定!!』の文字を標準文字で書してなるところ、全体として、『日本でこの場所だけにあり、しかも超限定されたもの』程度の抽象的意味合いを理解・認識させるばかりでなく、本願商標の構成は、格別要部として把握し得る部分があるとも認め難いことから、その意味合いを看取した取引者・需要者は、これをその取り扱いに係る特定の商品について使用する商品識別の標識と認識するというよりは、むしろ、出願人の業務又は商品に関し、消費者の興味をそそるように端的に表現した標語(キャッチフレーズ)の一種と認識し理解するとみるのが社会通念上相当である。してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、消費者向けのキャッチフレーズの一類型と理解するにとどまり、それをもって自他商品の識別標識とは認識し得ないものであるから、本願商標は、需要者をして何人かの業務に係る商品であるのかを認識することができない商標というべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
審決における判断
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、別掲のとおりの事実を内容とする証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、以下のように述べている。
(1)「本願の指定商品を取り扱う分野において、商品が場所や期間等を限定して設置されている例」に記載された情報は、本願の指定商品を取り扱う分野において、単に「場所や期間等を限定して設置されている」商品が存在することを示すのみであって、これらについて「日本でココだけ!超限定!!」との文字が一般的に使用されていることについて何ら言及するものではない。
(2)「本願の指定商品を取り扱う分野において、オリジナルの硬貨投入式写真シール作成機が取引されている例」に記載された情報は、単に「オリジナル(の)プリントシール機(オリジナルプリクラ機)」や「オリジナルフレーム」が市場で取引されている例について言及しているにとどまるものであって、これらについて「日本でココだけ!超限定!!」との文字が一般的に使用されていることについて何ら言及するものではない。
(3)「『ココだけ(ここだけ)』の語の使用例」に記載された情報は、単に「ココだけ(ここだけ)」や「日本でココだけ(日本でここだけ)」の語が使用されている例について言及しているにとどまるものであり、「日本でココだけ!超限定!!」との一体的な文字が一般的に使用されていることについて何ら言及するものではない。
(4)「『超限定』の語の使用例」に記載された情報は、単に「超限定」の語が使用されている例について言及しているにとどまるものであり、「日本でココだけ!超限定!!」との一体的な文字が一般的に使用されていることについて何ら言及するものではない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「日本でココだけ!超限定!!」の文字を標準文字で表してなるところ、全体として、「日本でこの場所だけにあり、しかも超限定されたもの」程の意味合いを容易に想起させるものである。
そして、証拠調べ通知で示した事実によれば、「(日本で)ここ(ココ)だけ」の文字は、物や事柄がその場所だけに存在するものであることを、また、「超限定」の文字は、「非常に限定されたもの」であることを誇称するための表示として一般に使用されているものといえる。
さらに、本願の指定商品を取り扱う分野において、商品が場所や期間等を限定して設置される事例や、オリジナルの硬貨投入式シール作成機が取引されている事実がある。
これらを総合勘案すると、「日本でココだけ!超限定!!」の文字からなる本願商標をその指定商品に使用したときは、「日本でこの場所だけにあり、しかも超限定されたもの」程の意味合いを認識させるにすぎず、これに接する取引者、需要者は、本願商標について、自他商品の識別標識として認識するというよりはむしろ、商品の宣伝文句やキャッチフレーズの一類型として認識、理解するにとどまるとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「日本でココだけ!超限定!!」の文字が、商品のキャッチフレーズを表すものとして、一般的に使用されている事実はなく、本願商標は、自他識別力を有するものであり、一般需要者が一定の出所を表示するものとして認識していることが窺える旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、「(日本で)ここ(ココ)だけ」の文字や「超限定」の文字の使用例や、本願指定商品の分野における取引の実情などを総合的に勘案すると、「日本でココだけ!超限定!!」の文字からは、「日本でこの場所だけにあり、しかも超限定されたもの」程の意味合いを認識させ、商品の宣伝文句やキャッチフレーズの一種として認識、理解させるものというべきである。
そして、一般需要者が一定の出所を表示するものとして認識していることが窺える証拠として提出している甲第4号証及び甲第5号証は、個人ブログの記事やインターネット掲示板の記事であって、これらの情報のみをもって本願商標が自他商品の識別標識として認識されていると認めることはできない。
また、請求人が現実の取引における使用状況として提出した資料(甲第2号証、甲第3号証及び甲第6号証)に表示されているものの多くは、赤色の下地に黄色の星柄を配したものを背景として、輪郭が黒色で白抜きのゴシック体で、「日本でココだけ!超限定!!」の文字を書してなるものであり、標準文字で表してなる本願商標とは相違するものであって、請求人(出願人)提出の証拠等によっては、本願商標が自他商品の識別力を有するに至っていると認めることはできない。
イ また、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる登録例は、本願商標とは、商標の構成態様等において相違し、事案を異にするものであって、そのような例が存することをもって、本願商標についてした上記認定、判断が左右されるものではない。
ウ したがって、上記ア及びイのとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
「Sleepshop」の文字は、寝具類を取り扱う業界においては「寝具類等を売る店」等の意味合いを有するものとして広く使用され、本願商標に接する取引者、需要者は「寝具類等を売る店」等の意味合いを容易に認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品であるかを認識できないから、商標法第3条第1項第6号に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】平成4年審判第1564号
【審決日】平成11年12月24日(1999.12.24)
【事案】
本願商標は、「Sleepshop」の欧文字を左横書きしてなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成2年4月12日に登録出願されたものである。
【拒絶理由】
2 当審における異議理由
これに対し、当審において、登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「本願商標は、商標法第3条第1項第2号、同第6号及び同法第4条第1項第15号に該当する。」旨主張し、証拠方法として、甲第2号証乃至同第33号を提出している。
審決における判断
よって判断するに、本願商標は、上記のとおり、「Sleepshop」の文字を書してなるところ、その構成中、前半の「Sleep」の文字は、「寝る、睡眠」等の意味を有する英語として親しまれているものであり、後半の「shop」の文字は、「小売店」等の意味を有する英語として親しまれているものである。
ところで、「SLEEP SHOP」及び「スリープ ショップ」の文字については、申立人が提出した甲第5号証によれば、スリープショップまるみやの作成に係る「’92歳末ドリームジャンボセール」と称するチラシに、「’92歳末ドリームジャンボセール」「広告商品売り出し期間」「本日より12/27日(日)迄」「羊毛ふとん」「羽毛ふとん」「スリープショップまるみや」とそれぞれ記載され、同じく、同第6号証によれば、SLEEP SHOP のむらやの作成に係る「’94・秋東京 西川 健康の総決算」と称するチラシの表面に「’94・秋」「羽毛ふとん」「ムアツふとん」「本日より10月17日(月)まで開催」「健康寝具の専門店」「SLEEP SHOP のむらや 十日町」とそれぞれ記載され、また、その裏面に「羽毛・羊毛寝具」「毛布」とそれぞれ記載され、同じく、同7号証によれば、SLEEP SHOP たかのの作成に係る「楽しく得してなっとく大満足!!東京 西川の価格納得宣言」と証するチラシの表面に「羽毛・羊毛寝具」「10月20日(木)→31日(月)」「SLEEP SHOP たかの」とそれぞれ記載され、同裏面に「94・秋」「羽毛ふとん」「ムアツふとん」と記載され、同じく、同第11号証によれば、ふとんのたなべ及びスリープショップたなべの作成に係る「Let′s Start」と称するチラシに、「’94 ご入学ご就職おめでとう 一人立ちの春、応援!!」「フレッシャーズの必需品ぜ~んぶ揃えて超特価! 3/31日(木)迄」「羽毛掛けふとん」「綿毛布」「五番町本店 ふとんのたなべ」「駅前メリア2階 スリープショップ たなべ」とそれぞれ記載され、同じく、同第28号証によれば、「日経ビジネス」(日経マグロウヒル社 昭和53年2月27日 発行)に「羽根ふとん」「スリーショップ西川」の記載がそれぞれされているものである。
以上の事実によれば、「Sleepshop」の文字は、寝具類を取り扱う業界においては、「寝具類等を売る店」等の意味合いを有するものとして広く使用されているものというべきである。
してみれば、「Sleepshop」の文字からなる本願商標をその指定商品中「寝具類」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記事情から「寝具類等を売る店」等の意味合いを容易に認識するにとどまり、単に商品の販売場所を表示したものと理解するにすぎず、何人かの業務に係る商品であるかを認識できないものであるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
小売等役務を指定した商標「離婚カウンセラー」について、「離婚カウンセラー養成講座」等の副教材としてテキスト等とセットで提供しているものであり、商品単体で販売されているものとは認められず、商標法第3条第1項柱書の要件を具備せず、さらに小売等役務に係る取扱商品が「離婚問題の相談に応じ、適切な指導・助言をする人」を題材とするものであり、「商品の品質」を認識、理解させるに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないことから、第3条第1項第6号に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2009-24370
【審決日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【事案】
本願商標は、「離婚カウンセラー」の文字を標準文字で書してなり、第35類「録画済み又は録音済みのDVD・ビデオテープ・ビデオディスク・CD・CD-ROMの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,録画済み又は録音済みDVD・ビデオディスク・CD・CD-ROM付の書籍の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,学習教材用録音・録画済み記憶媒体の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,教材(器具に当たるものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成19年6月27日に登録出願されたものである。
【拒絶理由】
原査定は、以下の(1)及び(2)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)商標法第3条柱書について
商標登録を受けることができる商標は、現在使用をしているもの、または、近い将来使用をするものと解されるところ、本願の指定役務のうち「録画済み又は録音済みのDVD・ビデオテープ・ビデオディスク・CD・CD-ROMの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,学習教材用録音・録画済み記憶媒体の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、出願人が商品としての「録画済みDVD又は録画済みビデオテープ」の小売又は卸売をしているということができないから、出願人は前記小売等役務に係る業務を行っていると認めることができない。したがって、本願商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備していない。
(2)商標法第3条第1項第6号について
本願商標は、標準文字にて「離婚カウンセラー」と表してなるところ、その構成中の「離婚」の部分が「夫婦が婚姻を解消すること」の意味を有する語であり、「カウンセラー」の部分が「社会生活において個人が当面する悩みなどについて相談に応じ、適切な指導・助言をする人」の意味を有し、「○○カウンセラー」のように一般的に称されているところから、全体として「離婚問題について相談に応じて、適切な指導・助言をする人」の意味合いを表したものと容易に理解されるものである。これに加えて、インターネットや新聞記事情報によると「離婚カウンセラー」と称する民間資格取得のための講座が開かれ、その資格取得者がその分野で活躍しているとみられるところからすると、本願商標をその指定役務について使用しても、指定役務の取扱商品である「録画済み又は録音済みのDVD・ビデオテープ・ビデオディスク・CD・CD-ROM」、「書籍・印刷物」等の内容が「離婚カウンセラーを題材としたものから、その資格取得に必要なものなど、離婚カウンセラーに関する種々の商品を取り揃えている」旨表したものと理解されるにとどまるというのが相当であり、自他役務の識別標識としては認識されず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
審決における判断
(1)商標法第3条柱書該当性について
請求人は、平成22年1月21日受付の手続補正書において、「平成20年11月11日付提出の物件提出書で提出した参考資料1や、平成22年1月21日付提出の参考資料17によれば、請求人が開講する通信講座の実体は、『録画済みDVD等、学習教材用録音・録画済み記憶媒体』であり、小売等役務に係る取扱商品を取り扱うものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備するものである」旨主張している。
しかしながら、請求人が提出している前記参考資料及びその他の参考資料を検討するに、小売等役務に係る取扱商品は、「離婚カウンセラー養成講座」等の副教材として、テキスト等とセットで提供しているものであって、ビデオ、DVD等、又は、学習教材用録音・録画済み記憶媒体の単体で販売されているものとは認められず、また、近い将来使用をすることについても何ら示されていない。
そうすると、本願商標が「録画済み又は録音済みのDVD・ビデオテープ・ビデオディスク・CD・CD-ROMの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,学習教材用録音・録画済み記憶媒体の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務に使用しているか又は近い将来使用をすることについて認めることができず、これを証明する追加の書類等の提出もなされていないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しているということができない。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「離婚カウンセラー」の文字よりなるところ、その構成中「離婚」の文字は、「夫婦が婚姻を解消すること。」を意味する語として、また、「カウンセラー」の文字は、「社会生活において個人が当面する悩みなどについて相談に応じ、適切な指導・助言をする人。」等の意味を有する語として(いずれも「広辞苑第6版」を参照)、共によく知られている語であるから、これらを組み合わせた本願商標全体からは、「離婚問題の相談に応じ、適切な指導・助言をする人」程の意味合いを容易に認識させるというべきである。
そうすると、本願商標をその指定役務について使用したときには、その小売等役務に係る取扱商品が「離婚問題の相談に応じ、適切な指導・助言をする人」を題材とするもの、すなわち、小売等役務に係る取扱商品の品質を認識、理解させるに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものである。
「ヘイセイ」、「へいせい」、「平成」、「HEISEI」の文字を4段に書した商標は、現元号を片仮名文字、平仮名文字、漢字および欧文字で表したにすぎず、自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成2-17637
【事案】
本願商標は、「ヘイセイ」、「へいせい」、「平成」、「HEISEI」の文字を4段に書してなり、第17類「被服その他本類に属する商品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
審決における判断
本願商標は、その構成は前記のとおりであって、これは、現元号を片仮名文字、平仮名文字、漢字および欧文字で表したにすぎないものである。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する需要者をして、直接的ではないが、平成に製造されたものである等、広い意味での商品の生産時期等を表すものとして、また、一般に使用され得る現元号を表したにすぎない表示として認識させるにとどまるものと判断するのが相当であるから、自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ない。
したがって、本願商標は、需要者が何人の業務に係る商品であるかを認識することができない商標であるから、商標法3条1項6号に該当する。
「マックスはあなたの手!」の文字は、「マックス」の文字が格別の語義を有するものとは理解されない造語であり、単なる商品の品質・用途などを誇示するだけのキャッチフレーズとは認められないため、商標法3条1項6号には該当しないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和48-3169
【事案】
本願商標は、「マックスはあなたの手!」の文字を左横書きしてなり、第13類「手動工具(但しブラシ類を除く。)」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
審決における判断
本願商標は、「マックスはあなたの手!」の文字を左横書きしてなり、第13類「手動工具(但しブラシ類を除く。)」を指定商品とするものである。
本願商標中「マックス」の文字は格別の語義を有するものとは理解されない造語であって、指定商品の品質・用途などを表すものと容易に認識されないものであるばかりでなく、「マックスはあなたの手!」のように組み合わされたために単なる商品の品質・用途などを誇示するだけのキャッチフレーズとは認められないものである。
してみれば、本願商標を指定商品に使用しても、自他商品識別標識としての機能を充分に果たすものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当するものでない。
比較的平易な英語で記述的に表示してなる「BEAUTY IS IN THE CUTTING」の文字は、その商品のカッティングが良いこと(優良品であること)を誇称する単なる宣伝文として理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たす文字とは認識し得ないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和55-10170
【事案】
本願商標は、「BEAUTY IS IN THE CUTTING」の欧文字を横書きしてなり、第21類「ダイヤモンドその他のカットした宝玉およびその模造品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
審決における判断
本願商標は、これより全体として「美しさは切断(cutting)にある。」如きの意味合いをもって理解される語を欧文字で表現したものと解されるとするのが相当である。ところで、指定商品「ダイヤモンドをはじめ各種の宝玉」にあっては、その商品価値(美しさ)は、カッティング(切り子)の善し悪しにかかっているといわれている商品である。
そうとすれば、比較的平易な英語で記述的に表示してなる本願商標をその指定商品(宝玉等)に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、前記の事情から、その商品のカッティングが良いこと(優良品であること)を誇称する単なる宣伝文として理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たす文字とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわなければならないから、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。
「さわやかさをお届けします」の文字は、指定役務に使用しても、取引者・需要者は、全体として「顧客にさわやかな生活環境を提供する」という意味合いの単なる広告・宣伝文を記述したものであり、自他役務を識別するための標識とは認識し得ないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成6-9670
【事案】
本願商標は、「さわやかさをお届けします」の文字を横書きしてなり、第40類「布地又は被服の加工処理(乾燥処理を含む)」を指定役務とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
審決における判断
よって判断するに、本願商標を構成する前半部の「さわやか」の文字は、「すがすがしく快いさま、爽快、はっきりしているさま、新しくさっぱりしたさま」等の意味を有し、例えば、「さわやかな朝」「さわやかな人」の如く、一般的には良い印象を与える語として好んで使用されているばかりでなく、該語は、事業を営む者又はその者の提供する商品・役務について、それが良好であることを誇示するために、広告・宣伝文あるいは標語中にも普通に使用されているといい得るものである。そして、本願商標は、「さわやかさをお届けします」の文字を普通に用いられる方法で書して成るものであるところ、その構成前半部の「さわやか」の文字が前記認定のとおりであり、また、このように極めて冗長で商標としての主要部が捉え難いものをその指定役務に使用しても、取引者・需要者は、全体として「顧客にさわやかな生活環境を提供する」という意味合いで、出願人が提供する役務の単なる広告・宣伝文を記述したものとして理解するに止まり、自他役務を識別するための標識とは認識し得ないとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。
「緑をおくる山口のお茶」の文字中の「山口」の文字がありふれた氏であり、「緑をおくる」の文字は「緑茶のもつ緑を需要者にお届けする」の意味合いを容易に看取させるため、自他商品識別標識としての機能を果たさないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和53-12572
【事案】
本願商標は、ゴシック体をもって「緑をおくる山口のお茶」の文字を横書きしてなり、第29類「緑茶」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
審決における判断
本願商標は、ゴシック体をもって、「緑をおくる山口のお茶」の文字を横書きして成り、第29類「茶、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和50年5月28日に登録出願され、その後、指定商品については同52年12月14日付手続補正書をもつて、第29類「緑茶」と補正されたものである。
よつて按ずるに、本願商標の構成は前記のとおりであるところ、これを構成する文字中「山口」の文字がありふれた氏であることは、昭和54年4月1日日本電信電話公社発行、「東京23区50音別電話帳個人名(下)」第1102頁ないし1120頁の記載(電話加入者中に「山口」氏の者が多数存在する)に徴し明らかであり、これに続く、「お茶」の文字は、商品名を表わすものとして普通に使用されているところのものである。また「緑をおくる」の文字は、指定商品の緑茶がその外観において加工された後も茶葉の緑色がもつともよく保存されている(重要な品質の一つ)ことからして、緑茶のもつ緑を需要者にお届けするの意味合いを容易に看取せしめるものである。
しかして、本願商標は「緑をおくる山口のお茶」の文字を書してなるものであるが、これが指定商品に使用された場合において、これに接する取引者、需要者は、上記の点よりして全体として緑茶のもつ緑を需要者にお届けする山口の氏を有する者の取扱いに係るお茶(緑茶)の意味合いを表現した宣伝文句の一つと認識し理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するとみるのが相当である。
してみれば、本願商標をその指定商品について使用しても、他の「山口」なる氏を付して取引される同種商品とその出所を識別しうるものとはいい難いところであるから、結局、本願商標は需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわなければならない。
したがって、本願商標を同様の趣旨をもって商標法第3条第1項第6号に該当するとした原査定は妥当であって取り消す理由はない。よって、結論のとおり審決する。
「たっぷりカリフォルニア太陽の味」の文字からなる商標を指定商品に使用しても、カリフォルニア産の商品であること、あるいはそれらを原材料としたものであることの単なる宣伝文にすぎないため、自他商品識別の機能を具有しないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和47-381
【事案】
本願商標は、「たっぷりカリフォルニア太陽の味」の文字を横書きしてなり、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食品」等を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
審決における判断
よって判断するに、アメリカ合衆国カリフォルニア州のとくに南部では、地中海式気候の特色とコロラド州の水を利用した人工引水によって、ブドウ、イチジク、プラム、オレンジなどの栽培が盛んで、乾果、かんづめなどのほか生果としても、カリフォルニアのオレンジ、レモンとして国の内外で名声を博しているものであり、該地で生産される商品は気候、土壌との関係から、滋味なものとして生果は勿論のこと、それらを原材料として各種の加工食品が作られていることは明らかである。そして、それらの商品が、その原産地の特徴を有するものであること、即ち品質が充分満たされていることを表現して、顧客誘引のための訴求力を強めるために、この種業界においてはカリフォルニア産の商品であること、あるいはそれらを原材料とした優良品であることを誇示する宣伝文句に上記の如き内容を記して使用されていることは、われわれ日常生活上において見聞するところである。
してみれば、「たっぷりカリフォルニア太陽の味」の文字を書してなる本願商標をその指定商品に使用しても、該商品がカリフォルニア産の商品であること、あるいはそれらを原材料としたものであることを端的に強調し、誇称した単なる宣伝文として記述したものにすぎない文字と解するに止まり、自他商品識別の機能を具有しないものであって、需要者が何人の業務にかかる商品であることを認識することのできないものである。
したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。
優良品であることを誇示する単なる宣伝文の英語として記述したものにすぎない文字と解するに止まり自他商品識別機能を果たさないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和40-7720
【事案】
本願商標は、ローマン書体をもって「BECAUSE YOU LOVE NICE THINGS」の英文字を横書きしてなり、第16類「織物」等を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
審決における判断
本願商標は、英語の普及している現在、容易にこれが英語であって「何故ならあなたは良い(上品な)衣服を好むから」という意味合いを表現した叙述文と解されるとするのが相当である。そして、衣服等の素材として用いられる織物・編物等の商品は用途に従い自ら原材料・編織方法・仕上加工・染色・色彩・意匠等を異にするものであって、用途に応じて多種多様の種類の商品が作られるものであり、それらの商品が何かの特徴を有するものであること、用途に応ずる品質が充分満たされていることを表現して顧客誘引のための訴求力を強めるために、この種業界においては主張・意見等を簡潔にまとめて記述した宣伝文を日本文のみならず英文にても商標を付して使用する下げ札等に記して使用されていることは顕著な事実である。
そうだとすれば、上記の意味合いを表現した文字と容易に理解される本願商標を指定商品に使用した場合、お客の愛顧に応ずる優良品であることを誇示する単なる宣伝文として記述したものにすぎない文字と解するに止まり自他商品識別機能を果たす文字とは認識し得ないものとするのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。
地模様風の「YANAGIYA SHOW ROOM」の極めて小さな欧文字が反覆連続し、極めて小さな柳屋シヨールーム」の図形と文字を配した商標は、単に装飾的図柄として認識され、商標としての機能を果し得ないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和41-8441
【事案】
本願商標は、縦長方形の紙牌の全面に「YANAGIYA SHOW ROOM」の欧文字を小さく地模様風に連続して横書きしたものを背景とし、この紙面の右上部に三角旗をなびかせている西洋風の塔の図形を描き、その紙面の中央部やや下の一部を小さく横長方形に黒く塗り潰し、その中に「(図省略)柳屋シヨールーム」の図形と文字を白抜きし、その紙面の下部右寄りに4枚のキングのトランプ札を横に並べた図形を描いてなり、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品とするものである。

【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
審決における判断
本願商標は、その商標において地模様風の「YANAGIYA SHOW ROOM」の欧文字は極めて小さな反覆連続した文字であって、かつ中央部やや下にある「(図省略)柳屋シヨールーム」の図形と文字も白抜きではあるが、また極めて小さく書かれているから、看者が直ちに容易に識別判読し得るものとは必ずしもいい難いし、また塔と覚しき建物及びトランプの札の図形もこれらの文字と密接不可分のものとして結合し全体として独立した格別の称呼観念を生ずるものとは認め難い。故に本願商標は全体としてその構成散漫であって、商標の要部の把握理解が困難であるから、本願商標は自他商品の識別機能を具備しないものと認められる。
しかして、本願商標のような商標自体において特定の要部を定めることができない商標は、社会通念上いわゆる商標としての識別力が特定し得ないものであるから、これをその指定商品について使用しても取引者需要者は単に装飾的図柄として認識するにすぎず、商標としての機能を果し得ないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標はこれを指定商品について使用しても需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものであるから、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。
商標「FEATHER」を含むとしても、その文字自体の独立性は極めて希薄であり、商標の実体的構成要素である自他商品の識別標識としての特別顕著の要件を満たさないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和41-7051
【事案】
本願商標は、下記に表示した構成よりなり、第13類「剃刀刃」を指定商品とするものである。

【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
審決における判断
よって按ずるに、本願商標は、その構成下記に表示したとおりのものであるから、該商標に接する取引者、需要者はローマ字を地模様的に表示したものと看取し認識するにとどまるものと判断するのが相当である。請求人は、本願商標は剃刀刃そのものの模様ではなく、剃刀刃の包装に表した「FEATHER」という商標が一部をなす一群の商標であるから識別力を有する商標である旨主張しているが、本願商標は、「R」の次に若干の間隔をあけて、次の「F」の文字が表されてはいるけれども、この程度の間隔があるからといっても、本願商標の如く紙牌内全面にわたって「F」「E」「A」「T」「H」「E」「R」の各ローマ字を多数表示してなる構成においては、「FEATHER」の文字自体の独立性は極めて希薄であり、商標の実体的構成要素である自他商品の識別標識としての特別顕著の要件を具有するに充分なものとは認めがたい。
したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。
「赤地タータンチェック」または「赤地黄格子模様」を直感させる商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないとされた事例、及び本件の類似商標が後年になって登録された事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和37-3298
【事案】
本願商標は、赤、黄及び濃緑を以て彩色した格子模様からなり、第25類「紙類、文房具類」を指定商品とするものである。

【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
審決における判断
よって審理するに、本願商標はその構成上織物の柄の一種である「赤地タータンチェック」又は「赤地黄格子模様」というべきものを直感させるものである。
しかして本願商標の如き、商標自体が観念上一定の輪郭を定めることのできない模様は、社会通念上、いわゆる商標としての認識が特定し得ないものであるから、これをその指定商品に使用しても一般世人は単に商品に附された装飾的図柄として認識するにすぎず、商標としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標をその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないから、本願商標は商標法3条1項6号に該当する。
「パールブリッジを渡ってきました」の文字は、キャッチフレーズか否かにかかわらず需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成11-13577
【審決日】
【事案】
本願商標は、「パールブリッジを渡ってきました」の文字を横書きしてなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品して、平成10年1月16日に登録出願されたものである。
【拒絶理由】
原査定においては、「本願商標は、近年、『○○に行って来ました』等の文字が各地方の土産物について、当該地を訪れた時の土産物であることをメッセージ風に表したものとして表示されている事実があり、かつ、『パールブリッジ』が『明石海峡大橋』の愛称として知られていることよりみれば、『明石海峡大橋を渡った時のお土産物であることをメッセージ風に表した商品』であることを認識させるに止まる『パールブリッジを渡ってきました』の文字を書してなるものであるから、これを本願の指定商品に使用するときは、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
審決における判断
請求人は、原査定に対して、本願商標は、「パールブリッジを渡って来ました」、と一連に横書きしてなるものであり、キャッチフレーズ的ではあるが決してキャッチフレーズそのものではない旨及び請求人の主張は過去の登録例から十分に支持されるものである旨主張し、15の登録例を挙げている。
出願に係る商標が需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないか否かは、その商標を指定商品に使用したとき、需要者、取引者が如何に認識するか、すなわち、商品の属性等を表示するものとして、識別標識としては認識し得ないか否かを指定商品との関係において、その取引の実情を踏まえて判断すべきものである。
本願商標は、「パールブリッジを渡ってきました」の文字を横書きしてなり、指定商品を「菓子及びパン」とするものであるところ、本願商標中の「パールブリッジ」は明石海峡大橋の愛称であり(「現代用語の基礎知識」1999 468頁)、明石海峡大橋及びその周辺は観光地として脚光を浴びており(朝日現代用語「知恵蔵」’99 1182頁)、多数の土産物店が存在するものと推認される。そして、近時、『○○(観光地)に行って来ました』等の文字が各観光地の土産物について表示されている事実がある。加えて、本願商標の指定商品中、「菓子」は土産物の典型例である。してみれば、本願商標は、これを指定商品「菓子」に使用しても、取引者、需要者は明石海峡大橋の渡橋ないしは観光記念のお土産物であることをメッセージ風に表示したものと認識するにすぎないと認められ、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と言うのが相当である。
請求人は、本願商標はキャッチフレーズではない旨主張するが、キャッチフレーズか否かにかかわらず、本願商標については、前示の認定、判断を相当とし、また、本件審判においては先登録例には拘束されるものではなく、事案に即して個別具体的に認定、判断すべきものである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
4 結論
以上のとおり、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は正当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
ニューヨークの地名「5th Avenue」に「INTERNATIONAL」を付しても商標法3条1項6号(原査定では3号)に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成9-19423
【事案】
本願商標は、下記に表示したとおりの構成よりなり、第25類「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物」を指定商品として、平成7年8月25日に登録出願されたものである。

【拒絶理由】
これに対し、原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク市の高級品店がある通りとして有名な『5th Avenue』の文字を2段に分けて表示したものに『国際的な』の意味の『INTERNATIONAL』の文字を小さな文字で付記した構成よりなるものであるから、これをニューヨーク製を初め外国製のものが多く取り扱われている本願指定商品に使用しても,該通りを産地にするものと理解されるにとどまるから、単に商品の産地・販売地を表示するにすぎない商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。
審決における判断
よって判断するに、本願商標は下記に表示したとおり大きな「5th Avenue」の文字の下に小さく「INTERNATIONAL」の文字を表してなるものであるが、構成中の上段の「5th Avenue」は、パリの「シャンゼリゼ通り」、日本の「銀座」と同様、国を代表するアメリカ合衆国ニューヨーク市の著名な繁華街であり、そこには「グッチ」、「バリー」、「フェラガモ」、「テファニー」等の一流品店舗が軒を並べていることでよく知られているものである。また、下段の「INTERNATIONAL」の文字は、「国際的な」を意味する英語であるが、「スーツ」「コート」等、被服を取り扱う業界において「世界のどの国でも共通に着られる」如き意味合いを表す語として適宜採択し使用されているところである。
そうとすれば、これら「5th Avenue」と「INTERNATIONAL」各文字よりなる本願商標を、その指定商品中「スーツ」「コート」等の被服に使用しても、これに接する取引者・需要者は、該商品が単に「世界中のどこでも着られる被服であり、ニューヨークの5番街(5th Avenue)で製造若しくは販売された商品である」ことを理解し認識するに止まるものといえる。
したがって、本願商標は、何人の業務に係る商品であるかを認識させることができないものと認められるものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
なお、原査定は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当すると認定しているが、当審では、本願商標が自他商品の識別標識の機能を果たし得ない点においては3号も6号も同様であると判断し、改めて拒絶理由を通知することなく上記のとおりの認定をした。
よって、結論のとおり審決する。
「明石・鳴門のかけ橋にあすの日本の夢がある」の文字は標語と認識するに止まり、自他商品を識別する標識とは理解しないものであるとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和42-7394
【事案】
本願商標は、ペン書体で「明石・鳴門のかけ橋にあすの日本の夢がある」の文字を4行に分けて縦書きしてなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法3条1項5号
審決における判断
よって判断するに、本願商標は、前記のとおり「明石・鳴門のかけ橋にあすの日本の夢がある」の文字を七・五調に分けて縦書きしてなるものであるが、これは明らかに一種の標語よりなるものと認められる。そして、このように極めて冗長で、商標としての重要な部分をとらえにくいものを、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に「明石と鳴門に橋を架ければ日本の将来に希望がわいてくる」の如き観念を有する標語と認識するに止まり、自他商品を識別する標識とは理解しないものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものであるから、商標法3条1項6号に該当する。

