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審決例(3条1項6号) -商標登録ドットコム™

「ヘイセイ」、「へいせい」、「平成」、「HEISEI」の文字を4段に書した商標は、現元号を片仮名文字、平仮名文字、漢字および欧文字で表したにすぎず、自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成2-17637
【事案】
本願商標は、「ヘイセイ」、「へいせい」、「平成」、「HEISEI」の文字を4段に書してなり、第17類「被服その他本類に属する商品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
【審決における判断】
本願商標は、その構成は前記のとおりであって、これは、現元号を片仮名文字、平仮名文字、漢字および欧文字で表したにすぎないものである。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する需要者をして、直接的ではないが、平成に製造されたものである等、広い意味での商品の生産時期等を表すものとして、また、一般に使用され得る現元号を表したにすぎない表示として認識させるにとどまるものと判断するのが相当であるから、自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ない。
したがって、本願商標は、需要者が何人の業務に係る商品であるかを認識することができない商標であるから、商標法3条1項6号に該当する。

「マックスはあなたの手!」の文字は、「マックス」の文字が格別の語義を有するものとは理解されない造語であり、単なる商品の品質・用途などを誇示するだけのキャッチフレーズとは認められないため、商標法3条1項6号には該当しないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和48-3169
【事案】
本願商標は、「マックスはあなたの手!」の文字を左横書きしてなり、第13類「手動工具(但しブラシ類を除く。)」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
【審決における判断】
本願商標は、「マックスはあなたの手!」の文字を左横書きしてなり、第13類「手動工具(但しブラシ類を除く。)」を指定商品とするものである。
本願商標中「マックス」の文字は格別の語義を有するものとは理解されない造語であって、指定商品の品質・用途などを表すものと容易に認識されないものであるばかりでなく、「マックスはあなたの手!」のように組み合わされたために単なる商品の品質・用途などを誇示するだけのキャッチフレーズとは認められないものである。
してみれば、本願商標を指定商品に使用しても、自他商品識別標識としての機能を充分に果たすものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当するものでない。

比較的平易な英語で記述的に表示してなる「BEAUTY IS IN THE CUTTING」の文字は、その商品のカッティングが良いこと(優良品であること)を誇称する単なる宣伝文として理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たす文字とは認識し得ないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和55-10170
【事案】
本願商標は、「BEAUTY IS IN THE CUTTING」の欧文字を横書きしてなり、第21類「ダイヤモンドその他のカットした宝玉およびその模造品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
【審決における判断】
本願商標は、これより全体として「美しさは切断(cutting)にある。」如きの意味合いをもって理解される語を欧文字で表現したものと解されるとするのが相当である。ところで、指定商品「ダイヤモンドをはじめ各種の宝玉」にあっては、その商品価値(美しさ)は、カッティング(切り子)の善し悪しにかかっているといわれている商品である。
そうとすれば、比較的平易な英語で記述的に表示してなる本願商標をその指定商品(宝玉等)に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、前記の事情から、その商品のカッティングが良いこと(優良品であること)を誇称する単なる宣伝文として理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たす文字とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわなければならないから、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。

「さわやかさをお届けします」の文字は、指定役務に使用しても、取引者・需要者は、全体として「顧客にさわやかな生活環境を提供する」という意味合いの単なる広告・宣伝文を記述したものであり、自他役務を識別するための標識とは認識し得ないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成6-9670
【事案】
本願商標は、「さわやかさをお届けします」の文字を横書きしてなり、第40類「布地又は被服の加工処理(乾燥処理を含む)」を指定役務とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
【審決における判断】
よって判断するに、本願商標を構成する前半部の「さわやか」の文字は、「すがすがしく快いさま、爽快、はっきりしているさま、新しくさっぱりしたさま」等の意味を有し、例えば、「さわやかな朝」「さわやかな人」の如く、一般的には良い印象を与える語として好んで使用されているばかりでなく、該語は、事業を営む者又はその者の提供する商品・役務について、それが良好であることを誇示するために、広告・宣伝文あるいは標語中にも普通に使用されているといい得るものである。そして、本願商標は、「さわやかさをお届けします」の文字を普通に用いられる方法で書して成るものであるところ、その構成前半部の「さわやか」の文字が前記認定のとおりであり、また、このように極めて冗長で商標としての主要部が捉え難いものをその指定役務に使用しても、取引者・需要者は、全体として「顧客にさわやかな生活環境を提供する」という意味合いで、出願人が提供する役務の単なる広告・宣伝文を記述したものとして理解するに止まり、自他役務を識別するための標識とは認識し得ないとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。

「緑をおくる山口のお茶」の文字中の「山口」の文字がありふれた氏であり、「緑をおくる」の文字は「緑茶のもつ緑を需要者にお届けする」の意味合いを容易に看取させるため、自他商品識別標識としての機能を果たさないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和53-12572
【事案】
本願商標は、ゴシック体をもって「緑をおくる山口のお茶」の文字を横書きしてなり、第29類「緑茶」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
【審決における判断】
本願商標中「山口」の文字がありふれた氏であることは、東京都電話帳の19頁にわたる記載に徴し明らかであり、これに続く、「お茶」の文字は商品名を表すものとして普通に使用されており、「緑をおくる」の文字は指定商品の緑茶がその外観において加工された後も、茶葉の緑色が最もよく保存されている(重要な品質の一つ)ことからして「緑茶のもつ緑を需要者にお届けする」の意味合いを容易に看取させるものである。
してみれば、本願商標が指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は「緑茶の持つ緑を需要者にお届けする山口の氏を有する者の取扱いに係るお茶(緑茶)」の意味合いを表現した宣伝文句の一つと認識理解するに止まり、自他商品識別標識としての機能を果たさないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。

「たっぷりカリフォルニア太陽の味」の文字からなる商標を指定商品に使用しても、カリフォルニア産の商品であること、あるいはそれらを原材料としたものであることの単なる宣伝文にすぎないため、自他商品識別の機能を具有しないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和47-381
【事案】
本願商標は、「たっぷりカリフォルニア太陽の味」の文字を横書きしてなり、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食品」等を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
【審決における判断】
よって判断するに、アメリカ合衆国カリフォルニア州のとくに南部では、地中海式気候の特色とコロラド州の水を利用した人工引水によって、ブドウ、イチジク、プラム、オレンジなどの栽培が盛んで、乾果、かんづめなどのほか生果としても、カリフォルニアのオレンジ、レモンとして国の内外で名声を博しているものであり、該地で生産される商品は気候、土壌との関係から、滋味なものとして生果は勿論のこと、それらを原材料として各種の加工食品が作られていることは明らかである。そして、それらの商品が、その原産地の特徴を有するものであること、即ち品質が充分満たされていることを表現して、顧客誘引のための訴求力を強めるために、この種業界においてはカリフォルニア産の商品であること、あるいはそれらを原材料とした優良品であることを誇示する宣伝文句に上記の如き内容を記して使用されていることは、われわれ日常生活上において見聞するところである。
してみれば、「たっぷりカリフォルニア太陽の味」の文字を書してなる本願商標をその指定商品に使用しても、該商品がカリフォルニア産の商品であること、あるいはそれらを原材料としたものであることを端的に強調し、誇称した単なる宣伝文として記述したものにすぎない文字と解するに止まり、自他商品識別の機能を具有しないものであって、需要者が何人の業務にかかる商品であることを認識することのできないものである。
したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。

優良品であることを誇示する単なる宣伝文の英語として記述したものにすぎない文字と解するに止まり自他商品識別機能を果たさないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和40-7720
【事案】
本願商標は、ローマン書体をもって「BECAUSE YOU LOVE NICE THINGS」の英文字を横書きしてなり、第16類「織物」等を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
【審決における判断】
本願商標は、英語の普及している現在、容易にこれが英語であって「何故ならあなたは良い(上品な)衣服を好むから」という意味合いを表現した叙述文と解されるとするのが相当である。そして、衣服等の素材として用いられる織物・編物等の商品は用途に従い自ら原材料・編織方法・仕上加工・染色・色彩・意匠等を異にするものであって、用途に応じて多種多様の種類の商品が作られるものであり、それらの商品が何かの特徴を有するものであること、用途に応ずる品質が充分満たされていることを表現して顧客誘引のための訴求力を強めるために、この種業界においては主張・意見等を簡潔にまとめて記述した宣伝文を日本文のみならず英文にても商標を付して使用する下げ札等に記して使用されていることは顕著な事実である。
そうだとすれば、上記の意味合いを表現した文字と容易に理解される本願商標を指定商品に使用した場合、お客の愛顧に応ずる優良品であることを誇示する単なる宣伝文として記述したものにすぎない文字と解するに止まり自他商品識別機能を果たす文字とは認識し得ないものとするのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。

地模様風の「YANAGIYA SHOW ROOM」の極めて小さな欧文字が反覆連続し、極めて小さな柳屋シヨールーム」の図形と文字を配した商標は、単に装飾的図柄として認識され、商標としての機能を果し得ないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和41-8441
【事案】
本願商標は、縦長方形の紙牌の全面に「YANAGIYA SHOW ROOM」の欧文字を小さく地模様風に連続して横書きしたものを背景とし、この紙面の右上部に三角旗をなびかせている西洋風の塔の図形を描き、その紙面の中央部やや下の一部を小さく横長方形に黒く塗り潰し、その中に「(図省略)柳屋シヨールーム」の図形と文字を白抜きし、その紙面の下部右寄りに4枚のキングのトランプ札を横に並べた図形を描いてなり、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品とするものである。
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【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
【審決における判断】
本願商標は、その商標において地模様風の「YANAGIYA SHOW ROOM」の欧文字は極めて小さな反覆連続した文字であって、かつ中央部やや下にある「(図省略)柳屋シヨールーム」の図形と文字も白抜きではあるが、また極めて小さく書かれているから、看者が直ちに容易に識別判読し得るものとは必ずしもいい難いし、また塔と覚しき建物及びトランプの札の図形もこれらの文字と密接不可分のものとして結合し全体として独立した格別の称呼観念を生ずるものとは認め難い。故に本願商標は全体としてその構成散漫であって、商標の要部の把握理解が困難であるから、本願商標は自他商品の識別機能を具備しないものと認められる。
しかして、本願商標のような商標自体において特定の要部を定めることができない商標は、社会通念上いわゆる商標としての識別力が特定し得ないものであるから、これをその指定商品について使用しても取引者需要者は単に装飾的図柄として認識するにすぎず、商標としての機能を果し得ないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標はこれを指定商品について使用しても需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものであるから、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。

商標「FEATHER」を含むとしても、その文字自体の独立性は極めて希薄であり、商標の実体的構成要素である自他商品の識別標識としての特別顕著の要件を満たさないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和41-7051
【事案】
本願商標は、下記に表示した構成よりなり、第13類「剃刀刃」を指定商品とするものである。
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【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
【審決における判断】
よって按ずるに、本願商標は、その構成下記に表示したとおりのものであるから、該商標に接する取引者、需要者はローマ字を地模様的に表示したものと看取し認識するにとどまるものと判断するのが相当である。請求人は、本願商標は剃刀刃そのものの模様ではなく、剃刀刃の包装に表した「FEATHER」という商標が一部をなす一群の商標であるから識別力を有する商標である旨主張しているが、本願商標は、「R」の次に若干の間隔をあけて、次の「F」の文字が表されてはいるけれども、この程度の間隔があるからといっても、本願商標の如く紙牌内全面にわたって「F」「E」「A」「T」「H」「E」「R」の各ローマ字を多数表示してなる構成においては、「FEATHER」の文字自体の独立性は極めて希薄であり、商標の実体的構成要素である自他商品の識別標識としての特別顕著の要件を具有するに充分なものとは認めがたい。
したがって、本願商標は、商標法3条1項6号に該当する。

「赤地タータンチェック」または「赤地黄格子模様」を直感させる商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和37-3298
【事案】
本願商標は、赤、黄及び濃緑を以て彩色した格子模様からなり、第25類「紙類、文房具類」を指定商品とするものである。
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【拒絶理由】
商標法第3条第1項第6号
【審決における判断】
よって審理するに、本願商標はその構成上織物の柄の一種である「赤地タータンチェック」又は「赤地黄格子模様」というべきものを直感させるものである。
しかして本願商標の如き、商標自体が観念上一定の輪郭を定めることのできない模様は、社会通念上、いわゆる商標としての認識が特定し得ないものであるから、これをその指定商品に使用しても一般世人は単に商品に附された装飾的図柄として認識するにすぎず、商標としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標をその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないから、本願商標は商標法3条1項6号に該当する。

「パールブリッジを渡ってきました」の文字は、キャッチフレーズか否かにかかわらず需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成11-13577
【審決日】
【事案】
本願商標は、「パールブリッジを渡ってきました」の文字を横書きしてなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品して、平成10年1月16日に登録出願されたものである。
【拒絶理由】
原査定においては、「本願商標は、近年、『○○に行って来ました』等の文字が各地方の土産物について、当該地を訪れた時の土産物であることをメッセージ風に表したものとして表示されている事実があり、かつ、『パールブリッジ』が『明石海峡大橋』の愛称として知られていることよりみれば、『明石海峡大橋を渡った時のお土産物であることをメッセージ風に表した商品』であることを認識させるに止まる『パールブリッジを渡ってきました』の文字を書してなるものであるから、これを本願の指定商品に使用するときは、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
【審決における判断】
請求人は、原査定に対して、本願商標は、「パールブリッジを渡って来ました」、と一連に横書きしてなるものであり、キャッチフレーズ的ではあるが決してキャッチフレーズそのものではない旨及び請求人の主張は過去の登録例から十分に支持されるものである旨主張し、15の登録例を挙げている。
出願に係る商標が需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないか否かは、その商標を指定商品に使用したとき、需要者、取引者が如何に認識するか、すなわち、商品の属性等を表示するものとして、識別標識としては認識し得ないか否かを指定商品との関係において、その取引の実情を踏まえて判断すべきものである。
本願商標は、「パールブリッジを渡ってきました」の文字を横書きしてなり、指定商品を「菓子及びパン」とするものであるところ、本願商標中の「パールブリッジ」は明石海峡大橋の愛称であり(「現代用語の基礎知識」1999 468頁)、明石海峡大橋及びその周辺は観光地として脚光を浴びており(朝日現代用語「知恵蔵」’99 1182頁)、多数の土産物店が存在するものと推認される。そして、近時、『○○(観光地)に行って来ました』等の文字が各観光地の土産物について表示されている事実がある。加えて、本願商標の指定商品中、「菓子」は土産物の典型例である。してみれば、本願商標は、これを指定商品「菓子」に使用しても、取引者、需要者は明石海峡大橋の渡橋ないしは観光記念のお土産物であることをメッセージ風に表示したものと認識するにすぎないと認められ、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と言うのが相当である。
請求人は、本願商標はキャッチフレーズではない旨主張するが、キャッチフレーズか否かにかかわらず、本願商標については、前示の認定、判断を相当とし、また、本件審判においては先登録例には拘束されるものではなく、事案に即して個別具体的に認定、判断すべきものである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
4 結論
以上のとおり、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は正当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。

ニューヨークの地名「5th Avenue」に「INTERNATIONAL」を付しても商標法3条1項6号(原査定では3号)に該当するとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成9-19423
【事案】
本願商標は、下記に表示したとおりの構成よりなり、第25類「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物」を指定商品として、平成7年8月25日に登録出願されたものである。
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【拒絶理由】
これに対し、原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク市の高級品店がある通りとして有名な『5th Avenue』の文字を2段に分けて表示したものに『国際的な』の意味の『INTERNATIONAL』の文字を小さな文字で付記した構成よりなるものであるから、これをニューヨーク製を初め外国製のものが多く取り扱われている本願指定商品に使用しても,該通りを産地にするものと理解されるにとどまるから、単に商品の産地・販売地を表示するにすぎない商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。
【審決における判断】
よって判断するに、本願商標は下記に表示したとおり大きな「5th Avenue」の文字の下に小さく「INTERNATIONAL」の文字を表してなるものであるが、構成中の上段の「5th Avenue」は、パリの「シャンゼリゼ通り」、日本の「銀座」と同様、国を代表するアメリカ合衆国ニューヨーク市の著名な繁華街であり、そこには「グッチ」、「バリー」、「フェラガモ」、「テファニー」等の一流品店舗が軒を並べていることでよく知られているものである。また、下段の「INTERNATIONAL」の文字は、「国際的な」を意味する英語であるが、「スーツ」「コート」等、被服を取り扱う業界において「世界のどの国でも共通に着られる」如き意味合いを表す語として適宜採択し使用されているところである。
そうとすれば、これら「5th Avenue」と「INTERNATIONAL」各文字よりなる本願商標を、その指定商品中「スーツ」「コート」等の被服に使用しても、これに接する取引者・需要者は、該商品が単に「世界中のどこでも着られる被服であり、ニューヨークの5番街(5th Avenue)で製造若しくは販売された商品である」ことを理解し認識するに止まるものといえる。
したがって、本願商標は、何人の業務に係る商品であるかを認識させることができないものと認められるものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
なお、原査定は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当すると認定しているが、当審では、本願商標が自他商品の識別標識の機能を果たし得ない点においては3号も6号も同様であると判断し、改めて拒絶理由を通知することなく上記のとおりの認定をした。
よって、結論のとおり審決する。

「明石・鳴門のかけ橋にあすの日本の夢がある」の文字は標語と認識するに止まり、自他商品を識別する標識とは理解しないものであるとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和42-7394
【事案】
本願商標は、ペン書体で「明石・鳴門のかけ橋にあすの日本の夢がある」の文字を4行に分けて縦書きしてなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法3条1項5号
【審決における判断】
よって判断するに、本願商標は、前記のとおり「明石・鳴門のかけ橋にあすの日本の夢がある」の文字を七・五調に分けて縦書きしてなるものであるが、これは明らかに一種の標語よりなるものと認められる。そして、このように極めて冗長で、商標としての重要な部分をとらえにくいものを、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に「明石と鳴門に橋を架ければ日本の将来に希望がわいてくる」の如き観念を有する標語と認識するに止まり、自他商品を識別する標識とは理解しないものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものであるから、商標法3条1項6号に該当する。

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