弁理士の実務ファイル:商標調査
商標登録ドットコム™運営者(金原商標登録事務所)は2004年3月のサイト開設以来、商標登録のサービスを提供してきたため、数えきれないほどの商標調査を行ってきました。
商標登録する前の調査は必須の作業ですが、商標権侵害を避けるために実施する調査報告書の作成も行ってきました。
商標調査は、検索の操作に習熟するだけでなく、商標法の拒絶理由の条文や、特許庁の審査の上級機関による審決、判決なども踏まえた法律知識と判断が必要とされます。
当サイトでは、キャラクターなどのコンペ公募作品の選定前の調査や、市町村・官公庁などのシンボルマーク等の調査などの数々も、弁理士が担当し、実践的な体験・ノウハウを重ねてきました。その一端をご紹介します。
類似商標がなければOKという勘違いは禁物!「識別力」って何?
識別力の有無をインターネット調査で判断するコツは?
類似商標がなければOKという勘違いは禁物!「識別力」って何?
商標については類似商標があったら登録できないという知識はだいぶ普及しているように感じます。
また一般的な名称は登録できないという知識をお持ちの方もいらっしゃいます。
誰もが使用できる言葉の商標を、ロゴなどではない普通の表示方法で示す商標は、他の商品等と区別ができないものであるため、「識別力」がないとして登録できません。
識別力がない商標は具体的には次のようなものです。
商品・役務の普通名称(商標法第3条第1項第1号)
慣用商標(商標法第3条第1項第2号)
商品の産地、販売地、品質等の表示や役務の提供の場所、質や内容、これらを組み合わ瀬田表示などの記述的商標(商標法第3条第1項第3号)
ありふれた氏又は名称のみからなる商標(商標法第3条第1項第4号)
極めて簡単で、かつ、ありふれた標章(商標法第3条第1項第5号)
その他、宣伝文句や現元号などの識別力のない商標(商標法第3条第1項第6号)
インターネットで検索できる情報に特に多いのですが、類似商標がなければ登録できると勘違いさせるような商標の説明が多く、識別力調査についての重要性が、一般の相談者、依頼者にうまく伝わっていないように感じることが多々あります。
商標登録ドットコム™運営者である弁理士が受ける相談の中では、新しいジャンルの事業をされる事業者も見られ、こうした事例でよく見られるように感じます。
たとえば、美容サロンの施術方法で、日本にはまだ移入されていないようなメソッドの名称。
あるいはネットサービスの新規なビジネス形態やサービス提供方法の名称。
専門的で多くの人が知らなくても、国内には普及がこれからであったとしても、サービス内容の表示などとして識別力がなく、登録できそうもないという判断を下すことは珍しくありません。
識別力の有無をインターネット調査で判断するコツは?
「識別力」の調査というけど、一般的な商品の名称や、一般的な業種名などは商標登録できないのが当たり前と思う方も多いでしょう。
確かにその通りですが、一般にはほとんど知られていない名称であっても、普通名称や、サービス内容などの記述的商標であることもあります。
「識別力」の調査では、商標登録出願後の特許庁審査官の拒絶理由通知の内容に対応して、「広辞苑」(岩波書店)、「大辞林」(三省堂)、 「現代用語の基礎知識」(自由国民社)などでの調査を行い、項目として掲載されていれば、特定の商標として掲載されているのでない限り、識別力がないと判断されるでしょう。
しかし近年は審査官による審査も、インターネット上に公開されている情報に基づく拒絶理由通知が増えました。
一例として、インターネット上の辞書に掲載されている、あるいは商品やサービスの一般的な名称として複数のウェブサイトで使用されているといったことで、識別力がなく拒絶理由にあたるという通知内容が多く見られます。
もちろん意見書による反論をして登録になることもあります。
弁理士としては、出願前の事前の調査により、あらかじめ商標法第3条の拒絶理由通知が来る可能性があることを察知し、依頼者に報告することが求められます。
識別力の有無の調査方法として、インターネット検索では、登録したい商標を「” ”」で囲み、完全一致での使用例を発見し、それが一般的な名称として使用されているか、あるいは特定の商標として使用されているかを見分けるなどの作業も行います。

