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4条1項11号審決例) | 6条審決例) | 8条審決例):本願商標「千鳥屋」の類似商標として、引用商標「千鳥屋」の指定…

本願商標「千鳥屋」の類似商標として、引用商標「千鳥屋」の指定役務が第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であることから第4条第1項第11号の拒絶理由が通知され、手続補正により本願指定商品を第30類「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」としたことが、第6条第1項の要件を具備せず第4条第1項第11号に該当するとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2021-4702
【審決日】平成30年6月26日(2018.6.26)
【事案】
本願商標は、「千鳥屋」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成28年4月7日に登録出願された商願2019-88759に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和2年2月26日に登録出願されたものである。
原審では、令和2年3月18日付けで拒絶理由の通知、同年5月7日受付で意見書及び手続補正書の提出、同3年1月7日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同年4月12日付けで本件拒絶査定不服審判が請求、同日受付及び同年10月25日受付で手続補正書が提出された。
本願の指定商品は、原審及び当審における上記の手続補正書により、別掲1のとおりの商品に補正された。

別掲1(本願の指定商品)
第30類「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」


【拒絶理由】
原査定において、本願商標商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5820605号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなるものであり、平成26年10月27日登録出願、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同28年1月22日に設定登録されたものである。

引用商標

審決における判断

3 当審における審尋

(1)拒絶理由通知(商標法第6条第1項)

本願について拒絶の理由を発見したため、商標法第55条の2第1項で準用する同法第15条の2に基づきその理由を通知した。
すなわち、指定商品は、商標とともに権利範囲を定めるものだから、その内容及び範囲は明確でなければならないところ、本願の指定商品「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に含まれることもなく一般的な流通に供することもなく不特定の一般需要者に提供されることもなく特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。
したがって、本願は、商標法第6条第1項の要件を具備しない。

(2)証拠調べ通知(商標法第4条第1項第11号関連)

本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲3の事例を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき通知した。

4 請求人の回答

(1)拒絶理由通知について

本願の指定商品を、別掲1のとおりの商品に補正した。

別掲1(本願の指定商品)
第30類「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」

(2)証拠調べ通知について
本願の補正後の指定商品は、飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除いているため、別掲3の事例は、本願の指定商品とは非類似の取扱商品に関するものにすぎない。
したがって、本願商標は、引用商標とは類似の商標であるとしても、その指定商品及び指定役務は類似しないから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

5 当審の判断

(1)商標法第6条第1項
本願の指定商品は、別掲1のとおり、「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」である。
しかしながら、上記商品は、前段の「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子」から、後段の「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。」の表示により一定範囲の商品を除外しているところ、前段の表記から商品の種別(生菓子の一種)が把握できるとしても、後段の表記により除外する範囲は、飲食料品の小売等役務の取扱商品に係る「類似」の範囲の解釈に依存する(解釈次第では対象商品が消失する。)から、具体的にどのような生菓子を特定しているのか明確ではなく、客観的に商品の内容及び範囲が把握できない
したがって、本願の指定商品は、商標の使用をする一又は二以上の商品を客観的な表示によって特定し、指定しているものとは認められず、商標法第6条第1項の要件を具備しない

(2)商標法第4条第1項第11号

ア 本願商標と引用商標の類似
(ア)本願商標は、「千鳥屋」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は「千鳥」(チドリ目チドリ科の鳥の総称。たくさんの鳥。)の文字と「屋」(商業などを営んでいる家の屋号として用いる)の文字(参照:「大辞泉 第2版」小学館)を、間隔なく、横一列に、まとまりのよい構成で表してなるもので、全体として「千鳥屋」なる屋号を表してなるとの印象を与えるが、特定の意味を有する成語となるものではない。
そうすると、本願商標は、「チドリヤ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(イ)引用商標は、「千鳥屋」の文字を縦書きしてなるところ、その構成文字を共通にする本願商標と同様に、全体として「千鳥屋」なる屋号を表してなるとの印象を与えるが、特定の意味を有する成語となるものではない。
そうすると、引用商標は、「チドリヤ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(ウ)本願商標と引用商標を比較すると、外観については、構成文字の表示態様(横書きと縦書き)の差異はあるものの、構成文字(千鳥屋)を全て共通にするから、極めて近似した印象を与えるもので、また、称呼については、称呼(チドリヤ)を全て共通にするから、非常に相紛らわしく、さらに、観念については、いずれも特定の観念が生じないものの、特定の屋号(千鳥屋)を表してなるとの印象において共通する。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念が与える印象、記憶等を総合して全体的に考察すると、これを同一又は類似の商品又は役務について使用するときは、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるから、類似する商標というべきである。

イ 本願の指定商品と引用商標の指定役務の類似
(ア)本願の指定商品は、別掲1のとおり、「特定の需要者の依頼に応じてのみ製造され提供される受注生産の上生菓子(飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除く。)」であるところ、その内容及び範囲が客観的に把握できないが、仮に対象商品が存在するとすれば、「生菓子」の一種であるといえる。
そして、「生菓子」は、「水分の多い、主として餡類を用いた菓子。餅菓子・饅頭・羊羹など。」(参照:「広辞苑 第7版」岩波書店)であって、和生菓子製造業者によって生産され、和菓子小売業者を含む飲食料品小売業者によって店舗や通信販売等を通じて販売されるもので、一般消費者を需要者とするものである。
(イ)引用商標の指定役務である「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、飲食料品(生菓子を含む。)を取扱商品とする小売等サービスであって、和菓子小売業者を含む飲食料品小売業者によって店舗や通信販売等を通じて提供されるもので、一般消費者を需要者とするものである。
(ウ)本願の指定商品と引用商標の指定役務を比較すると、取扱商品(飲食料品である生菓子)、販売・提供事業者(和菓子小売業者)、商品の販売場所や役務の提供場所(店舗や通信販売)、需要者(一般消費者)を共通にするものである。
また、別掲3のとおり、同一の事業者が、「上生菓子」を製造・販売すると同時に、菓子を含む飲食料品の小売販売をすることも一般的であって、いわゆる製造小売の業態で、同一の事業者(和生菓子製造業者、かつ、和菓子小売業者)による商品の製造及び販売並びに小売等役務の提供がされている実情がある。
そうすると、本願の指定商品は、引用商標の指定役務とは、取扱商品、販売・提供事業者、流通経路、需要者の共通性、さらには製造小売に係る取引の実情を踏まえると、同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあるから、互いに類似するというべきである。

ウ 請求人の主張
(ア)請求人は、茶席菓子の注文は、見積りの日から2~3週間から1~2か月の余裕をもって、菓子製造業者が直接注文を受け、商品を納品しているのであって、このような注文方法や納品方法は、引用商標の指定役務を提供する業者は行っていないのが実情であること、また、本願の指定商品と引用商標の指定役務は、商品の製造・販売と役務の提供がそれぞれ異なる事業者により行われ、商品と役務の用途、商品の販売場所と役務の提供場所、需要者の範囲がそれぞれ一致しておらず、全体として非類似である旨を主張する。
しかしながら、上記イ(ウ)のとおり、同一の事業者が、「上生菓子」を製造・販売すると同時に、菓子を含む飲食料品の小売販売をすることも一般的であって、製造小売の業態で、同一の事業者による商品の製造及び販売並びに小売等役務が提供されている実情がある。
また、本願の指定商品と引用商標の指定役務は、上記イ(ウ)のとおり、取扱商品(飲食料品である生菓子)、販売・提供事業者(和菓子小売業者)、商品の販売場所や役務の提供場所(店舗や通信販売)及び需要者(一般消費者)を共通にする。
そうすると、本願の指定商品は、引用商標の指定役務とは、同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあるから、互いに類似するというべきである。
(イ)請求人は、本願の指定商品は、食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の取扱商品に類似するものを除いているため、別掲3の事例は、本願の指定商品とは非類似の取扱商品に関する事例を例示するにすぎない旨を主張する。
しかしながら、本願の指定商品は、客観的に商品の内容及び範囲が把握できないが、「生菓子」の一種であるとはいえるところ、別掲3の事例は、「生菓子」の一種の商品に係る取引の実情を示すものであるから、本願の指定商品(生菓子の一種)に係る取引の実情として考慮することに特段の問題はない。

エ 以上のとおり、本願商標は、引用商標とは、同一又は類似する商標であって、かつ、その指定商品は引用商標の指定役務と類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)結論

以上を踏まえると、本願の指定商品は、商標法第6条第1項の要件を具備せず、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。


審決


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