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コンセント制度(商標法第4条第4項)を利用した登録事例にはどのようなものがある? -2026年01月21日
先願の同一・類似商標がある場合( 商標法第4条第1項第11号)の例外として、先に登録された商標権者の同意があれば類似する商標であっても併存登録できる、コンセント制度により、2025年4月に初めて登録例がありました。
その後にコンセント制度を利用した登録例が複数ありました。
コンセント制度(商標法第4条第4項)を利用した類似商標の初の登録事例
他人の類似商標であることが明らかであるところ、商標権者からの同意を得るとともに、混同を生じるおそれがないことを説明し、特許庁の審査官に認められ、登録になったケース。
それ以外には、資本関係や取引関係から、先行する商標権者と商標登録出願人との間で同意があり、混同を生じないというケースの事例もありました。
ケースごとの事例と審査経過での対応は下記の通りです。
先行登録「玻璃\HARI」と後願「玻璃」
先行登録「玻璃\HARI」

登録第5991116号
登録日:平成29(2017)年 10月 27日
出願番号:商願2016-145189
出願日:平成28(2016)年 12月 27日
商標:玻璃\HARI
権利者:シャディ株式会社
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第16類 カタログ,その他の印刷物
第35類 衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,(他、以下略)
商標からは「ハリ」の称呼が生じます。
東京に本社を置く小売販売会社による、衣料品、飲食料品ほか、きわめて幅広い商品や小売等役務を指定した登録です。
指定役務には第35類の「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれています。
後願「玻璃」

登録第6916217号
登録日:令和7(2025)年 4月 7日
出願番号:商願2024-34144
出願日:令和6(2024)年 4月 1日
商標:玻璃
権利者:株式会社車多酒造
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第33類 清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,ビール風味の麦芽発泡酒,中国酒,薬味酒
商標からは「ハリ」の称呼が生じます。
石川県白山市に所在する酒造メーカーの出願です。
指定商品の酒類は、先行商標の指定役務、第35類の「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に類似しています。
審査経過
商標登録願 2024/04/01
上申書(出願人・請求人) 2024/07/05
登録査定 2025/03/25
上申書の内容
商標法第4条第4項の主張をするための資料として、下記が提出されました。
(1)他人の承諾を得ていることができる資料として「甲第1号証 承諾書」
(2)「混同を生じるおそれがない」ことを明らかにする資料として「甲第2号証 合意書」、「甲第3号証 出願人の業務内容に関する資料」、「甲第4号証 引用商標権者の業務内容に関する資料」
また、上申書において、商標権者および出願人それぞれのウェブサイトを紹介し、出願人の事業内容は清酒(日本酒)製造販売であること、引用商標権者の事業内容は「有店舗メディアミックス型ビジネスモデル」でギフト用品および生活関連用品を全国の販売店を通じて販売していることが説明されました。
両社の地域や販売形態、商標の使用方法などから、両社の商標が併存しても混同を生じるおそれがないことが登録の理由と考えられます。
先行登録「NOCO」と後願「NOCO」
先行登録「NOCO」

国際登録番号:1714778
国際登録日又は事後指定日:令和4(2022)年 7月 27日
先願権発生日:令和4(2022)年 2月 22日
基礎登録国・地域又は機関:DE(ドイツ)
登録番号:30 2022 003 388
登録日:令和4(2022)年 5月 18日
登録日(国内):令和6(2024)年 7月 19日
商標:NOCO
名義人:SEW-EURODRIVE GmbH & Co. KG
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第2類
Anti-corrosive preparations; rust preservatives; preparations for preserving metal against rust; rust preservatives in the nature of a coating; rust preventive substances for application to metal surfaces; rust inhibiting preparations in the nature of a coating; coating materials for protection of surfaces exposed to galvanic corrosion; preparations for the treatment of metal surfaces to resist attack by corrosion; preparations for coating surface to protect against corrosion [paints]; preparations for coating surfaces to protect against abrasion [paints].
腐蝕防止剤,さび止め剤,金属用防錆剤,塗料さび止め剤,金属表面に塗布するためのさび止め剤,塗料の性質を持つさび止め剤,電解腐食にさらされた表面の保護用の塗料,腐食防止用の金属表面処理用剤,腐食からの保護用の表面コーティング剤(塗料),摩耗からの保護用の表面コーティング剤(塗料)
第7類(以下略)
商標からは「ノコ」の称呼が生じます。
ドイツに本社を置く企業です。
指定商品には第2類の「腐食防止剤、さび止め剤」などが含まれています。
後願「NOCO」

登録第6954617号
登録日:令和7(2025)年 8月 5日
出願番号:商願2024-44661
出願日:令和6(2024)年 4月 25日
商標:NOCO (標準文字商標)
権利者:ザ・ノコ・カンパニー アメリカ合衆国
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第2類 ブラシを用いて塗布するバッテリー用腐食防止塗料,バッテリー用スプレー式腐食防止塗料,フェルトワッシャーに含浸させたバッテリーターミナル保護用の腐食防止塗料
商標からは「ノコ」の称呼が生じます。
アメリカに本社を置く企業です。
指定商品には、第2類の「腐食防止剤、さび止め剤」に類似する「腐食防止塗料」が含まれています。
審査経過
商標登録願 2024/04/25
拒絶理由通知書 2024/11/29 (拒絶理由条文 第4条1項11号、他)
手続補正書(自発・内容) 2025/02/28
意見書 2025/02/28
手続補足書 2025/02/28
登録査定 2025/07/11
意見書の内容
意見書で出願任は、商標法第4条第1項第11号に基づく拒絶理由通知に対し、引用商標1の商標権者であるSEW-EURODRIVE GmbH & Co. KGから商標登録について承諾を受けており、引用商標1に係る商品との間で混同を生ずるおそれがないことを主張しました。
承諾については、共存契約の条項のある契約書を提出しています。
混同のおそれがないことについては、出願人はバッテリー充電器、ジャンプスターター、バッテリーボックス、バッテリー、バッテリーターミナル腐食防止剤など、自動車用バッテリーを主軸とした商品を製造販売していること、他方で商標権者は産業用ギアモーター、モーター、ギア減速機など、産業用ギアに関連する商品とサービスを提供していることを証拠とともに説明しました。
共存契約の締結内容として、次の内容を主張しています。
両社の商品の定義について
出願人の商品は、「ブラシ塗り防錆コーティング剤であるバッテリー腐食防止ブラシ、スプレー式の防錆コーティング剤であるスプレー;バッテリー腐食防止用ターミナルプロテクター、すなわち防錆コーティング剤を含浸させたフェルトワッシャー」
商標権者の商品は、「摩耗防止のためのコーティング表面用潤滑剤、すなわち、陸上車両用ではない産業用ギアボックスの潤滑用ペースト、陸上車両用ではない産業用ギアボックス用の防錆剤」
商標権者は、NOCO社商品については、全世界においてNOCO商標を使用せず、また将来登録しないこと。
出願人は、NOCO商標を防錆製品に使用する際に、トランスミッション、トランスミッションモーター用とラベル表示せず、第2類の商品についてバッテリー用に限定して出願する義務を負うこと。
実際に、出願人が製造販売する腐食防止コーティング剤の製造販売は、自動車のバッテリー用に限定されており、他方で商標権者の商品は産業用ギアボックスの潤滑油に限定されていること、そして本契約により、この明確な区分が将来にわたり、当事者のNOCO商標が存続する限りにおいて継続されることを説明しました。
以上の理由により、出願人と先行商標権者の合意内容から、両者が市場において明確に棲み分けられており、混同を生ずるおそれがないと判断された事例です。
先行登録「LAWSON UNITED CINEMAS」と後願「UNITEDcinemas\ユナイテッド・シネマ」
先行登録「UNITEDcinemas\ユナイテッド・シネマ」

登録第4549986号
登録日:平成14(2002)年 3月 8日
出願番号:商願2000-124790
出願日:平成12(2000)年 11月 17日
商標:UNITEDcinemas\ユナイテッド・シネマ
権利者:株式会社ローソン・ユナイテッドシネマ
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第35類 広告
第41類 映画の興行の企画又は運営,映画の上映,映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供
第41類 「映画の上映・制作又は配給」等
後願「LAWSON UNITED CINEMAS」

登録第6939829号
登録日:令和7(2025)年 6月 19日
出願番号:商願2024-46574
出願日:令和6(2024)年 5月 1日
商標:LAWSON UNITED CINEMAS
権利者:株式会社ローソン
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第16類
第18類
第25類
第28類
第35類 (略)
第41類 娯楽の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,オンラインによる映像の提供(ダウンロードできないものに限る。),映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供,映画館その他の興行場の座席の手配又は予約,(他、以下略)
第43類 (略)
審査経過
商標登録願 2024/05/01
上申書(出願人・請求人) 2024/06/14
手続補足書 2024/06/14
登録査定 2025/06/06
上申書の内容
出願人は上申書において、商標権者から承諾を得ており、商標権者の業務に係る商品・役務との間で混同を生ずるおそれがないことを説明し、承諾書を提出しています。
商標権者の株式会社ローソン・ユナイテッドシネマは、出願人が株式の100%を保有する子会社「株式会社ローソンエンタテインメント」の完全子会社であり、出願人の孫会社という関係であり、ローソングループに属する企業であることを主張しました。
そして商標権者は株式会社ローソン・ユナイテッドシネマに社名を変更しており、本願商標はその社名変更に伴い制作された引用商標権者の新しいコーポレートロゴであることを説明しました。
したがって、本願商標は、商標登録を受けた後に引用商標権利者に使用許諾される予定であるため、商品等の出所について混同を生じさせるおそれはないことを説明しました。
出願人と先行商標権者の関係性や出願の経緯からし、商品・役務の出所が実質的に同一であり、混同を生ずるおそれがないと判断された事例です。
先行登録「GRAND GREEN OSAKA\グラングリーン大阪」と後願「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」
先行登録「GRAND GREEN OSAKA\グラングリーン大阪」

登録第6568955号
登録日:令和4(2022)年 6月 9日
出願番号:商願2021-127740
出願日:令和3(2021)年 10月 13日
商標:GRAND GREEN OSAKA\グラングリーン大阪
権利者:三菱地所株式会社、大阪ガス都市開発株式会社、オリックス不動産株式会社、関電不動産開発株式会社、積水ハウス株式会社、株式会社竹中工務店、阪急電鉄株式会社、三菱地所レジデンス株式会社、うめきた開発特定目的会社、
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第35類 (略)
第36類 (略),建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物及び土地の有効活用に関する企画・指導及び助言,建物又は土地の管理・貸与・売買に関する助言,建物内における電気通信設備の設置場所の貸与,建物内のスペースの貸与,オフィススペースの貸与,コワーキング用事務所の貸与,商業用建物の貸与,建物又は土地の情報の提供,建物又は土地の管理に関する情報の提供,慈善のための募金,慈善のための寄付金の受入れ
(以下略)
後願「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」

登録第6927596号
登録日:令和7(2025)年 5月 13日
出願番号:商願2024-41302
出願日:令和6(2024)年 4月 17日
商標:グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE 標準文字商標
権利者:積水ハウス株式会社、大阪ガス都市開発株式会社、オリックス不動産株式会社、関電不動産開発株式会社、株式会社竹中工務店、阪急電鉄株式会社、三菱地所レジデンス株式会社、うめきた開発特定目的会社
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第36類 (略),建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物及び土地の有効活用に関する企画・指導及び助言,建物又は土地の管理・貸与・売買に関する助言,建物内における電気通信設備の設置場所の貸与,建物内のスペースの貸与,オフィススペースの貸与,コワーキング用事務所の貸与,商業用建物の貸与,建物又は土地の情報の提供,建物又は土地の管理に関する情報の提供,慈善のための募金,慈善のための寄付金の受入れ
審査経過
商標登録願 2024/04/17
拒絶理由通知書 2024/10/15 (拒絶理由条文 第8条1項・4条1項11号)
意見書 2024/11/22
登録査定 2025/04/14
なお、拒絶理由には、「出願人(8社共願)と引用の商標権者等(9社共願)が一致したときにはこの拒絶理由は解消します。」と記載されていました。
意見書の内容
商標法第4条第1項第11号の他人の承諾については、引用商標1の権利者である「三菱地所株式会社、大阪ガス都市開発株式会社、オリックス不動産株式会社、関電不動産開発株式会社、積水ハウス株式会社、株式会社竹中工務店、阪急電鉄株式会社、三菱地所レジデンス株式会社、うめきた開発特定目的会社」は、本願の出願人である「積水ハウス株式会社、大阪ガス都市開発株式会社、オリックス不動産株式会社、関電不動産開発株式会社、株式会社竹中工務店、阪急電鉄株式会社、三菱地所レジデンス株式会社、うめきた開発特定目的会社」が商標登録を受けることを承諾していることを、承諾書により説明しました。
なお引用商標1の商標権者は、出願人の8社に加え、三菱地所株式会社が加わった9社による登録です。
混同を生ずるおそれがないことについては、先行する登録商標の開発プロジェクトと、後願商標の開発プロジェクトとは、同一のプロジェクトであり、出願人はその開発事業者であることを説明しました。
商標権者9社のうち8社は本願商標の出願人であり、その中には残り1社である三菱地所株式会社の100%グループ子会社である三菱地所レジデンス株式会社が含まれていること、この点からも役務の出所について誤認・混同するおそれはないことは明らかと主張しました。
なお引用商標2については、やはり商標権者が上述の9社であるところ、既に拒絶査定がされ、同出願人は拒絶査定不服審判を請求しない方針であることが確認できているとしています。
先行商標権者と出願人が共に関与する開発事業の同一性や、商標権者の資本関係から、商品・役務の出所が実質的に同一であり、混同を生ずるおそれがないと判断された事例です。

