区分の選択&指定商品・指定役務の記載の注意点
ご注意1:
商標登録を他者に先に取得されていた場合(同一、または類似する商標)には、ご出願をされても登録にはなりません。したがって必ず事前に調査をすることが必要です。
ご注意2:
商標登録を他者に先に取得されていた場合(同一、または類似する商標)には、反対に、その他者の商標権を侵害することのないように細心の注意が必要になります。
商標権は、同一の商標の使用を占有できるだけではなく、類似の商標の使用を禁止する効力を有します。類似商標の使用は侵害とみなされますが、類似かどうかの判断は専門的知識が必要になることが多いものです。
ご注意3:
サービス(例えば旅行代理業、経営コンサルタント、インターネットサービスプロバイダー)について使用する商標も登録を得ることが可能です。ただし「○○販売業」のようなサービスは指定できません。このような場合には、第35類の小売等役務(商品の卸売・小売に付随する役務)を除き、原則として取り扱うそれぞれの商品についての商標登録を得ることになります。
ご注意4:
指定商品・指定役務(サービス)の分類は、指定商品・役務の分類表にしたがい指定します。
しかし、分類表にない新しいサービス等については、どの区分に属するかを判断しなければなりません。
特に、最近顕著に増加しているインターネット関連の分野については、ソフトウェア・パッケージについての権利を取得したいのであれば「第9類 電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器」になりますが、その他にも下記のような分類があります。
「第42類 電子計算機のプログラムの設計・作成・保守」はソフトウェア開発に関する分類です。
また「第42類 電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器の貸与」などは、パッケージ・ソフトウェアのレンタルのほか、インターネット上でのプログラムのレンタルを含むものと考えられます。
ご注意5:
さらに、インターネット上において商品の紹介などをするサービスであれば「第35類 商品の販売に関する情報の提供」などは関連する役務かと従来考えられうるものであり、ニース協定に基づく国際分類でも消費者向けの情報提供に関する役務が含まれているものの、わが国では「第35類 商品の販売に関する情報の提供」と指定した商標は、消費者向けの商品情報の提供ではなく、販売等をする事業者に対する事業に関する情報の提供であることを意味します。
消費者向けの情報提供は「消費者のための商品及びサービスの選択における助言と情報の提供」とする必要があります。
ご注意6:
商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用については、下記の運用がなされます。
願書に記載された指定商品又は指定役務について、商標の使用及び商標の使用の意思があることに「合理的な疑義がある場合」には、商標法第3条第1項柱書の要件を満たさないと判断されます。
(商標審査便覧 41.100 03 商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用について)[PDF] 願書に記載された指定商品又は指定役務が次の(1)又は(2)に該当するときは、原則として、商標の使用及び使用の意思があるかについて合理的疑義があるものとして、商第3条第1項柱書により登録を受けることができる商標に該当しない旨の拒絶理由の通知を行い、出願人の業務を通じて、商標の使用又は使用の意思を確認する。 (1)小売等役務を除く商品・役務の全般について (2)第2条第2項に規定する役務(以下「小売等役務」という。)について 類似群の数え方 2 小売等役務の類似群35K01~35K99を有する指定役務が複数あり、重複する類似群がある場合 3 「その他小売等役務」類似群35K99を有する指定役務が複数あり、相互に類似する場合 4 「その他小売等役務」類似群35K99を有する役務が複数あり、相互に類似しない場合 5 小売等役務の類似群35K01~35K99を複数有する役務の場合 6 第35類において、小売等役務の類似群35K01~35K99を有する役務と、第35類のその他の役務が指定されている場合 (例1) (例2) (例 3) 商品・役務の全般について 8 一区分内に 、同じ「その他類似群コード」(40H99等)を有するものが複数あり、相互に類似する場合 9 一区分内に、同じ「その他類似群コード」(40H99等)を有するものが複数あり、相互に類似しない場合 |
正直申しまして注意点はここに書いたものはごく一部です。
とても説明しきれるものではなく、こうした注意点も区分の改正や審決・判例等によって逐次変わっていくものですので、弁理士であっても実務上の専門知識の習得と経験が必要になり、モノをいうものです。
必要な指定商品・指定役務をどのように指定するかは、単に区分の表に掲載されている商品・役務をそのまま羅列するのではなく、記載方法を具体的かつ適切に特定したり、様々な工夫を要する場合があります。
他者の模倣などを排除するためには、適切な商品・サービス分野については権利を取得したいものです。
これらの点につきましては、商標登録ご依頼の際には、ご要望の商品・サービスの内容をお知らせいただければ、適切なご判断のお役に立てるものと思います。
詳細はお問い合わせください。