類似商標の調査をすれば確実に登録されますか?
類似商標検索をしただけでは、出願前の調査、検討は不十分です
類似商標が先に出願され登録されていると、拒絶理由(商標法第4条第1項第11号)となります。
したがって、出願前に類似商標調査をすることは必要です。
しかし、それだけでは十分ではありません。
なお、特許庁のデータベースで検索を行っても、直近の出願はまだデータベースに入力されておらず、完全ではありません。
(最新のデータがいつの分まで検索できるかは、文献蓄積情報で確認することができます。)
類似商標があるかどうかは、数ある登録要件の中の一つにすぎません
特許庁の審査では、様々なことが商標法に基づき審査され、判断されます。
類似商標があるかどうかは、数ある登録要件の中の一つに過ぎません。
審査の結果、拒絶理由があると一応の判断がされると、拒絶理由通知が送られてきて、反論の機会を与えられます。
ただし、出願前にあらかじめ様々な検討をしておかないと、拒絶理由通知が来た段階になってから、反論をしても、もともと見込みのない商標だったということも多くなってしまいます。
したがって、当事務所では、類似商標の有無はもちろんのこと、商標として他の商標との識別ができるものであるか、他人の著名商標と類似しないか等、多面的な検討と判断を行います。
類似商標検索の前に、識別力の検討を
登録できない商標としては、主として、商標法第3条に規定される識別力がない商標があげられます。
識別力とは、自己の商標が他人の商標と識別でき、営業標識として区別できるものであることをいいます。
識別力がない商標としては、だれもが使用する言葉であるため、特定の事業者の営業標識とは認められない、たとえば普通名称、慣用商標、品質表示や産地表示、その他の商標があります。
識別力がない場合には、その商標を登録することはあきらめるか、あるいは言葉自体には識別力がなくとも、デザインしたロゴなどにして登録するか、ということを検討する手順になるでしょう。
登録できない商標の調査、判断には、商標法第4条も重要
登録できない商標として、商標法第4条に規定される拒絶理由も重要です。
商標法第4条には、公益的理由から規定された不登録事由と、私益的理由から規定された不登録事由とがあります。
他人の類似商標の存在による拒絶理由も第4条に規定されています。
この他にも、商標が登録できない場合については、いくつかの理由があります。
これらの拒絶理由については、下記ページにて説明しています。
類似商標の有無の判断にあたっての注意点
商標は、現実の商品・サービス取引においては、時と所が異なる場面で人々の目に触れるものです。
そこで、商標登録出願の審査では、2つの商標を同時に対比して観察するよりは、時と所が異なっている状況を想定した離隔的観察により判断されます。
商標と、指定商品・指定役務との関係や、現実の取引の実情を勘案し、需要者の注意力から、誤認や混同をするおそれがあるかどうか等を判断します。
具体的には、商標審査基準に基づき、個別・具体的に審査され判断されます。
商標の類否の判断は、商標の有する外観(見た目)、称呼(読み方)及び観念(意味合い)のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならないとされます。
したがって、類似商標調査では、称呼検索での類似調査のほか、様々な検討をしなければなりません。
また、称呼検索をする場合にも、商標には称呼が一つだけとは限りません。
一つの商標に,2通り、あるいはそれ以上の読み方がある場合があります。
自分が意図した読み方とは別の読み方でも、称呼検索をする必要があります。
類似商標検索は、商標全体の類似を調べるだけでは不十分なことも
商標を、全体として類似商標検索するだけでは不十分なこともあります。
たとえば、商標の一部分だけを取り出して、その一部分に類似する商標があるかどうか、検索しなければならない場合があります。
商標の構成や文字の大きさなどにより、商標が2つ、あるいはそれ以上に分離して読める場合のほか、商標全体から識別力のない言葉を除いた部分だけを取り出して、その一部分に類似する商標があるかどうか、検索し、検討しなければならないことも多くあります。
調査結果の最終検討
ほぼ確実に登録できそうであったり、ほぼ確実に登録できなそうである場合には、判断は比較的容易ですが、100%確実な保証をすることは誰が行ったとしても不可能です。
類似商標の検索調査のほか、様々な登録要件の検討・判断をすることにより、ある程度の登録可能性の確率を判断することができます。
当事務所では、商標調査を行った結果、登録できそうかどうかのおおよその可能性と、その判断の根拠を必ずお知らせしております。