商標上段の「SR」及び下段の「エスアール」は、品の符号・記号としてのローマ字二字にその字音を単に振り仮名したものとしてしか取引者・需要者に認識されるに過ぎないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和39-4830
【事案】
本願商標は、丸ゴシック体で「SR」の欧文字を横書きし、「S」の下部にアンチック体で「エス」、「R」の下部に「アール」の片仮名文字を少々小さく併記してなり、第1類「化学品」等を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第5号
【審決における判断】
本願商標上段の「SR」及び下段の「エスアール」は、いずれも何ら特殊な態様ではなく、また、ローマ字二字の使用は一般的に自己の商品の品質・用途に応ずる単なる種別・型式・規格を表し或いはその分類整理のために事項毎に照応する文字と文字、文字と数字等を適宜採択し組み合わせた符号・記号を付して系統化することは最近の商品の多種多様化に伴って取引上極めて普通に行われていること、挙証を待つまでもなく顕著な事実である。
そうすると、これと同種のローマ字二字「SR」について取引者・需要者は、単に前記した符号・記号としてのみ認識するに過ぎないとするのが社会通念に照らし相当であり、また、ローマ字二字にその字音「エスアール」の片仮名文字を配した構成態様は、商品の符号・記号としてのローマ字二字にその字音を単に振り仮名したものとしてしか取引者・需要者に認識されるに過ぎない限り(その文字に特別の語義があれば格別)、いまだもって「きわめて簡単でかつありふれた標章」に該当するものと認めるのが商標法の立法の趣旨に照らして相当である。
してみれば、本願商標は、商品の符号・記号として自由に採択し、普通に使用し得る極めて簡単、かつ、ありふれたもので、何人の業務にかかるものかを認識させないものである。
したがって、本願商標は、商標法3条1項5号に該当する。