商標を少し変えたので、出願中の商標を直したいのですが?
出願後に商標そのものを変更することは、まず認められません、必要ならば新規出願のことも
商標を出願した後に、新規にロゴマークを作成したり、マークを変更したり、あるいはネーミングそのものに変更を加えてしまうこともあると思います。
しかし、ネーミングを変更したり、ロゴのデザインを変更したような場合であっても、出願後に商標そのものを変更することは、まず認められません。
商標登録出願の手続では、出願内容の変更をする補正という手続もありますが、商標そのものを変更することは、まずほとんどの場合には認められません。
カナをアルファベットにするような変更のほか、1文字か2文字を付け加えるなどであっても、要旨の変更となるのが原則です。
出願後の商標を補正により変更した場合には、ごく軽微な補正が認められた例がある程度です。
したがって一般的には行うものではありません。
例外としては、商標中の付記的部分に、「JIS」、「JAS」、「エコマーク」、「特許」などの文字、商品の産地・販売地、登録商標であることを示すRマークなどがある場合に、これを削除することは、要旨の変更ではなく、認められると考えられます。
変更後の商標は、新規に出願して登録する
ネーミングを変更したり、ロゴのデザインを変更したような場合には、冒頭で述べた通り、商標を登録後に変更することは一切認められません。
したがって、変更後の商標についての権利が必要であれば、最初から出願をし直して登録することが必要です。
特に、変更後の商標が、登録した商標と類似しない場合には、新たな商標登録出願をして、早めに登録することが必要です。
登録した商標に、1文字か2文字付け加えただけでも、元の商標とは類似しない商標になってしまうことがあります。
なお、変更後の商標と、同一・類似の商標がないかどうか、調査をして確認しなければなりません。
そうでないと、登録できるかどうかの判断ができません。また、安心して使用することもできません。
変更後の商標が、登録した商標と類似する場合には、もう少し安心です。
第三者は、登録商標と類似する商標を登録することができないため、変更後の商標を登録されてしまうおそれが少ないためです。
ただし類似するかどうかは、結局は特許庁の審査しだいなので、微妙なケースがありえます。
やはり早めに新たな商標登録出願をして、登録をしたほうがよいでしょう。
補正により商標を変更したら要旨の変更とされたときは?
商標を出願後に、補正によって変更することは、ほとんど認められないことは上記で説明した通りです。
願書に記載した、商標登録を受けようとする商標についてした補正が、その要旨を変更するものであるときは、審査官は決定をもってその補正を却下しなければならないとされています。
商標法(第16条の2)では、
「願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。」
とされています。
このとき、補正が却下後にその手続補正書の内容での新出願とする方法もあります(商標法第17条の2第1項において準用する意匠法第17条の3第1項)。
その場合には、要旨変更とされた手続補正書の提出日が、新たな出願日とされます。
変更後の商標を、新規に出願する場合の注意点
以上みてきたように、出願の前に、よくよく内容の検討をする必要性がおわかりいただけるでしょう。
通常は、商標を補正するのではなく、新規にあらためて出願をしなければなりません。
この場合に、既に出願してしまった商標登録出願については、出願取下げをすることもできますが、新出願の前に取り下げてしまうと、第三者によって類似商標が出願されてしまうリスクがあるため、慎重を期す必要があります。
取り下げないで放置しておく方法もあります。