商標とは何ですか?
商標とは、文字、図形、記号、立体的形状や色彩またはこれらの結合、音などを、商品・サービスについて使用するもので、文字商標、図形商標、立体商標、新しいタイプの商標などのさまざまな商標があります
商標登録をする商標といえば、一般的にはロゴやネーミングが思いうかびます。
商品名やサービス名、ブランドのロゴなどが代表的なものでしょう。
一方、国際的調和の観点から、近年、商標法により保護される商標の種類にも、さまざまなタイプの新しいものが生まれています。
そこで今回は、一般的な商標から、新しいタイプの特殊な商標までの種類について解説します。
商標とは?
商標登録により保護される「商標」とは、法律では次のように定義されています。
「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)」であって、業として商品を生産したり、役務を提供したりする者が、その商品または役務について使用するもの」です。
ごく普通に思いつく商標としては、商品やサービスのブランド名、会社名や、それらのロゴ、イメージキャラクター、業界団体等のマークなどがあげられます。
これらは、文字、図形、記号、色彩や、これらの結合した商標ということになります。
ウェブサイトの名前や、個人事業の屋号なども、商品または役務について使用するものであれば、登録をすることにより保護されます。
商標とは、事業について使用するもの
商標の定義として、もう一つの特徴は、業として商品を生産したり、役務を提供したりする者が、その商品または役務について使用するものだという点です。
事業として使うものが商標であるため、たとえば芸術のデザインなどは著作物にはなるかもしれませんが、商標ではありません。
一方、ボランティア団体のマークなど、たとえ無償で提供するサービスの名前やマークであっても、継続的に行われる事業であれば、業として使用する商標であるといえます。
商品商標と役務(えきむ)商標
業として使用する商標には、商品の名称やブランド名などをあらわす商品商標(trademark)と、サービスの名称やブランド名などに使用する役務商標(servicemark)とがあります。
商標は、業務の分野に応じて、45ある区分の中から分野を指定して登録をします。
第1類から第34類までが商品の区分、第35類から第45類までがサービス(役務)の区分です。
出願をする場合には、商品商標とは、第1類から第34類を指定するもの、役務商標とは、第35類から第45類までのいずれかの区分を指定するものといえます。
出願される商標は、従来の普通のネーミングやロゴが大半
さまざまなタイプの商標や、新しい制度などの特殊な商標の種類について見てきました。
しかし実際には、出願され登録されるもののほとんどは、従来の、文字、図形などの組み合わせの商標です。
しかし、普通の商標にも、さまざまなタイプがありますね。
文字商標は、普通の書体の文字でもよく、デザインされた書体でもよく、どのような形で登録するか、検討することが必要です。
ロゴにもいくつかのタイプがある場合がありますし、カラーの商標や、単なる黒の商標で登録することもあります。
普通の商標にもさまざまなタイプがある
どのような商標であれば登録できそうか、様々な観点から検討を行い、調査をしてから決定しなければなりません。
標準文字商標
特許庁が指定する書体での登録となる標準文字は、登録されれば、書体に限定されず、文字通り、その文字だけで権利がとれるものです。
文字商標
標準文字ではない、画像で商標を作成する場合でも、ごく普通のありふれた書体の文字であれば、権利の範囲としてはやはり、書体やデザインに左右されない権利となります。
図形商標
ロゴや、ロゴと文字との組み合わせ、キャラクターなどで登録するものは、図形商標です。
普通の書体の文字だけでは、ありふれていて権利が取れそうもない場合や、デザイン自体の特徴を権利にしたい場合には、図形商標での登録を検討することになります。
登録する商標を決定するには、弁理士に相談して解決!
日本語の商標と、アルファベットの商標とを併記して1つの商標としたり、アルファベットの商標に小さくフリガナを振ったりして出願することもできます。
これらは、どのような形で出願をすれば登録になりそうか、事前に調査をしたうえで検討します。
また、ネーミングを1つに絞る前に、いくつかの候補がある段階で、商標調査をする方が無駄がありません。
ロゴを制作する前に、ネーミングの段階で商標調査をしておかないと、できたロゴが使えないということにもなりかねません。
このあたりは経験がものをいいますので、商標に詳しい弁理士に相談をしましょう。
できれば、出願の手続きだけではなく、ネーミングの選定やロゴデザインの段階から、相談できる体制を作っておければ、安心です。
商標をわかりやすく簡単に、動画で解説
特殊な商標、新しいタイプの商標
近年、知的財産の保護の国際的な調和の観点から、音商標、ホログラム商標、位置商標、色彩のみの商標などの新しいタイプの商標も保護対象とされています。
立体商標
立体商標とは、3次元の立体的な形状や、立体形状と文字、図形などとの組み合わせ商標について、商標登録を認める制度です。
実例としては、不二家のペコちゃん、早稲田大学の大隈重信の銅像、ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダースの人形、明治製菓のサイコロキャラメル、キューピーのキューピー人形など、様々なものが登録されています。
形状だけでは登録されるのが難しく、また立体のデザインについては、デザインの権利である意匠登録との使い分けを考えることも考慮します。
動き商標
動き商標とは、文字や図形等が時間の経過にともない、変化する商標のことをいいます。
たとえば、テレビやコンピューター画面等に映し出されて変化する、文字や図形などがあります。
コマーシャル映像や、インターネットで使われるアニメーションのロゴなどで、時間の経過につれて変化するものが、動き商標の一例です。
ホログラム商標
ホログラム商標とは、文字や図形等がホログラフィーなどの方法により、見る方向によって変化する商標のことです。
たとえば、クレジットカードの表面に、見る角度によって異なる文字や図形等が見えるものなどが、ホログラム商標に含まれます。
色彩のみからなる商標
色彩のみからなる商標とは、単色や複数の色彩の組合せのみからなる商標であって、輪郭なく使用できるもののことです。
そのほか、商品の包装紙や、広告用の看板等の色彩を付する対象物によって、統一して用いられる色彩が考えられます。
たとえ特定ジャンルの商品やサービスについての登録であっても、色彩を独占させることはむやみには認められません。
著名なもの、たとえば、消しゴムのパッケージの色を特定の3色にすることや、銀行やコンビニエンスストアのカラーなどに登録事例がみられます。
音商標
音商標とは、音楽、音声、自然音などの、音により構成される商標であり、聴覚で認識される商標のことです。
登録にあたっては、楽譜の提出など、手続きにも特徴があります。
たとえば、テレビCMに使われるサウンドロゴ、パソコンの起動音、ジングルなどが想定され、登録例にもこのようなものがあります。
位置商標
位置商標とは、図形などを商品等に付す場合に、その位置が特定される商標のことです。
たとえば、「包丁の柄の中央部分の周縁に図形を付した商標」、「ゴルフクラブ用バッグの側面下部に図形を付した商標」などがあげられます。
出願人の資格による特別な商標制度
これまでは、商標の構成によるさまざまな種類を紹介してきました。
一般の商標では、会社や財団法人などの法人格のある団体か、個人であれば、出願人となる資格があります。
こうした通常の商標登録の手続きとは異なる、出願人の資格に基づく特別の制度としては、下記のものがあります。
団体商標
団体商標とは、事業者を構成員に有する団体が、その構成員に使用させる商標です。
商品・役務の個別の出所を明らかにするものではなく、団体の構成員が扱う商品やサービスとしての共通的性質を表示する商標をいいます。
団体商標となりうるものの一例としては、たとえば、長野県の味噌の製造販売業者の団体が扱う「信州味噌」、あるいは京都の織物業者が扱う「西陣織」、羊毛製品についての団体が扱う「ウールマーク」について、構成員に使用させる商標を団体が登録するものがあげられます。
地域団体商標
地域団体商標は、「地域の名称+普通名称や慣用商標」から構成された商標について、地域の団体による登録を認める制度です。
「地名+商品名など」を単に普通の文字であらわしただけの商標は、一定の要件を満たし、一定の周知性がある場合に限り、登録することができます。
地域の名産品や特産品などの地域ブランドを活性化し、保護するために設けられている制度です。
事業協同組合、農業協同組合、漁業協同組合などの適格な団体であって、自由にその構成員として加入することができるものである必要があります。
また、団体の構成員に使用させる商標に限ります。
さらに、団体またはその構成員の商品・役務を表示するものとして、たとえば隣接都道府県や地域で周知となっているものでなければなりません。
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登録事例(登録事例)