商標制度の目的や、商標の機能とはどのようなものですか?
商標の制度は、商標法に基づき商標を保護することによって、信用秩序維持を図り取引者を保護するとともに、需要者の利益を守ることです。商標は、商品や役務を他のものと識別し、その出所を表示することで、一定の商品を付した商品やサービスが一定の出所から提供されるものであることを保証するものです。こうした商標の機能により、取引の信用を維持し、消費者は安心して購入することができ、こうした信用の蓄積や適切な広告宣伝によってやがてブランドの価値を高めることができます。
商標法は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする法律です。
商標とは何か、商標登録できない商標、商標登録の手続、商標権の内容、商標権侵害に対する措置などについて規定しています。
商標の機能
一定の商標を付した商品や、商標を用いて提供されるサービスは、一定の出所から提供されるものであるという秩序が形成されることは、消費者の利益を保護することにもなります。
商標の4大機能として、下記のそれぞれの機能があげられます。
(1)自他商品等識別機能
取引の中で発揮される商標は、ある商品やサービス(役務)と、別の商品やサービス(役務)とを識別できる、自他商品等識別機能をもっています。
識別標識として機能する商標は、その本来の機能から派生して、さまざまな働きをするものです。
(2)出所表示機能
一定の商標を付した商品や、商標を用いて提供されるサービスは、一定の出所から提供されるものであることを認識させる機能です。
出所表示は、製造業者を示すもののほか、販売業者、輸入業者、業界団体などを示すものとして機能することもあります。
(3)品質等保証機能
一定の商標を付した商品や、商標を用いて提供されるサービスは、同一の商品の品質や、同一のサービスの質を有しているであろうと、取引者・需要者に認識させる機能です。
(4)広告宣伝機能
広い意味では商標の機能ともいえますが、商標の制度を適切に利用して保護し、広告を含むマーケティング活動において商標が使用される結果、発揮される機能です。
一定の品質や、消費者に対するブランド認知、好感度の向上を得られるよう、適切な商標管理を行うことが要求されます。

商標法で創設した商標制度の趣旨
商標法で制度を設けた趣旨は、下記の通りです。
「商標を使用する者は商品や役務の提供に係る物品等に一定の商標を継続的に使用することによって業務上の信用を獲得するものであるが、この信用は有形の財産と同様に経済的価値を有する。全く同様の質を有する商品又は役務が、それに使用される商標の相違によってその市場価格を異にしていることは通常みられる現象である。したがって、商品の製造業者若しくは販売業者又は役務の提供者は絶えず自己の商品又は役務に使用される商標に対し、細心の注意を払い、不正な競業者が自己の商標と紛らわしい商標を使用して自己の商品又は役務と混同を生ぜしめるような行為を排除しようとする。そのような不正な競業者の不正な行為に対する法規として不正競争防止法(平成五年法律第四七号)及び商標法が存在するのである。商標を使用する者の業務上の信用を維持するという目的は、不正競争防止法も商標法も共通のものであるが、商標法が商標権を設定するという国家の行政処分を媒介としている点が不正競争防止法と異なるところである。」(「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕)
不正競争防止法では、著名なネーミングやロゴなどの「商品等表示」を不正競争の目的で使用すれば、不正競争行為として使用の差し止めなどが可能です。
商品形態の模倣などについても、使用差し止めや損害賠償等により、商品やサービスを提供する事業者は保護されます。
しかし、模倣などの不正競争行為を事後的に取り締まる法律であるため、あらかじめ商標などのブランドが保護されなければ、安心して取引を行うことができません。
つまり、不正競争防止法は取引の協業秩序を維持するための基本的な法律ですが、争いがあってから侵害行為を排除するもので、事業をする者からすれば、法的安定性がありません。
そこで、あらかじめ国家による権利設定という行政処分、すなわち商標登録を行うことにより、事業を行うにあたっての法的安定性を図ったものということができます。
国家によりあらかじめ権利を設定する制度が、商標法が定める商標登録ということになります。
「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕では、このような商標法の目的を、次のように解説しています。
『商標を保護することにより』とは、右の趣旨をあらわしているということができる。
また、商標を保護することは、一定の商標を使用した商品又は役務は必ず一定の出所から提供されるということを確保することになる。消費者等の側からみて、過去において一定の商標を付した商品を購入し、又は役務の提供を受けて満足した場合、当該商標を付した商品又は提供を受けた役務が出所の異なったものであったというのではその利益を害することになる。
したがって、一定の商標を使用した商品又は役務は一定の出所から提供されるという取引秩序を維持することは、消費者等の利益を保護することになると同時に、商品及び役務の取引秩序の維持ということを通じて産業の発達にも貢献することとなるのである。
これが前述した商標の4大機能です。
そして、商標の4大機能を発揮して、商標法の信用秩序の維持という目的を達成するため、商標法ではさまざまな規定を置いています。
自他商品等識別機能、出所表示機能を発揮できない商標は、識別力がないとして、商標法第3条第1項各号により、商標登録をすることができません。
また、誤認混同のおそれがある商標も登録できません(商標法第4条第1項第15豪)。
品質等表示機能を正しく発揮できない商標は、たとえば品質誤認のおそれがある商標は登録できない(商標法第4条第1項第16号)、著名商標の不正登録は認めない(商標法第4条第1項第19豪)などにより、保護を受けることができません。
不正使用をすれば事後的に商標登録を取り消す制度なども、取引の秩序を維持するために設けられています。

