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商標制度Q&A:登録主義、使用主義とは何ですか?-商標登録ドットコム™

登録主義、使用主義とは何ですか?

商標制度による権利付与の考え方として、登録することにより権利が発生するとする登録主義と、実際の使用により権利が発生するという使用主義とがあります。日本では登録主義を基本として、一部に使用主義的な考え方の規定を取り入れています。使用主義の代表的な国はアメリカですが、登録して保護する制度を採用しています。

商標の権利を発生させる際の考え方として、現実の使用により権利が発生することを重視する使用主義と、登録により権利を発生させる登録主義の考え方とがあります。

登録主義

登録主義は、現実に商標を使用しているか否かにかかわらず、所定の登録要件にしたがい、通常は国家に対する設定登録をすることによって、商標権が発生するという考えです。
登録主義には、権利の所在や有効性、権利期間などを明確にし、無用な争いや、権利存在の証明などの不安定さを除くという利点があります。

使用主義

使用主義は、先に商標を使用していた事実によって、権利を証明し主張できるものですが、権利の所在や有効性、先使用を主張する者が複数いた場合の無用な争いや、使用事実・使用開始日時の立証の必要性などの不安定さがあります

「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕では、使用主義と登録主義の違いについて、以下のように解説しています。

しかし、この二つの立場の対立は本質的な問題ではなく、商標保護政策の考え方の相違によるものといえるのである。すなわち、商標の本来的な目的は商標の使用を通じてそれに業務上の信用が化体した場合に、その信用を保護するものであるという点についてはいずれの主義も相違はない。ただ、使用主義の立場は保護すべき対象が商標の使用によって蓄積された信用ならば、必然的に、使用している商標だけがその対象となるのであり、未だ使用をしていない商標は保護の対象がないではないかというのである。

使用主義を採用するアメリカでも連邦の商標登録が不可欠

アメリカの商標制度の特徴に「使用主義(First-to-Use)」がありますが、実際の使用によって権利が発生するというコモンロー上の権利の考え方に基づくものです。
未登録でも先に使用していれば権利は認められるものの、権利は限定的であり、全米レベルでの保護を得るには連邦登録が不可欠です。
連邦登録(USPTO)には、登録時および更新時に、商標を米国内で実際に使用していることについての宣誓書、使用証拠の提出を求められるなどの特徴があります。

登録主義は、国家による商標権の設定が基本

商標の使用により、登録しているか未登録かに関わらず保護を与える法制度として、日本では不正競争防止法があります。
不正競争防止法によれば、著名な商標などの「商品等表示」の使用や、商品形態の模倣を不正競争の目的で行った者に対し、使用差し止めや損害賠償等を請求することができます。

模倣などの不正競争行為を事後的に取り締まる法律ですが、著名な商標でなければ保護が得られないばかりか、あらかじめ登録された権利ではないために法的安定性がありません。

そこで、あらかじめ国家による権利設定という行政処分、すなわち商標登録を行うことにより、事業を行うにあたっての取引の安全を図ったものが、商標法が定める商標登録です。

「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕では、登録主義に基づく商標登録の制度について、以下のように解説しています。

これに対し、登録主義においては、現実に商標の使用をしていることを商標登録の要件とすると、折角使用をしてその商標に信用が蓄積しても、出願した場合に不登録理由があることによって不登録となるような事態が予想されるから、あらかじめ使用者に将来の使用による信用の蓄積に対して法的な保護が与えられることを保証すべきであり、そのためには現実にその商標の使用をする予定のある者には、近い将来において保護に値する信用の蓄積があるだろうと推定して事前に商標登録をすべきだというのである。そして、一定期間以上使用をしなければ事後的に商標登録を取り消せばよいというのである。すなわち、両者とも法的な保護の対象が商標の使用によってその商標に化体した業務上の信用である点においては一致するのだが、使用主義では現実にその信用がなければならないとするのに対して、登録主義においては必ずしも現実に存在する信用のみならず未必的に可能性として存在する信用も保護の対象として考えてもよいではないかというのである。

日本の商標制度は登録主義を基本とし、使用主義な考え方を一部に取り入れたもの

わが国では、特許庁に対し出願をし、登録をするという登録主義の考え方を採用しています。

商標登録により登録できる商標は、「自己の業務に係る商品または役務について使用をする商標」とされています(商標法第3条第1項柱書)。
ただし使用する商標には、将来使用する予定の商標や、ライセンス契約により使用権者に使用させるものが含まれます。

一方、現実の使用の有無を問わない登録主義のもとでは、不使用商標の蓄積や、これによる商標採択の余地が狭まるといった問題があり、これを解消するために使用主義の考え方も取り入れられています。

たとえば、指定商品・指定役務の範囲が広く、使用することについての疑義がある一定の場合には、拒絶理由通知が送付され、商標を使用する意思についての確認が求められます。

また不使用商標の取消審判制度(商標法第50条)により、一定期間使用していない商標を誰でも取消請求することができます。
使用しない商標更新登録申請をしなければ、権利が消滅することも、不使用商標の登録が残存することを防ぐ意味があります。

未登録商標の一定要件下の保護(商標法第4条第1項第10号)や、通常であれば商標権侵害になるケースでも、先に使用していた者に一定条件下で先使用権を認める制度(商標法第32条)などに、使用主義的な考え方が取り入れられています。


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