商標の審査は誰が行うのですか?
特許庁の審査官が、商標の審査を行います
商標登録出願がされると、はじめに書類に不備がないかどうか等の方式審査が行われます。
方式審査は、特許庁長官の名で行うこととされており、実際にはその命を受けて特許庁の方式審査課において審査がされます。
次いで、特許庁長官が指定する審査官によって、登録すべきかどうかの内容の審査(実体審査)が行われます。
審査官による審査の流れ
商標登録が認められるかどうかは、商標登録の要件を満たすかどうか、具体的には商標法第3条、第4条をはじめとする拒絶理由に該当しないかの審査によって結論が下されます。
したがって、審査官による審査が実質的に登録査定か拒絶査定かを決めることになります。
商標法では、下記のように規定されています。
(審査官による審査)
第十四条 特許庁長官は、審査官に商標登録出願を審査させなければならない。
また、審査官は、商標登録出願が拒絶理由のいずれかに該当するときは、その商標登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければなりません(商標法第15条)。
拒絶理由にあたるとき、つまり拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、審査官は、商標登録出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければなりません(商標法第15条の2)。
審査官は、政令で定める期間内に商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の査定をしなければなりません(商標法第16条)。
これが、登録査定です。
登録査定の後に、登録料を納付することにより、商標登録が完了します。
特許庁審査官の仕事
商標審査官の仕事には、商標審査業務、商標行政事務、商標審判業務があります。
商標審査業務は、上に書いたように、通常、審査官の業務として思い浮かべるような内容です。
商標行政事務は、商標の審査業務のほかにも、企画立案業務、法律改正業務、国際業務など、商標に関する行政に関する業務を行っています。
商標審判業務は、一定期間の商標審査業務・ 商標行政事務を経験した審査官が、商標審判官として行う業務です。
拒絶査定に対する不服を申し立てた場合には、複数の審判官により審理されます
商標の審査の結果、拒絶査定に不服がある場合には、審判請求をすることができます。
その場合には、特許庁の審判官の合議により審決までの審理を行います。
商標法では、下記のように規定しています。
(拒絶査定に対する審判)
第四十四条 拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に審判を請求することができる。
また、審判手続きに関しては、詳細は特許法を準用し、下記のように記載されています。
(審判の合議制)
第百三十六条 審判は、三人又は五人の審判官の合議体が行う。
2 前項の合議体の合議は、過半数により決する。
3 審判官の資格は、政令で定める。
(審判長)
第百三十八条 特許庁長官は、前条第一項の規定により指定した審判官のうち一人を審判長として指定しなければならない。
2 審判長は、その審判事件に関する事務を総理する。
審判長は、特許庁長官が指定します。
拒絶査定に対する審判や、登録された商標に対する取り消し審判、無効審判などは、審判官の合議体により行われます。その中から、一名の審判庁が特許庁長官により指定されます。
慎重な手続きを行うため、三人又は五人の審判官により審理されます。
商標審査官とのやりとり
商標登録商標登録出願等の審査に関し、出願から査定までの期間には、審査官に連絡をとってコミュニケーションをとることが可能です。
弁理士が代理している出願では、一般に弁理士が審査官との連絡を行います。
コミュニケーション手段は、電話、電子メール、面接、オンライン面談です。
相談できる内容の主な例は次の通りです。
・指定商品・指定役務の補正に関すること
・商品の品質又は役務の質の説明などに関すること
・拒絶理由の内容についての相談に関すること