商標に5年登録というものはありますか?
商標権は10年間で、5年登録というものはありませんが、商標登録料を分割納付(割高)することは可能です
もしもどこかで「5年登録」といった言葉を見聞きしたことがあるようでしたら、割安に見えるような誤解を招く、インターネット上での広告宣伝等である可能性があります。
初めての方へ
上記ページにて、当サイトのメリット、インターネットで商標のサイトをお調べの皆様へ、こんな広告宣伝にはご注意!、ユーザーが自分で入力し商標検索するサイトをお勧めしない理由についてご説明しています。
真実は下記の通りですので、法令の通りにご説明いたします。
商標権は一律、10年間
商標法では、
「(存続期間)
第十九条 商標権の存続期間は、設定の登録の日から十年をもつて終了する。
2 商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる。」
と明確に定められています。
商標権は、10年間で、10年ごとに希望すれば更新が何度でもできる権利です。
更新をしなければ期間満了とともに権利は消滅します。
最初に特許庁に出願をし、登録査定が来た時には、最初の10年間の登録料を支払います。
登録料は、どこの弁理士事務所に依頼をしても、また自分で出願をしても当然に同じです。
商標登録料の5年ごと分割納付はできるが、割高
ただし、10年間の商標権の登録料を、5年ごとに分割して納付することが認められています。
あくまでも原則は、10年間の登録料が32900円となります。
5年ごと2回の分割納付をする場合には、最初の5年間が17200円、後の5年間が17200円、合計34400円となります。
このことを、きちんと説明している弁理士の広告であればよいのですが、10年間の登録料についてごく小さく書いているものや、ひどいものではまったく触れられていないケース、さらに登録料が割増になることの説明もないケースがあります。
また、特許庁に収める登録料以外に、弁理士が納付手続きを行う納付手数料(事務所により異なるが1万円前後が多い)が、10年間であれば1回ですむところ、分割納付では2回かかります。
きちんとこのような説明を受けないで分割納付をした場合には、登録料が割増+弁理士手数料1回分増しの5年ローン2回払いとなるような話です。
商標登録料の分割納付が有効なケースはあります
ただし、当初の資力が少ない場合や、5年間も使わない商標であるなど、分割納付を積極的に利用してもいいケースもあります。
たとえば、期間限定のイベントの名称など、最初から商標権も期間限定で構わない場合などがあるでしょう。
このことは誤解のないようにしたいと思います。
広告などにみられる料金表示の一例
もしも商標登録の金額を安く見せかけるための不当な表示があったとしたら、カラクリはこうです。
なお下記は、特定の事務所ではなく、仮定の料金表です。1区分で計算し、弁理士手数料にかかる消費税は無視しています。
弁理士手数料 | 15000円 | 30000円 |
登録料 | 17200円(5年) | 32900円(10年) |
合計 | 32200円 ←激安? | 62900円 |
弁理士手数料 | 10000円 | |
登録料 | 17200円(5年) | |
本当の合計 | 49400円 | 62900円 |
「5年登録」を当然の前提として料金表を作れば、一見激安価格に見えますが、なんのことはない、トータルでは大した差ではなくなります。
ちょっとした追加料金がかかることで、同程度になることもあるでしょう。
更新登録も一律10年間、5年ごとの登録料の分割納付は可能だが
更新登録についても同じです。
更新の際の商標登録料は10年間で43600円です。
5年ごとの分割納付の場合には22800円を、5年ごとに2回納付するため、45600円となります。
通常は弁理士の手数料も2回かかります。
当サイトでは、更新登録手数料については商標登録の費用にてご説明しています。
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