カラーと白黒商標のどちらで登録するのがいいですか?
カラーの商標も、白黒(モノクロ)の商標も、実質的に同じ効力があるのが通常で、一般的にはどちらでも大差ありませんが、使用予定その他も考えて個別に検討し決めるのがよいでしょう
商標権の効力については、登録された商標と色彩が異なる色違い商標も、登録商標とは類似商標です。
実質的に登録商標と同一の効力があるのが通常です。
したがって、白黒の商標で登録し、色彩を変更したカラーの商標を使用することができますし、色彩のみが異なる商標を第三者が勝手に使用することはできません。
商標法ではどうなっている?
商標法では、登録商標の独占的効力については、
(商標権の効力)
第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。
とされています。
また、登録商標に類似する商標の使用については、同一・類似の指定商品・指定役務について使用することは、商標法第37条で、商標権侵害とみなされることになります。
色違い商標については、商標法第70条に規定されています。
(登録商標に類似する商標等についての特則)
第七十条 第二十五条、第二十九条、第三十条第二項、第三十一条第二項、第三十一条の二第一項、第三十四条第一項、第三十八条第一項第二号若しくは第三項から第五項まで、第五十条、第五十二条の二第一項、第五十九条第一号、第六十四条、第七十三条又は第七十四条における「登録商標」には、その登録商標に類似する商標であつて、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含むものとする。
とあるので、「色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるもの」は、登録商標に含まれるものとされるので、カラーの商標も、白黒(モノクロ)の商標も、実質的に同じ効力があるという冒頭の結論になるのです。
カラー商標か、白黒(モノクロ)商標か、検討するにあたっての注意点
ただ、色違い商標には、実質的に同じ効力があるという点に、注意点や例外はないのでしょうか?
「登録商標」には、その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含むものとする(商標法第70条)とされています。
ということは、色彩を登録商標と同一にしたとしても、登録商標と同一の商標とは認められないものは含まれないと解釈することもできます。
具体的な例を考えつきにくいのですが、たとえば、白と黒の2色の図形商標が登録されているとき、白の部分を黒に変更して使用している商標は、色彩を変更すれば同一の商標であるとは認められない可能性があるかもしれません。
そこまで極端な例ではなくとも、カラーの商標を、白黒(モノクロ)の商標にした場合には、色の濃淡の関係などで、大きく異なる印象を与える場合がないとはいえません。
カラーか白黒(モノクロ)か、商標を決めるにあたってのポイント
通常は、カラーと白黒を両方使用する予定がある場合であっても、基本的にはカラーで出願するか、モノクロで出願するか、大勢に影響はありません。
実際に使用する商標の態様を考えれば、主としてカラー商標を使用する予定がある場合には、色彩のある商標で出願し登録することがよいでしょう。
カラーが付されることによって商標の特徴が際立ったり、その配色を模倣されたくない場合、あるいは、色彩にブランドイメージや企業のイメージカラーなどの意味合いもある場合などには、カラーの商標を選ぶのがよいでしょう。
たとえば、モノクロにすると、図形が見えにくくなってしまう、違う色なのにトーンが似てしまうといったような場合にも、カラーの商標の方がよいでしょう。
一方、状況により商標の色彩を変更して使用する場合、あるいは商品ジャンルごとに色彩を変更して使用する場合などには、モノクロの商標か、または代表的な色彩の商標を選ぶことがよいと思います。
類似商標調査の結果、他の商標との類似関係を見て検討し、カラーと白黒のどちらで出願するのがいいか、決定することもありますし、ケースバイケースです。
具体的には、ご相談、ご依頼をいただいてから、個別に検討のうえ決定することになります。