六面体の各面を九つのブロックに区分したパズルの形態は不正競争防止法の保護の対象となるものではないとされた事例
【種別】民事訴訟の判決
【訴訟番号】東京地平成9年(ワ)第12191号
【事案】
「六面体であってその各面が九つのブロックに区分され、各面ごとに他の面と区別可能な外観を呈している」という商品形態は、六面体の各面を九つのブロックに区分し、各ブロックを適宜回転させて各面の配色をいったん崩した後再び各面を同一色にそろえるなどして遊ぶパズル玩具であるという原告商品の有する機能ないし効果と必然的に結びついていると認められるから、右基本的構成態様は、不正競争防止法の保護の対象となるものではないとされた事例
【判決における判断】
商品の形態は、商品の機能を発揮したり商品の美感を高めたりするために適宜選択されるものであり、本来的には商品の出所を表示する機能を有するものではないが、ある商品の形態が他の商品に比べて顕著な特徴を有し、かつ、それが長期間にわたり特定者の商品に排他的に使用され、又は短期間であっても強力な宣伝広告等により大量に販売されることにより、その形態が特定者の商品であることを示す表示であると需要者間に広く認識されるようになった場合には、商品の形態が保護されることがあるものと解されるところ、商品の形態が商品の機能ないし効果と必然的に結びつき、これを達成するために他の形態を採用できない場合には、その形態は、本来、発明・考案として特許法等により一定期間独占的地位を保障されることを通じ保護されるべきものであり、仮にこのような形態に同法上の保護を与えるならば、本来、特許法上等所定の期間の経過後は広く社会全体の公有財産に帰属するものとして万人が自由に利用できることになるはずの技術について、特定者が独占的に支配することを認めることとなる。即ち、商品自体でない別の媒体に出所標識機能を委ねる場合とは異なり、商標法が目的とする出所の混同の防止を超えて、商品に利用されている技術思想そのものについて、特許法上等の保護を超えた独占的・排他的支配を認めることになり、技術の自由な利用によりもたらされる産業の発展や商品の自由な流通を阻害する結果、公共の利益に反する。 原告の商品の基本的構成態様、すなわち「六面体であってその各面が九つのブロックに区分され、各面ごとに他の面と区別可能な外観を呈している」という商品形態は、六面体の各面を九つのブロックに区分し、各ブロックを適宜回転させて各面の配色をいったん崩した後再び各面を同一色にそろえるなどして遊ぶパズル玩具であるという原告商品の有する機能ないし効果と必然的に結びついていると認められるから、右基本的構成態様は、不正競争防止法の保護の対象となるものではない。