「iOffice2000」の商標は、マイクロソフトの商標である「Office2000」の著名性にただ乗りする意図で、不正の目的で出願したものとされた事例
【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高平成13年(行ケ)205号
【事案】
本件商標は、「iOffice2000」の文字と数字からなり、第9類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ、その他の電子応用機械器具」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第4条第1項第19号
【判決における判断】
認定の事実及び各証拠によれば、Office95とOffice97及びOffice2000の語は、Officeという文字と西暦とを組み合わせたものであるから、それだけでは、自他商品識別力が十分であるとは認められない性質のものであるものの、宣伝、広告、マスコミによる情報伝達、雑誌等の各種の記事等によって、遅くとも本件商標の出願前には、米国及び日本において、マイクロソフトの著名なオフィスソフトの商標として既に著名な商標となっていたものと認められる。
「i」の文字単独では、ローマ字のアルファベットであり、特有の意味を有しないこと、「Office2000」の部分は、マイクロソフトの著名な商標と同一であることからすると、本件商標がその指定商品に使用されるときは、取引者・需要者は、場合によっては、語頭にある「i」の文字に気付かず、本件商標から「Office2000」のみを看取し、観念するおそれがあると認められる。また、称呼においても、「アイオフィスニセン」の称呼は、比較的冗長であることからすると、後半部分から「オフィスニセン」との称呼をも生じ得るものと認められる。
そうとすれば、「Office2000」が既に著名な商標となっていることを十分に知りながら、これと類似する本件商標を出願し、その後これを使用したものであるから、原告は、マイクロソフトの商標である「Office2000」の著名性にただ乗りする意図で、本件商標の出願をし、オフィスソフトと密接に関連することが明らかなグループウエアにこれを使用したものと認めざるを得ず、また、原告が本件商標を使用する結果として、マイクロソフトの「Office2000」の著名性が希釈化されるおそれが大きいと認めざるを得ない。
したがって、原告がその商品であるグループウエアに本件商標を使用することには、商標法4条1項19号にいう「不正な目的」があったものという以外になく、これと同旨の決定の認定・判断には、何等誤りはない。